日本ファルコムが2021年9月30日に発売したPS4用ソフト「英雄伝説 黎の軌跡」。2021年12月中旬、本作をクリアした編集・ライターの2人がその魅力を語り合った。

ゲームを通して感じたキャラクターの魅力を語り尽くす

TOKEN:ちょうど良いのでそろそろキャラクターの話に移りたいのですが、発売前と発売後で印象が変わったキャラとか好感度が上がったキャラクターっていますか?

アサミ:ジュディスです!(即答)

TOKEN:意外な答えが。

アサミ:そもそもの前提として、私はやっぱりまず真っ先に男性キャラに目が行くので、事前情報のイラストや概要の段階では女の子にあまり興味がいかないんですよ。で、女の子キャラは毎回プレイしてから「この子、可愛いじゃん……」ってなるんですけれど、今回は女の子全員可愛かったです。アニエスもフェリもリゼットもエレインも姫も……他のキャラもみんな可愛かった中で、ジュディスが一番の爆上がりです。

TOKEN:何か理由はあるんですか?

アサミ:ぶっちゃけていうと、あんなにポンコツだとは思わなかったっていうギャップですかね(笑)。最初から出オチみたいな感じじゃないですか。私は、仕事をするために事前情報を仕入れる必要がある時以外は、あまり詳細な情報を見ないで楽しみたい人なので、ジュディスは見た目と女優ということくらいしか前知識がなかったんですが、諸々で想像を上回るキャラクターで、大好きになりました。

TOKEN:諸々、隠せていませんでしたもんね(笑)。確かに愛されキャラだなぁと思います。

アサミ:私、昔から何故か日笠陽子さんが声を当てるキャラクターを好きになりやすいんですよね……。特に共通点があるっていうわけでもないんですけれど……。

TOKEN:へぇ、そうなんですか。日笠さんは、コメディ的な要素も、シリアスなところも、すごく上手いですよね。ちょっと大人な女性っていうのもハマりますし。今回、キャストのチョイスすごく良くなかったですか? 僕はアニエスが最初からすごく好みだったんですけれど。アサミさんが好きなタイプのアニメやゲームにはあまり出ていないと思うので多分ご存じないと思うんですが、アニエスの声を担当していた伊藤美来さんが、すごくヒロインボイスなんですよね。

アサミ:伊藤さんのボイスはこの作品で聞いたのが初めてだと思いますが、アニエスめちゃくちゃ可愛かったですね! ボイスも、すごくハマっていました。「軌跡」シリーズに出てくる女の子ってバトルものなのでみんな強いんですけれど、アニエスはまた違った意味での強い女の子だったなぁと。お嬢様然としたところがありつつ、ヴァンとアーロンのやんちゃなところに鬼の笑顔で突っ込むところとか……肝が据わっている、と言えばいいんでしょうか?

TOKEN:今回、主人公のヴァンを小野大輔さんが演じて、アニエスは実質二人目の主人公とも呼べる立場でしたが、ヴァンとのバランスも良かったです。ゲームをやる前から想像していた通りのアニエスで、予想通りに大好きなキャラクターでした。特に最後のシーンとかでちゃんと映えるシーンがあって、あそこは第二の主人公感があって良かったですね。

アサミ:今回、かなり多くのキャラクターがすごく丁寧に描かれていますよね。

TOKEN:そうそう、新たなシリーズの最初だからというのもあるんでしょうけど。

アサミ:「閃の軌跡」は登場キャラクターが多くて、みんな色々背負っていたりする割には唐突にさらっと明かされて、「お、おお……そうだったんだ……」みたいな感じで進んでいくのが多かった印象なんですが、今回はひとりひとり丁寧に描いてくれて……逆に今回ここまで描いちゃってほぼ終わっている印象あるけれど「黎の軌跡II」ではどうするつもりなんだ、というキャラクターも多いくらいで。

TOKEN:まだ解っていないキャラクターも一応いますけれど、主人公のヴァンの物語すら実質完結しているような感じがありますよね。……なんか今更主人公について語りだすのかという感じですけれど(笑)。

