Blizzard EntertainmentがPS5/XboxSX/XboxOne/PC向けに開発中の「ディアブロ IV」。メディア向けに行われたハンズオンのプレイレポートをお届けする。
「ディアブロ」は、ダークファンタジーな世界観と、無数のスキルとランダム生成される装備を組み合わせた幅広いビルドによるバトルが魅力のシリーズ。最新作の「ディアブロ IV」では、シリーズ初のオープンワールドなどが採用されている。
数あるハック&スラッシュゲームのなかでも、随一の知名度を誇る「ディアブロ」シリーズ。今回参加したのは、最新作となる「ディアブロ IV」のプレビューイベントだ。序盤で訪れることができるフィールドのみ、かつレベル25までという制限のなかでのプレイではあったが、シリーズ最新作にふさわしい体験を得ることができた。本記事では、筆者が実際にプレイして感じた「ディアブロ IV」ならではの魅力を紹介していく。
戦闘が病みつきになるほどの幅広いビルドを実現できるスキルツリー
「ディアブロ」最大の魅力といえば、豊富なスキルと、ランダム生成される多種多様な付与効果を持つ装備品を組み合わせ、自分だけの戦いかた(ビルド)を生み出すキャラクターカスタマイズの幅広さ。そしてそのビルドによって、群がる数多の敵を蹂躙していく戦闘の爽快感だ。まさにハック&スラッシュと呼ぶにふさわしいこの快感が、シリーズを同ジャンルの金字塔へと押し上げた。
本作には、バーバリアン、ドルイド、ネクロマンサー、ローグ、ソーサレスという5つのクラスが用意されており、プレイヤーはいずれか1つを選んで自分のキャラクターを作成する。当然、クラスによって戦いかたが異なり、プレイ感もまったく違うため、自分に合った戦術ができるクラスを探すことも楽しみのひとつ。なお今回のビルドで使用できたのは、バーバリアン、ローグ、ソーサレスの3クラスだ。
同じクラスでも、スキルの取得しだいで戦術は大きく変化するのも特徴だ。例えば筆者は今回のプレイでは主にソーサレスを使用していたが、ざっくり分けても、炎魔法を使うビルド、氷魔法を使うビルド、雷魔法を使うビルドなどで戦いかたが異なっていく。加えて、さまざまな属性の魔法を組み合わせたビルドも可能なので、可能性はまさに無限大といえる。
ちなみに筆者は、チェイン・ライトニングという、複数の敵のあいだを跳ね回る電撃を放つ魔法と、ライトニング・スピアという周囲の敵を自動的に攻撃する電撃の槍を放つ魔法を主軸にビルドを組んでいた。ざっくりと狙いをつけるだけで半自動的に敵が壊滅していくためテンポがよく、爽快感は戦闘が面白すぎて止めどきを失ってしまうほどだ。
スキルは、通常攻撃のように扱えるのはベーシック、主力スキルとして使えるのはコアというように、性質によってカテゴライズされている。ほかにも守備的なスキルのディフェンシブや、召喚系のコンジュレーションといったカテゴリーがあり(クラスによって名前は異なる)、レベルアップ時に手に入るスキルポイントを消費して、これらのスキルを習得していくことになる。
スキルポイントが許す限りスキルを習得することは可能だが、スロットに装着できるスキルは6つまで。それ以上はたとえスキルを習得していようとも、いずれかのスキルと交換にスロットに装着しなければ、戦闘では使えない。
さらに、スキルは一度習得すれば終わりではなく、すでに習得済みのスキルのレベルを向上させることも可能だ。得られるスキルポイントは限られているため、どのスキルにどれだけポイントをつぎ込むかが、ビルド構築の奥深いところであり、もっとも楽しい部分といえる。
一度消費したスキルポイントは、ゴールドを払うことでリセットし、別のスキルに再分配できるので、使ってみて思った効果が得られなかったりしても、取り返しがつかないということはない。それこそゴールドさえあれば、その日の気分に合わせてまったく異なるビルドで遊ぶこともできるだろう。
理想の装備品を追い求めるトレジャーハントの魅力は衰えることなし!
