スクウェア・エニックスは、10月23日にMMORRPG「ドラゴンクエストX」のオフラインイベント「ドラゴンクエストX秋祭り 2021」をSHIBUYA LINE CUBEで開催した。
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年に1度の恒例イベントとなっているこの「ドラゴンクエストX秋祭り」だが、冒頭に「ドラゴンクエストX オンライン」プロデューサーの青山公士氏が登壇した。9月30日に「ドラゴンクエスト」の楽曲を数多く手掛けてきた作曲家のすぎやまこういち氏が亡くなったことから、イベントの開催自体をどうするか話し合いが行われた。しかしエンターテイメントを止めてしまうとすぎやま氏に怒られると考え、今回のイベントが実施されることになったと説明が行われた。
同氏を偲んで、この会場に足を運んだファン全体で、1分間の黙祷を捧げるところから始まった。
ちなみに、今回のイベントは第1部と第2部に分かれて行われていたが、本稿ではその中から第1部で特に注目しておきたいポイントをヒックアップして紹介していく。
新職業に「海賊」が登場! 11月11日にリリースされるバージョン6.0最新情報
ややしんみりとしたスタートとなったが、ここからはいつも通りのお祭りイベントが開始された。まずは、MCの椿彩奈さんとバッファロー吾郎の竹若元博さんに続き、スペシャルゲストの堀井雄二氏、開発ゲストとして青山プロデューサー、安西崇ディレクター、小澤直美チーフプランナーが登壇。堀井氏は、「こんなにたくさんの人が来てくれて嬉しいです」と素直な感想を述べた。
最初に行われたのは、「安西先生の情報コーナー」だ。まずは、11月11日にリリースされる「ドラゴンクエストX オンライン」のバージョン6.0に関する最新情報について、安西ディレクターから紹介が行われた。今回発表されるのは、メインストーリーや新職業・新規追加コンテンツ、バトルコンテンツに関する追加・変更点などだ。ボリュームが大きすぎるため、11月4日と11月10日にさらなる追加情報が公開される予定である。
バージョン6.0では、メインストーリーとして「天星の英雄たち」が公開される。この物語では、天星郷を舞台にエックス、ラダ・ガート、フォステイルの3名を加えて、四天の星巡りに選ばれた総勢10名の英雄たちが登場する。空の上にある世界ということもあり、空気感や風の動きなどにもこだわった風景になっているそうだ。
バージョン6.0のヒロインはユーライザで、声は石川由依さんが担当。天使のキャラクターといえば「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」のイメージが強いが、堀井氏も同作ではすれ違い通信のために秋葉原まで足を運んだ記憶があると語っていた。
天星郷で出会うキャラクターには、初代の勇者としてアシュレイ(CV:松岡禎丞さん)とレオーネ(CV:岡本信彦さん)も登場する。ほかにも、天使長ミトラー(CV:豊口めぐみさん)やベルヴェル(CV:茉莉邑薫さん)も登場。こちらは、かなり特徴的なキャラクターとなっているようだ。それ以外にも、大物声優たちが多数参加するので、そちらもどんなキャラクターを演じるのか楽しみにしよう。
バージョン6.0の移動アイテムとして、新アイテム「魂の燭台」が登場する。こちらは、天星郷でのみ使えるルーラストーンのような移動手段となる。特定のポイントにアクセスすることで、ルーラで飛べるようになるといったものだ。また、「魂の燭台」は、「よく使うセリフ」のコマンドショートカットにも登録しておくことができる。
新職業として、「ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち」以来の登場となる「海賊」も追加される。この「海賊」は、大砲を駆使して戦う遠距離アタッカーだ。装備可能な武器は、短剣、弓、ブーメラン、オノである。大盾は持てないものの、盾も装備可能だ。防具は盗賊と同じで、レベル50からのスタートとなる。
「海賊」への転職には、バージョン6.0の導入とクエスト「ダーマの試練」のクリア、いずれかの職業がレベル50以上、ガートラントのお話をクリアしていることが条件となっている。
「海賊」のとくぎは、置くと自動で敵を攻撃してくれる大砲を最大3つまで召喚できるところだ。大砲を設置するだけではなく、自身も銃で攻撃することができる。ちなみにこの大砲は、最初に設置した方向にしか撃ってくれない。そのため、どの位置に設置するのかということも戦術的に重要となってくる。
ひとつのパーティで設置できる大砲の数も3つまでと制限されるため、「海賊」がたくさんいてもあまり意味はない。
この自動で砲撃する大砲を設置する「大砲置き」のほか、「恐怖弾ショット」というものもある。こちらは、敵1対の移動を遅くすることができる「恐怖」状態にできるというものだ。モンスター側が使ってくる移動速度低下に近いものだ。ただし、効果時間が長いわけではないため、ピンチの時の時間稼ぎなどに利用するものである。さらに、周辺に雷属性ダメージを与えてマヒ状態にする「しびれ弾ショット」なども用意されている。