アサミ:ヴァンは想像した通りのキャラクターだったし、本当に今回ほぼヴァンの物語が終わっちゃっているように思えたので、何から語ればいいのか難しいんですよね(笑)。

TOKEN:「閃の軌跡」ではリィンが少年から青年に向けて成長していくキャラクターでしたが、ヴァンはこれまでの「軌跡」シリーズの中でも大人な主人公でしたね。作中では散々アーロンに「おっさん」と言われていますけれど、背負っている背景からしてもちょうどいい年齢なのかなと。

アサミ:むしろ24歳にしては背負いすぎじゃないです?

TOKEN:最初に背負っている年齢が若すぎるから!(笑) ヴァンって、年齢や物語的なバックボーンとしては、「空の軌跡 the 3rd」のケビンに近くて。

アサミ:あぁ、そうですね。

TOKEN:以前アサミさんと雑談していた時に、僕の「軌跡」シリーズの男性の推しキャラの話はいずれ、とかお話していたの覚えています?

アサミ:覚えていますよ。

TOKEN:あの時出し惜しみしていた男性の推しキャラっていうのが、ケビンなんですよ。描かれ方としては当時色々もったいないなぁと思っていたキャラクターではあるんですが、彼の過去とかその乗り越えていく姿とか、抱えながら生きていく姿が好きなんですよね。ヴァンは、そんなケビンと似た印象のキャラクターだと思いました。重くなるのは嫌でお茶目なところとか、恋のこととか、やたらにスイーツ好きだったり、車ばっかりだったり、あとサウナとか……サウナはほんとおっさんっぽい趣味だったり、そういう突っ込みどころもあって面白かったです。

アサミ:こうして挙げてみると、ヴァンの設定って結構盛り盛りですね(笑)。でも特徴としては趣味人っていう感じでいいんですよ。

TOKEN:クエストを全部クリアすると発生するお疲れ様会のようなクエストって見ました?

アサミ:見ましたよ!

TOKEN:あれとかまさに象徴的ですよね。人に関わらないスタンスを持ちながら、人と関わって、結果的に周囲に人が集まってくるという……。ヴァンの学生時代のエピソードからも、自分から率先してやるタイプだったんじゃないか、っていうのが解りますし。

アサミ:元々そういう性格だったのに、背負っちゃったもののせいで人と距離を置かなきゃいけなくなってしまった、みたいなところがあちこちから垣間見えるのが良かったです。裏解決屋っていうところでドライを気取っていても、結局ヴァン自身は人が大好きなんだっていうのが解っちゃう。

TOKEN:一作の中で主人公のことをここまで見せてくれたのは、今までの「軌跡」と大きく違っていて、そういうところでも満足感の大きいタイトルだったなって思います。さて、それではいよいよアーロンのお話にいきますか。

アサミ:そう区切ります?(笑) いやもう、アーロンは事前情報の段階から転がっていて、ほぼ思った通りのキャラクターでした……。私、エナミさんの描く赤毛のロン毛男性キャラに全部落ちるっていうのがありまして……。

TOKEN:めちゃくちゃ限定的(笑)。

アサミ:エナミさんの描く赤毛の長髪は、「軌跡」シリーズですとランディですけれど……あとはTOKENさんは多分ご存じないと思うんですけれど、「スターオーシャン4」のクロウとか……。なのでアーロンは、見た瞬間に「はい、落ちた!」という感じでした。

ただゲーム中では、登場シーンでヤられましたね。事前情報をあまり見ないって言いました通り、実際のところ事前情報ほぼ見ていなくて、女形っていうのも知らなかったんですが……、今回演舞シーンがこれまでよりすごくパワーアップしているじゃないですか。これまではああいうシーンはやっつけ感が強かったんですけれど、今回動きもとても綺麗になっていましたし、カット割りとかも良かったですし、あのシーンごと引き込まれて、そこに最後アーロンが素顔を見せるお茶目な姿っていうのを全部含めて、息絶えました。

