日本出版販売が2024年9月5日から9月30日まで全国577書店にて開催中の「アイドルマスター SideM」とのコラボレーションキャンペーン。その企画者に話を聞いた。
2022年春、「アイドルマスター SideM 315プロダクション お仕事コラボキャンペーン」を通じて「アイドルマスター SideM(以下、SideM)」との初の書店コラボを実施した出版取次の日本出版販売(以下、日販)。
2023年春実施のコラボ第2弾も好評を博したこの出版取次×SideMのコラボレーションが今年もついに帰ってきた! ということで、本企画を担当した日販の片山淳子氏(マーケティング推進部企画課係長)、高橋知花氏(同企画課)を直撃。
第1弾からずっと変わらず「書店とお客様を応援したい」をテーマにしながらも、第1弾、第2弾に比べ格段にキャンペーン内容が進化している第3弾コラボには、一体どんな想いが込められているのか? 今回の第3弾コラボ詳細について、そしてSideMとの書店コラボが切り拓いたコラボ施策について、書店を繋ぐ出版取次だからこその想いを聞いた。
3度目のコラボに踏み出した理由
――「アイドルマスター SideM」とのコラボは今回で3回目ですが、3回目を実施しようというお話はどこから出てきたのでしょうか?
高橋氏:やはり第1弾以降プロデューサー(「アイドルマスター」シリーズファンの総称)の皆さんに大変喜んでいただいておりまして、「ぜひまた日販さんにコラボしてほしい!」というお声をいただいていたことがあります。
片山氏:そうですね。第1弾も第2弾も「315(サイコー)の日」が近い春頃にコラボさせていただいたので、時期が近づくにつれプロデューサーさんたちも「今年もあるのかな?」と投稿してくださっているのを見かけまして。期待してくださっている方がいるならば、とより実施への想いが強くなりました。
――第2弾が去年の春だったので、少し時間を空けての第3弾ですね。
片山氏:はい。第1弾、第2弾と続けさせていただいての第3弾ということで、盛りだくさんにした結果、準備に時間がかかり時期はズレてしまったのですが……たくさんの新しいものをお届けできてよかったなと思います。
――第2弾の結果が良かったというのも理由のひとつにはあるかと思いますが、おふたりが感じた第2弾の反響をお聞きしてもいいですか?
高橋氏:お客様や書店様のSNS投稿などを拝見していて、「キャンペーンをきっかけに来店してくださった方がキャンペーンの後も来てくれている」ということが印象的でした。私たちがIPとコラボを推し進める根底には「コラボをきっかけにお客様に書店のファンになっていただき、継続的に本屋さんを楽しんでほしい」という想いがありますので、それが叶ったことが嬉しかったですね。
片山氏:第2弾では日販のオリジナル文具ブランド「Greeful(グリーフル)」とのコラボレーション文具として「アイドルマスター SideM×Greefulコラボハードカバーノート」を作らせていただいたのですが、そちらが非常に大きな反響をいただきました。
初日に完売してしまった書店さんもいて、「次回はもっと在庫を多めに持ちたい」という反響もたくさんいただいたことも第3弾に繋がったと思います。
――第2弾から第3弾でキャンペーンの参加書店さんもすごく増えていますよね。およそ3倍ぐらいでしょうか。
片山氏:コラボ第2弾の際に参加してくださった方向けにアンケートをとらせていただいたのですが、やっぱり「実施店舗が増えると嬉しいです」という声をいただいて。第1弾・第2弾の規模だと足を伸ばさないと行けない場所にしか書店さんがない方もいらっしゃったかと思うのですが、今回は約580店舗ほど参加書店さんがありますので、多少は行きやすくなったと感じていただけていたら嬉しいです。
高橋氏:2022年春の第1回コラボをきっかけに、今日までの約3年間、「アイドルマスター」シリーズを含む多くのIPとコラボをさせていただきました。そのおかげで、「何かのコンテンツとコラボをすることでこれだけお客さんが喜んで来てくれるんだ」というのが書店様にも浸透していって、今は多くの書店様に参加表明をいただけるようになっています。「次は何とコラボするの?」というお声もよくいただくようになりました。
――ちなみに第1弾のコラボは日販さん内のSideMがお好きな方から始まったというお話でしたが、当時に比べ今、日販さん社内でのSideMの認知度は上がっていたりするのでしょうか。
