2015年2月20日に世界同時発売されるPS4「The Order:1886」。千葉・幕張メッセで開催中の東京ゲームショウ2014で、クリエイティブディレクターのルー・ヴェーラスリヤ氏にインタビューを行った。
「The Order:1886」は、産業革命後の“もうひとつの”ロンドンを舞台にしたアクションアドベンチャーゲームだ。世界には半獣と呼ばれる人類の天敵が存在し、“オーダー”と呼ばれる騎士団が半獣との戦いを続けているなかで、物語が展開する。
今回、本作のクリエイティブディレクターを務めるルー・ヴェーラスリヤ氏にインタビューを行うことができたので、その模様をお届けする。
――ゲームの時代設定を1886年に設定した理由は?
ルー・ヴェーラスリヤ氏(以下ルー氏):1886年というのは、産業革命の始まりから結構たった時代にあるというのと、より大きな変化が訪れる20世紀になるちょっと前ということもあって選びました。またガラハッドというキャラクターが、長年生きてく中で変貌にどのように対処していくかというのも描けると思い(この時代を)選ぶことになりました。
――ゲームの舞台として他に候補にあがっていた年代はありますか?
ルー氏:本作に限って言えば1886年というのは固定的な時代だったんですが、人類史の流れでも物語の世界観にとって重要な部分というのがあるので、将来的にはそういうものも考えていきたいと思っています。
――このゲームを作るにあたり、影響を受けた作品はありますか?
ルー氏:本作はユニークなビジュアルになっていまして、数々の歴史を参照した部分もありますし、1920年代などちょっと進んだ時代からこの時代に取り込んだものもあります。現実味のある架空のものとなっていますが、その発想の元というのは特定することはできなくて、いろんな映画を観たり本を読んだりしたものの中から、それらが合わさってこのようなユニークなビジュアルを作り上げていると思います。
――1800年代という舞台のシューターは従来まで無かったと思いますが、その時代とからめるにあたって苦労した点はございますか?
ルー氏:最初はすごく難しくて、あまりやり過ぎてしまうとプレーヤーからは現実味のないものに感じられてしまうので、時代考証を行い現実味のある武器を作りました。ただ、当時は発明の時代でもあったので、検証を行っていく課程でさまざまなアイデアの元が見えてきたので、それを取り入れることによって簡単に組み合わせることができると感じました。
――全世界同時発売ということで、ローカライズの足並みをそろえるのが大変だと思います。ヨーロッパの方から共感は得やすいと思いますが、他の国からここが伝わりにくいと言われたことはございますか?
ルー氏:世界規模でローカライズするにあたって、開発の早い段階から各地域のチームと進めていました。いろんな地域(の人々)に向けて理解し得るようなものになるよう力を注いでいます。ロンドンを舞台にしているということもあって、ヨーロッパの都市に特定していると彼らもハッピーになっていろんな意見をくれました(笑)。
――開発するにあたって苦労されている点は?
ルー氏:ゲームの開発を終わらせることです(笑)。開発で一番難しかった点は、膨大な量のやりたいことをゲームのコアな部分に寄せて集中させることです。チームとしてたくさんやりたいことがあるのですが、それをいかにそぎ落としてゲームの基本から外れないように選択する点が難しいです。技術面でも難しかったところがありまして、チームとしてはPS3のタイトルは作らずにいきなりPS4を選択したということもあって、そこはリスクでありつつも最終的にはいい形でこの作品に繋がったと思っています。
――今回のゲームの重要な要素として、「ブラックウォーター」や「ブラックサイト」というものがありますが、それらについて教えて下さい。
ルー氏:「ブラックウォーター」は騎士団だけが使用を許されるもので、それを飲むことで半獣と(互角に)戦えるようになります。これを飲むことによって、寿命を延ばしたり人類が出来る範囲を超えた回復力を得たり、普通の人よりも数倍速く動けるといった効果を得ることができます。
――「ブラックウォーター」は騎士団だから使えるというのがありますが、逆にライカンだから使える特殊な攻撃などはありますか?
ルー氏:ライカン自体は獣に近い能力を持っていて、人よりも速く動くことができますし、本作でも倒すのが難しい存在です。ただ、あまり触れてしまうとユーザーの楽しみを奪うことになるので、そこはあまり深く語れませんが(笑)。ぜひ遊んで欲しいと思います。
――作品を発表後、ユーザーからの反応や手応えはいかがだったでしょうか?
ルー氏:まず、開発者として自分のすごく作りたい作品を作れたことが嬉しかったです。ゲーム業界からもすごく良い反応をいただけたのですが、一番驚いたのはゲーム業界以外の方からの反応があったことです。たとえば歴史家から、当時のロンドンの社会に関する反応があったり、CNNやTIMEマガジンから「なんでこんな歴史を選んだのか?」など、ゲームに関係ない人々やメディアからゲームに関係ない要素についての反応があり、見ていてすごく面白かったです。
――今回、ニコラ・テスラが重要な役割を果たしていると思います。ニコラ・テスラと言えばエジソンとの関係は欠かせないものだと思いますが、エジソンはゲーム中に出てきますか?
ルー氏:すごく答えたくて山々なんですが(笑)。あまりお答えすることができないんですけども、実際にテスラ以外にも史実を元にした人物も数々登場します。世界観という意味では、ゲームの作品の中以外からも裏で動いていたいりするので、そういった世界を作っていると考えています。
――研究段階でこれを見られて良かったという体験はございますか?
ルー氏:2月にイギリスに行ったときに、ジェリー・ホワイト氏というビクトリア時代の専門家に会いました。そのときに「The Order:1886」の時代考察などを見てもらったのですが、この作品またはゲームという媒体が、どの映画や本よりもすごく忠実に当時の歴史感や空気感を再現しているといわれたのが印象的でした。チームとしても、膨大な量の検証をしていたので、それが結果として出たのが嬉しかったです。
――ゲームに登場する武器は、発表されているものよりも増えていきますか?
ルー氏:イエス! 数多く登場します。
――今回予約特典で、主人公のユニフォームの交換ができるということですが、ゲーム中でもいくつか登場しますか?
ルー氏:すでに2種類の衣装をお見せすることができました。ただ、キャラクターを見た目で覚えて欲しいわけではなく、ガラハッドの性格を伝えることが重要だと考えています。シーンごとに衣装が替わることはありますが、それは衣装を切り替える楽しみというわけではありません。
――武器に現実味を持たせるといったお話がありましたが、どこまでやっていいかの線引きはチームでディスカッションするのでしょうか?
ルー氏:武器に限らず、重要な決断はすべてチーム内で協議をしてから決めるようにしています。ディレクター間ではなく、誰でも意見を持った人がいればそれを聞くようにして反映します。
――最後に来年の発売を楽しみにしている日本のユーザーに、メッセージはございますか?
ルー氏:長い間開発をしてきたということもあって、発売がすごく待ち遠しいです。チームとしても、さまざまなバックグラウンドの人が全力で作ったゲームです。物語やアートだけではなく、キャラクターや世界観すべてについて、ユーザーの皆様の反応を見るのを楽しみにしています。日本のユーザーにも気に入っていただけたら嬉しいです。
――ありがとうございました。