TOKEN:ああ、確かにダンスのシーンすごく良くなっていました。モーションどうしているんだろうって思いましたもん。

アサミ:あとアーロンは、背伸びしたいお年頃なんだろうな、っていうのが見え隠れしていて良かったですね。かっこいいのはヴァンで、可愛いのがアーロンというか。私がおばさんだから、アーロンの背伸びしている姿に可愛いと思うんでしょうけれど(笑)。アーロン本人も、多分ヴァンに悪態ついていてもああいう男がかっこいいのは解っていて、自分がまだそこに至っていないということも解っていると思うんですよ。直接口にするキャラクターじゃないですけれど。

TOKEN:最初は敵対から入って、一緒に行動していくうちに認めていくっていう感じですよね。

アサミ:ただ、アーロンは今回の中で背負わされているものをほぼ全部乗り越えちゃったキャラクターでもあるので、「黎の軌跡II」ではどういう描かれ方をするのか、気になります。

TOKEN:事務所のメンバーはこの先どう動いていくのか、どう関わっていくのかは気になりますね。とりあえず結果的に袂を分かつ、みたいなキャラクターは誰もいなかったのもちょっと面白かったなぁと。「軌跡」シリーズは割とそこらへん、誰かがいなくなったりとかあるので(笑)。

アサミ:そうですよね。あ、あともうひとり推したいのはメルキオルなんですよ。

TOKEN:えっ、メルキオルですか。

アサミ:そんな意外そうな(笑)。とりあえず前提として言いたいのは、メルキオル本人が好きというわけではないんですよ。彼自身はもう何の裏もない純粋な悪役で、非常に残虐ですし、そういうところが推せるとかいうのではないのですけれど、蒼井翔太さんの演技のハマり具合が素晴らしくて……。そこはもう、私が蒼井さんのファンだからとか関係なく、メルキオルは蒼井さんの演技によって完成したキャラクターだな、っていうのをすごく感じたんですよね……。

TOKEN:確かに、蒼井さんの演技によって、メルキオルのなんとも言えない壊れそうな雰囲気っていうのは出ていました。

アサミ:弾けそうな危うさから実際に弾けちゃう、みたいな……(笑)。だからメルキオルは推したいキャラクターなんです。

TOKEN:メルキオルが好き、という人は実際少ないと思いますけれど、いいキャラクターでした。「軌跡」シリーズって意外とあそこまではっきりとした悪役って、あまり出てこないですし。

アサミ:純粋な悪っていうと、ほぼ教団関係者とそこから派生した庭園関係者ですかね。そこで言うとメルキオルとジェラールもそのまんまではあるんですけれど、悪役ながら描かれ方が良かったなぁと思います。

TOKEN:アリオッチとかがそうでしたけれど、あの二人のそういう力に引き込まれるようなキャラクターがいるのも解るっていうね。

アサミ:ちなみにTOKENさんはジェラールの設定、驚かなかったですか?

TOKEN:可能性的に想像の範囲内ではあったんですけれど、あそこまで直接つながるとは思っていなかったです。

アサミ:私はゲームを遊んでいる最中は割と無心でストーリーだけを追ってそういう裏側を考えないほうなので、解りやすい反応をしてしまいました……。

TOKEN:僕はジェラールの背景というよりも、「創の軌跡」で結構しっかり作った庭園の話をここでほぼ全部回収しちゃうほうに、驚きました。実質これで庭園はほぼ壊滅でしょうし。

アサミ:庭園の話はほぼこれで終わりですよね……。もちろん作ろうと思えば、まだまだ後出しで出せる要素ではありますけれど。ああ……あと楽園の話も今回出してきたのは驚きましたね。

TOKEN:以前アサミさんから伺いましたけれど、楽園の話ってPSP版では結構カットされたんですよね?

