2026年10月3日から4日にかけて、大阪のコングレスクエア グラングリーン大阪にてインディーゲームのイベント「OSAKA INDIE GAMES SUMMIT 2026」が開催された。ここではroom6のブースにて出展された「Detective NEKKO」のレビューと、開発者であるARA(アラ)氏へのインタビューをお届けする。

「Detective NEKKO」(ディテクティブネッコ)は新米探偵のネッコが相棒のジケンボとともに、さまざまな事件の解決に挑む一人称視点のシネマティックミステリーアドベンチャーだ。「誰も死なないミステリー」と銘打たれていて、ミステリーの定番である血生臭い殺人事件は起きないが、それでいて本格的な推理を楽しめるようになっている。
主人公のネッコは大きな目をしたかわいらしい見た目で、「見えすぎる目」という特殊能力を持っている。これは「相手の目に映った過去を見る」、「事件の全体像を俯瞰して見る」、「相手の自分への信頼度を見る」というもので、プレイヤーはこのネッコの特殊な能力を駆使して事件を捜査していくことになる。
今回の「OSAKA INDIE GAMES SUMMIT 2026」では、インディーゲームのデベロッパーでありながらパブリッシングも行うroom6のブースにてプレイアブル出展され、登場人物たちと話して証拠を集めたり、自分への信頼度を見たりする捜査パートを体験することができた。キャラクターの可愛らしい見た目もあってか、当日は女性のプレイヤーの姿がわりと目立っていた印象だ。外国人の来場者もけっこう立ち寄っていたようで、国外のファンからも注目されていることがうかがえた。

「誰も死なないミステリー」という看板に偽りなし!ゲーム冒頭と捜査パートの一部を体験
ゲームはいくつもの扉がある暗い部屋の中で、主人公のネッコがジケンボという謎のキャラクターと出会うところから始まる。ここでネッコはジケンボから、自分が何者なのか捜査してほしいという奇妙な依頼をされることになる。
会話の途中にはさまざまな選択肢が出現。これらの選択肢の選び方によってジケンボのネッコへの信頼度が変化する。ただ、ジケンボは最初からネッコへの信頼感が高く、ネッコのことをかなり気に入っていることが感じ取れた。


ジケンボとの会話が終わると最初の事件のチャプターが開始。ジケンボはネッコのカバンに姿を変えて行動をともにしてくれる。捜査の途中でジケンボに相談することも可能。不気味で得体の知れないジケンボだが事件解決のための頼れる相棒になってくれそうだ。
依頼者の家の前に到着すると、そこにはイッヌという探偵が待っていた。先輩のベテラン探偵である彼と一緒に捜査することになるのだが、イッヌのネッコへの信頼度は低く、心の中ではネッコのことをバカにしている様子。一方、ネッズという依頼人の少女はネッコに期待しているらしく、信頼度も最初から高めになっていた。


依頼人の家に入ると、ネッズから扉の奥には何人いるかという質問が。実は、ここまでの会話の内容から正解が導き出せるようになっており、正しい答えを選ぶとネッコへの信頼度がさらにアップする。信頼度が下がりすぎるとバッドエンドになることもあるようで、いろいろな場面で論理的に思考する本格的な知的ゲームが楽しめるようになっているのだ。
一方で、キチンとした調査を望むネッズに対して「まかせてください」と自信満々に答えるか、「あんまりジシンないです」と謙遜するかといった、どちらを選んだらよいか判断に迷う選択肢も出現。虚勢を張ってもいいことはないのではないか。でも、卑下したらかえって相手の信頼を損ねるのではないかと、筆者はどちらを選ぶべきかなかなか決められず、ここでの回答はかなり迷った。なまじ信頼度が見えるだけに、ちょっとした会話の選択で一喜一憂してしまう。これも本作ならではの魅力のひとつと言えるだろう。