「海賊」固有のスキルラインの「ほうげき」では、大砲の向きを変えて敵に狙いを付ける「砲撃ロックオン」や、大砲のダメージを上げる「砲撃ブースト」などがある。ちなみに「海賊」はバギ系のじゅもんが多く使えるが、それに合わせて「海賊」に限らずバギ系じゅもんの射程も長くなるよう調整が行われている。
「ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち」のときに、たくさん職業を増やしたため、それに合わせて特技やじゅもんも増やしたという堀井氏。そのときに付けた「バギムーチョ」で、なんで「ムーチョ」なのか聞かれたそうだが、語呂がいいことから感覚で付けていたという。
魔剣士の職業スキルラインには、新スキルが追加される。「黒炎帝の斬撃」は、これまで魔剣士にはなかった、一撃大ダメージ系の技となっており、確実に会心の一撃が出る。そのため、魔の波動が溜まりやすい。こちらは、威力などを調整した上でコロシアムなどでも使用可能になる予定だ。
細かな話だが、これまで名前で使用できなかった「ヴ」がついに使えるようになった。ヴァレリアが登場して以降、ユーザーから根強い希望があったというが、今後は自分のキャラクター名にも利用することができる。
オンライン版への引き継ぎは? 「ドラゴンクエストX オフライン」プロデューサーに一問一答
続いて、2022年2月26日に発売される「ドラゴンクエストX オフライン」のプロデューサー 白石琢磨氏から、「ドラゴンクエストX オフライン “ちょっとした”情報だらけでSHOW!!」と題して、同作の最新情報が一問一答形式で発表された。
最初の質問は、「ドラゴンクエストX オンライン」との連携についてだ。こちらは、オフライン版からオンライン版への引き継ぎに「ふっかつのじゅもん」を使用する。オフライン版クリア時に、ゲーム内に表示される「ふっかつのじゅもん」を使うことで、オンライン版でスタートするときにいくつかの職業でいきなりレベル70からスタートできるというものだ。
主人公名と兄弟姉妹の名前については、デフォルトの状態ではキャラクターを作るときにオフラインで使用していたものが反映される。こちらは、変更することも可能だ。ちなみに引き継ぎとはいいつつも、ほぼ別ゲーに近いためそのままのデータとして引き継がれるイメージとは少し異なる。
ふたつ目の質問は、キャラメイクや5種族への転生はあるのかというものだ。こちらは、当然のことながら、人間の姿だけではなく転生時の各種族のキャラメイクもあり、男女の見た目も選ぶことができる。こちらは、PVなどでエックス君の姿しか出てこなかったため、もしかして選べないのではないかと心配していたユーザーから問い合わせがあったようだ。とはいえ、すべての髪型などが入っているわけではないので、注意が必要である。
3つ目の質問は、装備の見た目はオンライン版のように色々変更することができるのかというものだ。こちらは、カラーリングやマイコードなどを含めて可能となっている。4つ目の質問は、魔法の迷宮やアクセ合成はあるのかというものだ。こちらは用意されているが、ゲームバランスは別になっているためオフライン専用の仕様になっている。
コインボスもいてアクセサリーも落とすのだが、破片ではなく必ず現物を落とす仕様になっている。また、合成するときに付けたい効果を任意で選ぶことができる。
5つ目の質問は、職業はオンライン版のように転職できるのかというものだ。こちらは、主人公の転職はできるものの、仲間になる5人のキャラクターについてはそれぞれ固有のスキルやパラメーターになっており、転職させることはできない。しかし、賢者やバトルマスターといった職業は「上級職」として、少し強い設計になっている。この転職条件については、後日発表される予定である。
ここで堀井氏から、主人公名に「ヴ」は使えるのかという質問が飛びだしたが、白石プロデューサーはこの会場に来てから知った情報であったため、1度持ち帰って検討したいと回答していた。
ひとりプレイ専用として新たに生まれ変わる「不思議の魔塔」の改修ポイント
第1部の最後に行われたのが、「開発者座談会」だ。こちらでは、「ドラゴンクエストX オンライン」バトルプランナーの松岡洋右氏が登壇。バージョン6.0で導入される「不思議の魔塔」の改修ポイントについて紹介が行われた。
「不思議の魔塔」は、2015年にリリースされたコンテンツだ。こちらは、4人でパーティを組んでダンジョンの頂上を目指していくというもので、毎月1日にリセットされレベル1から挑戦することになる。装備は、ダンジョン内で入手していくなどの特徴がある。塔に登ることで報酬として「金のフェザーチップ」が手に入る。それを使って、景品の交換やアクセサリー「不思議のカード」の強化が行える。
