【CEDEC 2012】PS Vita版「sFace」や「SmartAR」で出来ることは―「PlayStation Vitaの機能紹介」講演内容をお届け

発表会・イベント取材
0コメント やまぐ

2012年8月20日から22日までの3日間にわたって、パシフィコ横浜にて開催されたゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC 2012」。ここでは、ソニー・コンピュータエンタテインメント 開発サポート部の秋山賢成氏の講演「PlayStation Vitaの技術紹介」の模様をお届けする。

「PlayStation Vitaにおける認識技術」

秋山賢成氏
秋山賢成氏

本講演は「PlayStation Vitaにおける認識技術」「PlayStationフォーマット同士の連携」「GAME CAMPUS FESTA」「PlayStation Mobile」の4つのテーマに沿って進められた。まずは、「PlayStation Vitaにおける認識技術」について。

これまでのプレイステーションプラットフォームには標準でカメラが付いていなかったが、PlayStation Vita(以下、PS Vita)では前面と背面の2か所にカメラが付いている。このカメラから取り入れた映像をPS Vita上でリアルタイムに処理することで、現在の現実世界の状況をPS Vita上で理解させることができるという。

秋山氏はその一例として、フロントカメラ(前面カメラ)では人が喋っているのか怒っていのかといったプレイヤーの顔を、リアカメラ(背面カメラ)では空間や地形、コリジョンをそれぞれ認識できると説明した。これらを活用すれば、顔の表情などをカメラが認識し、それをアバターに反映させてアバター同士で会話させることもできるという。この機能が使えれば、ネットワーク越しでは人の顔を見て喋るのが苦手な人でもコミュニケーションを取りやすくなるだろう。

プレイヤーや空間の認識には、顔認識技術「sFace」とAR技術「SmartAR」が使われている。sFaceはすでにソニーの製品で使われており、被写体の笑顔を認識してシャッターをきる「スマイルシャッター」機能が有名どころだが、技術そのものはPS Vitaでも使用できるようになっている。

sFaceは、まずカメラで映した画像内のどこに顔の形状があるかを探し、顔が横を向いているかなどを大まかに認識するという。さらにどんな顔なのかを認識するため、目、鼻、口といった基本的なパーツを認識し、次に各パーツを詳細に調べることで顔の表情などを認識できるのだ。各認識情報を辞書登録しておけば、「この人はAさん、あの人はBさん」といったように、次回から人物を判別することも可能とのこと。

sFaceはPS3にもPS Vitaにも搭載されており、どちらもほぼ同等のスペックだが、マシンパワーが違うため、同時に認識できる数などには差があるようだ。しかしPS Vitaはかなりチューニングを行っているらしく、処理が非常に軽量ですぐ認識できるようになっているほか、PS Vitaをプレイする際は腕を顔の前に持ち上げるより画面を覗き込むことになることが多いため、下アングルからもちゃんと認識できるよう、自分撮り用アングルでの認識精度も向上させているという。

また、リアカメラで使われている「SmartAR」の機能として「ターゲットトラッキング」と「空間認識」についても触れられた。ターゲットトラッキングは、あらかじめ登録されたテクスチャを認識して追尾するというもの。よくある白黒のARマーカーではなく、ゲームのキャラクターやパッケージをマーカーの代わりに見立てて使うことができ、画像の一部が欠けていても認識可能という強みを持つ。対象をとらえる精度も高いので、マーカーを横にしたり床に放り投げたりしてもすぐに認識するようになっている。

一方の空間認識は、単眼のSLAM技術を活用してカメラに映した空間の三次元構造を構築するというもの。SLAM技術は、画像内の特徴点を認識して、その特徴点が前のフレームからどれだけずれたかを計算することで、移動距離などから奥行きを計算できるというもの。下のスライドでは点になっているところが特徴点であり、この特徴点が増えていくことで3Dの平面を作ることができるのだ。

物体の三次元構造が認識できれば、コリジョンを取ったり、高さのあるものは影を落としたりすることも可能だという。AR技術は実際の空間にないものなので違和感がぬぐえないこともあるが、平面を認識して影を落とすことで、ゲーム世界と現実世界が融和するような仕組みになっているとのこと。

SmartARの利用例には、PS Vita用ソフト「みんなのゴルフ6」がある。同作では、ARを使って画面内にキャラクターを出現させ、好きな角度から眺めることができる。また、セガから2012年8月30日に発売となるPS Vita用ソフト「初音ミク -Project DIVA- f」では、ARライブという機能が搭載されている。

ARライブは、マーカーを認識することで初音ミクが登場してライブパフォーマンスを披露してくれるというもの。同梱されたマーカーの種類のシーンをマッピングするため、さきほど恐竜が写っていたデモのように、マーカーを視野に押さえていなくてもライブ鑑賞が可能という特徴がある。そのため、カメラを近づけたりダンスの動きを追いかけたりと、さまざまなアングルでミクさんのダンスを見ることができるというのだ。

