セガネットワークスは本日9月25日、東京・恵比寿ガーデンプレイス ザ・ガーデンルームにて、同社が展開するマーケティング支援ツール「Noah Pass」の事業戦略発表会を開催した。
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日本国内では「ぷよぷよ!!クエスト」や「チェインクロニクル」、欧米地域では「ソニックダッシュ」「Crazy Taxi:City Rush」などの成功により、タイトルの高いヒット率を実現してきたセガネットワークス。同社が昨年より行っているアプリ間集客を行うマーケティング支援ツールとして展開してきたのが「Noah Pass」だ。
発表会の冒頭で挨拶したセガネットワークス 代表取締役社長 CEOの里見治紀氏によると、昨年の8月時点で参加15社、参加アプリ数84タイトルった本サービスだが、1年を経た2014年9月現在では参加73社、参加アプリ数は304タイトルで、総ユーザー数は6,800万人、MAUは900万にも上るという。
そんな本サービスの新たな取り組みを伝えるべく行われた事業戦略発表会では、セガネットワークス 上席執行役員 事業本部長 岩城農氏より、Noah Passの現状や今後展開していく4つのサービスが紹介された。
Noah Passのポイントである無料であること、効果的であること、そしてオープンであることの3点を紹介した後、これまでの3年間を振り返ったNoah Passの相互送客については、“B to B Sharing”が成功の要因であったと説明。お互いの企業のトラフィックをシェアしていくことにより、売上のランキング、アクティブユーザー数などを通したタイトルの成功に比例して、よりその成功が増幅される効果があるとし、それによってゲーム企業として一本の成功に集中できると説明した。
そして、視座を高めてゲーム業界の発展を見据えた時に、岩城氏がNoah Passにおける次のテーマとして挙げたのが異業種協業だ。そのコンセプトとして、新規のサービスを行うときに発生するノウハウ・データ・技術の欠如やリソースの制約を解消するため、それぞれの専門分野を活かした交流を行うこと、そし単一企業では具現化できない取り組みの実現を挙げた。
これらをゲーム会社が提供することで、より多くの良質なコンテンツをユーザーに届けることに繋がり、また、Noah Passを通してゲーム会社以外の業種にとって、もっともオープンで効果的で、協業メリットの高いエコシステムとして発展していくことを願っていると締め、具体的な取り組みとして下記4つのサービスを紹介した。
Amazonコインとの連携
現在、スマートデバイスの普及によって、今までは考えられなかったユーザーやシチュエーションにおけるゲームコンテンツの提供が実現されてきているが、ゲーム会社として全てのユーザーにゲームの深い部分まで体験してもらい、継続して遊んでもらうという普遍的なテーマを持っているという。
そのアプローチとして、アマゾン ジャパンが提供するAmazon Androidアプリストア内で使用できる仮想通貨「Amazonコイン」との連携を発表。その方策として10月初旬より、Noah Passに参加するゲームアプリに対し、ゲーム内アイテムの購入金額に応じたAmazonコインをプレゼントする。将来的には新規ユーザーに対しても、ダウンロード時のボーナスや各ゲームアプリへのログインボーナス、復帰ユーザーへの配布などの幅広い展開を検討しているという。
また、Amazon Android アプリストア内にNoah Pass参加ゲームアプリの特集ページを設置することで、ユーザーがゲームアプリに出会う機会を設けることも紹介した。
発表に合わせて登壇した、アマゾン ジャパン アプリストア事業部 事業開発部長の岡崎淳一氏は、Amazonコインを日本で大きく普及させていきたいとの思いとともに、セガネットワークスとNoah Pass導入企業と協力することでユーザーがAmazonコインを利用するきっかけになればという期待を表した。
ゲーム特化型クラウドファンディングサービス「クラウドライブ」を展開
続いては、ユーザーとの継続的なコミュニケーションを通してIPをともにと創りあげる、育成していくための手段として、フジテレビジョン、グーパとともにゲーム特化型クラウドファンディング「クラウドライブ(Crowdrive)」を10月末より展開することを明らかに。