アサミ:PSP版ではレンの「楽園の少女」の前半部分がほぼごっそりカットされています。なのでカットされたところは、今後ないものとして扱われるんだろうとばかり思っていたんですけれど。

TOKEN:実際、今回でそれがなかったことにはなっていなかったことが解るっていうことですか。そう考えるとまだまだ結構色んなところが教団で繋がりそうではあるんですよね……。そういえば、エレインとか人気がすごい上がったそうですよ。

アサミ:エレインは、男女どちらからも好かれるでしょうね。私も好きでした。「創の軌跡」の時点でも多分好きになるだろうなと思っていて、やっぱり好きだったのは姫とエレインって感じです。

TOKEN:元々男性人気は高かったそうですけれど、発売後に女性票がすごい入ったそうで。先日、アンケートでの人気投票結果を発表していたじゃないですか。あの結果、見ました?

アサミ:見ました。ですが、さすがに女性ユーザーの枠でエレインが1位になるとは思わなかったですね。

TOKEN:女性人気はもっとヴァンとかアーロンに行きそうだと思っていたので、意外でした。

アサミ:私から見ての話ではありますけれど、エレインって女性から見て共感しやすく、それでいて憧れにもなるっていう、すごく良いキャラクターだったんですよ。すごい美人で遊撃士としての将来をすごく期待されるほど強いっていうのは憧れの部分で、でもまだヴァンへの想いを引きずっている恋する乙女の時の切なそうなセリフとかは共感できますし……ヴァンを引き留めるようなセリフを言うシーンとかありましたけれど、本当に可愛いですよね。あと、作りすぎている感じもしないキャラクターでした。もちろん設定は諸々あれど、中身は等身大の女の子だったのが良かったです。

TOKEN:エレインは、斎藤千和さんの演技も素晴らしかったと思います。改めて今回、本当に声優さんのチョイスと演技が、すごいはまっていました……。

アサミ:だからこそ実現してほしい、フルボイス……。

TOKEN:要望としては昔からありますし、現実的に難しいことは解っていても、できればフルボイスで聞きたいですね。

アサミ:でも今フルボイスじゃなくてこの量ですから、フルボイスになると普通にやっても100時間超えちゃいます……。

TOKEN:掛け合いの部分だけでも、なるといいんですけれど。ただ僕、「零の軌跡 Evolution」のフルボイス化した台本を昔インタビュー(https://www.gamer.ne.jp/news/201210120006/)で見せていただいたんですけれど、その時点でめちゃくちゃ分厚かったんですよ。今、あの頃よりも更に文章量は増えていると思うので、それをフルボイスってなるとやっぱり難しいんだろうなぁと……。

アサミ:ウッ、そうですよね。「零/碧の軌跡:改」ではメインストーリーだけがフルボイスでしたけれど、あの時も「このゲーム、こんなに物量多かったっけ……?」と思いましたもん。

TOKEN:そうですね。なので現実的じゃないのは僕自身解っている上で、それでもこれだけ良質なお芝居を聞けると、もっと聞きたいという気持ちは出てきます。あー、またキャラクターだけでこんなに長くなってしまった……(笑)。しかも大して語り切れていないという。

アサミ:キャラが多すぎるんで、難しいですよ……。

TOKEN:じゃあここまできてようやく、全体的なストーリーの話を……ここからは特にネタバレ多めで。僕は、今回すごく「死」に迫っている感じがしたんですよね。特に「軌跡」シリーズはこれまで全体的に死へのタブー……というほどではないですけれど、少なからずそういうものがあった中で、今回はだいぶ違ったアプローチだったんじゃないかな、と。ある種、後味の悪さが常に付きまとうというか。

アサミ:これまで正義の味方的な主人公だったので、誰かが死ぬ前に救うとか、もしくは自分を庇って死ぬとかがありましたけれど、逆に言うと自分の知らないところで死ぬっていうのが、あまりなかったような……。

