CEDEC運営委員会は、コンピュータエンターテインメントに関わる技術およびその開発者を表彰する「CEDEC AWARDS 2013」の5部門の最優秀賞を決定し、本日8月22日、「CEDEC 2013」会場にて授賞式を行った。
本日発表した最優秀賞は、各部門優秀賞を対象に、CEDEC 2013受講申込者、講演者と、CEDEC運営委員会の投票により決定。授賞式では昨年に引き続き、2012年7月に結成されたゲーム音楽を主体に演奏活動を行う「日本BGMフィルハーモニー管弦楽団」による演奏が行われたという。
各部門の最優秀賞授賞者および授賞理由は以下のとおりとなっている。
CEDEC AWARDS 2013 最優秀賞
「CEDEC AWARDS」は、コンピュータエンターテインメント開発の進歩へ顕著な功績のあった技術にフォーカスし、技術面から開発者の功績を称え表彰するものです。2008年に初めて開催し、今回で6回目の開催となります。
去る7月8日(月)には、「CEDEC AWARDS 2013」の最優秀賞候補となる、「エンジニアリング」「ビジュアル・アーツ」「ゲームデザイン」「サウンド」「ネットワーク」の5部門25の個人・団体の優秀賞授賞者(最優秀賞ノミネート)を決定しました。この優秀賞の中から、CEDEC 2013受講申込者と、CEDEC運営委員会の投票により、栄えある各部門の最優秀賞授賞者が決定されました。
また、本日は、各部門の最優秀賞の授賞式に加えて、過日発表いたしました「CEDEC AWARDS 2013特別賞」と、ゲーム関連書籍の著者に贈る、「同・著述賞」授賞式も行われました。
エンジニアリング部門
Oculus Rift Development Kit – 圧倒的で革新的なVR環境の提供
「Oculus Rift」開発チーム (Oculus VR, Inc.)
授賞理由:ゲームに特化したHMD。本格的な展開はこれからだが、デモレベルのソフトウェアにおいても圧倒的で過去にない没入感を提供している。広い視野角をもった本格的なVRデバイスを普及可能な価格で提供し、オープンなSDKとともにゲームに新しい変革をもたらす高い可能性を評価。
ビジュアル・アーツ部門
3Dの空間を生かした大胆な演出と、2Dアニメーションのキャラクター表現の融合
「アニメ ジョジョの奇妙な冒険」オープニング制作チーム(有限会社神風動画)
授賞理由:JOJOの世界観をより特徴的にアレンジし、読者のイメージを上回る表現と、心地よい疾走感のある演出は、JOJOファンのみならず視聴者を惹きつける力がある。
3Dの空間を生かした大胆な演出と、2Dアニメーションのキャラクター表現の魅力、そして荒木飛呂彦先生の描く劇画タッチの全てを見事に昇華した映像はまさに、神風動画の真骨頂と言える。
ゲームデザイン部門
新規性の高いメカニクスデザインと、ゲームクリエイターという職業の一般への周知に対する功績
飯野賢治 氏(故人)
授賞理由:インタラクティブムービーの手法を用いた「Dの食卓」、音で敵の位置を特定する「エネミーゼロ」、画像がないビデオゲーム「リアルサウンド~風のリグレット」など、数々の挑戦的なメカニカルデザインとメディアミックス的な作品作り。広くメディアにゲームクリエイターという存在を訴え、一般にゲーム開発者が認知されるようになった功績を評価。
サウンド部門
豊富な感情表現ができる画期的な音声合成技術
「CeVIO Creative Studio」開発チーム(CeVIOプロジェクト)
授賞理由:革命的とも言える、豊かな感情表現が可能な音声合成技術をもとに、まったく新しいユーザー生成コンテンツ(UGC)展開の可能性を切り開いた。より裾野の広い展開を見据え、コンテンツ作成ツール(CeVIO Creative Studio FREE)を無償で提供している。
ネットワーク部門
ユーザ間のインタラクションの方法を増加させた
「ニンテンドーDSシリーズ」すれちがい通信技術 開発チーム(任天堂株式会社)
授賞理由:ニンテンドー3DS/DSのすれちがい通信によって、ユーザ間のインタラクションの方法を増やしていき、ゲームの可能性を大きく広げた。特に他のゲームを遊んでいてもすれちがい通信できる事は可能性を広げる。
CEDEC AWARDS 2013 特別賞
久夛良木 健氏
授賞理由:家庭用ゲーム機「プレイステーション」の発想者・開発者である久夛良木氏は、「プレイステーション」を世界中に普及させ、世界的なコンピュータエンターテインメント市場の創出と発展に寄与しました。後継機では、単なるゲーム機の機能を超え、半導体先端技術とデジタル情報処理技術の融合による情報技術の牽引役として、コンテンツ流通や関連分野にまで革新をもたらしています。
CEDEC AWARDS 2013 著述賞
「ゲームを動かす技術と発想」(ソフトバンククリエイティブ・刊)著者
株式会社バンダイナムコスタジオ 堂前 嘉樹氏
授賞理由:本書は、プログラマではない人や、プログラマを目指す人に対して、基礎となるコンピュータサイエンス、数学、物理をわかりやすく解説していること。
「ゲームの作り方 Unity で覚える遊びのアルゴリズム」(ソフトバンククリエイティブ・刊)著者
株式会社バンダイナムコスタジオ 加藤 政樹氏
授賞理由:本書は、ゲームを作る観点からのゲームアルゴリズムを解説するもので、さまざまなゲームジャンルの仕組を多くのTIPS を交えながら学ぶことができること。
「日本BGM フィルハーモニー管弦楽団」について
「BGM だったゲーム音楽を表舞台へ。」バックグラウンドではなく主役の音楽へ。ゲームという枠を超えた音楽へと昇華させ、ゲームファンのみならず多くの音楽愛好家の方々に愛される活動を」という想いのもと設立された、ゲーム音楽を主体として演奏活動を行うプロオーケストラです。
ゲーム業界を代表する遠藤雅伸、古代祐三の両氏を代表理事に迎え、2012年7月に発足しました。2013年6月よりアンサンブルコンサートシリーズをスタート。魅力的なゲストを迎えたトークコーナーなどで好評を博しており、10月には第1回オーケストラコンサートを開催予定です。
定期公演のほか、録音やイベント演奏、プロオーケストラだからこそできる全国公演、さらには世界の舞台も視野にいれるなど、常識にとらわれない自由な活動を目標としています。