角川ゲームスより、2022年3月24日に発売予定のPS5/PS4向けソフト「Relayer」。ここでは、2022年2月25日に配信予定の体験版のプレイレポートをお届けします。
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体験版では製品版へのセーブデータ引継ぎも可能
2022年3月24日に、PS5/PS4で発売予定のロボットSRPG「Relayer」。発売に先駆けてリリースされた今回の体験版では、第7話までのメインストーリーと、12のバトルシミュレーター(何度でもプレイ可能なフリーバトル)を体験可能。体験版ではありますが、かなりしっかりとしたボリュームがあります。
加えて、体験版で作成したセーブデータはそのまま製品版に引き継げるので、発売に先駆けて事前にユニットの育成を進めておくことも可能。体験版で育成できる最大レベルは30までとなっていますが、体験版のラストステージの推奨は18レベルなので、ある程度先のステージの推奨レベルまで育成が進められそうです。
本作のストーリーの舞台となるのは、オービタルリング(地球と宇宙をつなぐ軌道エレベーター)が建設され、月や火星への移住が進んだ近未来である、星歴2051年。この時代では宇宙の各地で、街や人々が宇宙に落ちていく「グラビティロス」と呼ばれる重力消失現象が発生しており、主人公であるテラも「グラビティロス」によって妹のルナと離れ離れとなってしまいます。
それから2年後、月に逃れていたテラは、宇宙の消滅を目論む謎の生命体「リレイヤー」の襲撃に巻き込まれます。重力を操れる特殊能力をもつミュータント「スターチャイルド」の一人でもあったテラは、スターチャイルドだけが操縦できる人型兵器「ステラギア」に乗り込み、リレイヤーとの戦いに身を投じていくことに。
そんなテラは、最初のスターチャイルドであるヒミコや、GT Laboが所有する超重力航行試験艦「アステリズム」の面々と出会いを果たします。ストーリーの軸となるのは、生き別れの妹のルナとの再会で、なぜかリレイヤーに協力し、テラに対して強い憎しみを抱いている様子のルナは、何度もアステリズムに攻撃を仕掛けてきます。
幼いころにはテラを慕っていたはずのルナが、なぜリレイヤーに協力しているのか。さらにスターチャイルドやアステリズムを敵視する人類側の勢力も登場するなど、息つかせぬ展開が続き、とにかく「続きが気になる!」と思わせるストーリー展開が待ち受けていたのが印象的。自軍の切り札ともいえる機体がいきなり敵に奪われる、主人公が破棄されたはずの試作機に乗って出撃する等、ロボットモノの王道的なポイントを抑えているのも、ロボット好きとしてはたまらないポイントでした。
なお本作のメインストーリーは「〇章〇話」といったエピソード形式で区切られているのですが、1話分のテキストに結構なボリュームがあり、かなりの読み応えがあるので、SRPGの中でもストーリー性を重視するプレイヤーはとくに楽しめる内容となっています。
またちょっと変わったシステムとして、「超高速のオートモード」が搭載されています。これは、ボイスの再生を待たずに時間経過で自動的にページが送られていく機能で、「文字を読み終わったあと、音声の途中で次のページに送る」という手動での動作をオートで再現したものとなっており、テンポよくテキストを読み進められました。
ヘイトを駆使して敵の動きをコントールする爽快感
バトルシステムでは、SRPGとしての王道を抑えつつも、本作独自のシステムがいくつも盛り込まれているのが特徴。巨大ロボットのSRPGというと、「スーパーロボット大戦」や「SDガンダム Gジェネレーション」シリーズを思い浮かべるプレイヤーが多いかと思いますが、それらのタイトルとはプレイ感覚やゲームシステムがかなり異なります。
中でも、本作の戦略性の軸となっているのが、敵からの狙われやすさを表す「ヘイト」の存在。一般的には、MMORPGなどで採用されることの多い「ヘイト」ですが、開発チームの前作「ゴッドウォーズ」から引き続き、「リレイヤー」でも採用されています。
本作の敵は、射程範囲内にいるもっともヘイトが高いキャラクターを狙う思考のAIとなっています。基本的にヘイトは「ダメージを与える」「ダメージを受ける」、「味方を回復する」「ターンが経過する」などの条件で変動。さらにスキルやアイテムを使って、意図的にヘイトの値を操作することができるようにもなっています。