TOKEN:「閃の軌跡」の中でも死は描かれていても、今回とはだいぶ違う雰囲気を感じました。今回、ディンゴの話がすごいよかったと思って。

アサミ:あぁ、あれは確かにこれまでの「軌跡」シリーズにはない雰囲気のお話でしたね。

TOKEN:そうそう、なんか「軌跡」シリーズは死を描かないっていうのは、そういうところにもあって……。これまでにも死んだキャラクターはいましたが、ああいう形で振り返ることはあまりなかったかなぁと。今回、ディンゴとのやり取りが印象的だったマリエルとか、公式サイトに名前すら出てこないサブキャラクターたちがとても良かったと思います。

アサミ:あっ、マリエルの名前、公式サイトにない……! しかもよく見たら、シェリド皇太子とかマクシム、ゴッチ監督とかも公式サイトに名前がないんですね……。

TOKEN:まぁなんとなく、エスメレー准教授とマリエルは同じ本渡楓さんなので、エスメレー准教授が公式サイトに載っているからマリエルは載っていないのかな、とも思うんですが(笑)。

アサミ:そんな理由……!?(笑) でもマクシムも、ギリアムGMと同じ成田剣さんだから……? ゴッチ監督はアリオッチと同じ小山剛志さんですし……。でもシェリド皇太子が載っていないのはなんででしょう……。

TOKEN:ちょっと謎なんですよね(笑)。

アサミ:これまでのストーリーラインと繋がりそうなキャラクターを出す、とかですかねぇ。でもエスメレー准教授より、マリエルのほうがゲーム中の印象は強かったですけれど……。

TOKEN:声優さんが同じになっちゃうのはこの規模のゲームだと仕方ないとは思うんですが、ゲーム中の印象だと圧倒的にそうなりますよね。マリエルは終盤まで印象的なキャラクターでした。

アサミ:マクシム、ポーレット、ユメや、シェリドもそうでしたよね。メインではないのにすごくいい働きするキャラクターって感じで。

TOKEN:あとクレイユ村で遊撃士を目指しているラシュカルっていう男の子がいたじゃないですか。

アサミ:メインクエストで猫探しをする男の子ですか?

TOKEN:それです、それです。猫の飼い主の姉弟を含めて、これまでああいうイベントってわざわざキャラクターのモデルを作るよりは結構モブキャラを使いまわすことが多かったと思うんですが、今回そういうキャラクターが少なかったなぁと。

アサミ:「創の軌跡」くらいまでの時は結構同じ顔で名前違って誰だかわからなくなる、みたいなのありましたね。

TOKEN:今回、そういったサブのキャラクターにも色々ドラマが仕込んであるからより一層意識するというのもあったのかもしれませんが、公式サイトに掲載されないようなキャラクターたちもすごく良く出来ていたと思います。クレイユ村の出来事があったときにはショックが大きくて……。ラシュカルの状態が心配で、合間合間で探し回ったりしていましたもん。ファルコムさんのずるいところは、結構そういうのもユーザの反応を織り込み済みで作っているところなんですよね(笑)。

アサミ:あるある、そういうところ~(笑)。

TOKEN:ここの感じ方は個人によって変わる部分だと思いますが、これまでの「軌跡」は降りかかる出来事に対して行動するのに対して、ヴァンは最後の最後になるまでそのシーンがないんですよね。そこに至るまでは、純粋に人のためとか信念に基づく行動だったりするというか……。表現が難しいんですけれど、「閃の軌跡」はリィンがひとつの答えを得るまでの過程を描いていたように思うんですが、ヴァンはその過程は既に通り過ぎていて……。

アサミ:(ルーファスのことを色々考えているものの、あれは純粋な主役枠ではなかったので黙っている)

TOKEN:今回はアルマータっていう強くて大きな存在がいて掻き回されましたけれど、ヴァンは自分の心を見失うことがほぼなくて。最後も別にヴァンは自分の信念そのままというか、状況に対して対応しただけであって、むしろ周囲がそれに対しての覚悟を決めたというか。そういう意味で、今回の物語は全体的に落ち着きがあったように感じます。リィンとかは巻き込まれ型というか……過去の主人公って割と色んな出来事があってそれにへこんで、それでも成長していく、っていう物語だったのに対して、ヴァンは明確な違いがあったように思いますね。

