Two Point Studiosが開発し、セガが2025年3月5日に発売する「ツーポイントミュージアム」の先行プレイレポートをお届けする。

目次
  1. 人気シリーズ3作目はこれまで以上にとっつきやすい!
  2. オシャレさが利益アップの要!学芸員の腕を見せよう!
  3. 展示品によって異なる管理がゲームを面白くする!
  4. キャンペーンであなたもベテラン学芸員!
  5. ツーポイントホスピタルで素敵な博物館を作ろう!

「ツーポイントミュージアム」は、「ツーポイントホスピタル」「ツーポイントキャンパス」に続くシリーズ3作目の経営シミュレーションだ。同シリーズは伝説的経営シミュレーションの「テーマパーク」を生み出したクリエイターのスタジオが手掛けていることもあり高い人気を誇っている。

加えてパブリッシングをセガが担当している関係から多言語ローカライズが充実しており、本作ではリリース時からプラットフォーム問わず日本語で本作を楽しむことができる。前作まではローカライズの配信にプラットフォームごとの差や実装時期のズレがあったため、非常にありがたい部分だ。経営シミュレーションはどうあってもシステムに複雑さがあり、ローカライズがあるとないではゲーム体験が変わってくる。本作はこの人気シリーズに触れる絶好の機会というわけだ。

人気シリーズ3作目はこれまで以上にとっつきやすい!

「ツーポイントミュージアム」でプレイヤーは失踪した前任の穴埋めとして、赤字を垂れ流す博物館へとやってきた学芸員となり、博物館の経営へと乗り出していく。舞台となるツーポイント州は歴史・文化・自然に富んだ場所であり、加えて宇宙からの飛来物や放棄された謎の研究所も存在する。博物館を経営するのにはもってこいの場所だ。プレイヤーはこの地でさまざまな展示品を収集し、自分だけの博物館を作っていくこととなる。

個性的でどこかへんてこな展示品で、来館者に驚きと知識を与えよう。

おもしろおかしな展示品を集め、ステキな博物館を作ろう!「ツーポイントミュージアム」先行プレイレポートの画像

ツーポイント州という同シリーズ共通のエリアが舞台となっているものの、ストーリーに前作までと深いつながりはなく独立した1本として制作されている。また前作までと基盤のシステムは変わっていないが、テーマが違うためゲームシステムも全く別といっていい。前作までの知識はなくとも十分楽しめるだろう。

また、同シリーズはコメディ・パロディ色が非常に強い。これは1つの魅力なのだが、例えば「ツーポイントホスピタル」だと中二病で自分のことをエルヴィス・プレスリーと思い込む精神病(放置するとなぜか死ぬ)が大流行していたり、病院の待ち時間が長すぎると治療が間に合わず患者が死んで幽霊になって他の患者の不快度を上げるので清掃員にゴーストバスターしてもらわなくちゃいけなかったり、ノリが過激で肌に合わない人もいたシリーズではある。

おもしろおかしな展示品を集め、ステキな博物館を作ろう!「ツーポイントミュージアム」先行プレイレポートの画像

だが本作は博物館というテーマで、そういうコメディ・パロディは展示品に集約されている。おもしろおかしな展示品を集める博物館というテーマとコメディ色の強いシリーズの特色の親和性は高く、本作はより多くの方に勧められるゲームになっている。また、ファンからすれば、シリーズの魅力であるコメディ・パロディぶりが健在であることは評価ポイントだろう。

オシャレさが利益アップの要!学芸員の腕を見せよう!

このゲームで扱える展示品は6種類。先史時代、植物、超常現象(オカルト)、海洋、科学、宇宙の6種類だ。

これら展示品には関心ポイントがあり、存在するだけで人を引き付ける。だが手入れを怠れば関心ポイントが下がってしまう。化石ならば先史時代専門家、呪われた人形ならば超常現象専門家といった具合に、それぞれの分野の専門家を雇用して定期的にメンテナンスを行わなければならない。もちろん植物や生物の場合はメンテナンスがなければ死んでしまう。展示品に合わせたケアが展示の大前提だ。

おもしろおかしな展示品を集め、ステキな博物館を作ろう!「ツーポイントミュージアム」先行プレイレポートの画像

だが、専門家に任せてばかりでは学芸員の名折れだ。このゲームには多種多様な演出用の置物が用意されており、これらを展示品のまわりに置くと展示品の関心ポイントを高めることができる。さらに展示品には「◯◯の近くにある」「ゴミが近くにない」「固有の名前を設定する」といった条件も設定されており、これをクリアするとさらに展示品の関心ポイントは高まる。展示品の関心ポイントを最大まで高め、来館者の目を引く博物館を目指そう。