そのほかにも、マーカーを中心に置くことで空間を認識させ、PS Vitaをパドルに見立ててホッケーをするという技術デモ「AR Hockey」も紹介された。スマートフォンでは傾きセンサーが主流だが、PS Vitaでは平行移動も精度よく取れるため、ホッケーのような遊びも可能だという。しかもこの空間は、複数のユーザーで共有できる。

PlayStationフォーマット同士の連携

2つめのテーマ「PlayStationフォーマット同士の連携」では、E3でも発表された「Cross-Controller(クロスコントローラ)」の説明が行われた。これはPS3のゲームでPS Vitaをコントローラとして使えるというもの。秋山氏はPS3のコントローラ「DUALSHOCK3(デュアルショック3)」も良くできているというが、PS Vitaをコントローラとして使うことで「有機ELディスプレイやタッチパネルとタッチスクリーンといった、デュアルショック3にはないものを活用することで、ゲームの面白さの幅を広げる可能性があると思っています」と述べた。

考えられる使用例としては、トランプなどのテーブルゲームで手札を自分のPS Vitaの画面に表示させたり、PS3のオンラインロビーで人が集まるまでPS Vitaで遊び、それをPS3にいる自分のキャラクターに反映させて待ち時間を有効に活用するといった内容が挙げられた。そのほか、PS Vitaをかつてのポケットステーションのように使い、外出先で遊んだ内容を後でPS3と連動させるなど、いろんな可能性があるという。

また、PS VitaとPSPのアドホック通信も可能となっており、10月18日には初のPS VitaとPSPのアドホック通信対応タイトルである「ダンボール戦機W」がレベルファイブより発売となる。

ゲームキャンパスフェスタ

続いては「GAME CAMPUS FESTA(ゲームキャンパスフェスタ)」に関する内容が展開。「ゲームキャンパスフェスタ」は、グラスホッパー・マニファクチュア主催による才能発掘プロジェクトであり、学校などの教育機関を対象としたPS Vita向けのゲーム作品コンテストのこと。

SCEもプラットフォーマーとして関わっており、プレコミュでは開発チームや、審査を通過した作品の紹介などが行われてきた。PlayStation Plus会員向けにはバウチャーコードが配布され、実際に学生たちによる作品をプレイする機会も与えられていた。プレイ後にはアンケート調査も行われており、操作面で粗さが目立つといった指摘があった一方で、アイディアや企画を評価している意見が多かったようだ。

PlayStation Mobile

最後は「PlayStation Mobile(以下、PS Mobile)」について。ここではまず、秋山氏から「PS Mobileは、PS3やPS Vitaといったゲーム専用機だけでなく、スマートフォンやタブレットなどにプレイステーションの世界を拡大する新たなプラットフォームです」というコンセプトが語られた。

クロスプラットフォーム、クロスデバイスによりプレイステーションの世界を広げることで、これまでPS3やPS Vita向けにゲームを制作してきたメーカーだけでなく、カジュアルやソーシャルといった、ライト向けコンテンツ制作を得意としているメーカーにも参入してもらいやすくするという狙いがあるようだ。コンテンツ開発にプレイステーション専用のSDK(ソフトウェア開発キット)を使用することで、クロスデバイスを実現しているとのこと。

なお、実機デバイス上で動作を確認する際、一年更新によるライセンスフィーを支払うという料金形態が取られているが、SDKのダウンロードは無料で行える。個人のクリエイターにも活躍の場所を提供していきたいと考えているようで、プラットフォーム参入に必要とされる手続きも簡素化されている。

ゲームキャンパスフェスタのようにPS Vitaでの開発と比べると少し機能が制限されるようだが、秋山氏は「その分、簡単にゲームを作れるような開発環境を提供していきたい」としている。実際に制作したコンテンツは、SCEに提出して品質管理プロセスなどを経ることで、PlayStation Storeを通じて販売することが可能だ。

開発も効率的に行えるよう、SDKにはライブラリやツールなどがすべて含まれており、さらにUIライブラリやUIレイアウトツールなど、ゲーム以外のアプリ開発も可能だという。ほかにも、シェーダや2Dゲーム、ウィジェットライブラリのソースコードがあるため、同梱のコードを参考にしたり流用しながら開発を進めることもできる。もちろん、ライトなものだけでなく、リッチなコンテンツも作れるよう、3Dモデルの描画とアニメーション、2Dベースの物理シミュレーションもサポートしているとのこと。

また、デベロッパー間で議論したり、サンプルを披露するといったこともできる開発者フォーラムも用意されている。海外ではオープンフォーラムが活発であるため、秋山氏は「日本の方にもそういったフォーラムに参加していただき、オープンにすることで切磋琢磨しながらいいものを作っていく未来を作りたいなと考えています」とコメント。最後には「この開発者フォーラムでも質問やサポートが必要だと思いますが、SCEのエンジニアも随時参加していますので、ぜひご投稿いただければと思います」と述べ、講演を締めくくった。

※画面は開発中のものです。

本コンテンツは、掲載するECサイトやメーカー等から収益を得ている場合があります。

コメントを投稿する

この記事に関する意見や疑問などコメントを投稿してください。コメントポリシー

関連タグ

注目ゲーム記事

ニュースをもっと見る

ゲームニュースランキング