ダウンロードで遊べる、気になるゲームの魅力を実際にプレイした上でご紹介する「DLゲームインプレッション」。第10回は、Nintendo Switch、PC(Steam)にて配信中の「Mon Amour ~モナムール~」をピックアップ!

目次
  1. 64人の恋人と姫様を「チュウ」で救うため、男は立ち上がる
  2. ハートを大きく育てて、狙えハイスコア
  3. 外見も種族も多種多様なモナガールたちの魅力も見逃せない

「Mon Amour ~モナムール~」はPlayStationの名作「moon」をはじめ、個性的なタイトルを多数手掛けたゲームデザイナー・木村祥朗氏率いるオニオンゲームスが開発・販売を行う、ダウンロード専売タイトルだ。

パッと見ではどんなゲームかよく分からない本作だが、プレイしてみれば、これほど魅力が一目瞭然なゲームもなかなかない。購入に二の足を踏んでいる方に、本稿を参考にしていただければ幸いだ。

64人の恋人と姫様を「チュウ」で救うため、男は立ち上がる

「初回プレイ死亡率99%」を謳っている本作。実際にプレイして分かったこの謳い文句の真相は、「自動的に右へと進んでいく操作キャラを、ボタンを押して高度の調整をすることでクリアへと導く」タイプのアクションゲームであるということだ。

使うボタンはひとつだけ。このボタンを押すほど高度が上がり、ボタンを押していない間は高度が下がる。だから、いきなりはじまる最初のステージで、ボタンをまったく押さなければ、1秒と保たずに落下してゲームオーバーになってしまう――そういうことなのだ。

近いシステムのゲームとしては、有名なものならば「Flappy Bird」や、ガラケー時代に人気を博した「糸通し」(スマートフォン向けアプリゲーム「元祖糸通し」として復活している)などが挙げられるだろう。

キャラクターもののスマホゲームを多くプレイしている方には、「Flappy Bird」のゲーム性をそのまま人気キャラクターのモチーフへと転用した「少女☆歌劇 レヴュースタァライト -Re LIVE-」内のミニゲーム「天堂真矢のシャカリキスワン」を挙げたほうがピンとくるかもしれない。

「Mon Amour ~モナムール~」のこれら先行作品と異なる点はいくつもあるのだが、分かりやすいのは「高度を安定させるには、ボタンを連打気味に押すのが有効なこと」、「エンドレスでひたすらプレイするのではなく、ステージクリア性であること」、「オニオンゲームスらしい独特の世界観」の3つだろう。

操作キャラ、つまり本作の主人公は、幸せの国に住んでいる特徴的な髭を生やした男性「ソワソワール男爵」。突如現れた3人の魔女に、姫様と国民を連れ去られたソワソワールは、「チュウ」で彼女たちを救うべく、立ち上がる。

この国に住む64人の国民は、全員がソワソワ―ルの恋人である「モナガール」。ひとつのステージにひとりのモナガールがいて、彼女たちのもとにたどり着き、チュウをすれば、そのステージはクリアとなる。

ひとつのステージのクリアに掛かる時間は10秒程度。ステージ内ではBGMとして陽気なスキャットが流れており、プレイ中の楽しい気分を高めてくれている。

ソワソワールは画面の上下や障害物に接触しただけでゲームオーバーになってしまう。そして先に進むほど、障害物が画面中央へと伸びていくなど、ステージの難易度は上がっていく。ただし、これまでのステージでキスしたモナガールがついてきてくれるうちは、障害物に接触しても彼女たちが身代わりになってくれたり、ステージに配置されたフルーツを取ることで、障害物を上下に追いやったりすることができるので、これらを駆使してできるだけ先へと進もう。

フルーツや後述するハートを取ろうとするあまり、上方向や下方向への加速が付き過ぎると、ソワソワールの制御が極めて困難になってしまう。もどかしい操作性だが、このもどかしさこそが、プレイヤーに「次はもっと上手く操作したい」という気持ちを芽生えさせる、本作のおもしろさの肝でもあるのだ。

ハートを大きく育てて、狙えハイスコア

最初は先に進むことだけを考えてプレイすることになる「Mon Amour ~モナムール~」だが、ハイスコアを意識するようになると、また違ったおもしろさが見えてくる。

10個のステージごとに、モナガールたちをお城へと送り届けるステージが登場。身代わりにすることなく、ここまでにチュウをしたすべてのモナガールを送り届けると、スコアにパーフェクトボーナスが入るなど、より良いプレイを目指したくなる仕組みがいくつか用意されているのだ。

中でも特徴的なのは、「ハート」にまつわるシステムだろう。各ステージのクリア時、ソワソワールとチュウをしたモナガールはハートを振りまき、このハートはその後のステージにも残り続ける。このハートは触れずに放置しておくと、新たなステージで振り撒かれたハートとぶつかって合体することでどんどん大きくなっていくのだ。ハートが大きければ大きいほど、触れたときに、より多くのスコアが手に入る。

いちばん小さい状態のハートは触れてもスコアにして10点にしかならないが、縦画面の半分を超える大きさまで成長したハートともなれば、触れたときに加算されるスコアは10万点以上にも及ぶ。当然、ハートが大きくなればなるほど、避け続けることは難しくなるので、ハートをさらに大きくするのはどんどん困難になる。ハートを避けようとするあまり、制御を失ってゲームオーバーになることは防ぎたい。

慣れてくると、この「どこまでハートを大きく育てるか?」という駆け引きが、楽しくなってくる。うまくハートを大きくして、一気にスコアを稼ぐのは実に爽快だ。

外見も種族も多種多様なモナガールたちの魅力も見逃せない

後半のステージまで進むと、障害物はどんどん避けづらいものになっていき、モナガールたちがソワソワールを積極的に攻撃してくるステージも存在する(魔女たちに操られているなどの理由があるのかもしれないが、ゲームをプレイしている分には、このへんの事情は想像するしかない)。

モナガールたちは人間の女性もいれば、単眼だったり獣人などの亜人っぽい者や、もはや人族ではない者など多種多様。彼女たちが種族や外見の違いを問わず、全員ソワソワールに愛されているというのが、彼女たちの国が「幸せの国」と呼ばれている所以なのかもしれない――などと、世界観への深読みをしてみるのもおもしろいかもしれない。

非常にシンプルなゲームであり、価格相応と感じるかは、人によるだろう。しかし、すべてのゲームが複雑なシステムを理解し、多数のボタンを駆使する必要があったとしたら、疲れてしまう。重厚なゲームをプレイし終えたときに、SwitchやSteamのライブラリに本作があれば、息抜きとしてプレイしたくなる。そして気づいたら熱中してしまう――「Mon Amour ~モナムール~」はそんなゲームだ。

あなたのゲームライフに「ちょっとユニークな息抜き」を加えるには、丁度いい一本であろう。ゲーム内容と世界観、いずれかが気になったならば、ぜひ選択肢に加えてほしい。

Mon Amour ~モナムール~

Onion Games

Switchダウンロード

  • 発売日:2021年10月14日
  • 全年齢対象

Mon Amour ~モナムール~

Onion Games

PCダウンロード

  • 発売日:2021年10月14日
  • Steam

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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