「ディアブロ」シリーズの装備品は、ランダムでさまざまな能力ボーナスが付与されるため、同じ装備でも性能はもちろん、どんなボーナスが付くかもまったく異なっている。装備品のレアリティが高ければ高いほど、付与されるボーナスの質や量が高いため、高レアリティの装備を狙って周回し、キャラクターを育成していく。敵をせん滅したのち、地面に散らばったたくさんの戦利品を物色するのは、戦闘後のお楽しみといってもいいほどの心躍る瞬間だ。
クラスにはそれぞれ重視したいステータスが設定されているため、基本的には条件に合致した装備品を選んでいくことになる。ステータスを強化するものや、特定のダメージからの抵抗力を上げるもの、クリティカルの発生率を変えるものなどのボーナスが多いが、なかには特定のスキルレベルを上昇させるものも存在する。これが自分の使用するスキルと合致していればかなり役立つし、そうでなくとも装備しているあいだはそのスキルが習得状態となるため、スキルポイントを使わずに新しいスキルを試せるのも嬉しい。
特定のクラスでしか装備できないものもあるが、前作同様に、自分のクラスに合致する装備品が出やすくなっているように感じた。そのため、対応した装備がぜんぜん手に入らない……というような心配は無用だ。むしろレアリティを問わなければ、溢れんばかりの装備品が手に入るため、厳選するのも一苦労。むろん、これは嬉しい悲鳴だが。
いらない装備品は店で売ってゴールドにするもよし、分解して素材にするもよし。素材を使うことで持っている装備品を改造し、性能を上げることもできる。理想の装備を長いあいだ使い続けるという選択肢もあるのだ。
なお、一定以上のレアリティは分解することでその見た目が保存され、装備品の性能をそのままに見た目を上書きできるようになる、いわゆる重ね着機能として使えるようになるとのこと。筆者はかなり装備品の見た目を気にするタイプなので、こういった要素にはかなり胸が躍ってしまう。
装備品に限らないアイテム全般の話になるが、本作ではアイテムのサイズが一定化されている。これまでの「ディアブロ」シリーズでは、アイテムごとにサイズが異なり、かばんの限られたスペースにパズルのように配置していく形式をとっていた。例えば剣は縦3マス×横1マスの大きさ、鎧は縦3マス×横2マスといった具合だ。よって、大きい装備品などをたくさんかばんに詰めると、入れられるアイテムの総量は少なくなってしまう、という仕組みだ。
本作ではアイテムサイズが一律になったことで、これまでのようにアイテムパズルに頭を悩ませる必要はなくなっている。過去作でも町への転移門を出すことができたため、町とダンジョンを往復すること自体はできたのだが、アイテムのサイズがなくなったことで、この頻度も少しは減りそうだ。個人的にアイテムパズルは好きだったので、少し残念な気持ちではあるが……。
広大なフィールドをシームレスで駆け巡れる、かつてない探検感
本作からの新しい要素として、キャラクターの容姿カスタマイズがある。顔タイプや髪型、入れ墨などを選んで自分だけのキャラクターを作ることが可能だ。「ディアブロ」は画面を斜めから見下ろすクォータービュー形式の作品のため、キャラクターの顔なんてどうでもいい、というプレイヤーもいるかもしれない。
しかし本作では、ストーリー中のカットシーンでプレイヤーキャラクターが映し出されることがある。そこで自分の作ったキャラクターが動いていると、自分の分身が「ディアブロ」の世界で息づいているようで、少し感慨深いものがある。なお、キャラクターの外見はゲームを始めたあとも変更できるので、手っ取り早くランダム生成でそれなりの外見を作っておき、時間があるときに調整する、という方法もアリだろう。
もう一つの新要素が、フィールドがシームレスのオープンワールド形式になったことだ。といってもすべてのエリアが完全にシームレスというわけではなく、ダンジョンなどの別のフィールドへの移動はこれまで同様、ロードを挟んで移動することになる。とはいえ、それ以外のロード以外はまったくと言っていいほど画面の切り替わりがなく、ダンジョンに入る際にロードという概念を思い出す程度には、広大な範囲を自由に駆け回ることができた。
ストーリーは存在するものの、どこから手をつけるかはプレイヤーの自由とのことで、それを体現するかのようにフィールドにはさまざまなサブクエストが点在。また、突発的にフィールドで戦闘イベントが発生するなど、探索を飽きさせない作りになっている。壁を上り下りしたり、穴を飛び越えたりといったアクションも追加され、ビジュアル的にもアグレッシブな探検が可能になったのも特徴だ。
全体的な空気感としては、ややヒロイックだった前作よりも、ダークで陰鬱な「ディアブロII」の路線に近く、ほかではあまり見られないような展開を迎える凄惨なクエストも見られた。「ディアブロ」の重苦しい雰囲気が好みの人は、本作のテイストは気に入るのではないだろうか。
序盤部分のエリアだけでもかなりのボリュームがあり、その作りこみをうかがえた今回のビルド。発売はまだ先になるだろうが、シリーズの精髄を極めた作品になることは疑いないため、ハック&スラッシュが好きな方は、ぜひ発売のときを心待ちにしていてほしい。