片山氏:今、普通に社内で「SideM」というワードが飛び交うぐらいにはなっていますね。あと、ありがたいことにSideMのプロデューサーさんから弊社に年賀状をいただいたんです。「昨年もコラボありがとうございました」といったお礼を書いてくださったのですが、その話が耳に入った上位層も「SideMのファンの方が日販の動向まで気にかけてくれている」と喜んでいました(笑)。なので、社内でもSideMやプロデューサーさんたちの存在感をひしひしと感じております。
高橋氏:社内での知名度だけでなく、書店さんの中でもSideMと言うと「あっ!」と反応してくださる方が増えています。特別ポスターを掲載してくださっている応援店舗の方も「天ヶ瀬冬馬さんにお越しいただきました 」みたいにアイドルに寄り添ったSNS投稿をしてくださったりと、書店さんにも「SideM や315プロダクションのアイドルたちが広まっているなと感じますね。
新企画モリモリ!グッズもモリモリ!な第3弾になった理由
――その第3弾ですが、キャンペーンの内容が第2弾から大きく進化していて驚きました。何と言ってもまずは今回のアンバサダーが小説家からアイドルになった九十九一希を擁するユニット「F-LAGS」ということで「ついに日販さんがF-LAGSと!」と感じたプロデューサーさんも多かったと思いますが、これはどのように決まったのでしょうか。
高橋氏:「いつかF-LAGSさんともお仕事を」というのは、以前から考えていたことでした。そして今回、今までよりもさらにプロデューサーの皆さんに喜んでいただくために何をプラスしようかと考えた中で「ではF-LAGSさんに来ていただこう」と起用させていただきました。
――書店員風のF-LAGS、素敵ですね。SNSでもファッションを褒めていらっしゃる方を見かけました。
高橋氏:衣装については弊社のほうから「書店員らしいエプロンとシャツを着て眼鏡もかけてほしい」という希望を出させていただきました。たとえば秋月涼さんの眼鏡について「普段に使われている眼鏡も素敵ですが今回はお仕事用ということでオシャレな丸眼鏡でお願いします」という細かいリクエストを出させていただいたのですが、そういった要望に合わせて、F-LAGSメンバーそれぞれが書店員らしい姿のコーディネートを組んでくれました。エプロンのデザインなどにも3人の個性が出ていて、我々も「ああ、なんて素敵なんだろう!」と感動しました(笑)。
片山氏:九十九先生もさすがお似合いですし、なかなか眼鏡姿が珍しい兜大吾くんも、可愛いのになんかカッコいい!という雰囲気になっていて。最高だなと思います。
――その今回だけの衣装に身を包んだF-LAGSのビッグパネルが秋葉原にある書泉ブックタワーさんで展示されていることも、第3弾にして初めてのことですね。これはなぜブックタワーさんになったのでしょうか。今回がSideMコラボ初参加の書店さんですよね。
片山氏:書泉ブックタワーさんとは、2023年11月の「アイドルマスター ミリオンライブ!」コラボの頃にお取引が始まったということでコラボにも参加していただき、その際も棚をキャンペーンに合わせて準備していただくなど、非常に力をいれて展開してくださいました。
高橋氏:その時に、SideMのことが大好きなプロデューサーの書店員さんがいらっしゃると伺っていたんです。私たちとしてもF-LAGSさんのパネルを作りたいなという想いがあったので、書泉ブックタワー店さんなら協力いただけるのではないかとお声かけをさせていただきました。本当に、いろんなところにプロデューサーさんがいるんだなというのを感じましたね(笑)。
――さらにF-LAGSのオリジナルグッズの受注生産販売も、第2弾にはなかったことです。
高橋氏:アンバサダーになっていただけるとなれば、弊社としてはぜひグッズ販売をしたいという希望がありました。
片山氏:今回のグッズの事前受注は、店頭で予約して店頭に受け取りに来るという形のみとさせていただいています。通常コンテンツのグッズ販売というのは、店頭予約とオンライン予約が同時であったり、あるいはオンライン予約のみというのが主流だと思うのですが、このコラボは「リアルの書店さんを応援する」というテーマで始まっているので、プロデューサーの皆さんにはご足労をおかけしてしまうのですが、お客様はもちろん書店さんも応援したいという想いから店頭予約・店頭受取というのは譲れない部分だったんです。
――グッズでお客さんも応援するし、お客さんが書店に行く機会を作ることで書店さんをも応援する、ということですね。ところで日販さんは取次なので、メインのお仕事は「出版社が作った商品を預かり全国書店に流通させていくこと」ですよね。主に流通を担うはずの日販さんが今やグッズや文具を作るということに踏み出している理由というのはなぜですか?
