Bokeh Game Studioが2024年11月8日に発売を予定しているホラーアクションアドベンチャー「野狗子: Slitterhead」の国内メディア向け試遊イベントが開催された。

目次
  1. 次々に人間を使い捨てていく背徳的なバトルが展開
  2. Summer Game Festでの手応えから開発時の思いまで外山氏らが大いに語る
  3. 外山氏、山岡氏、吉川氏へのミニインタビューも実施

本作は初代「SILENT HILL」、「SIREN」シリーズ、「GRAVITY DAZE」シリーズなどを手がけたことで知られる外山圭一郎氏による新作ホラーゲームだ。人間に擬態する能力を持つ化物「野狗子」を討つべく、さまざまな人間に憑依しながら戦うというもので、外山氏が立ち上げたBokeh Game Studioの記念すべき第1作目となる。

今回の試遊会では、ゲームの冒頭部と中盤のチャプターをプレイすることができた。本稿では、これらのプレイレポートをお届けするとともに、ディレクターの外山氏、コンポーザーの山岡晃氏、キャラクターデザイナーの吉川達哉氏によるトークライブやミニインタビューの模様もあわせてレポートする。

ちなみに、試遊会場には本作の設定画や「野狗子」のフィギュアなどがディスプレイされており、初代「SILENT HILL」や「SIREN」シリーズのグッズなども展示。外山ワールドを存分に堪能できるようになっており、一般向けに試遊会が行われるのであれば、ぜひこのような会場で行なってほしいと思わされた。会場内の写真を掲載しておくので、雰囲気だけでも掴んでもらえれば幸いだ。

さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像
さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像
さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像
さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像
さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像
さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像

次々に人間を使い捨てていく背徳的なバトルが展開

まずは、チュートリアルである最初のチャプターをプレイした。本作の舞台となるのは1990年代のアジアの街・九龍。そこでは脳が食われたような無惨な死体が次々に見つかる連続猟奇殺人事件が起こっており、この混迷の街を漂う意識のみの存在「憑鬼」となって、路地裏の野良犬に憑依するところからゲームはスタートする。

犬となってどこかから漂ってくる怪しい匂いを辿っていくが、人間の男に邪魔されて先に進むことができない。そこで、近くにいる人間に乗り移ってさらに進んだところ、路地の奥で人間の女性に擬態した化け物「野狗子」に遭遇することになるのだ。

憑依していた人間は野狗子の触手による一撃であっさりと死亡してしまうが、憑鬼の魂はその人間の肉体から抜け出し、制限時間内に別の宿主に憑依すればゲームを続行できる。ただし、無限に肉体を移動できるというわけではなく、宿主が死ぬたびに魂が一つずつ消えていき、魂を三つ失うとゲームオーバーという仕組みになっている。

さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像
さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像

この宿主を次々と乗り換えていくシステムが非常にユニーク。この時点ではまだ野狗子への対抗策がなく、宿主を変えながら逃げることになるのだが、言わば人間をどんどん使い捨てていくわけで、これが背徳的ながらかなり楽しいのだ。

乗り移れる人間も年齢・性別とも実にさまざま。まだ若い普通の青年、頭髪がさびしくなっている中年男性、若作りの中年女性、セクシーな服のお姉さん、さらにはパンツ一丁のおっさんや下着姿のおばちゃんもいたりするなど非常にバラエティに富んでいて、一般人ながらどこか個性的なのだ。

さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像
さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像

それでいて、憑依できるキャラクターは非常に数が多く、人が多いエリアではよりどりみどり状態だ。操作もいたってシンプルで、ワンボタンで憑依している肉体から離脱し、スティックで次に乗り移る人間に向かえばいいだけ。多彩なキャラクターたちを操作するのも非常に楽しく、特定のキャラクターだけを操作するよりも、どんどん肉体を換えていくほうが断然面白いはずだ。もちろん、イベントシーンもその時点で憑依しているキャラクターで映像が展開するので、何回もプレイしてみたくなってしまうのではないだろうか。

高所への移動でも、この乗り移りシステムが役に立ってくれる。最初のステージではベランダ、階段の踊り場、高階層の廊下などの高所にいる人たちに乗り移りながら屋上に向かい、そこから飛び降りて地上に激突する直前に別の人物に乗り移るという箇所があり、立体的な操作を楽しむことができた。魂を離脱させた状態で、乗り移れる人間がどこにいるのか探すといった場面もあり、このシステムが探索面でも面白さのキモになっていると感じられた。

さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像

戦闘シーンでも憑依は非常に重要な要素になっている。一般の人間はさほど強くはなく、化け物の攻撃を受けたらすぐにピンチになってしまうため、瀕死の状態になったら別の宿主に魂を乗り換えることが求められる。憑依した直後は能力が一時的に強化されてHPや攻撃力が高まるという効果もあり、特定のキャラクターにこだわるよりも積極的に宿主を換えていくほうが、断然有利に戦えるゲームデザインになっているのだ。

このように憑依することでバトルを有利に進められるが、ピンチに陥るまで操作していたキャラクターは瀕死の状態に陥り、場合によっては犠牲になってしまう。いわば人間を使い捨てにする人でなしの戦法とも言えるわけだが、これがいい意味で背徳感をかき立てる要素になっており、ホラー好きにはたまらないのではないだろうか。

さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像
さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像

戦闘における、もうひとつの特徴的な要素がガードシステムだ。野狗子との戦闘では自身の血を凝血させて武器に変えて戦うのだが、何度もガードしていると武器が壊れてダメージを受けてしまう。しかし、ガード体勢時に敵の攻撃がくる方向にタイミングよく右スティックを入力することで、その攻撃をディフレクト(弾く)できるのだ。

ディフレクトが成功すると、敵の体勢が崩れる上に凝血武器の耐久力も回復する。しかも、成功させるたびに「ブラッドタイムゲージ」というゲージが溜まっていき、これがマックスになると「ブラッドタイム」が自動的に発動。自分以外の時間の進行がスローになるので一気に大ダメージを与えられる。

ディフレクトが可能な場合、敵の攻撃時に方向ガイドが表示。これが光った瞬間にスティックを入力すればディフレクト成功だ。タイミングが少しシビアだが、ブラッドタイムの発動は後述するスキルを使用するチャンスにもなる。別のキャラクターに乗り移った場合でもゲージは溜まったままなので、積極的にディフレクトを狙っていくといい。

さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像
さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像

最初のステージの終盤では、カマキリとクモを掛け合わせたような姿をした野狗子が登場。一般人の攻撃ではほとんどダメージを与えられず窮地に陥る。ところが、瀕死の状態になっていた少女が覚醒。この少女は「稀少体」と呼ばれる個体のひとりで、憑鬼との融合性が非常に高く、憑依すると高い生命力と攻撃力を発揮できるようになる。

この稀少体の少女は両手の指がするどいカギヅメ状になっており、これを振るっての攻撃は一般人のそれをはるかにしのぐ。さらに、周囲の味方に血を分け与える「リバイブォール」や斬撃波を飛ばす「ソニックブロー」といった強力な固有スキルも使用可能。ボスクラスの野狗子とのバトルや多数の野狗子を相手にする際には、これらのスキルの活用が勝負を分けるポイントになるのだ。また、これらの稀少体がどのようなバックボーンを持ち、憑鬼とどのように関わっていくことになるのか。こちらも大いに気になるところだ。

さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像
さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像

次にプレイした中盤のステージでは、スタッフの勧めに従って難易度を「イージー」に変更。最初のステージが比較的スムーズにクリアできたので、ノーマルでも問題ないのではと少々ナメていたのだが、これが大間違い。ザコ相手の戦闘でもけっこう手こずり、何度かゲームオーバーするハメになった。

舞台となるのは黒社会のアジトとなっている建物。最初から男女ふたりの稀少体が操作可能になっていて、筆者はANITAという赤毛の少女でプレイを開始した。

ANITAは柄の両端が刃状になっている武器を振るって攻撃するタイプで、爽快なアクションを楽しむことができる。もうひとりのヘルメットをかぶった男の稀少体であるALEXは、刀のような武器とショットガンで戦うオーソドックスなタイプ。このように稀少体によって使用する武器がさまざまで、いろいろなバトルが体験できるのも本作の魅力のひとつだろう。また、ステージの途中にはスキルをレベルアップするスキルトークンを取得できる箇所もあり、あちこち探索することでいろいろな発見があるようだ。

さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像
さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像