容疑者たちの待つ部屋に入り、いよいよ捜査が開始。事件の内容はリビングでチーズケーキが盗まれたというもので、「誰も死なないミステリー」という看板に偽りなしだ。
捜査の対象になるのはネッズ、ネネ、ネッサというネズミの三姉妹。捜査パートでは彼女たちと話したり、室内にあるさまざまなモノを調べたりして情報を収集していくのだが、三姉妹との会話での選択がけっこうデリケートで、余計なことを聞き出そうとしたりすると機嫌が悪くなって信頼度が下がってしまうこともあった。捜査時に相手に何を聞くかというのもポイントになってくるので、あわてずにじっくり考えながら進めることが重要になりそうだ。



捜査を進めていくとチーズケーキが盗まれたリビングが密室であったことが判明。詳細は避けるが、この部屋が密室だった理由は論理的なものでミステリーファンもなるほどと感心するのではないだろうか。今回の試遊版は捜査パートのみで、事件を解決するところまではプレイできなかったが、どうやってこの密室を成立させたのか、早く事件の真相を知りたいと思わされた。
また、今回は体験できなかったが、相手の目に映った過去を見る能力で、容疑者の過去の行動を体験することで証言との矛盾を見つけたり、俯瞰する能力で容疑者全員の行動を比較することで証言のほころびを見つけたりすることも可能になっているという。これらの能力を使った推理も大いに楽しみだ。


6年かけて個人でコツコツ制作してきたという開発者のARA氏にインタビュー
「Detective NEKKO」の開発者であるARA氏はゲーム会社に勤めていて、UIデザイナーとキャラクターモデラーとして働きつつ、6年前からひとりで本作を制作してきたのだという。個人でゲームを作ろうと思い立った経緯や主人公をネコのような見た目にした理由、現在の開発状況など、さまざまなことを聞けたので、その模様をお届けしよう。
――まず、ARAさんの経歴を簡単に教えていただけますか。
ARA:ひとりで開発していて、作り始めたのが2020年頃なので今年で6年になります。私はゲーム会社に勤めていまして、仕事用のポートフォリオの充実のためにオリジナルのゲームっぽいものを作りたいなと思っていました。そこでオリジナルのキャラクターモデルとUIで見映えがいいものを作れないかなと始めてみたところ、もう少しアイディアを付け加えていったらゲームになるんじゃないかなと思い始めまして、それがスタートでしたね。
でも、自分だけで作っていくのって締め切りもないですし、心に燃料が欲しいなと思うようになったんです。そんなとき、集英社ゲームズさんが「ゲームクリエイターズCAMP」を立ち上げてゲームの企画コンペなどを始められたので、そうしたものにどんどん参加するようになりました。そこからはそれをマイルストーン(中間目標)にして開発を進めていくというスタイルで活動していきました。それがきっかけで2024年の東京ゲームショウの「Selected Indie 80」に出ることになり、そこでroom6さんにお会いして今に至っています。
――おひとりでずっと開発を続けられてきたんですか。
ARA:そうですね、黙々と作ってきました。会社員で仕事終わりの時間や休日とかに開発時間を捻出しているので、それで時間がかかってしまっています。

――ネコのような見た目のキャラクターにした理由を聞かせてもらえますか。
ARA:私はネコ好きですが、ネコのキャラクターを作りたいから始まったのではなく、デザイン的な理由のほうが大きかったです。ひとりで作っていて時間があまりないので、キャラクターデザインを簡略化する必要があったんです。
フォトリアルのいろいろ着込んだ感じのキャラクターデザインだと、それだけでキャラクターを作るのも制御するのも時間がかかってしまいます。それでデフォルメしたキャラクターにしたんです。目を引くキャラクターデザインといいますか、シルエットでちゃんと特徴が出るキャラクターにしたいという考えがあり、帽子をかぶせるかとか、いろんな選択肢がありましたが、耳を生やして特徴を出そうということでネコのような見た目になりました。
また、キャラクターのモデリングをしなければならないというのも大きかったですね。このゲームにはイヌやネズミっぽい子もいまして、けっこう見た目では違う印象を受けるかもしれませんが、実はキャラクターモデルの素体は全員一緒で、耳で差別化しているんです。