高橋氏:「本を購入し読む機会が著しく減っている中で書店さんの利益に貢献していくために何ができるか」を検討していくことも日販がすべきことのひとつだと考えております。今、書店さんで扱っている商材は、本に限らず多様なものが増えています。弊社でもグッズ・文具の制作を行うことで、書店さんが本と同じ商流を使いながら本以外の商材を扱いやすくなるともに、本をお求めのお客様以外の来店や売り上げも見込めるようになれば、という想いで現在グッズ・文具の制作は推し進めています。
――書店さんは売り上げが立たないと当然閉店になってしまいますが、書店さんのメイン商材である書籍は値下げが禁止されているので、本離れが加速しているのだとしても値下げで購買促進をすることはできないんですよね。だからこそ、日販さんのほうでも本屋さんに行く機会に繋がる商品を作れたらいいな、そしてそれがさらに売り上げとなり書店存続に繋がればいいな、という想いがあるんですね。そんな日販さん制作の新商品として、今回グッズ以外にもさらに万年筆が発売されます。非常にSideMらしいデザインですが、どのようなこだわりが?
片山氏:前回のコラボノートは弊社ブランドの「Greeful(グリーフル)」とのコラボだったので、結構シックなデザインで。その際合わせて「Greeful」の万年筆を買ってくださった方もいらっしゃったと思うんですけど、個人的には「コラボで万年筆も出せたらいいな」と思っていたんです。じゃあ今回デザインをどうしようかと考えた時に、やっぱり属性別が良いかなと。
ちなみに社内のSideMを知らない方からも「インテリって書いてある万年筆いいね」というコメントをいただいたので、のプロデューサーでなくとも、ぜひ気になる方はお手に取っていただければと思います。
――思わず全部買いたくなる素敵なデザインだなと思いました! そして、出版社さんがこのキャンペーンに合わせて本を紹介されていたのもSideMコラボでは初めてですね。(「アイドルマスター SideM」書店コラボ応援!出版社が選んだ「315(サイコー)な本」特集)。これこそ、全国いろんな出版社と繋がりのある取次さんだからこそできる企画だなと思いました。
高橋氏:5社17作品にご協力いただきました。経緯としては、過去のコラボに参加してくださったお客様から「キャンペーンをきっかけに書店に行ったものの何を買おうか迷ってしまう」という反応をいただいたり、書店さんからも「キャンペーンに向けて、どの商品を並べて準備したらいいのか迷う」といったご意見をいただいていたことがあります。特定のハッシュタグをつけてお客様同士でおすすめの本を紹介しあっていただく「#315な本」というSNS投稿企画を第1弾のときから実施していましたので、そこに出版社様にも参加いただくような形にできればと考えて、弊社からいくつかの出版社様にお声かけしました。
――お願いした際の出版社さんの反応はどのような感じでしたか?