途中に出現する敵を倒しながら進んでいくと、最高階の部屋でミシェルという謎の女と対峙。そこに一味の頭目である野狗子が現れ、いきなりANITAの腕が切断されてしまった。このように敵の攻撃を受けた際に部位が切断されることもあり、再生するには切断された部分を拾ったり血を消費したりしなければならない。戦闘で不利になるので、いかに切断を防ぐか。切断されたら素早く再生できるかもポイントのひとつと言えそうだ。

ある程度ダメージを与えると頭目が逃走。このステージでは血しぶきをフックショットの要領で飛ばして素早く遠くに高速で飛び移る「ブラッドジャンプ」というアクションが使用可能で、このアクションと憑依を利用して逃げる頭目を追いかけることができるようになっていた。ジャンプと憑依をくり出しての移動はけっこうスピーディーで、かなりの疾走感を味わえる。

さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像

屋上に頭目を追いつめるとバトルが再開。敵の動きを一定時間止める「ブラッドホール」、手榴弾のようなものを投げてダメージを与える「ブラッドクラッカー」、手裏剣状の武器を飛ばす「ポイズンニードル」などのスキルで追いつめていった。ただし、トドメを刺したのは稀少体ではなく初老くらいのおばちゃん。当然、決着時のカットもこのおばちゃんのアップで、こうしたところも本作の面白さのひとつと言えるかもしれない。

かくして、開発スタッフのアドバイスにも助けられながら、どうにかこのステージもクリアできたわけだが、難易度「イージー」でありながら正直かなりの苦戦を強いられた。ただ、自分はアクションが得意ではなく、他の試遊者よりもクリアが遅めだったことも確かだ。ある程度アクションに慣れている人なら、「ノーマル」以上でもほどよい歯応えに感じるのではないか。チュートリアルもかなり親切なので、序盤から段階を追ってプレイに慣れていけばアクションが苦手でもクリアできないということはなさそうだ。

さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像
さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像

アクションテイストの強い本作だが、ホラーならではの世界観と雰囲気も秀逸の一言だ。かつて香港に存在した九龍城を再現したかのような猥雑で生活感あふれる街並み、映画「ブレードランナー」を彷彿とさせる退廃的なネオンや看板、いかにも怪異が潜んでいそうな路地裏の暗がり。東洋的な妖しさというべきものが随所に見られるステージになっており、日本人にはけっこう身近な世界に感じられるに違いない。

野狗子のデザインもかなり見応えがあった。軟体生物のような姿をしたものから昆虫と植物を組み合わせたようなボスクラスのものまで、いずれも本作の世界観にマッチしており、目を奪われてしまうことだろう。

ちなみに、これらの主要な野狗子のデザインを手掛けたのは米山啓介氏。数々の怪獣やクリーチャーのデザインを手掛けてきた造形師で、会場には米山氏が制作中の野狗子のフィギュアも展示されていた。この野狗子はゲーム中ではどのような敵として登場するのか、こちらにも注目したい。

さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像
さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像
さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像

Summer Game Festでの手応えから開発時の思いまで外山氏らが大いに語る

試遊の後、外山圭一郎氏、山岡晃氏、吉川達哉氏によるトークが行われた。まずは、最新トレーラーとゲームの発売日が発表されたSummer Game Fest 2024の手応えについて。ファンの注目度は高かったようで、外山氏によると「ちょっと違うな、このゲームは」という見方をされている感覚があり、現地では飛び込みでプレイできないかといった申し込みもかなりあったそうだ。

この点について外山氏は、近年のゲーム作りは予算などが大規模になり、どうしても保守的にならざるを得ない中で、本作には得体の知れない昔のゲームのような手触りがあり、そこが興味を引いたのではないかと分析していた。

山岡氏と吉川氏も配信を見ていたそうで、山岡氏は「さすが外山圭一郎じゃないですけど、オリジナリティといいますか、尖がった感じがすごくありましたね」と称賛のコメント。吉川氏もX(旧Twitter)やYouTubeに感想が並んでいるのを見て、本作を待望している人たちの期待を感じ取れたとうれしそうに振り返った。

左から山岡晃氏、外山圭一郎氏、吉川達哉氏。
左から山岡晃氏、外山圭一郎氏、吉川達哉氏。

外山氏が山岡氏、吉川氏を起用した経緯も語られた。ご存知のように山岡氏の参加は、外山氏のディレクターとしてのデビュー作である1999年発売の初代「SILENT HILL」以来となる。お互いに「また一緒にやりたいね」とずっと言い合っていたというが、なかなかタイミングが合わず、「こんなに空くとは思わなかった」と外山氏も山岡氏も感慨深げだった。

