3gooより発売中のPS5/PS4/Switch用ソフト「アストリア アセンディング」について、PS4版のプレイレポートをお届けする。
「アストリア アセンディング」は、海外スタジオ・Artisan Studiosが日本のクリエイター陣とパートナーシップを組んで開発したRPG。シナリオに野島一成氏、サウンドに崎元仁氏、アートにはCyDesignation(吉田明彦氏、皆葉英夫氏)が参加している。
本稿ではストーリー展開などに関するネタバレは極力控えているが、新鮮な気持ちでプレイしたいという人は注意して欲しい。
調和をめぐる物語とアートのようなグラフィック
本作の物語は、「デミゴッド」と呼ばれる8人の英雄を中心に展開する。舞台となる「オルカノン」には「メリョ」「アルクタン」「ペスカ」「ゼフト」「アウィシー」という種族が暮らしており、「調和の実」を食べることで争いのない世界を保っていた。
強大な力を持つデミゴッドだが、その力には3年の任期を終えると同時に命を落とすという代償が伴っている。主人公となる第333期デミゴッドの任期は残り3か月。そんな折、調和を乱すモンスター「ノイズ」が街に侵入する事件が起きる…というのが物語のあらましだ。
リーダーのウランをはじめとするデミゴッドたちは、種族も年齢もさまざま。デザインはもちろんのこと、筋骨隆々の魔術師・ダグマや老夫婦のアラシア、アルパジョなど他のRPG作品ではあまり見ない設定のキャラクターは、本作の大きな魅力といえるだろう。また、武器を抜く速度がキャラクターによって微妙に違ったりと、細かな動きまで表現されたアニメーションも彼女たちの個性を引き立てていた。
また、キャラクターたちを彩る背景も魅力の一つ。多様な種族の暮らすオルカノンの地は色彩豊かで、まるでアートの中を歩いているような感覚を味わうことができた。残念ながらフォトモードは無いが、スクリーンショットでもその美しさを十分に堪能できる。
多種族チームであるデミゴッド。彼らが協力して世界の調和を取り戻すべく戦う構図は、多様性の重視される現代社会にも通ずる部分があると感じた。物語の顛末は、ぜひゲームをプレイして見届けて欲しい。
フォーカスポイント(FP)がカギとなる一触即発のバトル
続いて、物語と並んでRPGの柱となるバトルを紹介しよう。本作のバトルはターン制で進行し、通常攻撃やMPを消費するアビリティーを使って敵と戦っていく。最大の特徴は「フォーカスポイント(FP)」。FPを消費することで、行動の効果を高めることができる。FPは敵の弱点を突くと獲得できるほか、「フォーカス」コマンドを使って一時的に増やすことも可能だ。
ただし、FPは味方だけでなく敵も持っており、油断していると手痛い反撃を受けることになる。また相性の悪い攻撃をすると味方のFPが減ってしまうため、特に初めて戦う敵に対しては属性相性の把握が最優先となる。
さらに、本作は8人の英雄たちを主人公としているだけあって、初めから8人のキャラクターを扱うことができる。場に出せるのは4人までだが、いつでも交代が可能。アビリティーも個性豊かなものが揃っているため、状況に応じて切り替えていこう。
戦略性の高いバトル、というと詰将棋のようにコツコツと進めていくものを想像しがちだが、本作のバトルは敵味方ともに攻撃によるダメージが高く、一触即発が常だ。一つの行動で戦況が大きく変わり、かつ状態異常の種類も多いため、特にボスなどは最初は難しく感じるかもしれない。しかし、敵の攻撃をうまく捌いてFPをため、一気に場を掌握した時の快感は何事にも代えがたいものとなっている。
また、「アセンションツリー」と呼ばれるスキルツリーや「エンブレム」を手に入れることで取得できるメインジョブ、サブジョブ、サポートジョブなど戦略の幅を広げてくれる育成要素も魅力。ツリーを解放する順番やジョブによって全く違う役割を任せられるため、プレイヤーによって個性が出るポイントでもある。
アセンションツリーでは、アビリティ―の取得だけでなくステータスアップも可能。中には倍近くステータスが上昇するものもあるため、積極的に取っていって損はない。
メインジョブなどは、初期のジョブであるベースジョブに加える形で取得可能。ジョブに応じたツリーも追加されるため、役割に合った個性を伸ばしていこう。
クエストやミニゲームなど多彩なやり込み要素
本作にはやり込み要素も多く存在する。街の住人などから受注できるサブクエストでは、ウラン以外のメンバーを中心とした物語が展開されることも。一度行ったダンジョンを再び訪れることもあるため、探索とあわせて積極的に進めていこう。
ゲームを進めると、そのほかにも六角形のトークンを使ったミニゲーム「J-STER」や「フェドラ」という生物を操るシューティングゲームを楽しめる。本編と合わせるとかなりのボリュームだ。
「J-STER」は、相手のトークンを自分の色に変えることが目的。トークンの各辺には相性が存在しており、バトルさながらの頭脳戦を堪能できる。
シューティングゲームは、属性の異なる弾を使い分けて攻略していく。こちらも相性が重要だ。
「アストリア アセンディング」は、物語・バトル・やり込み要素の三本柱が揃った「王道RPG」と言える。ただ、キャラクターの音声が途切れてしまったりするバグや、ぎこちなさを感じる日本語訳などいくつかの問題も抱えているのも事実だ。
細かい設定項目など幅広いプレイヤーに配慮した部分もあるだけに、細かな粗が余計に目立ってしまい、非常に惜しい作品という印象を受けた。
とはいえ、そういった点はアップデートで改善の余地はある。実際、現在でも継続的なアップデートが行われており、より良い作品にしようとする開発陣の心意気が確かに感じられる。今後の改善により、本作の魅力がさらに引き出されることを願うばかりだ。