高橋氏:SideMのことは知らないけど過去の反響を見て興味を持ってくださった出版社さんもいらっしゃれば、「今回は誰がしおりになるんですか?」「S.E.M.もいますか!?」と熱い反応いただく出版社さんもいらっしゃいました(笑)。
――業界でも書店コラボが浸透しつつあるんですね。特集も面白かったです、推し活という観点もあれば、音楽という観点もあったり。
片山氏:ピンポイントでケーキの本を紹介してくださった出版社さんもありますしね(笑)。これも、我々がいろいろなコラボをやらせていただいた中で、出版社さんの選書でブックフェアをやった事例もあり、選書のお願いがしやすい土壌があったから実現できたことだなと思います。
――今までの日販さんのコラボで築き上げてきた経験が、今回随所でふんだんに活かされているからこそのキャンペーンの進化だったんですね。また、これまでお話いただいた新しい企画の他、第1弾・第2弾で行われた企画も規模を拡大し実施されますよね。たとえば今までもSNS投稿キャンペーンは実施されていましたが、今回はなんとF-LAGSが投稿を紹介してくれるとのことで。これはどういう経緯で実施することになったんでしょうか?
高橋氏:今回コラボ実施の発表が7月で、実際のキャンペーン開始までは時間が開いてしまうので、その間もプロデューサーの皆さんに何か楽しんでいただける施策がないかなと考えたのがきっかけでした。
片山氏:過去VTuberさんとコラボさせていただいた事例があるのですが、その際に「ハッシュタグでVTuberさんに読んでほしい本をファンの方に投稿するとVTuberさんが手に取ってくれるかも」という企画を実施時、すごく反響が良かったんです。なので今回も、そういったコンテンツとファンの方の双方向の企画で盛り上げることができたらいいなと思いました。
高橋氏:最終的に「#理由あって本が好き」というタグで本や書店さんの好きなところを投稿していただくことで、プロデューサーの皆さんには「F-LAGSに読んでもらえるかも」と楽しんでいただきつつ、書店さんにも「お客様はこうやって本や書店を好きで来てくれてるんだ」というのが伝わる……という形式にさせていただきました。プロデューサーの皆さんが書店様を応援しているという形になったらいいなという想いがあったんです。
――書店さんもプロデューサーさんの投稿をご覧になっているんですか?
高橋氏:なられてますよ!
片山氏:我々も、書店さんに言及してくださっているプロデューサーさんの投稿を見かけたら書店さんに個別にお伝えしたりしてたんです。それもあり、今は自発的に「見てみようかな」と思ってくださる書店さんも増えてきたように感じています。
――そして第1弾から続く全国50ある応援店舗さんへの特別ポスター掲示ですね。書店さんのチョイスや担当アイドルの配置はどう考えていきましたか?
高橋氏:担当アイドルの配置は、第1弾、第2弾は同じでしたが今回から少し変えています。基本的に「出身都道府県に行っていただきたい」という想いがあり、今回は第2弾までで出身地にならなかったアイドルの方々を優先的に出身地に来ていただけるようにしました。あとは、海が大好きな古論クリスさんには沖縄に行っていただいたり、といった形ですね。
片山氏:特別ポスターを掲示してくださる書店さんに関しては、第1弾の選定理由である「地元に根付いたチェーン店さんを応援させていただきたい」というところからは、閉店してしまった書店さんを除いてはほぼ変えていません。成文堂南浦和店さんなどは、第1弾からずっと協力いただいている書店さんですね。
――第3弾の企画についていろいろお話いただきましたが、すでに第3弾の反響はどのように届いていますか。
片山氏:すでにたくさんの反響をいただいています! 特別ポスターを掲示してくださっている応援店舗さんからも「多くのプロデューサーさんが来てくださってる」とコメントいただいていますし、普段とは違う書店さんに足を伸ばしてくださったプロデューサーさんもいるみたいです。これは思いがけない反響でしたね。
あとは万年筆の予約が好調で「すでに予約がたくさん来ていて店頭に置く分がなくなってしまった」というお問い合わせや、SNSの反響を見て「もっと仕入れたいです」というご要望もいただいています。
高橋氏:我々としても、予想以上の反響をいただいていて……なかなか手に入らないというお声もいただいていて、申し訳ありません。できるだけ多くのお客様に届くようにしたいとは考えています。
片山氏:本当にそうですね。
――ありがとうございます。ここまでSideMコラボ第3弾についてお話いただきましたが、改めて、今回の第3弾コラボで大切にしたことをお聞きしてもいいですか?