一方、吉川氏は外山氏の「GRAVITY DAZE 2」でもDLCのゲストキャラクターデザイナーを務めており、前作に続いての参加となる。今作のキャラクターは「街の中に紛れ込んでいてもそんなに違和感がない。でも、ヒーローとしてキャラも立っていなければいけない」という二律背反する難しいものだという考えが外山氏にはあったという。外山氏にとって大きなチャレンジで、これができるのは吉川氏しかいないと思っており、「本当に依頼してよかったです」と改めてお礼を述べた。

吉川氏にとっても、ここはかなり難しい部分だったというが、一方で「これまでのキャラクターデザインの経験値がすごく活かされた」と述懐。外山さんにチェックしてもらいながら出来上がっていく多種多様なキャラクターたちを見るのがすごく楽しかったそうで、「(キャラクターを)コレクションしているかのような楽しさがあった」と、キャラクター制作の過程を振り返った。

さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像

チャレンジという面では、山岡氏はゲームの音楽を何十年と手掛けてきただけに、「『こんな新しい音楽を作りました』とかいうものはない」という。ただ、ゲームプレイ時に曲や効果音などを聞くときの感覚は独特のものがあると、かねてから考えているそうで、外山氏とも「ゲームに寄り添う音楽とは何だろう」のような話を「SILENT HILL」の頃からずっとしてきたそうだ。

ゆえに、今回も「どうやったら『野狗子』というゲームがより面白くなるか」という部分に注力。バトルであれば戦いが楽しくなるように、カットシーンであればその世界にもっと移入できるようにと考えながらサウンドを組み立てていったと明かした。

外山氏は山岡氏と吉川氏からどんな刺激を受けたかという質問も出された。外山氏は「めちゃめちゃあります!」と即答。吉川氏に関しては、「彼にはオッケーというものがない」と痛感したそうで、「ウチのキャラクターチームもすごく優秀で、その時の最適解を出してくれますけど、吉川さんにとっての正解はもっと上の吉川さん自身もタッチできないところにある」と語るなど、彼のプロとしてのこだわりの強さに恐れ入っていた。

山岡氏については「天才すぎて、ああだこうだ言う余地がない」と回答。山岡氏に「ここはこうでしょ」と言われたら、もう黙るしかないとのことで、「プロの中でもちょっと極まりすぎていて、おかしな方向にいっている」と感嘆していた。

さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像

ここで、最初のトレーラーの曲が話題に。この曲が「野狗子」の方向性を決定づけるという考えが外山氏にはあったそうで、本作では予定調和を壊そうと意識してきたというが、最初のトレーラーに使われた山岡氏の楽曲がそのスタートだったと語る。このとき、山岡氏から6~7曲ほどが候補として出され、ホラーとして無難な曲もあったというが、「こっちの方がいい」ということで両者の意見は一致を見たそうだ。

山岡氏もBokeh Game Studioが作る最初の作品という考えが第一にあり、「予定調和であってはいけない」というところで燃えるものがあったと振り返る。もちろん、「予定調和ではないものとは何なのか」という問いに対する明解な答えはないが、外山氏の言っていることや頭の中にあるものは何も言われなくても山岡氏には分かるそうで、そこが物を作っている時の大事なポイントになると強調していた。

「野狗子」という作品自体も山岡氏は高く評価しており、実際に遊んでみて「ディレクターの大倉(純也)さんは相当な変態ですね」と絶賛。それに応えるべく、自分も怠けてはいられない、聴覚的な部分でどう貢献できるかを日々考えていると語った。

実際、山岡氏にはゲーム中のあらゆるサウンドを見てもらっていて、「これこそがコラボレーションで、山岡さんがこういうことをやってくれるんだったら、コッチはこうしなければみたいな楽しいやりとりをさせていただきました」と、外山氏は言う。山岡氏も「創造することの面白さというか、僕らが面白がっているから『野狗子』を手に取った人も絶対に面白がってくれるはずだと感じています」とモチベーションの高さを見せた。

さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像

「GRAVITY DAZE 2」の時から、キャラクター作りの面で外山氏とは相性がいいと感じていたという吉川氏。諦めるところを諦めて、伸ばせるところは伸ばすといった部分での感覚が外山氏と非常に近いと今回再確認できたとのことで、そこがデザイナーとしてのやりやすさに繋がっていたという。外山氏からオッケーをもらった後も時間が余っていたら、さらにそのキャラクターの良さを成長させるといったことも任せてもらえていたそうで、そのほうが仕事として立ち振る舞いやすいと語っていた。