加えて本作のユニットには、近接攻撃を軸に最前線で戦う「アサルト」、遠距離攻撃を得意とする「スナイプ」、耐久力に優れた「タンク」、豊富なスキルで戦場をサポートする「スカウト」という4種類の「メカタイプ」が存在しており、それぞれに大まかな役割が決まっています。防御面の高いタンクのヘイトを上げたり、スカウトのみ使用できるヘイト値の高い囮である「デコイ」を出現させ、敵の攻撃を狙った対象へと誘導することで、戦局を優位に進めることができます。
メカタイプの「アサルト」と「タンク」は、敵を挟みうちにした際に追加攻撃が発生する 「バックスタブ」という特殊攻撃も使用可能です。 |
「スカウト」タイプのみデコイを召喚可能。デコイは攻撃は行えませんが、 ヘイト値が非常に高く、しばらくの間敵の攻撃を引き受ける囮となってくれます。 |
またヘイト値によってパラメータが変動するスキルがあったり、ヘイトが高ければスナイプ・スカウトの特性であるオーバーキル(攻撃時、敵を一定確率で即死させる)の確率が上がるなど、ヘイトはバトルにおける様々な要素に影響を及ぼしています。
本作は敵・味方共に攻撃のダメージが高めに設定されており、前線で戦うことを想定したアサルトでも、敵の集中攻撃を受ければ一瞬で撃墜されてしまいます。そのため、ヘイトの管理は味方の被害を少なくする上でかなり重要になっています。
その分、うまくヘイトをコントロールし、被害を最小限に抑えながらクリアできた時の爽快感は格別。マップ内の味方のヘイトを一括で確認できる「ヘイトリスト」の存在もあり、ヘイトコントロール自体はそれほど難しくないので、SRPG初心者でも「敵をこちらの術中に嵌めて倒す」というSRPGの醍醐味を、誰でも味わえるようになっていると感じられました。
攻撃を実行する際には、メカ同士のカットシーンが再生されるのも大きな魅力で、リアル等身の3Dメカ同士がぶつかり合う迫力はまさに圧巻。一つ一つのカットシーンが、ロボットアニメ好きのツボを押さえた演出で作り上げられており、ロボットアニメ好きの開発陣の情熱がヒシヒシと伝わってきます。同じ武器同士で戦闘を行うと、特殊な演出が発生することもあり、ついいろんなカットシーンを確認したくなります。
一定量ゲージをためることで、「ビッグバン」と呼ばれる必殺技も発動可能。 ビッグバンは複数の敵を同時に攻撃可能な範囲攻撃で、ヘイトを上げたタンクを狙って 集まってきた敵をまとめて攻撃するなど、戦局を一変させる切り札になりえます。 |
「反撃」の重要性が非常に強い、緊張感のあるゲームバランス
ヘイトに加えて、本作のバトルに奥深さを与えているのが「射程」と「反撃」の要素。本作は、片手剣、マシンガン、両手剣、ライフル、ビットの6種類の武器が存在し、片手剣・両手剣なら1マス先、ライフルなら3マス先といったように、攻撃可能な射程が異なります。また、攻撃の射程が一致している相手に対しては必ず反撃が発生するようになっています。
この時、反撃で与えるダメージは通常攻撃と同等のため、HPの低いユニットなら1回反撃を受けるだけでも一気に窮地に陥りかねません。とくに反撃は、ヘイトによる誘導なども行えないので、常に異なる射程の敵を狙っていくのが基本的な戦い方になってきます。
SRPGでは、HPの減った敵をひたすら集中的に攻撃し、各個撃破にしていくのがセオリーですが、本作では「攻撃したいけど、反撃で大ダメージを受けるから次の味方に任せる」という状況が頻繁に発生します。ある程度攻撃を分散させながら戦う方が、結果的に損害を抑えられるようになっているのが、なかなか面白いところです。
また、本作の攻撃には「物理」と「重力」の2つの属性が存在しており、これは一般的なRPGにおける物理と魔法に近い関係性になっています。物理防御が低い敵には物理属性、重力防御が低い敵には重力属性の攻撃を行うことで効率よくダメージを与えられます。
ただし、ユニットが行う攻撃の属性は装備している武器によって決まるため、物理属性の武器を装備したユニットが重力属性の攻撃を行うことはできません。
「ファイアーエムブレム」でも、物理防御の硬い重装タイプのユニットへの魔法攻撃、飛行ユニットに対する弓攻撃など、敵のタイプにあわせてメインの攻撃役を切り替える戦術をとることがありますが、本作もこれに近い感覚で、物理防御の低い敵には物理、重力防御の低い敵には重力と、それぞれの弱点をつけるユニットで攻撃していくことが重要になります。ただ、異なる属性間で攻撃を行う場合、反撃が発生した際にはこちらもより大きなダメージを受けることになるのは注意したいところです。