企画段階の開発タイトルを出資者が支援するというのが従来のクラウドファンディングだが、「クラウドライブ」ではさらにリリース直前の事前登録段階でサポートサービスを展開することで、企業にとっては新たな対話の機会を、ユーザーにとってはタイトルの中身が見えてから支援するという選択肢を広げるという点が特徴だ。
実際に商品の選択そのものがテストマーケティングのデータになること、あるいは直接ユーザーから聞いた意見によってIPの育成にも繋がるということなど、ゲーム会社とMDメーカー等の両法人にとって、貴重なコミュニケーションの手段になることが狙いとしてあるという。
なお、本サービスはNoah Pass参加企業のゲームコンテンツを対象に、ゲーム提供開始時やゲーム内イベント開催時などにユーザーからの資金協力を呼びかけ、協力者にはゲームに関連した体験、該当ゲームのオリジナルグッズなどがプレゼントされる。
もう一点、サービスに向けて行っていく広告宣伝のプロットを崩さないよう、ファンディングページの形態としてウィジェット形式(ポップアップ、ボタンの2種)を採用することで、プロモーションのストーリーを壊さずにユーザーへの提案を可能にするという。
本事業にセガネットワークスとともに関わるフジテレビジョンの総合開発局 統括担当局長 川口達也氏からはインターネットやモバイルサービス、特にゲームについてはエンターテイメントビジネス、市場の拡大が見込めるということで力を入れてきたという。
ゲーム事業についてはさまざまな会社と協業しなければ進まないと考えていかなければと考えていたそうで、フジテレビジョンから打診するかたちで協業を進めていったとのこと。「クラウドライブ」に関しては、メディアとしての発信を活かしてゲームユーザーに魅力のあるサイト、サービスとなるように努力していきたいと話した。
リターゲティング広告の改良
3つ目は、Noah Pass内のゲームを対象とした調査で平均的な翌日継続率が50%、30日後継続率が10%~20%と徐々に離れていく中で、復帰ユーザーの7日後継続率が30%にも上ることから、リターゲティング広告の改良について進めていくという。
実際にどのようにターゲティングを行うか、ゲーム内のデータを迅速に的確に活かせるのか、安全にリターゲティングに活用できるのか、そしてNoah Pass内でリターゲティングを行うことが十分な範囲といえるのか、という4点をフォローするかたちで行うのが、外部アドネットワーク活用形のリターゲティング広告だ。
Noah Passの管理画面を活用することでより迅速に、有効なパターンでリターゲティングのデータを自社内で抽出した上で、facebook 広告やnex8、Google AdWordsといった国内のアドネットワークに向けて広告を出せるかたちを作ることで、範囲も迅速性も適時性も関連性の全てを満たすことができると話した。なお、こちらについては今冬より順次展開する予定とのこと。
白書「スマホゲームユーザー解体新書」の発売&リサーチソリューションの提供
セガネットワークスは、約2年に渡り行ってきた市場調査・分析により、自社タイトルのユーザーのプレイ動向データを突き合わせることで、市場規模の把握だけではなく、スマートフォンのゲームユーザーのタイプ分類、ユーザータイプのペルソナ化、タイトル別のタイプ分類把握、各社内でのデータDBとの突き合わせなどを共通言語化。
その取り組みの一つとして、ゲーム会社ならではのゲーム運営に活用できるリアルな分析データを「スマホゲームユーザー解体新書」として白書化する。市場規模から7つのゲームユーザーのタイプ分類などを網羅しており、今後は英語版などの販売も予定しているという。こちらは10月初旬にKindleストア、iBooks、Google Play ブックスで9万8000円で発売予定だ。
また、このユーザータイプ分類データを元に、Noah Pass参加社に対してそれぞれのタイトル内のユーザー分布を可視化できるソリューションが提供される。外部リサーチ会社にて集計・レポートが行われるため、一切の情報を外に出すことなく、分析データを得ることができる。ユーザーの行動データは個人情報ではないため、外に出す必要がなくリスクが少ないことから、汎用性の高い手段となっており、こちらは10月末に提供開始予定だ。
今回発表された内容は以上となるが、そのほかにも他企業とのさまざまな取り組みを進めているという。これらについては今回の取り組みの成果を伝えつつ、年末にはまた紹介したいと締めくくった。