【GTMF 2013】新シリーズ「Live2D Euclid(ユークリッド)」に関する展開も―Live2Dの紹介講演「2次元モデリングの持つ可能性」レポート

発表会・イベント取材
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2013年7月23日に開催された「Game Tools & Middleware Forum(GTMF)」。サイバーノイズとボーンデジタルによる「Live2D」の紹介講演「2次元モデリングの持つ可能性」の模様をお伝えする。

「Live2D」は、完全2Dのまま立体表現を可能にした表現技術のこと。数年前から開発が行われており、当初はベクターデータの原画からLive2Dモデルを構築して動かす「Live2D Vector」が発売されていたが、現在はラスターデータを扱える「Cubism(キュビズム)」シリーズが展開されている。

公式サイトにアクセスすると、制作の様子や実際にキャラクターが動いているシーンを簡単にまとめたムービーが再生される。この映像ができるまでの主な作業は、一枚の原画からパーツを切り出し、エディタ上でLive2D用にモデリングし、そこにモーションを付けて映像として出力するという流れ。後はエフェクトなども掛けられているが、一枚の静止画から表現できるレベルをこの映像から想像することができるだろう。

Live2Dの採用作品数については、2009年の提供開始以来、倍増以上のペースで増えており、2012年では約30作品で採用されている。2013年もこれを上回るペースでリリースが続いているようで、記憶に新しいところでは、5月16日にバンダイナムコゲームスより発売されたPSP用ソフト「サモンナイト5」でも使用されている。

まだサイト上では告知されていないものでは、スクウェア・エニックスが提供するブラウザ向けのオンラインRPG「千年勇者」でも採用されており、立ち絵を動かすだけではない、新しい使い方も出てきているという。

実際に制作を行うツールとしては「Cubism Editor」と、このエディタで作ったデータをゲームやアプリでリアルタイムにコントロールする「Cubism SDK」がある。エディタはPC上で動作するツールだが、SDKはプラットフォームごとに用意されているので、出力するプラットフォームごとに合わせて使う形となる。

概要説明の後には、エディタでの制作フローについても触れられた。まずはイラストに対してどのような動きを付けるのか、プロジェクトにおいてどのような使い方をするのかといったモデル化をするための方針や、最終的に動作させるプラットフォームを決めておく必要がある。

方針を決めた後は、それにしたがって素材を作成。動かしたいイラストをパーツごとに切り分け、エディタ上で読み込めるよう、テクスチャ化していくのだ。ここで作った素材を基に、次のモデリング作業でテクスチャを配置したり、パラメータやデフォーマの設定を行っていく。

最後にモデルにアニメーションを付けたら、組み込み用の出力データや映像データなど、使用するプロジェクトに合わせて最適な形式を選んで出力する。音声データに合わせ、リップシンクさせることも可能だという。

エディタでの作業の中でポイントとなるのが、変形を効率的に行う「デフォーマ」と呼ばれる編集機能だ。ポリゴンのパーツごとに変形を加えることもできるが、そうすると作業が膨大になってしまうため、ポリゴンを器に入れて器ごと変形させるといったイメージで、変形の設定を行うことができる。器自体を変形させるため、パーツ自体に変形値を持たせないこともできる。

こうして制作したモデルデータをアニメータで読み込み、その中でアニメーションを付けていくのだが、モデルデータとアニメーションが分かれているため、ひとつのモデルを作っておけば、後からモーションを増やせるというメリットがあるようだ。

続いては、SDKでの開発について。対応済みのプラットフォームや、プラットフォームごとに使用する言語などは下記のスライドで一覧をチェックできるが、基本的には現世代機に対応しており、次世代機にも対応予定となっている。この一覧に書かれていないプラットフォームについても、問い合わせや市場の需要が高ければ対応を検討していくというので、今後も拡張は続けていくことが考えられる。

SDKでの作業は、まずモデルデータ(.mocという専用のフォーマット)を読み込み、モデルとテクスチャの関連付けなどを行っていく。その後にモーションデータをロードするのだが、データ内にはモデルに使用されているパラメータのIDと、各フレームでのパラメータの値が配列として書かれている。モーションを再生する際には、このファイルを読み込み、モーションマネージャにデータを渡して再生することで、モデルに変更が適用される仕組みになっている。

