8月1日に池袋HUMAXシネマズ・シネマ2で行われた、「特別試写会 J-me SPECIAL PREVIEW 『Sky ふたつの灯火 - 前篇 -』」のレポートをお届けする。
AnimeJapan2022でのプロジェクト発表から約3年を経て、いよいよ公開を迎えるアニメーション映画「Sky ふたつの灯火 - 前篇 -」。独自の魅力を持つゲーム「Sky 星を紡ぐ子どもたち」と同様、“言葉の無い”物語を紡ぐ作品となっている。

8月8日に日本限定で全国劇場公開となることに先駆けて行われた本試写会では、日本劇場公開版の劇中ナレーションを務めた梶裕貴さん、同エンドソングを制作したコトリンゴさんが登壇し、作品の魅力を語った。

梶さんは本作のプレイヤーを公言し、「Sky スペシャルサポーター」も務めているが、言葉の無いゲームである「Sky 星を紡ぐ子どもたち」の世界を見事にアニメにしていると称賛。
一方、ゲームはプレイできていないというコトリンゴさんだが、アニメの映像を見て、その世界に浸れる、すっと包み込むような音楽にしようと考えたという。その内容には梶さんもゲームの本質的な部分を歌詞とメロディーで表現していると触れていた。

自身が主人公であるゲームとは異なり、孤児が主人公となる本作では客観的に楽しめるところがあるという梶さん。ケヴィン・ペンキン氏による音楽の素晴らしさにも触れつつ、自身が担当した劇中ナレーションについては、作品世界を邪魔しないような必要最低限のものを伝えるニュアンスで収録したことも明かした。
また、コトリンゴさんはオファーの際にジャパン・ブランド・リードの水谷立氏にさまざまなヒントをもらったそうで、本編では辛いシーンも描かれる中で、悲しいだけではない希望のある音楽にしたかったとその制作を振り返った。

作品を通して感じたこととして、梶さんはゲームから連なる“つなぐ”というテーマを感じたそうで、大事な人を思い浮かべる物語になっていると言及。コトリンゴさんは主人公である孤児の心の癒やし方に触れていた。

映画の上映後にはthatgamecompany(以下、TGC)のCEOでクリエイティブディレクターのジェノヴァ・チェン氏、監督のエヴァン・ヴィエラ氏、音楽のケヴィン・ペンキン氏、プロダクションデザインのセシル・キム氏、田邊裕一朗氏が登壇してのトークセッションが行われた。

まずはチェン氏が会場の星の子どもたち(本作のプレイヤーの呼称)に向けて感謝の気持ちを述べる。今回のアニメーション映画はSwitch版のローンチトレーラーでの反響、そしてもっと見たいという声がアニメを作る動機となったという。
アニメを制作する上で、最初期のバージョンでは声を入れようと試行錯誤していたそうだが、本作のキャラクターは仮面をつけており、その状態で喋っていることをイメージできなかったそうで、結果的に音楽をより重要視するようになっていったと振り返った。
キム氏は、アニメ制作であってもゲームにおける自分たちのスタイルやカラーを変えること無く制作できたと語る。ゲームを好きな人たちの没入感を無くさないよう、子ども向けの絵本のようなアートに昇華していったことに言及していた。

音楽を手掛けたペンキン氏は、自身の音楽でどのようなことを伝えられるか悩んだそうだが、エモーショナルな音楽と現実的な音楽のバランスを考えた上で、劇伴音楽よりもゲーム的な音楽になっていると制作のアプローチを紹介。チャレンジしただけの価値があったと自負していた。
監督のヴィエラ氏はこの作品の監督、物語の伝い手として世界観を壊さないようにすることが使命だったと振り返る。当初は話したいこと、見せたいことがあって寄り道してしまうこともあったそうだが、最終的にキャラクターの感情や思っていること、伝えたいことに専念し、どう伝えるかに全集中したとのこと。
ゲームでプロダクション・デザイナーを務める田邊氏は、ゲームの世界観を壊さない、同じ世界を体験できるようにと意識して、制作スタッフにはたくさんの注文をしたという。そうした結果として、言葉が無くても、口がなくても、目がなくても感動する作品になったと語った。

チェン氏からは今回のアニメが4年前にストーリーを組み立てるところからスタートし、そのかたちができるまでに2年を費やしたというエピソードが語られる。そのストーリーを細分化したものはこれまでのトレーラーにも反映されてきたそうだが、その中で新たな発見を得て、作り直してきているとか。
過去のトレーラーは、今回のアニメの主人公である孤児とは別の主人公が出る物語になっているそうで、結果的に4回作り直していること、そしてまた次の作り直しもしなければいけないと思っていると話すなど、映像制作においても強いこだわりが垣間見える。
そうした試行錯誤を経て、TGCとして本当に満足できる結末がようやくビジョンとして見えてきたようで、続きも含めて物語の全貌を届けられる日を楽しみにしていると、先の展望も見据えていた。
タイトルにもあるように、今回のエピソードは前篇ということで、続きのエピソードも制作されることが随所で示唆されているが、孤児の物語としての結末を迎える、1本の映像作品として仕上がっている。悲しみと怒りの本質、慈しみをテーマとして掲げているという本作を、公開された際にはチェックしてみてはいかがだろうか。

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