9月26日~29日にかけて千葉・幕張メッセで開催の「東京ゲームショウ2024」。近未来を舞台にしたマルチプレイシューター「Exoborne」の開発プレゼンテーションが行われたので、その模様をレポートする。

「Exoborne」は2023年に発表された、三人称視点で展開されるタクティカルオープンワールドのマルチプレイシューティングだ。「タクティカルオープンワールドエクストラクションシューター」と銘打たれており、プレイヤーは「エクソ・リグ(EXO-RIG)」と呼ばれる強化スーツを装着し、近未来の荒廃した世界を舞台に探索やクラフトを行いながら、生き残るためにさまざまな敵と戦っていく。

今回のプレゼンではエグゼクティブ・プロデューサーのブリンリー・ギブソン氏、ナラティブ・ディレクターで開発会社であるSharkmobのCMCO 兼共同創設者でもあるマーティン・ハルトバーグ氏が紹介を行った。

両氏によると、PCとコンソールでの発売を予定していて、コンソールの対応ハードはまだ未定とのこと。ただ、ゲーム自体はほぼ完成しており、すでにクローズドテストの段階に進んでいるとのこと。今年の春に6,000人規模のプレイヤーが参加するβテストを実施しており、10月10日にも北米とヨーロッパを対象とした大規模なテストを行う予定だそうだ。

自然災害の猛威、脱出をめぐる攻防など、多彩な魅力を持つエクストラクションシューター「Exoborne」の開発プレゼンテーションをレポート【TGS2024】の画像
ブリンリー・ギブソン氏(左)とマーティン・ハルトバーグ氏
ブリンリー・ギブソン氏(左)とマーティン・ハルトバーグ氏

まずはゲーム世界の背景などが紹介された。「Exoborne」の世界は気象災害の脅威にさらされており、人類は滅亡の危機に瀕している。そんななか、リバースという大企業は問題を解決すべく、世界各地で「タワー」という巨大な塔の建設に取り掛かるが、計画は失敗に終わり、気象災害による被害がさらに拡大してしまう。

こうした状況下にあって、プレイヤーは「リボーン」という組織のひとりとなって、人類の敵になったリバースに戦いを挑んでいく。リボーンはかつてタワーの建設に従事していた人たちで、とある理由からリバースに反旗を翻したという設定があることも明かされた。

ゲームの舞台となるのは「コルトンカウンティ」というアメリカの架空の地区。本作の世界では、巨大な陥没があるなど災害の影響により甚大な被害を受けており、地滑り、竜巻、嵐といった破壊的な自然の力が今も猛威を振るっている。プレイヤーの戦うべき相手はこの状況を作り出したリバースなのだが、仲間であるリボーンの中にも派閥があって、ときには敵対する派閥とも戦わなければならないなどスリルあふれるサスペンスアクションになっている。

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ゲームプレイに際して、特に強調されたのが「ハイリスク・ハイリターン」であるということ。プレイヤーはステージに何を持ち込んでもよいが、セッション中に敵に倒されたりして死んでしまうと、持ち込んだアイテムなどはすべて失われてしまう。どのように立ち回るか、そのためには何を持って行くか、プレイヤーの戦略的な判断が求められるのだ。

もちろん、自由度は非常に高く、完全に破壊されて荒廃した都市を舞台にさまざまな冒険を楽しめるようになっているとのこと。タテの移動の自由がかなりあるのも特徴のひとつで、建造物などの高所に登ったりすることもスムーズに行えるようになっている。

ステージ中にはNPCが存在していて、いろいろなイベントが発生し、さらには自然災害も起きるなど、これらの要素がすべて複合的に絡み合ってくる。自然災害の状態や発生状況などもセッションごとに変わるそうで、プレイのたびに毎回新しい発見があるとのことだ。

実際のゲームでチュートリアル終了後に流れるというムービーも見ることができた。リバースのタワーを護衛していた者たちが、エクソ・リグの強制的な稼働により、心ならずも市民たちに銃弾を浴びせてしまうというもので、反乱軍であるリボーンのリーダーがリバースになぜ反旗を翻したのか、その理由の一端を垣間見ることができた。こうしたさまざまなストーリーもゲーム中で展開されていくのだ。