高橋氏:第1弾でのインタビューと重なるんですけれども、やはり「書店さんを応援したい」というのが第一です。本当に忙しい中で企画に協力いただいていますので、書店様にとってプラスになればいいなと思っています。
そしてもちろん、ファンの方々に喜んでもらえるという視点も大事にしたいところです。今、私たちのチームって何かのファンである人が多いんです。書店員さんの中にもコンテンツが好きだから協力してくださる方もいらっしゃって、そういった環境だからこそファンの目線に立った企画を作れるのではと思っています。それを活かすという意味でもファンの方々の目線に立って考えることは大切にしたいです。
――御社のチーム内、プロデューサーさんも多くいらっしゃるんですか?
高橋氏:今、チーム全員何らかのプロデューサーをしているという状態ですね(笑)。
――そうなんですか! 前回のインタビューの際、片山さんは「アイドルマスター シンデレラガールズ」や「アイドルマスター SideM」のプロデューサーを兼任されているとお話されていましたが、高橋さんもプロデューサーなんですね。
高橋氏:私はちょうどSideMコラボの第2弾の頃に企画課に異動してきたんですが、それまで実は「アイドルマスター」シリーズには全然触れていなかったんです。でも配属されたことをきっかけにまず楽曲から入り「アイマスの歌めっちゃいい!」と思い……この度「学園アイドルマスター」をきっかけにプロデューサーデビューをいたしました。
片山氏:「学園アイドルマスター」とのコラボは今年の5月にゲームリリースに合わせて実施させていただいて。私もそこから「学園アイドルマスター」ももちろん応援しておりますし、来年は「アイドルマスター」シリーズが20周年で非常におめでたいというところで、引き続きプロデュースに勤しんでおります。年末の「THE IDOLM@STER M@STER EXPO」も楽しみです(笑)。
――2022年のSideMから始まり、3年経たずに瞬く間にたくさんコラボされていて。スピード感がすごいです。
片山氏:プロデューサーさんの横の繋がりがすごいというのは毎回感じますね。兼任されているプロデューサーさんが多くて、ひとつのブランドでコラボするとアンケートに「次はこのブランドにもこういうアイドルがいるのでコラボしてください」って書いてくださるんですよ。実は「アイドルマスター ミリオンライブ!」コラボの時も「ぜひF-LAGSの九十九一希をよろしくお願いします」というコメントをいただいていて。今回第3弾で実施できてよかったです。
SideMコラボ第1弾で出航した日販のコラボの旅路が向かう明日とは?
――初めてのコラボだったSideMコラボ第1弾から今に至るまで、第3弾のキャンペーン内容を見てもとにかく進化を感じるのですが、御社として一番感じる業界内の進化はなんですか?
