ソニー・コンピュータエンタテインメントが現地時間5月15日にイギリスで開催した「グランツーリスモ」15周年記念イベント。ステージ終了後、ポリフォニー・デジタル 代表取締役プレジデント 山内一典氏にインタビューした内容をお届けする。
「グランツーリスモ」シリーズプロデューサー山内氏へのインタビュー
――ステージで発表された「グランツーリスモ6」(GT6)の拡張性とはどのようなものですか?
山内氏:ひとつは、マルチデバイスに対する拡張です。クライアントだけではなく、サーバー側も同様です。
PS3で今年の冬をターゲットに「GT6」を作りますが、その後には、PS4バージョンもあり、そういった意味での拡張性です。まずはPS3バージョンで楽しんで貰いたいのですが、PS3バージョンが登場し、アップデートやDLCが提供され、プレイヤーの皆さんがPS3バージョンを楽しみ尽くした頃に自然とPS4バージョンが登場する形が良いと思っています。
リファクタリングってきりがないんですよね。完成したあとにリファクタリングしたくなるんです。最後にいろいろな物を足しますから、どうしてもシステムの構造が複雑になってしまうんです。ただ、「グランツーリスモ」の作り方は急がば回れなので、なにか成し遂げたいと思ったら、遠回りしでもきちんと作っていきます。
――昔の山内さんに今の「グランツーリスモ」を見せたらどんな反応をすると思いますか?
山内氏:こんなゲームが遊びたかった、自分の夢が叶ったって思うと思います。
――「グランツーリスモ」の15年間の進化は自身でも驚いていますか?
山内氏:常に目の前にあるものを良くしていこうと繰り返してきただけで、狙ってできたわけではないです。15年間にわたって、ひとつのタイトルを同じチームで作ってこれたことは、幸運だったとしか言い様がないです。ゲーム開発でこんなチームは無いと思います。
――グラフィックの向上でユーザーに驚きを与えてきましたが、今後「グランツーリスモ」で驚きを与えたいポイントは?
山内氏:レースゲームに限らないと思いますが、ハードウェアが成熟してくると、素人目には何が変わったのかがわからなくなってくると思います。もちろん、プロフェッショナルな目で見れば変わった点がわかりますが、違いがわかりにくくなっているのは間違いないです。
新しいテクノロジーが大好きですから極めたいですし、「GT6」におけるPS3もそうですし、将来登場するPS4もそうです。それと同時に、キーワードはプレゼンテーションでも話したリアルとバーチャルの“Edge Effect”Activity。つまり境界作用がおきることにより、なにか面白いことが生まれる。その辺りに、凄く大きな可能性があると思っています。
――笑顔で20周年を迎えるための中長期的展望を教えて下さい。
山内氏:あまり中長期について考えたことはないのですが、基本的には目の前のことをきちんとやる。改善できることを改善していくことにつきます。
――「GT6」でリアルとバーチャルの差をどこまで縮めることができるのでしょうか?
山内氏:実は差を埋めていく作業ではないのです。リアルとバーチャルがお互いに影響を与え合って、現実が変容していくことが一番面白いんです。必ずしもリアルが絶対で、それに対してバーチャルが間合いを詰めていく話ではなく、相互作用しながら面白いものが生まれていくことが「グランツーリスモ」の営みだと思います。
――今後どういったことを実現していきたいですか?
山内氏:エアロダイナミクス、ダンパー、タイヤもそうですが、何かを成し遂げるために、それがそのままCPUの計算力があればできるという話ではなくて、わからないことがわかるようになることも進化の上ですごく大事なんです。これはCPUパワーをより絞り出したからできるようになった面もありますが、それ以上に、これまでわからないことがわかるようになったことが凄く大きいです。
――ありがとうございました。
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