自然災害の猛威、脱出をめぐる攻防など、多彩な魅力を持つエクストラクションシューター「Exoborne」の開発プレゼンテーションをレポート【TGS2024】の画像
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ここからはプレイについて解説だ。セッションが始まる前に、まずエクソ・リグの改造、装備やアイテムの選択といった準備を行うのだが、ここで重要になるのが気象情報のチェック。どのような天気になるのか事前に確認し、それに合わせてエクソ・リグの改造などを行う必要があるのだ。気象災害をフィーチャーしている本作ならではの要素と言えるだろう。

準備を終えたら、いよいよセッションが開始。マップのどこにドロップされるかは自分で選ぶことはできないが、最初は安全な場所になるとのこと。ゲームはオープンワールドなので、この世界の中で何をするかはプレイヤーの自由。NPCとのPvEを楽しでもいいし、対人戦に挑んでもいいし、マップ内の各所で発生するワールドイベントからこなしていってもいい。そして、ミッションを達成してレアなリソースなどを獲得すれば、エクソ・リグのさらなるアップデートが可能になる。

そのあとに発生するのが「エクストラクション」、つまりステージからの脱出フェイズだ。このゲームは「ハイリスク・ハイリターン」がうたわれているが、このシーンがもっともリスクが高いのだという。というのも、プレイヤーが脱出しようとした時点で他のプレイヤーにそれが伝わり、レアなものを持っているかということもわかってしまうのだ。必然的にレアなリソースをめぐってプレイヤー同士の激しいバトルが展開されることになる。

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こう聞くと敷居がかなり高いように感じるかもしれないが、本作の開発陣は、「エクストラクションシューター」というジャンルをもっとたくさんの人たちにプレイしてほしいと考えているという。そのための要素もいろいろ盛り込まれているが、ここで特に強調されたのが「リスク」に対する考え方だ。

あるセッションで死んでしまい、それまで強化してきたエクソ・リグや改造品などを全部失ってしまうかもしれない。短期で見ると、それは大きなリスクと感じるだろう。しかし、長く続けるほど、そうしたリスクは軽減されていくという設計になっていて、プレイし続ければ必ず成長を実感できるようになっているという。「ダイナミックな天候と自然の猛威」、「ハイテクギアであるエクソ・リグ」、そして「リスクとリターン」という3つの要素が融合し、高いレベルでバランスが取れている――それこそが「Exoborne」の一番の売りであると開発陣は強調していた。

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続いて、プレイヤーが装備するエクソ・リグの説明が行われた。エグゾ・リグには高くジャンプする、高速で走る、高所から落下してもダメージを受けないなどのさまざまな能力があり。さらにはグラップリングフックを使ったり、グライダーで滑空したりすることも可能になっている。また、近接格闘でもユニークなムーブがあったりするとのことだ。

基本となるのは偵察と支援に向いた中型の「VIPER(バイパー)」、軽量で俊敏な動きができる「KESTREL(ケストレル)」、重装備が可能な「KODIAC(コディアック)」の3つ。それぞれ固有の能力を持っており、たとえば中型の「VIPER」はエリアをスキャンする能力があるという。

さらに、セッションですべてを失い、手持ちのエクソ・リグもなくなった場合の救済として、ベースライン・エクソ・リグなるものも使用可能になっている。これは基本リグというべきもので、性能的には大したことはなく、改造の余地もほとんどないのだが、死んでしまってもアイテムを奪われない特殊なコンテナが使用できるという利点がある。つまり、このリグを装着すれば確保した素材などを必ず持って帰ってこられるということで、たとえすべてを失ってもちゃんとプレイを続けられるのだ。

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もちろん、プレイヤーの好みに合わせて、能力やデザインなどをさまざまにカスタマイすることも可能になっている。エグゾ・リグは5段階のアップグレードが可能でグレードが高いほど改造費用が高く、よりレアな素材も必要になるが、その分カスタマイズの余地も増えていくという。アビリティもアップグレードできるようになっていて、威力をアップしたり、クールダウンの時間を短縮したり、効果範囲を広げたりすることができるのだ。

