「GARAGE ガラージュ」をレビュー。1999年にリリースされたPC向けアドベンチャーゲームが、スマートフォン向けにリマスター。「奇ゲー」「伝説のゲーム」と呼ばれるその内容を紹介する。

「GARAGE ガラージュ」は、作場金属製作所からリリースされたスマートフォン向けアドベンチャーゲーム。本作はもともとPC向け1999年にリリースされた作品で、その内容から「奇ゲー」や「伝説のゲーム」と呼ばれていた。今回のスマートフォン版はそのリマスターにあたり、画像や動画の修正、UIの改良といった調整が行われたほか、新たなシナリオも追加されている。つまり、完全版といっていい内容だ。ちなみに筆者は本作をプレイし、思わず「すげーな…」とつぶやき、「奇ゲー」と呼ばれる理由を十分理解した。だからこそ、この記事で本作の魅力を多くの人に伝えたいと思っている。

不気味な精神世界からの脱出を目指すRPGライクなアドベンチャー

本作は、ゲームジャンルとしてはアドベンチャーゲームに分類される。登場人物と会話を行い、ストーリーを先に進めていくゲームだ。ただ、主人公の育成要素も用意されていて、RPG的な部分も持っている。

タイトルにある「ガラージュ」とは、本作に登場する精神治療装置の名前で、自分の精神へ入ることで精神を治療する…という装置のこと。本作でプレイヤーが操作するのは、この「ガラージュ」で自らの精神世界へ入り込んだ主人公。つまり、主人公の精神世界が舞台となっている。

まずこの精神世界が、非常に不気味だ。精神世界で目覚めた主人公が目にするのは、怪物のような機械のような生命体の姿。しかし、それこそが主人公の姿。精神世界内は、機械生命体の暮らす世界で、どうやら主人公も機械生命体となっているようだ。

この世界でのプレイヤー=主人公の目的は、世界から脱出すること。治療のために精神世界へ入ったはずなのだが、脱出した方がいいらしい。そして、脱出するためには、「カゲ」を探さなければならないとのこと。話によると、「カゲ」については、「プシケ」という存在を頼ればいい模様。

ここまでの内容で、非常に独特な世界観ということが伝わったのではないかと思う。実際筆者も、プレイを始めてクエスチョンマークが頭に浮かんだ。しかし、この意味不明さも本作の持ち味。わけのわからない感覚が、精神世界の不気味さを際立たせている。ちなみに、ゲーム開始直後は、ゲーム的に何をすればいいのかも、なかなか見えてこない。しかし、ある程度プレイすると、ようやくゲームシステムの内容が見えてくる。

本作でプレイヤーが行うことのメインは、登場人物との会話や、精神世界の探索だ。矢印ボタンをタップすることで場面を移動し、キャラクターや探索ポイントをタップすることで会話/探索を行う。ただ、場面を移動していくと「順応度」や「燃料」といったパラメーターが減っていく。「順応度」というのは機械生命体を成り立たせている力のこと。機械生命体は実際のところパーツの寄せ集めに過ぎないのだが、「順応度」があることで「自分」を維持していられる。このため、「順応度」がゼロになると元のパーツに戻ってしまうのだという。一般的なゲームでいうところの、HPと考えればよさそうだ。

一方「燃料」は、そのまま、機械生命体が動くための燃料のこと。ガソリンや電気といっていいだろう。ただ、精神世界内では「白瓦斯(しろガス)」という名称がついている。ゲーム的には行動力で、主人公が移動するためには必要なパラメーターだ。「順応度」「燃料」のいずれかが尽きるとゲームオーバーになってしまうため、プレイヤーは常に残量をチェックし、減ってきたら回復しなければならない。

「順応度」や「燃料」の回復に必要なのが、「スタンプ」。「順応度」や「燃料」の回復以外に、アイテムを買ったり、主人公を強化するためのパーツを買ったりする際に使用する。つまり、一般的なゲームにおける「お金」のようなもの。「スタンプ」が尽きると回復不能になってゲームオーバーまっしぐらなので、プレイヤー的には探索を進めつつ、「スタンプ」を稼ぐことになる。

「スタンプ」は「釣り」で入手する。我々の世界でいう「釣り」と一緒だが、釣るのは魚ではなく「蛙」。そして、エサにするのは「蟹」…と、やはり本作独自の設定となっている。「釣り」はミニゲーム的な作りになっていて、「蛙」の動きに合わせて釣り糸を引き寄せたり、たるませたりすることで「蛙」の体力を削っていく。見事体力を削れば「蛙」をゲット。このミニゲームのシステムそのものは、一般的な釣りゲームに近い。

「蛙」のエサとなる「蟹」は、「蟹」の獲得ポイントに対して、瓶と「撒き餌」を仕掛けることで獲得できる。「蟹」自体も店舗に売って「スタンプ」に替えることができるのだが、「蛙」の方が圧倒的に高値で引き取ってくれるので、攻略効率としては「釣り」をした方がいい。