そして大事なのが博物館は見世物小屋ではなく学術研究の拠点であるということだ。関心を集めたあと、来館者は展示品に関しての知識を得ようとする。展示品には関心ポイントだけでなく知識ポイントも設定されているが、これは展示品そのものを見るだけでは来館者に付与されない。説明ボードを設置すると、説明ボードにその回りの展示品の知識ポイントが集約される。これを来館者が読むことで知識ポイントが付与されるシステムだ。関心ポイントが高い展示をどれだけ見たか、どれだけ知識ポイントを得られたか、これで来館者の満足度が決定される。そして来館者の満足度が高まると設置した寄付ボックスにドンドコお金が集まっていく。これがこのゲームの基本となる。

おもしろおかしな展示品を集め、ステキな博物館を作ろう!「ツーポイントミュージアム」先行プレイレポートの画像

この展示品を中心にさまざまな設置物を置くシステムが非常に面白い。演出物の効果は複数の設置物にも波及するし、説明ボードは近い展示品が多いほどより効果の高いものになる。もっと言えば寄付ボックスも展示品の近くにおいてはじめて機能する。つまり密集させればさせるほどより効率的なのだ。つまり、博物館の売上を高めようとプレイすれば、おのずと博物館らしいあのぎゅっと圧縮されたレイアウトが自然と生まれるわけだ。

このシステムは見事の一言だ。この手のゲームの多くは飾りのアイテムを用意してくれているものだが、こうしたアイテムにも基本的にお金がかかる。効率とコスパを重視すると、見た目を無視するプレイになってしまいがちだ。だが、このゲームではインテリア・レイアウトを凝ることがゲームシステム上プレイの利益になる。凝ったレイアウトを作る遊びがシステムから肯定されているのは本当にいい。高価な演出物なら、展示品に与える効果も高く設定されており、高価な演出物を購入するのも無駄ではない。もちろん美しい配置なんかできない!という方にとっても展示品の回りに設置物を置くだけで機能するため、そこまで気にしなくても遊べるのもよいところだろう。

なお、レイアウトを凝るうえで重要な内壁の配置や壁・床の色替えも用意されており、これらはお金をかけず施工が可能だ。さらに設置物は基本的に配置するときお金を払い撤去するとき売却する仕組みだが、売却時はそのお金が満額返ってくる。プレイヤーにレイアウト・インテリアを考えることを強制しているからこそ、こうしたところはストレスがないよう調整されている。思う存分博物館の見た目に凝ろう。

おもしろおかしな展示品を集め、ステキな博物館を作ろう!「ツーポイントミュージアム」先行プレイレポートの画像

もちろん見た目だけでは博物館は回らない。

チケット売り場や売店で働くアシスタントがいなければそもそも来館者を向かえられない。掃除や設置物のメンテナンスには管理員が必要だ。セキュリティ人員もいなければ貴重な展示品が泥棒に盗まれてしまう。専門家以外にもさまざまなスタッフを雇用しよう。

また、博物館を回っている間に来館者はお腹が空くこともあるし、トイレに行きたくなることもある。疲れて休みたい来館者もいるだろう。もちろんこれはスタッフにも言えることだ。自動販売機やベンチ、トイレにスタッフルームなどさまざまな設備も必要だ。

さらに来館者もまた多様だ。先に説明した知識ポイントも、説明ボードが読めない子どもには付与されず満足度を高められない。子どもの満足度を高めるためには体験型コンテンツを用意して、体験から知識を得られるようにせねばならない。体験型コンテンツはワークショップを博物館内に建設してスタッフに開発して貰う必要がある。他にも分野のマニアなど来客者の個性はさまざまだ。これにも気を配る必要がある。

予算とのバランスを考え、博物館の環境をよりよいものに変えていこう。それが来館者・スタッフの満足度に繋がり、売上へと昇華されていく。

展示品によって異なる管理がゲームを面白くする!

こうした環境も大事だが、やはり最も大事なのは展示品だ。展示品のラインナップが充実していなければ来館者数も売上も頭打ちとなる。

新しい展示品を手に入れるのが遠征システムだ。博物館のヘリポートから遺跡、海、果てはあの世や宇宙へと飛び立ち展示品を収集するのだ。

おもしろおかしな展示品を集め、ステキな博物館を作ろう!「ツーポイントミュージアム」先行プレイレポートの画像

遠征には遠征先によって指定の博物館のスタッフを派遣せねばならず、遠征中は博物館の人員が少なくなってしまう。しかも、遠征では必ずなにかのイベントが発生し、それがいいイベントならラッキーだが、悪いイベントだとスタッフが怪我や病気になったり、最悪行方不明になってロストしてしまったりする。そしてもちろん遠征にはお金がかかる。学術の探求に危険と犠牲、そして出費はつきものだ。

