アナログゲームイベント「ゲームマーケット2024秋」をレポート。盛り上がりを見せるマーダーミステリージャンルをはじめ、会場で出会った注目のアナログゲームについて紹介する。

目次
  1. マーダーミステリージャンルが拡大中!注目はADICE
  2. サスペンス・ミステリー好きにはたまらない!「桜塚家の一族」&「官邸の死神」
  3. 謎めいたオカルトの空気感が魅力的!「イクイノックス」
  4. アナログ×デジタル! 没入感の高い脱出ゲーム「海底基地ネオアトランティスからの脱出」
  5. 体験版なのにクオリティ高すぎ!「従者と狂いのピラミッド」
  6. その発想に驚かされた!「雑草かるた」
  7. アナログゲームの醍醐味が詰まっている!「オドマトペ」
  8. さらなる盛り上がりを見せるか?次回も期待大な「ゲームマーケット」
盛り上がりを見せるマーダーミステリー!アナログゲームイベント「ゲームマーケット2024秋」レポートの画像

国内最大規模のアナログゲームイベントである「ゲームマーケット2024秋」が2024年11月16日(土)と2024年11月17日(日)に開催。

ご存知の通り、アナログゲームとは、ボードゲームやカードゲーム、テーブルトークRPG、シミュレーションゲームといった「電源を使用しないゲーム」のこと。「ゲームマーケット」ではこうしたアナログゲームを購入したり、試遊したりすることができる。言うなれば、アナログゲームを対象にしたコミックマーケットだ。

コンシューマーゲームやスマートフォンゲームといったデジタルゲームをメインにプレイしている人は、「アナログゲームのイベントってそこまで大きな規模なの?」と思うかもしれない。だが「ゲームマーケット」は年々規模を拡大しており、「ゲームマーケット2024秋」は東京ビッグサイトから幕張メッセへ会場を移しての開催となっている。ゲーム好きなら要チェックのイベントといっても過言ではない。今回はそんな「ゲームマーケット2024秋」の2024年11月16日(土)開催回に参加してきたので、その模様をレポートしたい。

マーダーミステリージャンルが拡大中!注目はADICE

今回筆者が注目したブースのひとつが、viviONの手掛けるアナログゲームレーベル「ADICE」。「ADICE」はマーダーミステリーをはじめとするボードゲームを扱うレーベル。そのレーベルの新作マーダーミステリーとして今回、「メガゾーン23 バハムートの残影」「デビルマン アーマゲドン序章」が発表された。

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「メガゾーン23 バハムートの残影」は、伝説のOVA「メガゾーン23」を原作としたマーダーミステリー。アニメのパート1とパート2とをつなぐ「正史」を完全新作として描いているという。

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また、「デビルマン アーマゲドン序章」は、永井豪先生の「デビルマン」の世界を舞台としたマーダーミステリー。悪魔の総攻撃から17年後、人間滅亡の3年前を描いているとのこと。

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いずれも伝説級の作品がマーダーミステリー化されるということで、期待せずにはいられない。なお、リリース時期は2025年が予定されている。

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ただ、マーダーミステリーをプレイするにはプレイヤーを複数人揃えなければならない。このため、興味はあったとしても、ハードルの高さを感じる人もいることだろう。しかしなんと、今回、viviONはそんな悩みに応えるサービスも発表している。そのサービスが、「ミステリーラボ」。

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「ミステリーラボ」は、PCやスマートフォンを使ってオンラインでマーダーミステリーをプレイ可能なサービス。友だちで集まってプレイすることはもちろん、マッチング機能によって、その場でプレイ希望者を募ってプレイすることもできるという。「メガゾーン23 バハムートの残影」や「デビルマン アーマゲドン序章」といった新作はこの「ミステリーラボ」にも対応予定とのこと。「ミステリーラボ」のリリース時期は、2025年春予定。これまでマーダーミステリーに手が出なかったという人も、この機会に手を出してみてはいかがだろう。

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サスペンス・ミステリー好きにはたまらない!「桜塚家の一族」&「官邸の死神」

「ゲームマーケット2024秋」にブースを出展しているのは、企業だけじゃない。一般のアナログゲームクリエイターたちもブースを出展し、アナログゲームを販売している。販売しているゲームジャンルも、マーダーミステリーから謎解きゲーム、ボードゲーム、カードゲーム、テーブルトークRPG…とさまざま。ただ、企業発のゲームでは体験できない「味」を持っている点では共通している。いわば、インディゲームにおける「作家性」のようなものを宿しているのだ。そこで、ここからは今回筆者が一般ブースで見かけた注目作を紹介したい。

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まず筆頭は、「宇治楽団」によるマーダーミステリー2作品、「桜塚家の一族」と「官邸の死神」。ブースのビジュアルからも分かる通り、昭和の2時間サスペンスドラマ的な空気感を持っている。横溝正史や内田康夫、山村美紗といったミステリーが好きで、火曜サスペンス劇場も大好きな筆者としてはもうこのビジュアルにやられてしまった。特に「桜塚家の一族」は、暗い過去を持つ一族で起きた殺人事件という因習っぽい空気感が魅力的!