もちろん、それだけ手間が増えるわけで、スケジュール的にも仕事の内容的にもかなりしんどかったというが、精神的にはすごく伸び伸びさせてもらったとのこと。「出来上がったものを見た時の嬉しさや楽しさもちゃんと残っているというか、今も蘇ってきます」とも語っており、「そういう相手とは仕事がしやすいですね」と笑った。

また、この3人で一緒にやれたらどんな作品作りをしたいかという質問も出された。外山氏は「同じようなことをやろうぜ」と言っても、両者ともあまり気分が上がらないのではと考えているようで、むしろ全然違うことの方が乗ってきてくれるのではないかと予測。山岡氏と吉川氏が前向きになるような企画は何だろうと考えることもあるそうで、「もし、そういうものがあって、またやらせていただけたら本当に幸せだと思います」と、神妙な面持ちで述べた。

山岡氏は、Bokeh Game Studioのスタッフたちともっと密にやり取りをしたいと提案。「野狗子」でのスタッフたちとの関係が中途半端だったというわけではないが、本作の制作を通じて「この人たちはすごい!」と改めて感じることができたそうで、次があればプログラマー、アニメーション、背景担当など、もっといろいろな人たちとも話をして、彼らの考えを吸収しながらやっていきたいと希望を語った。

吉川氏は外山氏のことを「モチベーションの上がる環境を提供してくれるディレクター」と改めて評価。過去の経験から「ネガティブな感情では、いいデザインは作りにくい」という考えがあるそうで、「ワクワクする環境でのデザインは、しんどさを乗り越える理由になるし、筆の進みやアイディアの出方も全然違ってくる」と語り、また機会が与えられるのであれば「自分からもお願いしたい」とのことだ。

さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像

最後に、2024年11月8日の発売に向けて本作を待ち望んでいるファンにメッセージが。山岡氏は「いちユーザーとして自分でも遊んでみて、こんなゲームはないなと感じています。他の会社にはできないようなアイディアや技術がふんだんに盛り込まれていて、すごい作品だなと思います」と改めて強調。よりたくさんの人にコントローラーを持って体験してほしいと語り、そのために自分も何かしらの形で発信していけたらと意気込みを見せた。

吉川氏は「これまでにない初めての感覚を味わえる一方で、僕が好きな昔の映画のような雰囲気も感じさせてくれる。そういったものが合わさって、新しいものが出来上がっていると思います」とアピール。「ぜひ手に取って遊んでみてください。また映画になったりするんじゃないかなという期待も込めてプレイしてほしいなと思います」と呼びかけた。

外山氏はこれまでのゲームディレクターとしてのキャリアについて「ヒット作を連発したとは言い難いところもあるかな」と謙遜しつつ、「それでもその時にはない、“新しい唯一の何か”にこだわってきたと思っています」と回顧。独立した今もその姿勢は変わっていないとのことで、「このスタンスでゲームを作り続けていくことが目標で、次の世代にも繋げていきたいと思っています。そのためにも、この作品がきちんと受け入れてもらえるよう、メディアの皆様含めてご協力お願いいたします」と熱い思いを語った。

ちなみに、トーク中に外山氏らが飲んでいたビールは商品としてゲームに登場しているもの。少しピリリとした刺激を感じるユニークな味わいとさわやかな喉越しが特徴で、かなり飲みやすかった。発売も考えているとのことだったので、機会があればファンの人たちもぜひ飲んでみてほしい。

さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像
ゲーム中の商品を再現したビール。右はBokeh Game Studioオリジナルのクラフトビールだ。
ゲーム中の商品を再現したビール。右はBokeh Game Studioオリジナルのクラフトビールだ。

外山氏、山岡氏、吉川氏へのミニインタビューも実施

さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像

――さまざまな人間に憑依し、ある意味使い捨てながら戦っていく本作の戦闘はかなり思い切ったシステムだなと感じました。このシステムを軸にした理由を聞かせてください。

外山氏:「SIREN」のコンセプトを進化させたらどうなのか、という切り口から入りました。「SIREN」での他人の視界を乗っ取る「視界ジャック」をさらに進化させたらどうかっていう。その面白さを享受してもらうには「え、これどうなの?」みたいな、倫理という概念がないところから入ってもらわなければいけないんです。

