アークライトが6月23日に発売したボードゲーム「ヒドゥン・リーダーズ 完全日本語版」のプレイレポートをお届けする。
本作は、自身の正体を相手プレイヤーに見破られないように隠しながら、ボード上のマーカーの位置を調整する、正体隠匿要素とマネジメント要素が組み合わさったボードゲームだ。
プレイヤーは「丘の部族」と「帝国軍」、「水の民」、「不死族」いずれかの派閥から支援を受けるリーダーとして、自身が有利な立場になれるよう島内勢力をコントロールするべく画策することになる。
正体隠匿ゲームというと大人数で遊ぶイメージがあるかもしれないが、本作には戦略性の高いマネジメント要素が加えられていることで、2人からでも濃密な駆け引きが楽しめる作品に仕上がっている。
ルールもシンプルで、プレイ時間も30分とサクサク遊べるのも嬉しいポイントだ。本稿では、そんな本作の魅力について紹介していく。
正体隠匿要素とマネジメント要素が一度に楽しめるボードゲーム
本作は、2022年5月に行われたクラウドファンディングにて、1万2千人以上もの支持者を集めた注目作だ。
カードイラストを「聖剣伝説 LEGEND OF MANA」のモンスターデザインを担当したイラストレーター・松浦聖氏が担当。83枚全てのカードが松浦氏による描き下ろしデザインとなっており、ユーモア溢れるキャラクターたちのデザインが目を引くタイトルとなっている。
ゲームの舞台となるのは、次期皇帝の座を巡り、丘の部族と帝国軍、水の民、不死族の4つの派閥の勢力が拮抗状態にあるオシュラ島。プレイヤーは自身が所属する派閥が有利になるよう島内の勢力をコントロールし、最終的には自身が次期皇帝になることが目標となっている。
勝利派閥は、ゲーム盤上にある2つのマーカーの位置関係によって決定。最終ラウンドまでにマーカーが2つとも暗いマスにあれば不死族が勝利、マーカーが2つとも同じマスか隣合うように配置されていれば水の民が勝利といったふうに、4つの条件が細かく分けられている。
マーカーの位置操作は、ターンごとに各プレイヤーに手札として配られる「英雄カード」を用いて行う。英雄カードはそれぞれ前述した4つの派閥のいずれかに属しており、1つのマーカーの位置を操作する効果もあれば、2つのマーカーを一度に大きく移動させる効果もあるなど、その内容は様々。
数あるカードをパズルのように組み合わせ、自身が所属する派閥が有利になるよう頭を働かせるのが楽しい部分だ。
プレイヤーが所属する派閥は、ゲーム序盤に配布される「リーダーカード」により決定。例えば、「“無垢なる”エネド」は不死族と水の民の派閥に属しており、2つのうちどちらかを勝利に導くことが目的となる。
各プレイヤーの所属している派閥は非公開の情報となっており、自身の所属派閥が見破られないように隠匿しつつ、相手の所属派閥を明らかにしていくことが、本作の正体隠匿要素となっている。
例えば、不死族の勝利条件は2つのマーカーを暗いマスに移動させれば良いため調整がしやすい一方、誘導が露骨になりがちなため正体がバレやすい。所属派閥を相手プレイヤーに見破られてしまえば、妨害を受けてしまうことは避けられないだろう。
かといって、自身が所属する派閥をカモフラージュするようなプレイは、自身の手番を消費してしまうため、諸刃の剣にもなり得る。この厳しい読み合いとジレンマが、本作の肝の部分になっているのだ。
自身の正体を隠しつつ、いかに多くの英雄カードを場に出せるかが勝利のカギ!
ゲーム終了時に勝利派閥が被ったプレイヤーが複数人いた場合には、前述した英雄カードをより多く場に出していたプレイヤーが勝利となる。当然ながらゲーム中に多くの英雄カードを場に出しているプレイヤーが有利になるわけだが、場に出ている枚数が多いほど自身が属する派閥がバレやすくなるといったジレンマもある。
英雄カードの効果の中にはカードを裏向きで場に出す内容もあり、カード効果を利用して相手の目を欺きながら、自身の派閥を強化していく必要があるわけだ。
ゲームの終了条件は、プレイヤーの場に出ている英雄カードの枚数が規定数に達すること。場に出た英雄カードが規定枚数になった手番でゲームが終了するため、マーカーを有利な位置に誘導するためにも、いち早く英雄カードを規定枚数揃えることが基本的な戦略となっている。
プレイした感想だが、英雄カードの効果によってラウンドごとに状況が目まぐるしく変わっていく中で、どの派閥に加担するのか思考を巡らせていくのがかなり楽しい作品だ。1プレイ30分とプレイ時間も短く、英雄カードの効果も多種多様な内容が用意されているため、リプレイ性も非常に高い。
リーダーカードによって所属派閥が変わるほか、派閥によって英雄カードの効果も異なっているため、プレイごとに違った戦略が楽しめるのも嬉しいポイントだ。相手の所属する派閥について見事に推理が当たった時も、的外れだったときも面白く、プレイ後の感想戦も非常に盛り上がる作品だ。
参加プレイヤーが多いほどラウンドごとの島の勢力図が変わりやすくなるため、最大人数である6人でのプレイは、よりハチャメチャな勢力争いが楽しめるようになるのだろう。正体隠匿要素とマネジメント要素が見事に組み合わさった本作を、ぜひ遊んでみてほしい。
「ヒドゥン・リーダーズ 完全日本語版」公式サイト
https://arclightgames.jp/product/106hidden/
(C) ArclightGames Official
※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。
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