アサミ:物語としてきちんと盛り上がりはあるのに、「閃の軌跡」の時のような心の乱気流はなく楽しめた作品でした。ヴァンの成長は、ある意味でもうゲーム開始時点では終わってしまっているんですよね。逆に、そこに至るまでに何があったのかを知らされる物語だったというか……。これまでは主人公の成長まで含めて「どうなっちゃうの!?」というドキドキ感がありましたけれど、今回ヴァンは既に至っているので、過程が明かされてもそういう意味では安定していました。

次回作「黎の軌跡II -CRIMSON SiN-」への期待も

TOKEN:アサミさんとしては「黎の軌跡」は面白かったですか?

アサミ:面白かったというか……純粋に自分の好みの作品でした。私はキャラクターの内面が丁寧に描かれた作品が結構好きなので、ヴァン以外のほぼパーティメンバー全員、そこから一部のサブキャラ含めてとても丁寧に描いてくれたと思いますし、そういう意味ではパーティの人数も丁度良かったかな、と。「閃の軌跡」は怒涛の展開でドキドキハラハラはしましたけれど、「閃の軌跡I」の時点でエマとか「おまえはなんだったんだ!」みたいな感じで終わってしまって……(笑)。私は一気プレイだったからすぐに「閃の軌跡II」に入れて良かったけれど、リアタイの人たちは終わり方的にも、なかなかしんどかったんじゃないかと思います(笑)。

TOKEN:「閃の軌跡」はやっぱり多いですよね(笑)。パーティの人数としては初代「閃の軌跡」が9人で今回は8人なので、実は1人しか変わらないのですが。

アサミ:いきなり9人いるか、徐々に増えていくかの違いかな。

TOKEN:それはあるかもしれないですね。この人数を出して、プレイ時間も歴代シリーズとほぼ変わらず、ちゃんといい感じに納めていますから、よく出来ているなぁと思います。プレイしながら「長いな」とは思ったんですけれど(笑)。

アサミ:密度の濃いシナリオって2~3時間遊んでもすごく長く感じるので、そういうタイプの長さでした。

TOKEN:僕はオラシオンやサルバッドが長く感じました。実際長かったのかな。

アサミ:全体的にどこも長かったと思いますよ。ラングポートだってバーゼルだって長かったですもん(笑)。行ける街は少な目で、その分そこでのストーリーをみっちり描いてくれたように感じます。

TOKEN:でも街のディティールがそれぞれしっかりしているから、長いとは思っても飽きはしないという。「軌跡」シリーズは、良い意味で細かいところもきちんと描きますから。僕は特に、ベルガルドが入ってからのまとまりが好きなんですよ。

アサミ:ああ、これまでも大人はたくさん出てきますけれど、あれだけ高齢のキャラクターがパーティに入るっていうのは珍しいですよね。事前情報あまり入れていないって何度目かになりますけれど、私ベルガルドはメインにしては珍しいキャラなのもあって、ほぼゲストキャラクターに近いくらいの位置だとばかり思っていました。

TOKEN:これまでって基本的に新しい人間関係をゲーム開始から築いていくとか、もしくはそこから発展させていくという感じでしたけれど、ヴァンとベルガルドは既に人間関係が完成しているっていうか……。そういうキャラクターがメインパーティに入ることで、ストーリーにより安定感を感じました。やっぱり全体的にストーリーの作り方が良かったですね。

アサミ:今回のストーリーの作り方って、ほぼ「イースIX」と同じですよね。

TOKEN:ああ、言われてみれば……そうですね。

アサミ:アニエス、フェリ、アーロンと、ストーリーをある程度動かしやすくするキーマンが揃うまでは割とサクサクと進みますし、それでいて基本的にその章で加入するキャラクターに焦点を絞ったシナリオになっていて。それって「イースIX」の時にまず白猫から始まって次に鷹が……っていう流れと同じだったなぁと。そしてある程度やれることや話を盛り上げられるキャラクターが揃ったところで、色々な話が更にボリュームアップして広がって、っていう……。

