「ライザのアトリエ3」プレイレポート――ライザたちが送る“最後の夏”を一足先に体験！ついにパーティに加わったボオスからも目が離せない

今回は、クーケン島での冒険から始まり、新キャラクターであるフェデリーカ・ランベルティ（CV：諸星すみれ）が仲間になるまでのストーリーをプレイ。パーティメンバー全員がそろった状態でのバトルも体験できたのであわせて紹介していく。

先行プレイをお届けする本記事はもちろんだが、東京ゲームショウ2022での試遊版インプレッション、細井順三氏へのインタビューもあわせてチェックしてほしい。

「秘密」シリーズを振り返りつつ、ボオスやフェデリーカといった新たなパーティメンバーを加えて展開されるストーリー

物語はライザによるおなじみのナレーションからスタート…したが、どうもそのライザは魔物に襲われている様子。そんなライザのピンチに現れたのが、夏季休暇で島に帰ってきていたタオとボオスだった。

危なげなく魔物を倒した3人。魔物を前にしても臆することなく挑むタオはシリーズを通しての成長を感じられた一方、どんな場面でも強気な気持ちを出してくるボオスは変わらないなと思った。

そんなボオスだったが、“いつかみんなと冒険に出るために”修行していたことをタオにばらされてしまう。そのことについて少々からかい気味のライザだったが、ボオスは何も言い返すことなくその場を立ち去ってしまう。ボオスの内面を知れる貴重な場面にプレイしながらも食い入るように画面を見入ってしまった。

今までの「秘密」シリーズの中でも特に「ライザ3」は、よりキャラクターの表情や動きが細かく、そして幅広いものになっている。

過去のインタビューでも、細井プロデューサーが「新シェーダーの導入をはじめ、キャラクター表現まわりを『ライザのアトリエ2 ～失われた伝承と秘密の妖精～』（以下、「ライザ2」）から一新しました」と語っているとおり、ライザやクラウディアといったおなじみのメンバーでも「ライザ3」だからこそ見られる表情や動きに注目したい。

クーケン島の周りに突如出現した群島の様子を気にかけつつ、島民から寄せられる依頼をこなすライザたち。そんな中、ライザからの便りを受け取って駆け付けたクラウディアとレントが島に到着する。

これまでともに冒険し、数々の困難を乗り越えてきた精鋭が集まり、いよいよ群島の調査をスタートさせるのであった。

“カーク群島”と名付けられた群島へ向かう一行は、秘密の隠れ家、小妖精の森、旅人の道、水没坑道、隠された入り江といった「ライザのアトリエ ～常闇の女王と秘密の隠れ家～」（以下、「ライザ1」）で訪れた場所をたどることに。当時を懐かしむこともあれば、今だからこそ言える本音も。

「秘密」シリーズをプレイしてきた人にとってはうれしくもあり、今までの歴史を感じる感慨深さを味わえるだろう。また、「ライザ3」からプレイし始めたという人でも、今までにどんなことがあったのかということを振り返ることができる。

カーク群島での調査を終えると、港ではモリッツと見慣れない女性との間で言い争いが発生していた。彼女の名はフェデリーカ・ランベルティといい、工芸都市「サルドニカ」から交易のためにクーケン島を訪れていた。

彼女と会話していくうちに、群島に関する謎の手掛かりが見つかるかもしれないと思ったライザは、サルドニカがあるクレリア地方へ向かうことを決心するのであった。

クーケン島、王都アスラ・アム・バートや周辺の遺跡など、過去作で行ったことのある場所とはまた違った雰囲気のクレリア地方。訪れたことのない場所を冒険するのはもちろんだが、そこにいる人たちとの交流も一つの魅力だ。

フェデリーカに関しても、クレリア地方でともに冒険し、ある程度彼女の境遇や内面が描かれたうえで仲間に加わっていったのでうれしいポイントであった。今後登場するディアンやカラといった新キャラ、そして今回バトル以外は確認できなかったリラ、アンペル、パトリツィアがそれぞれどのような絡み方をするのかにも注目したい。

遊びやすさが増したフィールドアクションで採取がより効率的に

本作の大きな魅力と言えるのがフィールドでのシームレスな移動だ。既存のマップに比べ、カーク群島を含むクーケン島周辺やクレリア地方は今までにないくらい広大なフィールドとなっており、探索だけでも一日使ってしまうと言っても過言ではないほどだ。それらを探索するうえでストレスなく、快適に行えるのがシームレスな移動という要素になる。

各地方内はすべてのフィールドが地続きとなっており、別の地点（例えば小妖精の森から旅人の道）への移動もロードを挟むことなく切り替わる。“秘密の隠れ家”など建物に入る時も同様で、ドアを開けるモーションからそのまま建物の中に入ることになる。

またシームレスな移動をより快適にするため、ライザの移動速度などを含む全体的なスピードアップがはかられている。「ライザ2」の“風の精の靴”の効果“移動速度アップ・超”と比較しても同じくらい、もしくはそれ以上なのではないかと思ってしまうほど。移動速度のアップに伴い、ライザの走るモーションもそれに見合った動作になっているため、誰がプレイしてもスピードが上がったということは体感できるだろう。

広大なフィールドで行える採取に関してもスピード感の上がったポイントが存在する。杖などの道具を使用しない採取（“スイング”などではなく“調べる”のコマンドを伴うもの）は、走りながら実行できる。そのため、フィールドを走り回りながら採取ボタンを連打し続けていればいつの間にかカゴが満タンになってしまう場面も。