特にアビリティのタイプは多彩で、強力な攻撃やサポート能力などが使用可能になっているという。稲妻のダメージを軽減する「ライトニング・レジタンス」、槍のような武器にして敵に投げつける「ライトニング・スピア」といった自然災害に対応したさまざまなアビリティも用意されており、バラエティに富んだ戦いを楽しめそうだ。

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実際のゲームプレイのダイジェスト動画も見ることができた。ゲームはドロップシップの中から開始され、3人1組でステージに降下。スタート地点は他のプレイヤーがいないなど比較的安全で、プレイヤーたちは素早く高所に上ったり周囲をスキャンしたりしながら進んでいった。

ここでバンディット(山賊)と呼ばれる敵NPCが出現したが、本作の中ではかなり弱い方の敵で、仲間と協力すれば簡単に倒せるとのことだ。その時、巨大な竜巻が出現。非常に危険な状況なのだが、プレイヤーたちは竜巻に乗って一気に遠くまで移動していった。このように自然災害をいかに利用するかというのも重要なポイントになるのだ。

フィールド内は破壊された建物だらけで起伏に富んでいるので、フックやグライダーなどを活用しての移動が求められる。プレイヤーたちはマップを見て、どこでワールドイベントが発生するか、価値のあるリソースが落ちているかなどの情報を確認。周辺のリソースを次々に集めていった。ちなみに、比較的安全なエリアで入手できるアイテムは、やはりローリスクなだけあってほとんどが質の低いものになっているとのことだ。

このとき、リバースが建てたという巨大なタワーから不気味な音が響いてきた。この音が流れてくると気象が変わり始めるそうで、リバースのタワーが気候を操っていることをうかがわせた。やがて、巨大な嵐が吹き始めたため、プレイヤーたちはバギーに乗って移動。そのとき、他のプレイヤーたちが乗るバギーと遭遇し、ついにプレイヤー同士の戦闘が開始された。

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バギーに乗っているときはプレイヤーのひとりが運転し、残るふたりが周囲の敵を攻撃するという役割分担が可能になっている。戦闘の方はプレイヤー側の勝利で、倒した敵から装備やアイテムなどを奪っていった。ちなみに、現在の装備では使えないものもパックに入れて持ち帰ることができるそうで、敗れた側はすべてを奪われるのだということを改めて実感させられた。

ワールドイベントの様子も見ることができた。リバースの施設を破壊するというもので、大量の小型ドローンや大型のドローンとのバトルは非常にスリリングだが、勝利すればエクソ・リグを強化するためのポイントや超強力な武器などを入手できる。

イベント終了後に仲間のひとりを回復しているところも見られた。ここまで見ていて感じたのが味方の重要性だ。チームが最大で3人なだけに、ひとりひとりの重要性は非常に高く、誰かひとり欠けるだけで生存率は大きく下がってしまうことだろう。戦闘時には仲間の状態にも気を配る冷静さも求められそうだ。

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そして、いよいよマップからの脱出を目指すエクストラクションへ。このフェイズになると、ふたつのタイマーが画面に表示される。ひとつはリバースによるプレイヤーたちのトレースが終了するまでの時間で、これがゼロになると自分たちの居場所がバレてしまい、さらに危険度が増すのだ。

もうひとつは自分たちを回収してくれるドロップシップが来るまでまでの時間で、シップが到着すると今度は出発までの時間に切り替わる。つまり、敵を全滅させる必要はなく、制限時間内にドロップシップに乗り移ればいいわけだが、他のプレイヤーは脱出を阻止しようとするので、だいたいはこのタイミングが一番の激戦になるとのことだ。

全員がドロップシップに乗り込めたとしてもまだ安全ではない。敵が乗り込んでくることもあれば、遠くからスナイプされることもあるそうで、ドロップシップのドアが完全に締まるまで息を抜くことはできないのだ。その後、脱出に成功してベースに戻ったところで動画は終了となった。

自然環境が変わっていき、それによって戦いが左右されるというのは非常にユニーク。「ハイリスク、ハイリターン」が強調されていたが、裏を返せばローリスクなプレイに徹することも可能なわけで、プレイの幅はかなり広いのではないだろうか。荒廃した世界をはじめとする映像表現も非常に素晴らしく、日本での展開に注目したい。

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「Exoborne」開発陣へのミニインタビュー

プレゼン終了後、ギブソン氏とハルトバーグ氏への質疑応答の時間が設けられており、いくつか質問することができた。アジアでのベータテストの情報や初めてプレイするときのアドバスなども聞くことができたので、こちらも目を通しておいてほしい。

―――脱出できるチームはひとつだけなのでしょうか?

