“EVO Japan 2025”で発表され多くのファンの度肝を抜いた、「オーバーウォッチ2」×「ストリートファイター」のコラボ。今回、コラボの経緯から裏話までの詳細をアソシエイトディレクターを務めるAlec Dawson氏に伺った。

――ジャンルの異なる「ストリートファイター」とのコラボが実現したきっかけは何だったのでしょうか?
Alec:そもそもすべてのコラボは開発陣が熱意を持っている好きなタイトルばかりです。とりわけ「ストリートファイター6」に関しては開発陣の多くが実際に遊び、観戦しているのでコラボ候補の中に毎回必ずタイトルが挙がっていたほどです。
また、「オーバーウォッチ」全体のアートスタイルは「ストリートファイター」に影響されている部分もあります。そういったリスペクトや1年以上進んでいたコラボ企画という僕達の集大成が、やっと皆さんにお披露目できると思うととてもワクワクしています。
――このコラボへの思いをお聞かせください。
Alec:内部でコンセプトアートができ、実際にモデルが仕上がり、ゲーム内で動く姿を見る度に感動しています。内部のテストでは、スタッフのシグマのほとんどがベガのスキンが愛用しているほどでしたし、個人的にもウィンストンのブランカスキンを気に入っています。
また、スキンが再現されたヒーローの多くがスタジアムに実装されているキャラである点にも注目して欲しいですね。三人称視点で動くダルシムスキンのゼニヤッタが見られるかと思うと、より「ストリートファイター」に近い感覚で楽しめるんじゃないかと、皆さんの反応が楽しみで仕方ありません!

――毎回、特殊なエフェクトやボイスにも力を入れていますが、今回はどのようなものが用意されているのでしょうか?
Alec:正直、今までのコラボ以上に開発陣が頑張った手応えがあります。例えば、春麗に扮したジュノはスピニングバードキックを出せますし、リュウの姿のハンゾーは波動拳が出せるという風にボイスだけでなくエモートとして「ストリートファイター」を象徴するような技をたくさん用意しています。
細かな点ではクイック近接時に「ストリートファイター」っぽいサウンドが出るので、ここも注目して欲しい部分です。またヒーローセレクト画面で、コラボスキンを適用しているヒーローは自身の名前を言うようになるので、その辺もお楽しみに! 忘れてはならない要素として車を殴るボーナスステージも用意しました! きっと双方のファンが楽しめる内容になっていると思います。
――デザイン面ではどんな工夫が必要だったのでしょうか
Alec:やはり全体的なバランス、シルエットにこだわりがあります。他のIPとコラボするときは“オーバーウォッチのヒーローたちがコスプレしている”と説明しているように、あえて原作に寄せすぎない、今回で言えば筋骨隆々な体つきではないことなどの要素が顕著に現れていると思います。
体格以外の部分では、シグマはよりベガっぽいシルエットにしたかったので威厳を保てるように新しいショルダーパッドを作りましたし、ゼニヤッタもダルシムっぽさを出すためにいつも以上に足が伸びているような錯覚をさせています。また、ソルジャー76のガイルスキンは髪型を細部までこだわったので、そこにも注目していただきたいですね。
――「ストリートファイター」の顔ともいえるリュウをハンゾーにした理由は?
Alec:このコラボにするにあたり、リュウと春麗は絶対に入れなきゃいけないと思いました。その際「オーバーウォッチ」のヒーローのラインナップをみて、誰が波動拳を撃てるかを考えたときにハンゾーが最適だったんです。
彼自身も躍動感のあるキャラですし、日本人というルーツもあるので、リュウのコスプレをするヒーローとしては自然と選ばれました。何よりハンゾー自身の佇まいや雰囲気はリュウに近く、疑問を抱かなくていいんじゃないかと。

――「オーバーウォッチ」の中で最も「ストリートファイター」らしいドゥームフィストもコラボ候補にいたのでしょうか? またどんなキャラがスキン候補にいましたか?
Alec:もちろん候補にいましたし、キャラも当然バイソンです。ただ、ドゥームフィストのシルエット的には巨大なボクシンググローブと小さなボクシンググローブを用意しなければならず、あまりしっくりこなかったので見送る形になりました。ただ、今回のコラボは本当に素晴らしく、もう1度コラボしたいので次回があれば実現するかもしれませんね。
――カプコン側からの印象的なフィードバックやコラボの中で盛り上がった話題はありますか?
Alec:サポートがとても手厚く美術の資料なりアニメーションなりさまざまな資料を送ってくださったので、「ストリートファイター」っぽさを出して欲しい熱意を感じ取れました。最初から最後まで手厚い協力はコラボ先として素晴らしい会社です。
実はBlizzardとしては他のゲームスタジオとコラボするのは初めてだったにも関わらず、ゲーム会社同士というのもあり制作のタイムラインの理解もすごいよく出来ていたので驚くほど開発がスムーズに進みました。本当に感謝しています。
――このようなコラボでは日本IPとのコラボが多いですが、こちらの理由はあるのでしょうか?
Alec:やはりメディア的にもコンテンツ的にも格好良いものをたくさん作っているからですし、開発陣にも日本のエンターテイメントに熱意のあるファンがたくさんいるからに尽きます。
社内スタッフ用の連絡チャンネルの1つに“次にコラボをして欲しいタイトル”というものがあるのですが、「ストリートファイターはやらないの?」という意見はたくさん来ていました。実際にプレイするスタッフも多く、高い熱量が今回のコラボに繋がったと言えますね。
――対戦格闘ゲームとFPSという異色のコラボですが、どういう効果を生むと思いますか?
Alec:「オーバーウォッチ」を遊んだことのない「ストリートファイター」のファンが遊んでくれたらいいなと思います。特定のキャラ、ヒーローを深堀りし、学び、数ヶ月前にはできなかったことが練習を経て実現できる達成感はどちらにも共通している部分だと思います。
今回をきっかけに「オーバーウォッチ」のプレイヤーも「ストリートファイター6」も手にとってくれたらいいなと思います。自分への挑戦は両方のゲームに通ずる部分だと思います。
――コラボ発表時の独特なアートスタイルのトレーラーが印象的でしたが、どうしてあのスタイルに行き着いたのでしょうか?
Alec:実はトレーラーを2種類用意していまして、“EVO Japan 2025”で披露したトレーラーは「ストリートファイター」を全面に押し出したかったので、ニューチャレンジャーや波動拳、スピニングバードキックを見せたりと、できる限りの象徴的なスタイルを詰め込んだトレーラーになっています。
もう一方のトレーラーでは、実際のゲーム内でスキンを適用したヒーローがどう動くかなどを中心としたものを用意しています。そのためスタイルの異なる要素を出したかったので、1つはアート調で「ストリートファイター」を全面にして、2つめは「オーバーウォッチ」っぽく、したかった狙いがあります。

――今回のコラボを通じて、開発陣として日本のコミュニティに伝えたいメッセージをお願いします。
Alec:僕らは日本のコミュニティのポテンシャルの高さをかなり評価しています。コンテンツを作っているクリエイターの皆さんも見てきましたし、コミュニティ発祥のイベントも常に勢いがあります。それほどまでに盛り上がっているコミュニティのさらなる発展を期待していますし、Blizzardとしてもサポートを続けていきたいと思います。お互いに支え合えるような存在になれるようにこちらからもサポートを続けていきたいと考えておりますので、応援よろしくお願いいたします。
(C)2025 Blizzard Entertainment, Inc.
(C)CAPCOM
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