だが、そうしたリスクを負って手に入れた展示品の価値は高い。遠征先によって手に入る展示品がいくつか設定されており、そのうち1つがランダムで手に入る。毎度ガチャのような演出が入るのはちょっとテンポが悪く感じるが、それだけデカい収穫というのは間違いない。展示品が増えればそれだけで関心ポイントと知識ポイントを底上げできるため、顧客の満足度は高まる。ランダム獲得のためダブってしまうこともままあるが、ダブった展示品は分析室で分解すればその展示品の理解度が高まり知識ポイントを上げることもできる。もちろん2つとも展示してしまうのもありだ。また、展示品を売り払う選択肢もある。

とにかく遠征を繰り返し、さまざまな展示品を手に入れていくのが本作の基本のプレイングだ。展示品の中には巨大な恐竜の化石などいくつものパーツが揃ってはじめて完品になる展示品もある。リスクや予算をどうにか抑えつつ、展示品ガチャを回しまくり、博物館を充実させるのだ。展示品には普通から超良好までの状態ステータスもあるため、ガチャを回しまくろう。

おもしろおかしな展示品を集め、ステキな博物館を作ろう!「ツーポイントミュージアム」先行プレイレポートの画像

さて、こうした集めた展示品であるが、その種類によって管理方法が大きく異なっているのが本作の一番の魅力だ。先にも書いたが展示品の中には魚もいるし、植物もあるし、なんなら幽霊もいる。

魚と幽霊を例に上げると、遠征で手に入れたこれらは生き物(?)なので、展示用の水槽・部屋にいれることとなる。魚・幽霊は回りの演出物ではなく、水槽・部屋の中に入れたものから関心ボーナスを得るため、中を豪華に飾り立てる必要がある。

これだけでも化石などのそのまま置く展示品と大きく異なるが、魚と幽霊でもその管理方法が大きく異なってくる。魚にはその種によって温帯・熱帯などの温度設定に加えて食性の違いがあるため、ヒーターや食性に合わせた給餌器を置かなくてはならない。そうしないといつの間にか死んでしまう。また、肉食の場合自分より小さい魚を食べてしまうため、水槽を分けるなどの配慮が必要となる。

おもしろおかしな展示品を集め、ステキな博物館を作ろう!「ツーポイントミュージアム」先行プレイレポートの画像

それに比べて幽霊はすでに死んでいるため、餌は必要ないし死んでロストしてしまうという心配はない。だが、幽霊は好みが合わない演出物や嫌いな同居人が存在していたり、娯楽が少なかったりするとフラストレーションを溜める。フラストレーションがいっぱいになってしまうと部屋を脱走して来館者を脅かし始め、博物館経営どころではなくなってしまう。

このように、展示品はそれぞれに管理・運用方法がある。

他にも宇宙の展示品は地球に存在しないもののため最初手に入れたときは一切知識ポイントを持っていないので必ず複数手に入れて分析しなければいけない。先史文明の氷漬け標本は温度設定を誤ると溶けて中の標本が息を吹き返し暴れまわる危険がある。などなど、その種類も多様だ。まるで別のゲームかと感じるほどの差だ。

おもしろおかしな展示品を集め、ステキな博物館を作ろう!「ツーポイントミュージアム」先行プレイレポートの画像

そしてさらに、これら展示品はその分野を超えて関わりを持ち始める。先史文明の展示品であるオーパーツに隠されたギミックを解くためには宇宙の展示品が必要だったり、科学の展示品である自動水やり機を改良するためには植物の展示品を周りに並べて実際に使ってみる必要があったりといった具合だ。

運用・管理方法が異なる展示品を同時に扱い、その相互作用を活用するとなればかなりの手間と予算がかかる。だが、まるで別ゲーのような複数の要素が重なっていくのは本当に楽しい。博物館経営ゲームはこれまでにも数々存在するが、さまざまな要素を1つのゲームにぎゅっと詰め込んだ「ツーポイントミュージアム」ならではの魅力だろう。

キャンペーンであなたもベテラン学芸員!