――「誰も死なないミステリー」にした理由は何でしょう。
ARA:ミステリーや推理系はゲーム、小説、映画、みんな大好きなんですけど、「めっちゃ人死ぬやん」みたいなことを思ったりすることがありまして(笑)。人が死んだり登場人物がひどい目に遭ったりするのって、言い方は悪いですけどフックになるところがありますよね。
でも、私は物語のために人を殺したくないみたいな考えが普段からありまして、「安心してください。死なないッス」というようなことを言ってみたかったんです。推理モノって証拠集めとか論理的思考が面白いところだと思っていますので、必ずしも人が死ななくてもいいんじゃないかということで、そこは真っ先に外しました。
――人が死ぬことをフックにするのには抵抗があったと。
ARA氏:そうですね。ただ、人が死なないっていうのも、裏側に人が死ぬことがフックになるというのがあるからで、私もそこをフックにしていると言えばしているため、そうした自己矛盾みたいなのはありますけど、以前から言いたかったことではあるので、あえてという感じです。
――プレイ時間はどれくらいを想定されていますか。また、事件の数はいくつくらいになるのでしょうか。
ARA:今回の試遊版は、現状ではゲームの2~3割を想定しています。全体のプレイ時間は未定ですが、骨太の映画くらいでしょうか(笑)。めっちゃ寄り道したらもっとかかるかもしれないです。事件の数についてはネタバレになるので詳しくは言えませんが、今回の試遊版の「誰がチーズケーキを食べたんだろう」から紐づいて何かが起きるかもしれません。
――「見えすぎる目」というネッコの能力はどのようにして思い立ったのでしょうか。
ARA:自分のモノづくりの特徴といいますか、一貫性のあるものが好きなんです。目の能力にしようと思ったのはキャラクターデザインに起因しているところがあって、先ほどのお話のように引きのあるキャラクターにしたい、かつデフォルメでとなったときにパーツを誇張しようと思い目を大きくしたんです。だったら、この目とゲームシステムが紐づいている方がキャラクターデザインとの一貫性があってキレイだろうと。
さらに、ゲームの中でシェーダーといいますか、見た目が白黒反転するみたいな映像的変化をよく使っていますが、目の能力を使ったから世界が反転して見えているということにすれば、つじつまが合うと考えました。
ただカッコいいから絵を白黒反転させているだけだと自分の中ではあまり一貫性がないので、そういう風に1個1個を繋げて考えていった結果、目に能力を持たせることになりました。
――キャラクターデザインの大きな目がスタートだったんですか。
ARA:そうですね。もし、目が小さくて手がデカいキャラクターデザインだったら手を使ったゲームになっていた可能性はあります。今回はブースもroom6さんに手掛けていただきましたが、キャラクターの目に注目するようなブースデザインになっています。


――そのほかに注目してほしいポイントはどこになりますか。
ARA:捜査パートのあとの推理パートで目の能力を使った本格的な推理が始まるんですけど、そこでビジュアル的に面白いことをやっています。自分はUIデザイナーとキャラクターモデラーをしていまして、UIをこうやって見せたらより面白いといったアイディアを推理パートに詰め込んでいるので、けっこう見どころになっているかなと思います。
――会話時の選択で信頼度が上がったり落ちたりしますが、事件の解決と絡んできたりするのでしょうか。
ARA:はい。探偵の本懐って、この探偵にどれだけお願いできるかみたいなところだと思うんです。だから、信頼度が低くなればざっくり言うと追い出されます(笑)。それが探偵としてのHPみたいになっているんです。
――解決までたどり着かなかったらゲームオーバーみたいなこともあり得るわけですか。
ARA:全然あります。このゲームはマルチエンディングで、けっこう初めのほうで終わっちゃうバッドエンドみたいなのもあったりします。すぐにゲームオーバーにはならないようになっているためリカバリーも可能ですが、(信頼度が)一気にゴッソリ減ったりすることもありえます。
――当てずっぽうな推理ではダメなんですね。
ARA:そうですね。ちゃんと論理立てないと難しいと思います。ただ、そういう推理に慣れていない人のために段階を踏んでいけるようにはしています。ここでのコレは何だったんだろうっていうところで1回答え合わせみたいなのがあって、そこで間違えると減るみたいな。「逆転裁判」や「ダンガンロンパ」みたいなミステリーゲームでも途中途中に確認を挟んでいく流れがありますよね。表現は全然違っていますが、それらと似たものになります。

