ジェムドロップが2022年1月27日に発売したPS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Nintendo Switch/PC(Steam)用ソフト「COGEN: 大鳥こはくと刻の剣」のプレイレビューをお届けする。
「COGEN: 大鳥こはくと刻の剣」は、大剣を持ったヒロイン・こはく(CV:角元明日香)を操作し、謎多きストーリーの核心に迫る2D横スクロールアクション。即死した瞬間から時間を最大3秒前まで戻せる能力「時間逆行(ウロボロスシステム)」を駆使しながらトライアンドエラーで攻略していく、斬新なプレイスタイルが特徴のタイトルだ。
BGMを「テイルズ オブ」シリーズや「スターオーシャン」シリーズの桜庭統氏が担当していることや、同日に発売となった「白き鋼鉄のX(イクス)2」とのコラボレーションなどでも話題となった本作。ここでは実際にゲームをプレイして感じた、魅力をお届けしていこう。
エグゼブレイカーをその手に、コーゲン・シティに隠された謎を解き明かせ!
ストーリー概要
見知らぬ工場で目を覚ましたヒロイン「こはく」。
彼女の前には奇妙な剣があった。その剣は意志をもっており「エグゼブレイカー」と名乗る。そしてエグゼブレイカーには刻(とき)を3秒間だけ戻す力「ウロボロスシステム」を有していた。
状況もわからないまま、エグゼブレイカーに案内されるこはく。進んでいくとそこにはこはくが住む海上都市「コーゲン・シティ」の変わり果てた姿が。こはくはエグゼブレイカーと共に廃墟と化したコーゲン・シティの謎に迫る。
以上が、「COGEN: 大鳥こはくと刻の剣」のストーリーだ。プレイヤーは2D横スクロールのアクションステージをクリアしながら、謎多きストーリーの核心に迫っていくことになる。
本作は軽快なアクションや時間を巻き戻すウロボロスシステムなど、ゲームシステムに注目されることが多いが、ストーリーにも力が入っている。ステージをクリアしていくことで徐々に解き明かされていくコーゲン・シティの謎には大きなどんでん返しも用意されており、それがゲームプレイにも綿密に結びついているのが特徴だ。ぜひ驚きと共にゲームを進めていってほしい。
また、こはくとエグゼブレイカーの軽妙なやり取りにも注目。こはくは見た目通りに元気いっぱいの天真爛漫さが魅力のキャラクター。一方のエグゼブレイカーは、デバイスらしい無機質な対応で、温度差のあるやり取りが見ていて面白い。個人的には、人間とインテリジェントデバイスの共闘というのは好みのシチュエーションなので、ゲームを進めていく手にも力が入る。
ステージクリア後のイベントシーンはもちろん、通常のステージ攻略中でも二人の掛け合いが発生する。 時には攻略に役立つ話題もあるので、耳を傾けてみよう。 |
エグゼブレイカーは異なる会話プロトコルをダウンロードすることもできるようだが……? |
なお、これは余談ではあるが、大鳥こはくは、Unity Technologies Japanが提供するオープンソース系アイドルの“ユニティちゃん”その人だ。本作では、大鳥財団のCEOである大鳥ゆうじ氏の一人娘という設定もきちんと活かされているので、気になる人はチェックしてみてほしい。
攻略の鍵を握るのは最大3秒間の時間遡行「ウロボロスシステム」!