TOKEN:シリーズは違えど、社内でそういったノウハウを共有出来ているっていうことなんでしょうね。確かに色んなキャラクターをしっかり深堀りしていましたし、構成は近いですね。

アサミ:深堀り出来ている分、色んなキャラクターの組み合わせが魅力でした。

TOKEN:各キャラクター同士でのドラマが色々ありましたよね。ヴァンは主人公なのでもちろんですけれど、アニエスとフェリのふたりは本当の姉妹のようだし、フェリとアーロンとかも面白かったですし、リゼットとカトルとかは今後どうなっていくのか気になります。

アサミ:そういうキャラクターの関係性とかにも作り手の都合が見えなかったのが、今回すごく好きな作品だなって思った要因なんですよね。こういうストーリーは最後が決まっていて、そこに向かって動いている物語である以上、何かしら作り手の都合で動かされている感じが見えてもおかしくないんですけれど、今回はみんなが自然と色んな人との関係性を作っていってこうなった、という感じがしたんです。

TOKEN:うんうん、それはとてもよく解ります。もちろん、まだ作り手の都合で正体が隠されているであろうキャラクターは色々いますけれど(笑)。

アサミ:解りやすいところでも、数名いますからね……(笑)。ただ最後の結末まで含めて綺麗にまとまっていて、後味も良くて、満足感の高いシナリオだったなぁと。逆にこれだけ収まりがいいと、「黎の軌跡II」でどうするんだっていう気持ちになりますが(笑)。

TOKEN:「黎の軌跡」は確かにすっきり終わっているんですが、物語上で提示されてきた要素……それこそ「創の軌跡」で提示されたエリュシオンの話とかそういった謎は何一つ明かされていない、という……。

アサミ:まとまりが良すぎたので、割とエリュシオンが観測した話のことはすっかり忘れていました! そもそも「創の軌跡」でようやく盟主も出てきたというのに、今回は姿かたちすら見かけていないですし。

TOKEN:結社もちょっと茶々をいれにきただけ、という感じで、結社の話は今回何もされていないに等しいですからね……。

アサミ:「零の軌跡」と「碧の軌跡」の時みたいに、「黎の軌跡II」が一気に結社寄りのお話になるんでしょうか。

TOKEN:「零の軌跡」の時もクロスベルという土地を見せるという感じでしたし、今回も基本はまず共和国という国を見せることに特化させたのではないかと。「黎の軌跡II」については現状、あのビジュアルしか情報がないですが、インタビューで「ヴァンたちが中心になるのは間違いないのでしょうか?」と聞いたら、ちょっと濁されたのだけが気になりますね。

アサミ:公式サイトを見る限り、ヴァンが主人公ではありそうなんですが……。

TOKEN:可能性のレベルで言ったら、ヴァンじゃなくなってもおかしくないとは思っています……。まぁ可能性で言ったらあれもこれも有り得るのでとりあえず置いておいて、「黎の軌跡II」で期待していることってなにかありますか?

アサミ:ハイッ! 《C》の正体です!

TOKEN:予想通りの答えが返ってきた(笑)。

アサミ:とか言わなくても、《C》の正体については絶対判明するでしょうし、その正体がルーファスであるかはともかくとして……とりあえず今回は「創の軌跡」で描かれたあたりが全く触れられなかったので、「黎の軌跡II」ではその辺りが進むといいですね。ただ、「零/碧の軌跡」の時は「碧の軌跡」が登場人物は同じなだけの別のゲームのような唐突感があったので……そこらへんの繋ぎはもう少し良くなるといいなぁと思います。

TOKEN:今回、「創の軌跡」の話は本当に「なんか事件があったようだ」くらいしか触れられていませんでしたからね……。あとそもそも8個目のゲネシス見つかっていないですし。

アサミ:今回あまりに綺麗に終わりすぎていて、8個目のゲネシスのことを割と素で忘れておりました……。

TOKEN:それくらい自然に終わっていますよね(笑)。その見つかっていないということが何を示すのか……。あとそもそもとして唐突な宇宙軍とか、七至宝(セプト=テリオン)のこととかには何も触れられていないという。