片山氏:経験を重ねることで弊社で実現できることが増えてきたというのもありますが、一番は書店さんのSNSへの意識じゃないかと思います。
第1弾コラボをやらせていただいてから書店コラボキャンペーンというものを継続してやっていく中で我々が取り組んできたことのひとつに、SNSプロモーションがあって。そもそもSNSのアカウントがなかったり、アカウントがあってもどうプロモーションしていいのかわからなかったりしてSNSを活用されない書店さんも結構いらっしゃるんですけど、「こういうコラボキャンペーンではXで情報収集する方が多いんですよ」「実際X上でこういう投稿があるんですよ」というのを我々も一生懸命書店さんにフィードバックしてきたんです。その結果、書店さんも「投稿すれば反響がある」と実感してもらえてきたというのは、IP問わずコラボを通しての一番の成果だと感じています。
――前回のインタビューで「コラボをするにしても書店さんに負荷をかけないようにしたい」とおっしゃっていたことが印象的だったのですが、それも達成しつつ、SNSを有効活用していく形が整ってきたんですね。
片山氏:「我々がやらせる」のではなく、書店さんに前向きに取り組んでほしいなと常々思っています。伝えるのってなかなか難しいじゃないですか。「このコラボはこうすごいので、だからSNSをやってください」と言っても、実感が伴わないと絶対苦しくなってしまう。でもプロデューサーの皆さんのおかげで「この企画に前向きに取り組めば新しいお客さんが来てくれるから、普段あまり動かしてないSNSだけどこの期間は頑張る」というふうに繋がっていった。
そうすると「じゃあ今度はこうやって店頭を飾りつけてみようかな」という次の取り組みに繋がりますし……よく「感想をいっぱい言ったほうが届くから!」という話をしたりしますけど、本当にそうなんです。我々も書店さんも見ています。もちろん中には改善しないといけないご指摘もあるので、そこももちろん受け止めて改善していきますし。書店コラボをどう良くしていくのか、どういう展開をこれからしていけるのかは、本当に参加してくださっている皆さんと一緒に二人三脚で作っていくんだなあと思っていますね。
高橋氏:そうですね。特に「アイドルマスター」シリーズのコラボでは、キャンペーン後のアンケートに対してプロデューサーの皆さんからすごくたくさんのコメントをいただくんです。そちらを参考にしながらどんどん企画をブラッシュアップしておりますので、本当に、プロデューサーの皆様に支えられてできている企画ですね。
――もはや書店コラボをプロデュース、なんですね。
高橋氏:そうなんですよね。これは「アイドルマスター」シリーズならではだと思いますね。コンテンツのファンで、お客様でありながらアイドルのお仕事を、ひいてはキャンペーン全体をも応援してくれてるんだなと感じます。
片山氏:なので、我々はやはり感謝の気持ちしかないですね。3回もSideMとコラボを続けられたのは第1弾、第2弾の実績があったからですし、本当にファンの方の反応を我々もたくさん見ることができたからだと思っているので。ですので今後ともプロデューサーの皆さんにはコラボを、そして同僚としてもよろしくお願いします、と思っております(笑)。
――最後に。たびたびお話にもあったように今は出版不況でもあり、かつ近年では配送料高騰の煽りも受け、多くの出版社さんから本を預かり全国書店への配送を一手に担い配送料削減に取り組んできた日販さんも従来と異なる変化を求められているかと思います。そんな中だからこそ、おふたりはこのようなコラボをしていくことでどのような未来に繋げたいと思っているかお聞きしてもいいですか?
高橋氏:今回の「#理由あって本が好き」の投稿からも、書店さんや本が持つ人を変えるパワーを強く感じました。いろんな出版社を横断し、たくさんの書店さんを繋ぐことができるというのが取次である我々日販だと思いますので、これからもその日販独自のネットワークを駆使して、お客さんと書店や本と出会いを生み出すきっかけをたくさん生んでいきたいです。
片山氏:大前提として「書店という場所をなくしたくない」という想いがあるんです。ただそれは、書店が今のままでずっとあり続けていればそれでいいということではなくて。私は、書店という場所や本というものは今流行っている他のコンテンツにも負けないぐらい魅力的だと思っています。でも他のコンテンツが流行っていたりその他多くの理由でお客さんが遠のいているという実情があるのであれば、書店自体も、書店という場所や本の魅力をちゃんと発信してお客さんに発見していただける取り組みをしていかないといけないと思うんです。「とにかく書店に来てください、楽しいので!」と伝えなきゃいけないんですよね。なのでこれからも日販の企画課として、書店さんに足を運んだり読んだことのない本を手に取っていただく機会を1回でも多く作ることで、時代に合わせた書店のあり方の変化をサポートしていきたいなと個人的に思っています!
画像提供をしてくださった書店さん
書泉ブックタワーさま
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