――来場者のプレイをご覧になってみての感想や手応えを聞かせてください。
ARA:今回の試遊は20分と長めにしたので大丈夫かなと心配もしていたんですけど、ちゃんと最後まで遊んでくださる方が多く、「この後の展開が気になります」みたいなことも言ってもらえたりしたので、ひとまずホッとしています。
「Detective NEKKO」って、家でのんびりコーヒー片手にひとりでプレイするたぐいのゲームと思っているので、こういう賑やかな場所で他のゲームも遊びたいであろう中で、けっこう前のめりにプレイしてくださっていたのは、ちょっと自信になりましたし頑張ろうと思いましたね。
――今回の試遊版は証拠集めが終わったところで終了でしたが、狙いがあったりしたのでしょうか。
ARA:いえ、試遊版に捜査も推理もパッケージングできたら一番いいんですけど、私は個人で作っているので試遊だけのものを作る工数的な余裕がなかったんです。でも製品版で違和感のないところで切るというのも難しかったです。もちろん推理パートを入れることも可能でしたけど、そうすると試遊版としては長くなり過ぎるので、今回は苦肉の策で捜査までにしました。
――体験版の配信は考えておられますか?
ARA:体験版については検討中です。リリース時点で多言語対応するのか、Steam以外でも同時に出すのか、出せるのかみたいなところも含めてまだすべて相談中です。現状のプラットフォームはSteamになりますが、コンシューマーにも対応したいという意欲はあります。このイベントが終わったら、振り返りも兼ねてそういったところも話し合っていかなくてはと思っています。
対応する言語は日本語、英語、簡体字、繁体字を予定しています。今日は英語圏のお客さんも多かったので英語版を急がなきゃなっていう気持ちです。ローカライズは何万字になるかわからないですが、システム自体はもう組み込んであります。あとは翻訳して流し込んでテストしてみたいな感じで、準備自体はすでにしています。
――開発の進捗状況を教えてもらえますか。
ARA:5~6割ぐらいでしょうか(苦笑)。半分はいっています。年明けぐらいに並行してデバッグもやって安定させていきたいですね。
――ついにゴールが見えてきた感じですか。
ARA:そうですね、あと少しなので加速していかなきゃと思っています。2026年も終わりに近いですし。イベントの後って、やり切ったみたいな達成感があるんですけど、そんなことを言っている場合じゃないですから。
ただ、こういうイベントに出て、遊んでくださる方の前向きな反応をもらえるのはありがたいですし、モチベーションになります。ここでどれだけ踏ん張れるかで最終的な品質が変わるというのは仕事でもよく経験しているので。
ちゃんといいものを届けられた方が自分もうれしいですし、遊んでくださる方もうれしいと思いますので、めっちゃ頑張ります。

――最後に今回試遊した方や本作を待ってくれている方へのメッセージをお願いします。
ARA:まず、会場に足を運んでくださった方には特大の感謝を。本当に遊んでくださる方あってのゲームなので、めちゃくちゃうれしいです。新規で来てくださった方ももちろんうれしいですし、過去にイベント出展した際に遊んでくださった方が再度来てくださったりもしました。本当にモチベーションになりますのでありがたいです。
インタビューの中で答えさせていただいた通り、開発は順調に進んでいまして2027年の発売を目処に鋭意開発中です。面白いものができてきていると思いますので、何卒よろしくお願いします。
あと、これは開発者さん向けになるんですけど、自分が開発を始めたのはゲームを作りたいみたいな壮大な志からでは全然なく、ちょっとやってみようかなっていう軽い感じからでした。それからもうちょっと面白くしたいと、いろいろイベントに参加するようになって、その中でroom6さんと知り合うことができました。
こういった会場に来る方の中には自分もゲームを作ってみたいと思っている方が絶対いると思います。周りを見てこんなすごいゲーム作れないとか思わなくて全然いいです。ゆる~く始めて何となくやっていきましょう。それでちょっと違ったかなと思ったら、一旦休んでもいいと思いますので気軽に一緒に頑張りましょう。
――ありがとうございました。
(C)ARA / room6
※画面は開発中のものです。
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