アサミ:ゲーム一本の満足感はありますけれど、「軌跡」シリーズとしてはほぼ何も進んでいないに等しいという……。

TOKEN:セプト=テリオンは7個あるうちのまだ4つしか見つかっていないんですよね。シリーズとしては本当にまだ折り返りっていう感じがします。

アサミ:次回で2個くらいセプト=テリオン回収して、一気に残り1個くらいまで進んでくれないかな……。

TOKEN:この後はゼムリア大陸全体の物語になっていくのでは、と思っていますが、それは早くても次々作くらいですかね。宇宙が果たしてどう絡んでくるのかは、まだ謎ですね。伏線ありすぎて、どこでどう絡んでもおかしくないという。

アサミ:そういえば私は「黎の軌跡」の前に「那由多の軌跡:改」もプレイしていますが……結局「那由多の軌跡」が繋がってくるのかすら現状はまだ何もわからないんですよね。ただ、実際にプレイしてみて、思っていた以上に「那由多の軌跡」の話は「軌跡」シリーズにちゃんと食い込んでくるのではないかと思いました。

TOKEN:それも含めて「軌跡」シリーズ全体のお話が進むといいなって感じですよね。

アサミ:とりあえずせっかく「創の軌跡」で盟主出したんですし、そろそろ盟主に動いてほしいなぁと思います。

TOKEN:蛇の使徒も、まだ出てきていない柱がいるんですよねぇ。第一柱と第五柱はまだ姿すら見せていませんし、第七柱のアリアンロードは欠番なので次の新しい誰かが入るはずですし。全体像は何も明かされなかったので、次回は大きく動きますかね。一応折り返してはいるみたいですけれど、その折り返しっていうのがどこらへんのことを指しているかによって今後が全然変わるという……。

アサミ:11作目が本当の“折り返し”なら、下手したら全20作構想とか有り得ますしね……。

TOKEN:今後は一応目指している最後に向けてスピード感が出るのではないのかと思っているんですけれどね。

アサミ:そういえば今回は、久しぶりにオリビエが出てこなかったんですよね。

TOKEN:あっ、そういえばそうでした。

アサミ:シェリドがある意味その役割なんですけれど……。シェリドがオリビエのことを尊敬しているっていう話もありましたし。

TOKEN:この先、各キャラクターがどうなっていくのかは気になりますよね。ただ、もう舞台が広くなりすぎて、だんだん誰がどこで何をしているのかとか把握しきれなくなってきていて……。あとみんな強すぎて、強さでは測れないっていう(笑)。

アサミ:そうですよね、みんな自国の危機救ったりなんだりしているから。

TOKEN:強敵とか言われても、もう実感わかないですよね(笑)。

アサミ:現状だと、最強ってマクバーンなんですかねぇ……。

TOKEN:そういうのも含めて、力関係がちょっと解らないなぁと。今後描かれることがあってほしい部分なのですが。あとは「黎の軌跡II」を楽しみに待ちたいところですね。本作はすごくまとまりが良かったので、1年後を楽しみに待てる感じですね。

アサミ:続きは気になりますが、今回は心穏やかに待てる感じですね! 個人的には「黎の軌跡」からシリーズに入ってくるのも充分アリな内容だと思いますので、興味を持っていただいた方は、ぜひ! ありがとうございました!

TOKEN:ありがとうございました。

軌跡シリーズ特設サイト内「黎の軌跡」ページ

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この記事のゲーム情報

英雄伝説 黎の軌跡

英雄伝説 黎の軌跡

ストーリーRPG
機種
PS5PS4
プラットフォーム
パッケージダウンロード
会社
日本ファルコム
シリーズ
軌跡英雄伝説
ジャンル
RPG
公式サイト
https://www.falcom.co.jp/kuro/
  • セガ特集ページ
  • セール情報
  • Figgy
  • 「黎の軌跡(くろのきせき)」特設サイト

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