本作のゲームプレイで最も特徴的なのは、時間を最大3秒前まで戻せる能力「時間逆行(ウロボロスシステム)」だ。画面左上にある3つのゲージがそれぞれウロボロスシステムの1秒にあたり、時間巻き戻しボタンを押すことでいつでも自由に3秒間の動きを巻き戻すことができる。
どんなミスでもやり直すことができるので、一見するとかなり簡単そうに感じるかもしれないが、こはくにはHPが存在せず、時間を戻せない場合は、1ミス=即死なのである。つまりこの3つのゲージが実質的なHPと言っていいだろう。
こはくは一度のミスでやられてしまうが……。 |
時間を巻き戻すことで未来の結果を変えることが可能だ! |
ウロボロスシステムはミスの帳消しだけでなくステージギミックでも活躍。 画像はマグマがせり上がってくる2Dゲームではお馴染みの仕掛けだが、 本作では時間を戻すシステムが合わさることで一味違う味付けになっていた。 |
ウロボロスシステムが面白いのは、これが純粋なHPではないところにある。ミスをリカバリーするために時間を戻せるといっても、あくまで戻すだけなので、ゴリ押しが効かないのだ。
一般的な横スクロールアクションを遊んだ人なら、「ここのギミックは難しいから一発は喰らって、被ダメージ時の無敵時間で通り過ぎてしまおう」という攻略方法に一度は手を染めたことがあるのではないだろうか。しかし、時間が“巻き戻ってしまう”本作では、それが許されない。どこまでも硬派な2D横スクロールアクションなのだ。
また、3秒間という制限の中であれば、戻す時間の長さを自由に変えることができるのもユニークな点。特にボス戦などは顕著なのだが、ゲージを渋って1秒だけ戻したけれども、結局1秒だけでは解決に至らずやられてしまうということは、誰もが通る道だ。通常のプレイ中は画面内で起きているアクションに集中しつつ、やられてしまったときは何秒戻すことが最適なのかということを思考する必要がある。
この超超高速で繰り返すトライ&エラーは、ミスが重なるほど思考を加速させていく感覚になり非常に気持ちがいい。初見では攻略方法が分からず絶望感を感じる場面もあるが、ウロボロスシステムを使って一つ一つ丁寧に読み解いていけば、必ずどこかで光明を見出すことができる。繰り返しトライしていき、クリアできた時の達成感は筆舌に尽くしがたい魅力があった。
なお、戻すことができる時間は最大で3秒間なので、場合によっては3秒間ではリカバリーが効かない、完全な“詰み”も発生する。通常のアクションゲームのように死んで覚えるパターンもあるので、死にゲーとしての側面も強い。
本作を語る上でウロボロスシステムは間違いなく特筆すべき点なのだが、純粋な2D横スクロールアクションゲームとしてのクオリティも大きなポイントだ。ダッシュやジャンプ、三角飛びなど、アクションの幅は広く、キビキビと反応してくれるので気持ち良く操作できる。空中ダッシュや二段ジャンプなども組み合わせが可能なので移動の自由度は高く、ゲームに慣れてくると非常にテンポよく遊ぶことができた。
こはくの攻撃はエグゼブレイカーによる近接攻撃のみだが、通常攻撃によるコンボやダッシュ攻撃、上薙ぎ払い攻撃など多彩なアクションが用意されている。地上攻撃はダッシュやジャンプで隙をキャンセルすることができたりと、こちらも自由度の幅が広く、手触り感は良好だ。
魅力的なストーリーと独自のウロボロスシステム、そして良好なアクションで濃厚なトライ&エラーが楽しめる「COGEN: 大鳥こはくと刻の剣」。ゲームの難易度自体は高めだが、繰り返し遊ぶことに対するストレスが少なく、且つ誤魔化しも効かないので、本当の意味でプレイヤー自身が成長を実感しながらプレイすることができる良質な2D横スクロールアクションゲームだ。
筆者は特段アクションゲームが得意というわけでは無く、特にボス戦などは何度も挑戦することになったが、どんなに難しいステージでも30分もトライし続ければクリアすることができた。クリア時にはスコアが表示されるので、ハイスコアを狙って何度も繰り返しプレイするスコアアタックとの相性も抜群だ。
また、追加ダウンロードコンテンツを購入すると、ストーリーでも大きなカギを握る、「アーカーシャ」、「大鳥ゆうじ」、そして「白き鋼鉄のX 2」からのゲストキャラクター「アキュラ」が使用可能になる。こはくとは操作感やアクションも大きく異なり、特別なシナリオやステージも解禁されるので、もっと本作を遊びたいという人はあわせてチェックしてほしい。
ハードではあるが、しっかりとした納得感を持って遊ぶことができる「COGEN: 大鳥こはくと刻の剣」。コアゲーマーには間違いなく刺さるタイトルとなっているので、我こそはという人はぜひプレイしてみてはいかがだろうか。