ギブソン氏:実は、複数のチームが同じシップに乗り込んで、互いに殺し合わなければそのまま一緒に脱出できます。

ハルトバーグ氏:別のグループが同時に脱出できるというのは面白い構成だと思っていまして、ある種の社会実験みたいですよね(笑)。どうなるのか見てみみたいです。あと、エクストラクションポイントはひとつではなく、マップに複数あります。

――雨、嵐、竜巻、稲妻などが確認できましたが、他にはどのような自然災害が登場するのでしょうか。

ギブソン氏:マイルドなものでは霧ですね。霧自体はそんなに怖くないと思うかもしれませんが、周りは見えにくくなりますし、遠距離のスナイプもしにくくなりますから、それに合わせて戦術を変えていかなければいけません。また、霧のときしか出現しない敵も存在します。

ゲームの中には火の要素もあって、これを天候と組み合わせて活用することも可能になっています。たとえば、風が強く吹いているときに火を作ると上昇気流が起きて、それに乗って移動したりすることができます。さらに、竜巻が火の上を通ると巨大な火の竜巻になるんです。私たちはファイアネードと呼んでいますが、とても強い武器的なものになるので、ぜひ活用してもらいたいですね。

ハルトバーグ氏:自然災害からは逃げるだけではなく、ときには立ち向かってみてほしいですね。インタラクトすることで得をすることもありますから。たとえば、竜巻はいろんなものを巻き上げて吹き飛ばしていきますが、あえて中に飛び込むとレアなリソースなどが手に入ることもあります。もちろん、危険はともないますけどね(笑)

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――チームは必ず3人1組ですか?

ギブソン氏:最大で3人までですが、ソロやふたりでもプレイ可能です。ただし、ソロだとかなり難しいですよ。

ハルトバーグ氏:3人くらいの単位だとプレイヤーも自分も貢献していると実感しやすいですし、運営側としてもゲームバランスが取りやすいんです。

ギブソン氏:これはひとつの例ですが、装備するエクソ・リグもひとりがKODIAKでタンク、ふたりめはVIPERで偵察、もうひとりはKESTRELでサポートといったように役割分担もしやすいですよね。

――日本からも参加できるベータテストの予定などはありますか?

ギブソン氏:近い将来、アジア向けのテストを行う予定です。数ヶ月以内には情報を出せるのではないかと思います。

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――初めてプレイする人にはどんなスタイルがおすすめですか?

ギブソン氏:プレイヤーが誰であっても、全員にエクストラクションシューターの基本を学んでもらうといいますか、プレイしやすいようにいろんなことを教えます。まず、チュートリアルがあって、それが終わったら最初のセッションになるのですが、ここは全員が手をつないで一緒に歩くような感じといいますか、「これはやっていい」「こういうこともできる」という基本の基本を教え込みます。

ハルトバーグ氏:それが終わっても、まだゲーム内では新人なので、まずこれを達成しなければいけないという明確なゴールをはっきりさせます。当然、ゲームの中には明示されないゴールがいっぱいありますが、それよりも前にまずミッションを達成して成功体験を得てもらい、同時に基本のところで学んでもらいます。

ギブソン氏:マップの種類も複数用意していて、それぞれ難易度があります。今日お見せしたのは一番ベーシックで簡単なマップで、ゲーム内通貨で非常に難しいマップのアクセス権を購入することも可能になっています。最低限これくらいのティアがないと参加できないというものも用意していますので、上級者はよりハイリスク・ハイリターンのマップの方に向いていくと思います。ただ、あえてヒントをひとつ言うと、新人のうちは銃撃が聞こえたらそれとは別の方向に行ったほうがいいでしょうね。

東京ゲームショウ2024

※画面は開発中のものです。

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