「釣り」によって金…「スタンプ」を稼ぎつつ探索を進め、「順応度」や「燃料」が減ってきたら回復。これが本作の基本的な流れと言っていいだろう。主人公のパーツを強化することで「順応度」や「燃料」の最大値を増やしたり、「釣り」でより大きな「蛙」をゲットできるようになるので、プレイ感は、一般的なRPGに近い。

こんな風に、大体の流れが見えてくると、本作のまた別の顔が見えてくる。それは「この精神世界が何を意味しているのか?」という点。この点が頭をよぎると、本作の世界はさらに異様さを増していく。

この精神世界は何を反映しているのか?本作の持つ独特な味わい

「奇ゲー」という言葉の通り、本作の舞台である精神世界は奇妙で奇天烈だ。でも、決して支離滅裂なわけではない。主人公の深層心理や、現実世界の何かを反映しているのだろう…ゲームを進セル内に、そう感じさせる要素が登場しはじめる。その最も代表的なものは「白瓦斯」だろう。

紹介した通り、「白瓦斯」とは本作において主人公の燃料となる物質だ。ただ、ストーリー的にはそれ以上の意味を持っている。まず、本作に登場する機械生命体は、雄機械と雌機械が存在。このうち雄機械は、体内で「白瓦斯」を生成することができない。しかし、その分雌機械より長時間活動できるため、「白瓦斯」の元となる「蛙」の捕獲=「釣り」は雄機械の仕事となっている。

一方、雌機械は長時間活動できないため、「釣り」に出向くことができないが、雄機械に「白瓦斯」を提供するのと引き換えに、「蛙」を手にしている。雌機械は腹部の機構によって「蛙」や「蟹」を発酵させ、「白瓦斯」を生成。自分の燃料とするだけでなく、雄機械にも提供するのだ。

雌機械が雄機械に「白瓦斯」を提供する場所は「白瓦斯屋」と呼ばれており、複数の雌機械が存在。雄機械は「スタンプ」を支払うことで雌機械を選び「白瓦斯」の提供を受ける。この時、「白瓦斯」を大量に発生させるために必要なのが撹拌。雌機械の腹部に雄機械の撹拌棒を入れ、撹拌することでより多くの「白瓦斯」が発生するのだという。

どうだろう。本作の持つ異様さが伝わっただろうか。ただ奇妙で奇天烈なだけではない。恐らく、そこには裏の意味があるのだ。この点に気づくと、本作の様々なものが、裏の意味を持っているかのように見えてくる。

たとえば、本作において主人公は、レールの上を移動する。下半身が台車になっており、トロッコのようにレールの上を移動するのだ。筆者は本作のプレイを開始した際、本作の移動システムに説得力を与えるためにこのような表現にしているのだろうと考えた。本作は主人公を自由に動かして場面移動するのではなく、矢印アイコンで指定された方向のみに移動できるというシステム。なので、レールの上を移動するという設定にしておけば、一定の方向にしかのみに移動できないというシステムもすんなり納得できる。だが恐らく、そうではないのだろう。雄機械は毎日、決められたレールの上を移動して「釣り」を行い、「スタンプ」を手にする…。確実にこれは、主人公の深層心理や、現実世界の何かを反映しているのだと思う。

こうやって本作の要素ひとつひとつに「何か裏の意味があるんじゃないか?」と考えていると、いつの間にか本作の世界が、自分の内面かのように思えてくる。理屈で考えると、それはそうだろう。「この言葉にはどんな意味があるのか?」と考える時、自然と「この言葉は(自分にとって)どんな意味があるか」と考えることになる。なので、本作の裏側を読み解こうとすることは、自分の裏側を読み解こうとすることに等しい。だからこそ本作は、架空世界を楽しんでもらうことを優先した、一般的な娯楽作品とは異なる迫力を持っている。筆者が「すげーな…」とつぶやいたのは、そう感じたからだ。「奇ゲー」や「伝説のゲーム」と呼ばれるのも頷ける。

筆者にとっては最高の作品のひとつ!本作の奇妙で奇天烈な世界観に惹かれるならオススメ

本作は、決して万人にオススメの作品ではない。この記事で紹介した内容やスクリーンショットを見て、イヤだなと思ったならプレイしない方がいいだろう。また、ゲームとして見た場合、マップの作りが複雑で、位置関係がわかりづらいという課題を抱えている。複雑なマップに迷っていたずらに移動を繰り返し、「順応度」や「燃料」が回復できずにゲームオーバー…ということがおそらく何度か発生するだろう。もしかすると、迷いやすく「順応度」や「燃料」が回復しづらいということすら本作の伝えたいメッセージなのかもしれない。しかし、仮にそうだとしても、ストレスに感じてしまうプレイヤーは少なくないのではないかと思う。

ビジュアル、独特な世界観、マップの作り…こうした点をすべてひっくるめて、本作は奇妙で、奇天烈で、歪んだ作品だ。だが、筆者の趣味には深々と刺さった。間違いなく、死ぬまで絶対に忘れないと思える、最高の作品のひとつだ。なので、この記事で紹介した内容やスクリーンショットを見て本作に惹かれたなら是非プレイしてほしい。刺さる人には、心の奥底に深々と刺さる、かけがえのない一作になるだろう。

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