しかし、この「不思議の魔塔」には、改善を求める声も上がっていた。これまでもいくつか改善はされているものの、根本的な部分についてはなかなか手を付けることができなかった。そこで、今回改修されることになったのだ。
回収後の「不思議の魔塔」は、これまでの4人パーティからひとりプレイ専用に変更される。仲間と協力して挑むというこれまでのコンセプトも面白かったが、回収後は自分のキャラクターを育成して強くしていくというところに重点が置かれている。
それに伴い、改修前にあった毎月のリセットも廃止される。回収後は、いつでも好きなタイミングで続きからプレイ出来るほか、1度登ったらクリアとなる。
実は、改修の中盤までは、ひとりプレイではなく4人プレイのままで行く予定であった。そのため、魔塔専用の酒場なども作っていたのだが、テストプレイを繰り返していくと自分ひとりを育成していく感覚が感じにくかったため、ひとりプレイ専用に変更されている。
死んだら終わるという緊張感と、自分ひとりの力だけで登るという達成感が強化され、より遊び甲斐のあるものになったのだ。
改修前は様々な職業で挑むことができたが、回収後の魔塔内では「魔闘士」という専用の職業でプレイすることになる。「魔闘士」の特徴は、何でも装備することができ、スキルラインもなく錬金効果でスキルが習得できるところである。
改修前は、ランダムに手に入る装備で強くしていくという遊びだったが、回収後は素材を集めて持っている装備を強化していくという遊びに変更される。この装備の強化を繰り返していくことで、魔塔を攻略していくことになる。
錬金効果は、自分で付与することができる。これにより、ひとつの武器でも自分の戦い方に合わせた成長ができるのだ。塔の中で手に入る装備には、装備ランクという強さが設定されている。初めはランク1の弱い装備からスタートすることになるのだが、これを高ランクのものにどんどん進化させていくのだ。この進化には、魔塔内で手に入る素材やゴールドを使用する。高ランクの装備では、形の種類や錬金効果の枠が増えるため、どんどん強くなっていくのだ。
ダンジョンの変更点として、地図は進んだ場所を表示するようにしている。これにより、探索感が強化されているのだ。ダンジョンは、入る度に部屋の形や配置物が変わるようになった。改修後は、キーモンスターはいなくなりカイダンを見つけることで上の階に移動ができる。
新たな要素として、各階層に「なぞ解き」要素が追加されている。なぞなぞのようなギミックで、「なぞ解きメモ」を見ることでいつでも確認ができる。こちらを解くことで、塔の攻略が有利になるアクセサリーを入手することができる。
改修後は、不思議のカードが強化出来る上限が8段階までアップする。すでに5段階まで強化されている場合は、引き続きアップさせることが可能だ。ただし、この強化には新たに追加される「虹のフェザーチップ」が必要となる。
改修前は、特定の階数を登ることでもらえた金、銀、銅のフェザーチップだが、改修後はいつでも入手が可能になる。改修後の魔塔でも、これまでのフェザーチップは使用可能だ。先ほどの「虹のフェザーチップ」については、実績を達成して報告することで入手することができる。つまり、1度しか手に入らないという意味でもあるのだ。
今回改修をするにあたり、このフェザーチップをユーザーがどれぐらい使わずに所持しているのか調査が行われた。結果として、かなりの数が使われずに所持していることがわかった。このまま追加しても数が膨れてしまうため、バージョン6.0移行は「おまとめぶくろ」に入れられるようになるとのこと。
改修後の魔塔は、キャラクターを強化して最上階を目指すものとなった。ボスバトルは全体的に、難易度は高めに設定されている。そのため、勝利するためには強い装備を調えていく必要があるのだ。
このボスは、育成したキャラクターの壁的な役割を果たしている。例えボスに敗れてしまっても、装備や錬金効果を工夫することで壁を突破できるように調整が行われている。また、どうしても倒せない場合は攻略のヒントをくれるキャラクターも追加されているため、そちらを参考にするといいだろう。
この魔塔は、バージョン6.0では30階までが解放される。その後も、アップデートなどで追加される予定だ。どのタイミングで追加されるかは明かされなかったが、このバージョン6.0の期間中に複数の追加が行われるとのこと。こちらは、バージョン6.0リリース日に公開される。
最後に堀井氏からは「今日はいろんな情報が出て、海賊も楽しみだしバージョン6.0の魔塔やオフラインなど、いろいろと楽しみが出てきました。ドラクエ1を作ったときに、カタカナが20文字しか使えなかったんですよ。それがなんとウにテンテンまで付けられるようになって、すごい進化だなと思いました」と感想を述べ、第1部を締めくくった。
バージョン6.0やオフライン版など、今後も目が離せないリリースが続くが、さらなる続報についても楽しみに待とう!