「御簾納直彦ミステリィ 篝火ノ屋敷」第5回は、1998年に発売されたPS用ソフト「ダブルキャスト」を紹介します。「やるドラ」シリーズの中でも特に人気の高い作品なので、プレイした方も多いのではないでしょうか。
お久しぶりです。ライターの御簾納です。よんどころない理由で約2ヶ月ぶりの更新となってしまいましたが、これからも本連載をよろしくお願いします。ちなみにゲームの舞台は思いっきり夏ですが、掲載タイミングを逃したというわけではありませんよ(汗)。
さて、「御簾納直彦ミステリィ 篝火ノ屋敷」の第5回目となる今回は、これまでとはちょっぴりテイストの異なる作品を紹介したいと思います。その作品とは、1998年にソニー・コンピュータエンタテインメントから発売されたアドベンチャーゲーム「ダブルキャスト」。本作は、初代PlayStationからスタートした「やるドラ」シリーズの第1弾として発売されました。
「やるドラ」の特徴と言えば、フルアニメーション、フルボイスで展開される、当時としてはまだ珍しかったそのゲームデザイン。プレイヤーが介入するのは、基本的には随所に挿入される選択肢のみ。誤解を恐れずに言うならば、ゲームとアニメの中間に位置する作品だと言えるでしょう。私は本作を発売日に買ったのですが、初めてプレイしたときは、その美麗なアニメーション映像に少なからず驚いたものでした。そして、CD-ROMというメディアだからこそ実現した新たなゲームデザインに、ゲームの可能性を感じたのです。
「やるドラ」はPlayStationでは「ダブルキャスト」のほか、「季節を抱きしめて」「サンパギータ」「雪割りの花」の合計4タイトル発売されました。後にPS2でも「スキャンダル」「BLOOD THE LAST VAMPIRE」の2作品が登場。このようにシリーズを重ねてきた「やるドラ」シリーズの中ですが、「ダブルキャスト」は、その中でも特に人気の高い作品だと記憶しています。
というのも、本作は可愛らしいキャラクターデザイン(※)などから、一見するとコテコテな美少女ゲームの延長線上にある作品だと思われるかもしれません。しかし中身は、かなりガッツリした骨太サスペンス。序盤こそラブコメテイストではありますが、中盤~終盤につれ、ダークサイドな部分が目立ってきます。序盤の明るいノリはなんだったんだと、まるで別の作品を観ているかのように錯覚してしまうと言っても、決して大げさじゃないと思います。
(※本作のキャラクターデザインを担当しているのは、アニメ「機動戦艦ナデシコ」や「キディ・グレイド」などを手がけたアニメーターの後藤圭二氏)
ストーリーは、記憶を失った少女「赤坂美月」と主人公が出会うシーンから始まります。その後、ひょんなことから主人公と同居することになった美月は、映研部が制作する自主映画の主演女優に抜擢。美月の好演もあって映画の制作は順調に進んでいくのですが、そんな中、主人公と美月の周りで奇怪な出来事が次々に起こる……。
一回のプレイ時間は1時間~2時間程度。周回プレイを前提にしている部分もあるので、私的にはちょうど良いボリュームだと思いました。ただ先ほども述べたように、選択肢を選ぶこと以外、基本的にプレイヤーはアニメーションを観るだけなので、インタラクティブな要素は少なかったりします。なのでバリバリのコアゲーマー向けというよりは、アニメが好きなライトユーザーにオススメできそうなタイトルですね。
ちなみに本作はCD-ROM2枚組で発売されたのですが、ストーリーの途中でディスクチェンジをしなければいけないんですね。繰り返しプレイするものなので、そこだけはかなりネックでした。現在は、PSPでUMD版のほか、ダウンロード販売もされています。なので今から本作をプレイするという方には、ぜひそちらをオススメしたい。この記事を読んで、1人でも多くの人が「ダブルキャスト」に興味を持ってくれた嬉しいです。それではまた!
PSP「ダブルキャスト」紹介ページ
http://www.jp.playstation.com/scej/title/yarudora/wc.html