TYPE-MOONが2022年12月8日に発売予定のPS4/Nintendo Switch用ソフト「魔法使いの夜」。本日11月3日より配信となった体験版のレビューをお届けする。

目次
  1. 奈須きのこ氏が紡ぐテキストの魅力
  2. すべての要素をかけ合わせて生まれる濃密な空気感
  3. 体験版は冒頭からではなく、作中のさまざまなシーンを楽しめる構成に

「月姫」「Fate」シリーズなどで知られるTYPE-MOONが2012年にPCゲームとして世に送り出した伝奇ビジュアルノベル「魔法使いの夜」。シナリオ・監督を奈須きのこ氏、キャラクターデザイン・原画・グラフィック総監督をこやまひろかず氏が手がけている。

PC版から10年の時を経て発売されるPS4/Nintendo Switch版では、映像をフルHD化しているだけでなく、戸松遥さん、花澤香菜さん、小林裕介さんといったキャスト陣によってフルボイス化。当時プレイしていた人もまた新たな体験が得られるようになっている。

今回、11月3日21時から配信となった体験版をプレイ。PC版の発売からすでに10年が経過している作品ではあるが、ビジュアルノベル形式のタイトルとしてシナリオ、グラフィック、サウンド、演出の全てが濃密に研ぎ澄まされており、今プレイしてもその作り込みに驚かされた。

筆者はPC版こそ未プレイではあるが、今回のプレイをきっかけに製品版への期待が高まった。わずかな時間での体験からも感じられた、その魅力を紹介できればと思う。

奈須きのこ氏が紡ぐテキストの魅力

今回のプレイを通じて筆者がまず再認識したのは、奈須きのこ氏によるテキストの魅力だ。本作がビジュアルノベルであるという点を考えても、テキストが面白くないと読み進める上でもハードルになっていくが、奈須氏のテキストはその言葉選びとともに、仮に小説として捉えたときにも読み応えを感じさせる筆致となっている。

TYPE-MOON作品の全てをプレイしているわけではない筆者が書くのもおこがましいのだが、濃厚に練り込まれた世界観をバックボーンとした地の文と、互いの息遣いを感じさせる会話劇のバランスが絶妙だ。体験版の冒頭で楽しめる蒼崎青子(CV:戸松遥)と久遠寺有珠(CV:花澤香菜)のやり取りは、フルボイスの恩恵もあり、まさにテキストの魅力を堪能できる時間だ。

そしてもう一つ、戦闘中の描写も奈須氏のテキストの魅力になっている。今回の体験版では有珠が外敵を撃退する顛末が描かれているが、思わず惹き込まれる駆け引きのライブ感、主体となる視点の心情、そして見ごたえのある魔術描写と、わずかな時間の中にもその魅力が凝縮されていた。

すべての要素をかけ合わせて生まれる濃密な空気感

加えて、本作ではビジュアルノベルを構成する全ての要素が、奈須氏の構成するテキストの面白さを引き立たせている。伝奇という題材に対してアプローチしたグラフィックやサウンドはもちろんのこと、筆者が注目したいのが立ち絵や背景を柔軟に活用した画面演出だ。

PC版の発売当時から、「魔法使いの夜」のビジュアルノベルとしての完成度の高さについては小耳に挟んでいたが、実際にプレイしてみると思わず唸ってしまうほどの衝撃を覚えた。

ビジュアルノベルに限らず、いわゆるテキストアドベンチャーゲームのお作法というのは、少なくとも筆者がプレイし始めた頃には大枠が固まっていて、そこから逸脱するような表現手法を目にする機会はほぼ存在しなかった。だが、本作においては細部に至るまで立ち絵、背景を素材としたカメラワークが素晴らしく、体験版のプレイ時間だけでもその濃密な体験に心を奪われた。つくりものじ氏が手がけたという演出・スクリプトは、現在においても唯一無二の魅力を放っている。

もちろん、それをなし得るのも作品の世界観を構築するビジュアルやサウンドがあってこそ。今回の体験版を機に、本作の魅力を感じられる人も多いのではないだろうか。

体験版は冒頭からではなく、作中のさまざまなシーンを楽しめる構成に

最後に、体験版の構成について触れておこう。本体験版では青子と有珠のやり取りが楽しめるシーンから始まり、静希草十郎(CV:小林裕介)がアルバイトに向かう途中で久万梨金鹿(CV:安済知佳)と出会うシーンなどが描かれていくのだが、各エピソードは地続きになっておらず、本編のエピソードを冒頭から順に遊んでいくものにはなっていない。

結果として、シンプルなかたちで作品の要素を確認できるのだが、ビジュアルノベルというジャンルにおいてこうした構成の体験版は珍しく、とても興味深く進めることができた。キャラクター同士の関係性やどういった出来事が起こるのかといったところで、製品版でのプレイがより一層楽しみになった。

TYPE-MOON作品はどこからプレイするべきか、という点で悩む人も多いとは思うが、本作は設定としても独立したものになっているので、この機会に遊んでみるのも良いのではないだろうか。12月の発売を前に、ぜひ参考にしてみてもらえればと思う。

魔法使いの夜

TYPE-MOON

PS4パッケージ

  • 発売日:2022年12月8日
  • 15歳以上対象
魔法使いの夜

魔法使いの夜 初回限定版

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PS4パッケージ

  • 発売日:2022年12月8日
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魔法使いの夜 初回限定版

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  • 発売日:2022年12月8日
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魔法使いの夜 デジタルデラックス

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  • 15歳以上対象
魔法使いの夜

魔法使いの夜 初回限定版

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  • 発売日:2022年12月8日
  • 15歳以上対象
魔法使いの夜 初回限定版

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  • 発売日:2022年12月8日
  • 15歳以上対象

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