しかし、これだけ複雑に要素が絡み合えばシステムを覚えるのは大変だ。他にも警備のシステムであったり、マーケティングのシステムであったり、展示品以外にもさまざまな要素が用意されており、これらもきっちりと運用していく必要がある。シリーズ作とはいえ「ツーポイントミュージアム」はこのゲームからの新しいシステムで構築されている。この手のゲームに慣れた人であっても、つまづいてしまう可能性は大いにある。

だが、そこを開発側もわかっているようで、本作はチュートリアルが非常に手厚くなっている。

本作でメインに遊ぶこととなるキャンペーンモードだが、最初は前任が逃げ出した博物館の立て直しから始まり、放置されている展示品のメンテナンスや関心ポイントの高め方、説明ボードの仕様の説明に、遠征のやり方などなど、順を追って丁寧にゲームシステムが解説され、ゲーム内のミッションでそれをこなすよう誘導される。なんとゲーム側がシステムを説明をするまで、警備システムの説明前は泥棒や破壊活動が発生しないというようにそれに絡んだ要素は一切ゲーム内に登場しない。キャンペーンを遊べば、複雑なゲームのイロハが順々につかめるようになっている。

そうしてゲームの説明に従いミッションをこなすと博物館がうまく回り始め、文化局から博物館に星が1つ与えられる。立て直しが完了しステージクリアというわけだ。

おもしろおかしな展示品を集め、ステキな博物館を作ろう!「ツーポイントミュージアム」先行プレイレポートの画像

ゲームは次のステージへと進み、新たな博物館と別の種類の展示品が待ち構えている。ステージを重ねることで、さまざまな要素を学んでいくという流れだ。これで少しずつゲームを理解していくことができる。文化局からの星授与が1つの節目、クリアとなり、星を獲得したら次のステージへ向かうというのが基本となる。

ただ、ここで「できればこのまま同じところでゲームを遊び続けたい」と感じる方もいるだろう。自分が手塩にかけて成功に導いた施設を、早々手放したくないのがプレイヤー心理だ。しかも、本作はそのゲームシステム上どうあれインテリア・レイアウトに力をかけさせられる。ステージをクリアしたからハイさよならでは、あまりにもさびしい。

おもしろおかしな展示品を集め、ステキな博物館を作ろう!「ツーポイントミュージアム」先行プレイレポートの画像

そんなプレイヤーの気持ちも本作は理解してくれている。このゲームのキャンペーンモードは複数の博物館を往復してさまざまな要素をマスターし、すべての博物館の星を5つ星まで高めることを最終目標としている。なので2番目の博物館をクリアした後、また最初の博物館に戻ることになるのだ。

いくつかのステージをクリアすると、学芸員レベルが上がり、獲得できる星が1つ増える。つまり、クリアした博物館をさらに成長させることができるわけだ。他ステージをクリアしたことで以前は使えなかった新しい要素もアンロックされており、それらを活用してさらなる発展が狙えるというわけだ。もちろん、星2つ目以降にもミッションや新要素が準備されている。

がんばって作り上げた博物館の面倒を最後まで見続けることができるのが本作なのだ。これは本当によいところだ。

筆者はまだそのすべてを遊びきれていないが、キャンペーンは全体で30時間程度はかかるであろう大ボリュームだ。博物館の数も第3第4とどんどん数を増やしていくし、システムもどんどんと増える。そして先に説明したように、それらが複雑に絡み始めてくる。複数種別の展示品を扱うなど当たり前。必要な人員も増え、経営は火の車だ。最初はチュートリアルをこなしていれば獲得できた星も、なかなかもらえないようになる。多くの要素が解禁されたあとこそがこのゲームの本番なのだ。

もちろん、なんの制約もなく自由に遊びたい人向けにサンドボックスモードも用意されている。遊びごたえも、挑戦しがいもバッチリだ。

ツーポイントホスピタルで素敵な博物館を作ろう!

丁寧なチュートリアルがあるとはいえ分かりづらいところは多い。もうちょっと詳しく説明してほしかったところは山ほどあった。シリーズ経験者の筆者でこう感じるのだから、難しさはどうしても残っている。これは経営シミュレーションゆえに仕方がない部分だろう。

だが、シリーズファンや経営シミュレーションファンでなくとも挑戦しやすいゲームには違いない。ローカライズも初期から実装され、独特のノリも受け入れやすくなった本作からその魅力を味わってみるのは悪くないだろう。

おもしろおかしな展示品を集め、ステキな博物館を作ろう!「ツーポイントミュージアム」先行プレイレポートの画像

またシリーズファンにとっては、本作はこれまで通りコメディ・パロディ色をちゃんと残してくれているし、テーマ性に沿った本作のシステムにも面白さを感じられるゲームのはずだ。

ぜひ、ツーポイント州に眠るさまざまなおもしろおかしな展示品を集め、あなただけの素敵な博物館を作ってみてほしい。

PCゲームの情報同人誌を作っていたところスカウトされ商業ライターデビュー。ゲームメディアを中心に執筆活動を行う。頻繁に自分は女子高生であると主張している。主な共著に『インディ・ゲーム名作選』(Pヴァイン、2021年)、『ゲーマーが本気で薦めるインディーゲーム200選』(星海社、2021年)、『インディ・ゲーム新世紀ディープ・ガイド ゲームの沼』(Pヴァイン、2022年)。

※画面は開発中のものです。

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