この「射程」と「属性」両方を考慮した上で「どの敵をどのユニットで攻撃していくか」の判断が本作のバトルの最大のポイント。的確に攻撃目標を選び、味方の被害を最小限に、敵に最大限のダメージを与えられた時には、パズルのピースが思い通りにはまった時のような爽快感を味わえます。
育成の軸となる「スターキューブ」。メカの改造要素にも期待。
バトルが終わると、母艦であるアステリズムに帰還し、「CCC」と呼ばれる画面に移行します。CCCでは、キャラクターを育成する「スターキューブ」や、ショップでのメカの装備の購入、艦内で発生するサブイベントを見られるようになっています。
中でも、育成の軸となるのが「スターキューブ」。本作のユニットは、各メカタイプごとに異なる「ジョブ」を有しており、戦闘中に入手できるジョブポイント(JP)を消費し、各ジョブのアビリティを解放していくことで、キャラクターを強化していくことができます。
ジョブはメカタイプごとに初級・中級・上級に該当する5種類が存在し、ジョブのスターキューブをすべて解放すると、より上位のジョブを選択可能になります。ただし、初級から中級に上がる際には、2つの育成ルートの中から片方を選択する必要があり、選択しなかったルートのジョブは選択できないので注意が必要です。ただ体験版では試すことは当然できなかったのですが、片方のルートのジョブのスターキューブをすべて解放すれば、もう片方のジョブも解放されるそうなので、最終的にはすべてのジョブのスターキューブを解放できる仕様になっているようです。
注意したいのが、スターキューブでは進路が複数分かれていることもあるのですが、その際の方向指定が少しやりにくいこと。そんな時には、Rスティックを操作することで、PCマウスのような感覚でカーソルを自由に移動させられるようになっているので、操作しづらいと感じた時はRスティックでの操作を試してみることをオススメします。
スターキューブは各キャラクターごとに中身が異なっており、そのキャラクターのみが使用できるスキルを習得することもある様子。ヘイトに応じてパラメータが向上するパッシブスキルを習得するテラ、使い勝手のいい広範囲回復スキルを習得するマーキュリー、アイテムの射程や効果を上げるアマノガワなど、ユニットごとに個性的な性能の差別化が図られています。
またロボットには、武器・装甲・カスタムチップの3つのカスタマイズ可能なカテゴリが用意されています。個人的に嬉しかったのは武器変更時の見た目がカットシーンにもしっかりと反映されていること。各メカタイプごとに装備可能な武器種は限られているのですが、汎用武器のマシンガンと片手剣も装備できるので、本来中・遠距離向けのスカウトやスナイプタイプのロボットを、近接型として運用するというちょっと変わったプレイができる自由度も設けられているようでした。
一方、育成要素の比重はキャラクター側の方が高く、メカ側のカスタマイズ要素は少なめになっているので、「ロボットゲーム」として見るとやや物足りない面も。ただこちらに関しては、発売後のアップデートでメカの改造システムが実装されることが告知されており、メカ好きとして期待が膨らみます。
ストーリー、バトル、育成と、ゲーム全体のサイクルを一通り知ることができた、「リレイヤー」体験版。今回プレイ可能だったのは、ストーリーの序盤ということもあってか、ステージ部分はかなりサクサクとプレイできた印象でした。「ゴッドウォーズ」をはじめ、SRPGは1ステージのプレイ時間が結構長めのタイトルが多いのですが、本作は敵も味方も比較的早めに撃破されるバランスになっているのも相まって、かなりテンポよくゲームが進んでいきます。
一方で、中にはしっかりと頭を使わないとクリアできないステージもあり、ゲームが進んでくると、開発チームの前作である「ゴッドウォーズ」と同じかそれ以上に、歯ごたえのある難易度になってきそうな片鱗も感じられました。公開中のPVでは、味方側のロボットであるステラギアの何倍もある大きさの巨大なボスの存在も明かされており、どんな強敵として立ちはだかるのかも気になるところです。
基本となるシステムはSRPGの伝統を受け継ぎつつも、快適なプレイのためのブラッシュアップがしっかりと行われているという印象です。さらに独自の要素として、個性的なスキルの組み合わせやヘイトシステムを生かして、自分なりの攻略法を見つけ出す戦略的な自由度の幅の広さが、本作の大きな魅力となっているとも感じました。
冒頭でも触れた通り、製品版へのセーブデータ引き継ぎもありますので、戦略性の高い骨太なSRPGを求めるプレイヤーは、この機会に是非体験版をプレイされてみてはいかがでしょうか。