しかし、それではカゴが満タンに→アトリエに戻るといった作業を繰り返さなければならないのかと思うかもしれないが、本作ではカゴの初期容量も上がっているほか、スキルツリーでの最大容量アップも確認できた。アトリエにあるコンテナも十分な容量があるものとなっているので、思う存分採取に勤しむことができる。

スピード感の上がった移動に加えて、本作ではマップにいくつか存在する“ランドマーク”を発見することで、その後はいつでもその場所にファストトラベルすることが可能だ。ランドマーク自体も、マップを確認すればおおよその位置を把握できるので、新天地を訪れた際には積極的に立ち寄っておこう。

なお、ランドマークでは本作の“鍵”の生成が可能だ。バトルや調合で使用できる新要素となるため説明は後述するが、本作のサブタイトルで「秘密の鍵」とある以上、ストーリーにかかわってくるのは間違いないだろう。今回プレイできた範囲で鍵にまつわる謎については確認できなかったが、今後のストーリー上で注目していきたいポイントだ。

「ライザ2」では霊獣に乗った移動方法が存在していたが、本作でもその要素は健在。さらにカーク群島付近の湖ではイルカに乗って移動することも可能に。その他にもマップ内に点在するプラットホームを2ヵ所（出発地点と到着地点）開放することでジップラインを使った高速での移動も可能となる。その場に合わせた移動方法が用意されており、より冒険している感を味わえる仕様となっている。

新要素の“料理”や“アトリエ建築”でより快適になった冒険

広大なフィールドでは、探索や採取以外にも様々な新要素が用意されている。その1つがクエスト。訪れるたびにランダムで発生するものが多く、「魔物を倒せ」や「○○を採取しろ」といった内容のものが多い。基本的には発生した場所の近くにあるものが達成条件となる。達成した際には、コールやSP（スキルポイント）、素材などが手に入るので、フィールド内でクエストが発生した際には積極的にクリアを狙っていきたい。

またフィールドにある“焚火”では“料理”ができる。料理を行うと、一定時間パーティを強化できるため、強敵に挑む時や探索に注力したい時など、状況に合わせて使用できる。

本作ではクレリア地方をはじめ、様々な新天地へ訪れることになる。新たな場所での探索・採取を楽しむための新要素“アトリエ建築”もしっかりと用意されている。本要素では、各地方に冒険の拠点となるアトリエを建築できる。アトリエでは、調合や休憩などができるほか、建築スタイルによってさまざまな効果を得られるように。

既存のシステムはもちろん、こういった新要素により「ライザ3」では、更に進化した快適な冒険を楽しめる。

「秘密」シリーズを踏襲しつつ“鍵”がアクセントになったバトルと調合

バトルに関しては、基本的なシステムの変更はないものの、よりスピード感やアクション性が増したものとなっている。特にバトルに入る際と終了後の探索に戻る時もシームレスになっているため非常に快適なポイントだ。

また、筆者の感覚になってしまうが、バトル中の攻撃（1から2段階目、2から3段階目への派生）とスキルを放つ時など、次のアクションへの猶予の時間が「ライザ2」より短くなっていると感じた。最初はこの変化に慣れるまで若干時間がかかったが、慣れてしまえば直感的に戦略を考えつつ、スピーディーなバトルを楽しめる。

さらにバトル中には、ランドマークで生成した鍵の使用はもちろん、新たな鍵の生成も可能だ。戦闘では鍵を使用すればキャラクターを大幅に強化できるので強敵などに挑む際には積極的に使っていきたい。

鍵の生成は敵のHPが80％以下でタクティクスレベル（T-Lv.）2以上の時が条件となる。失敗するリスクはあるものの、魔物によって生成される鍵の効果が異なるので、初めて見る魔物と対峙した際にはチャレンジしていこう。

なお戦闘中の楽曲は、オリジナルサウンドトラックの試聴動画で公開されている「夏暁」が使用されていた。読みは“なつあけ”で夏の夜明け、夏の明け方という意味を持つ言葉だ。爽やかな第一印象でありながらどこか切なさを感じる場面もあり、ライザたちの“最後の夏”ということを思い出して、戦闘中ながらも思わず手を止めて聴き入ってしまい、涙ぐんでしまいそうなほどだった。

筆者個人としても「夏暁」は「秘密」シリーズの戦闘曲、全体の楽曲を通してもトップクラスに好きな楽曲なので、気になる人はオリジナルサウンドトラックの試聴動画で一部を確認しつつ、発売後の戦闘中にも注目してほしい。

「秘密」シリーズ、そして「アトリエ」シリーズの魅力の一つでもある“調合”も基本的なシステム変更はないが、鍵を使うことで恩恵を得られる。もちろん使用する“鍵”によって内容は変わるが、品質上昇や作成個数の増加など、マテリアル環を開放しきらないと得られないような恩恵を得られることがあるので、こちらも積極的に使用していきたい。

調合に使用するレシピは、ストーリーで獲得する場面もあるが、基本的にはスキルツリーから獲得するのがメインとなっていた。戦闘中に使用するアイテムはもちろん、新たな武器や防具のレシピもスキルツリーから獲得できるのを確認した。スキルツリーから解放できるものが増えた分、「ライザ2」時にありがちだったSPが余ってしまうという問題は解消されると思う。

筆者は「ライザ1」「ライザ2」を昨年末に続けてプレイし、今回「ライザ3」を初めて触ることになったが、シームレスな移動など前作から進化しているポイントが多すぎて、思わず感動してしまったほど。まだ序盤とはいえ、今のところ変更点や新要素はもちろん、すべてにおいてよくなっている、進化していると感じた。1人の「秘密」シリーズファンとしても3月23日（Steam版は3月24日）の発売日を楽しみに待ちたい。