謎めいたオカルトの空気感が魅力的!「イクイノックス」

続いて紹介するのもマーダーミステリー。「ボドゲーン同好会」の「イクイノックス」だ。

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筆者は、ミステリーの魅力のひとつは「魅力的な謎」にあると考えている。謎を聞いた瞬間、「え?一体どうしてそんなことが起きるんだ?」と気になってしまうと、結末を知らずにはいられない。「イクイノックス」もまた、魅力的な謎を持っている。目が覚めると、扉も窓もない白い部屋。部屋にあるのは少女の死体ひとつだけ。だがその死体が動き出し、語りかけてくる。「この部屋から出るには少女を殺した犯人を探さなければいけない」と…。オカルトの空気感が漂う、なんとも魅力的な冒頭だ!

アナログ×デジタル! 没入感の高い脱出ゲーム「海底基地ネオアトランティスからの脱出」

続いては紹介する脱出ゲーム。「MOVIE ROCK」の「海底基地ネオアトランティスからの脱出」。

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海図にも書かれていない、深海に存在する巨大な海底基地からの脱出を目指す本作。その特徴は、カードやシートといったアナログキットだけではなく、スマートフォンも使用すること。スマートフォンで探索を行い、アナログキットで謎を解くという構成。アナログキットの手触りに加え、デジタルならではの演出によってより高い没入感が実現されているのだ。

体験版なのにクオリティ高すぎ!「従者と狂いのピラミッド」

続いて紹介するのは謎解きゲームの体験版。「ソウキタカゲームス」の「従者と狂いのピラミッド」。

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同作は、狂気のピラミッドにタイムスリップした大学生として、脱出に挑むという作品。ほかならぬプレイヤー自身が狂気におかされていく…という要素が特徴となっている。今回配布されたのは体験版で、本編は鋭意制作中とのこと。ちなみに体験版ということで無料で配布していたのだが、ゲームシートやコンポーネント類は非常に充実しており、完成版レベル。実際に完成版はどこまで高いクオリティなんだろう…と期待せずにはいられない出来だった。

その発想に驚かされた!「雑草かるた」

次は会場で見かけて、その発想に思わず吹き出してしまった一作。「たむがや組」の「雑草かるた」。

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その名の通り、読み札に該当すると取り札を取っていくというかるた。ただし、取り札のビジュアルは「雑草」。読み札に書かれた内容も、「雑草」の情報。筆者は会場で見かけた当初、「雑草なんて区別付かないじゃん!」とネタ的に考え思わず吹き出してしまった。しかし内容を聞いてみると、人間に対して有害な有害な特性を持った植物を「雑草」と定義した上で、48種類の雑草を収録。ネタ的なおもしろさを持ちながらも、決してネタだけで終わるような作品ではないと気づかされた。特性もしっかり調査した上で、写真もすべて撮り下ろしたものとのこと。強烈な作家性にノックアウトされた一作だ!

アナログゲームの醍醐味が詰まっている!「オドマトペ」

最後に紹介するのは、アナログゲームの醍醐味が詰まっていると感じた一作。「スズキモ団」の「オドマトペ」だ。

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「きゅんきゅん」や「ムキムキ」など、カードに書かれたオノマトペをジェスチャーで表現して出題。回答側は、そのジェスチャーがどんなオノマトペを表しているか答えるというゲームだ。オノマトペをジェスチャーで上手く表現できるか…という表現性、体を動かす楽しさ、そしてちょっとの気恥ずかしさ…から、初対面の人とプレイしたとしても盛り上がれると感じた。筆者はこの、「初対面の人とプレイしたとしても盛り上がれる」というポイントこそアナログゲームの醍醐味だと思う。デジタルゲームでもオンラインマルチプレイなどによって初対面の人と遊ぶことはできるが、どうしても勝敗にフォーカスしてしまうため、ワイワイ盛り上がるというのは難しい部分がある。この点アナログゲームは、勝っても負けても一緒に笑って楽しむという結果になりやすい。本作はまさに、そんなアナログゲームならではの良さを味わえる一作だろう。

さらなる盛り上がりを見せるか?次回も期待大な「ゲームマーケット」

「ゲームマーケット」に行くたび、「こんなアイデアがあったのか!」「こういう見せ方もあるのか!」と、アナログゲームクリエイターたちの発想に驚かされる。今回もとても驚いたし、取材という名目ではあるのだが、それを忘れるほど楽しませてもらった。ブースを回ってゲームを見て回るだけでも楽しいし、「従者と狂いのピラミッド」のような無料体験版をもらったり、興味を持ったゲームを試遊したりといった楽しさもある。現時点でも1日で回り切れないほど楽しいのに、次回もさらなる盛り上がりを見せるのだろうか?次回以降の「ゲームマーケット」にも期待しかない。「ゲームマーケット」に行ったことがないという人は、ぜひ次回会場へ足を運んでみてほしい。

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