プロジェクトで使用する際は、モデラと呼ばれるものから出力されるモデルデータ(.mocと、テクスチャの.pngファイル)と、アニメータから出力されるアニメーションデータ(.mtnファイル)をセットにして読み込むことになる。先述の通り、SDKはプラットフォームごとに用意されているので、プラットフォームが異なるプロジェクトであれば、それぞれでコントロールしていく。

プロジェクトに組み込む各ファイルについても触れておこう。まずモデルデータ専用の「.moc」ファイルは、より細かくモデルを動かすのであれば、それに応じてサイズや計算量も大きくなるように、稼働領域とデータサイズ、そして計算量が比例するような関係性になっている。複数体のモデルを表示させる場合、パワーのないプラットフォームでは、モデル制作時に動きを限定したり、ある程度サイズの軽量化を意識する必要が出てくるとのこと。

「.moc」と同じようにモデラ側に「.png」形式のテクスチャもある。テクスチャは標準で1024、512、256のサイズが出力されるようになっており、最終的に必要とされるプロジェクトにどれを使用するか選択できる。pngに対応していない場合や、ハードによって専用のフォーマットを使う際は、pngから変換して組み込んでいくこととなる。

アニメータで設定したアニメーションデータは、「.mtn」形式として動作ごとに出力されるが、前後のモーションが滑らかに繋げることにはすでに対応済みだという。

あくまで目安となるが、各ファイルのサイズとメモリ消費量の一例も公開された。一番サイズが大きいのはやはりテクスチャのようで、最終的に描画したいハードの性能や、求めるビジュアルの品質によって、テクスチャの品質を調整する必要が出てくる。

現状のスマートフォンでのレギュラークラス、画像をアップにした際もある程度キレイに見られるものであれば1024サイズのものが3枚程度必要になり、容量は1.5MBぐらいになる。サイズを優先すれば300KB程度まで落とすこともできるが、ソーシャルコンテンツの案件では数十KBまでサイズを小さくしたいという要望もあるとのこと。可動範囲や表示する領域をかなり限定すれば、この数十KBというレベルも実現できそうなところまで来ているというので、容量の問題が解決できれば採用作品が一気に増えるかもしれない。

Live2Dでキャラクターを動かせるのは1体だけでなく、複数体を動かすこともでき、iPhoneで実際にパフォーマンステストをして計測したフレームレートも公開された。端末によって結果が異なるものの、3体~4体までは実用的に使用できる範囲だろう。

iPhone 4Sであれば4体表示させても30fps以上をキープしているので、今後新しい端末が出れば、さらに高い数値が出ると予想されている。もちろんLive2Dを使ったキャラクターの表示だけでなく、UIや背景など、実際にゲームで使う場合にはほかに何が描画されているのかを考慮する必要も出てくるだろう。

最後に、新シリーズ「Live2D Euclid(ユークリッド)」の紹介も行われた。現行のLive 2Dでは傾きが大体30度までの範囲で使われることが多いというが、さらに可動範囲を広げて動かそうとすると、実際の制作過程において現実的ではない部分が出てきてしまうようだ。

そこで「Euclid」シリーズでは、2Dのまま360度の表現を可能にし、今の限定的な使い方ではなく、本格的なRPGからアクションゲームまで、2Dイラストの品質を保ったままジャンルを問わず使えるものを目指すとのこと。

技術的な方向性としては、3D空間に配置することを前提として、3D的な骨格が導入される。骨格周辺に2Dの絵を配置して滑らかに変化させたり、同じ部位でも多重に定義できるような仕組みとなる予定だけでなく、必要に応じて3D表現を使用できるようにしていくことも考えられている。

表現としては、原画そのままのキャラクターが自由に動き回り、引いても寄ってもモデルがイラストと同様の品質で動くものが目標とされている。また、3Dと2Dによる360度の表現を実現させれば、シーンを限定しない幅広い表現力が生まれ、現在メインで使われているインタラクティブなコミュニケーションアプリだけでなく、本格的な映像作品としても使えるツールになるという。

なお、「Euclid」のエディタはPCベースで提供される予定となっており、SDK、最終的に動作させるプラットフォームについてはPS4をターゲットに開発されている。現行の「Cubism」シリーズだけでなく、新たに開発されている「Euclid」シリーズの展開も楽しみにしておきたい。

※画面は開発中のものです。

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