そこをストーリーに折り込んで、人とシンクロしていく中で「倫理とは何か」みたいなことを学習していくといいますか。今はまだ詳しくは言えないんですけど、常識的な感覚を持つ人間と協調する中で、主人公の感覚が揺らいでいくみたいなところの面白さもストーリーにちょっと盛り込んでいます。

――こうした要素などをサウンドに反映されるにあたって、山岡さんが特に意識されたことは何でしょう。

山岡氏:やっぱり外山さんというと「ホラー」っていうイメージみたいなものがユーザーにもあると思うんですが、そこをちょっと裏切りたいなと思っていました。他者に憑依するとか、探索して野狗子を見つけ出すとか、単にホラーで「怖い、怖い」っていうだけではない、ホラーでもありつつゲームやアクションの面白さもあって、そこをどうやったら音楽にできるかなっていうのがまずありました。

その意味では、最初のトレーラーで作った音楽がキーになっていて、あの音楽性をベースに積み上げていったといいますか、バリエーションを広げていったイメージはありますね。

――憑依できるキャラクターはどのくらいデザインされたのでしょうか。

吉川氏:実際に登場するキャラクターの倍くらいです。

外山氏:これは言ってもいいかな。最初は今の倍ぐらいだったんですけど、絞りに絞って、その……大変でしたね(笑)。今、言いそうになってしまいましたが、どのくらい登場するかはまだ秘密です。

――トークでも語られていましたが、完全なモブキャラではないという部分で他のゲームとは違うデザインの難しさがあったと思います。

吉川氏:完全なヒーロー感というのも、それはそれで難しいんですけれども、その人の生活の匂いとか、街に同化するような雰囲気を混ぜ込んでいくというのは本当に難しいんです。ただ、今の僕がそれにチャレンジするっていうのが、すごい楽しかったんですよね。難しいですけど、自分が今まで経験したことを活かしたらなんかできたっていうのがすごいありました。ですから、出来上がったプレイヤーたちを並べるのはホントに楽しいです。

さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像

――稀少体のデザインはまた違った作り方をしたかと思うんですが、そのあたりはどうでしょう。

吉川氏:映画やドラマに優れた俳優さんを持ってくるような雰囲気でしょうか。もちろん、人間味もありつつ街の中に紛れ込むこともできるし、見つけようと思えば見つけられるような、境目みたいなものを模索してデザインしました。その上で、どこかヒーロー的な部分も持たせるため、この人はこの映画に出る俳優さん、この役割を任された俳優さんっていうイメージも意識していましたね。

――稀少体のデザインについては、外山さんもいろいろリクエストされたのでしょうか。

外山氏:めちゃめちゃしましたね。ボツの方が面白かったくらいです。でも、横並びにするとカッコいいんだけど、被っちゃうキャラクターは「残念だけど」みたいな感じでボツにしました。そういう意味で言うと、最終的なメンツは個性のカタマリしかいません。普通のバトルアクションアドベンチャーで、このキャラクターがフィーチャーされることはないんじゃないか、みたいなヤツもいたりします。

さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像

吉川氏:最近のゲームはカッコ良さに特化しているといいますか、全員同じシルエットでもいいじゃないみたいなものもあったりしますよね。でも、今回はどれもシルエットがしっかりしていて生活感も違うキャラクターがオーダーされてくるので、本当に楽しかったですし、うまくできたんじゃないかなと思っています。

――ちなみに、稀少体はどのくらい登場するのでしょうか。また、冒頭で犬に憑依しますが、他の動物に憑依するシチュエーションはあったりしますか?

外山氏:さすがに何人と名言することはできませんが、ストーリーに関わるメインキャラクターが十数人いて、そのけっこうな割合が稀少体みたいな感じです。

動物に関しては、やろうかとも思ったんですけど、人間でのバトルに注力したので。犬もアクセントでたまに出てくるぐらいでメインキャラクターではないです。これは言っておかないと怒られちゃいますからね(笑)。

――ありがとうございました。

さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像
さまざまな人に憑依して戦う異色のアクションホラー「野狗子: Slitterhead」の試遊レポと開発陣のトークの模様をお届けの画像

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

コメントを投稿する

この記事に関する意見や疑問などコメントを投稿してください。コメントポリシー

野狗子: Slitterhead公式サイト