カプコンが6月26日に実施したiOS/Android向けアプリ「モンスターハンター エクスプロア」のメディア探検会の模様をレポートする。
「モンスターハンター エクスプロア」は、1人のハンターとなって強大なモンスターに立ち向かい、ハンターライフを満喫できるアクションゲーム「モンスターハンター」シリーズのスマートフォン向けアプリ。スマートフォン向けアプリながら、本格的なアクションとシリーズ最大のウリでもある最大4人でのマルチプレイも行うことが可能なタイトルだ。長い沈黙を保っていた本作だが、今回はメディアを対象に行われた体験会の模様をお届けしていく。
モバイルで楽しめる最高のモンスターハンターを目指す―妥協なしで作られた制作陣の数々の拘り
発表会では、まず最初に本作のプロデューサーを務める杉浦一徳氏が登壇。元々は「モンスターハンタースマート」として開発が進められていた本作だが、小野義徳氏の発案によって現在の開発チームが手がけることとなり、特にグラフィック・マルチプレイ・継続する楽しさの3点を重視したという。
モバイルで楽しめる最高のモンスタ―ハンターを目指し、およそ2年もの期間をかけて開発が進められていたという経緯も明かされた。
続いて、山本千晶運営プロデューサー、岡野勇樹ディレクターの本作の開発を担当する2人が登場。本作の開発コンセプトは「探検」であり、メインビジュアルやトップ画面に舞台となる島が非常に目立つ位置に配置され、今にも探検に出かけたくなるような画面構成が意識されている。
また、従来までのカウンターでのクエスト受注とは異なり、本作のクエストはステージクリア型のアクションゲームのように、島に点在するマスを選択することで対応したクエストに挑戦でき、クリアすることで新たなマスが出現していくという形式となっている。ただマスを選択するだけではなく、昼と夜でクエストが変わる、島の地形が変化して別のクエストが出現するなど、こちらでも探検のワクワク感を味わえるようなギミックが用意されているとのことだ。
さらに本作では偉大なる大探検家になることがプレイヤーの目的となり、クエストをこなしていくことで様々な新発見を見つけることができる。中には特別な発見物である「秘宝」と呼ばれるアイテムもあり、「秘宝」を獲得することでプレイヤー自身が成長するという不思議な力を得ることができるという。この「秘宝」を獲得する瞬間に流れるムービーも上映されたが、この映像はモーションキャプチャーでイチから新たに制作された非常に力の入ったものなのだそうで、いかに「秘宝」を獲得するかが本作で重要なポイントとなるようだ。
そして「モンスターハンター」シリーズといえば、気になる登場モンスターの種類も気になるところ。これに関しては「モンスターハンター3」「モンスターハンター3G」の全てのモンスターが登場するのに加え、「モンスターハンター4」「モンスターハンター4G」のモンスターについても実装が予定されている。加えて「特殊種」と呼ばれる、シリーズの常識を覆すほどの個性的なモンスターのバージョンも登場するという。なお本作オリジナルのモンスターについては、サービスが好調であれば実装も検討されるとのことで、新たな展開にも期待したい。
「モンスターハンター」の魅力として欠かせないもう1つのポイント、マルチプレイに対しては岡野ディレクターが「一切の妥協なく作らせてもらった」と断言するほど力を入れて作られているようで、Wifi環境でのネットワーク協力プレイはもちろん、なんとLTE回線を介してのマルチプレイも可能になっているという。マッチングは従来通りのルーム作成形式で、見知らぬプレイヤーは勿論、フレンドや知り合いのみとの協力を楽しむこともできる。
後のプレイレポートでもお伝えするが、本作はスマートフォン向けアプリとしては異色の本格的なアクションゲームとなっており、いつどこでも離れた場所のプレイヤーとのマルチプレイができるというのはかなりのインパクトを与えそうだ。
また本作の基本プレイは無料となっており、課金は「狩玉」というアイテムを購入する形で行うことになる。狩玉には、「クエスト前に使用して能力値を上昇させる」、「クエスト中に復活する」、「クエストクリア時の獲得アイテム数を増やす(通常なら4つの素材が手に入るが、狩玉を使用してロックを解除することで最大12個もの素材が一気に手に入る)」など様々な使い道がある。
武器はクエスト中に入手することができ、入手した素材は武器を強化するのに使われることになるが、元々は武器や防具をガチャで手に入れる形式を予定していたという。だが素材を集めて武器を強化するというモンスターハンターらしさを残したかった杉浦氏の「従来のソーシャルゲームのようなやり方はやめる」という指針により、現在の形式に落ち着いたとのことだ。
プレイ体験会では、ジンオウガとリオレウス豪火種に挑戦!開発陣によるマルチプレイも
その後は、いよいよゲームを実際にプレイできる試遊会が行われ、今回筆者はシングルプレイを体験してみることに。
操作方法は非常にシンプルで、画面下部に配置されたスティックをタップすることで攻撃、スティックを動かすように指をスライドさせるとその方向に移動、スティックが配置されていない場所を素早くフリックすることでローリング回避、その右側に配置されたガードボタンをタップすることでガードと、シンプルかつ直観的な操作で本編に近い本格的なアクションを楽しめる。ボタンを押しっぱなしにしておくと、武器ごとに設定された特殊攻撃を繰り出せる。片手剣ならシールドで殴りつけた後に斬撃、ランスならしばらく溜めを行ってからの強烈な突きを繰り出すなど個性がまったく異なるアクションが用意されており、今回は残念ながら時間の都合でできなかったが、全ての武器を使ってみたくなるような仕様になっている。
ただし、移動や攻撃を行っている最中にフリック操作を行っても移動はキャンセルされず、ローリング回避が行えないため、ある程度モーションが分かっていても攻撃を完璧に避けるのは、従来のモンスターハンターよりやや難しく感じられた。その分、慣れない内はワンタッチで操作を行えるガードが非常に頼りになる。スマートフォンを両手で持ち、左手の親指で移動や攻撃、右手の親指でフリックやガードを行えるようにするのがオススメだ。
また画面右には、攻撃を命中させていくことで溜まっていくゲージも配置されており、最大の状態でゲージをタッチすると、強力な「武技」を発動できる。
武技には「自分や仲間を回復させる」「大ダメージを与える」「自身をパワーアップさせる」など豊富なバリエーションがあり、同じ回復系武技でもゲージの消費や回復量が異なるなど、武技ごとにしっかりとした差別化が行われているという。武技はそれぞれの武器に設定されており、モンスターに合わせた装備を選択する重要性が更に高まりそうだ。
まず最初に挑むのは、シリーズお馴染みのモンスターの一体であるジンオウガの討伐クエストだ。
ジャギィなどの小型モンスターを蹴散らしていくとクエストのボスであるジンオウガが早速出現するのだが、大型モンスターとの戦闘に突入すると、画面上部にモンスターの体力ゲージが表示されるのも本作の大きな特徴。ただしモンスターの残り体力が常に分かるというものではなく、ゲージは大まかに4分割されており、一定のダメージを与えるごとに分割されたゲージが1つずつ消える、という形式になっていた。
「モンスターハンター」シリーズでも、モンスターの攻撃パターンや移動などである程度の残り体力を推測することができたが、それを視覚的に分かりやすくした感覚だ。今どのくらいダメージを与えているか厳密にはわからないというドキドキ感というモンハンらしさは健在のまま、よりユーザーフレンドリーな仕様となっており、個人的には非常にいい試みだと感じられた。
また、ソロプレイであってもクエストにはNPCのハンターやアイルー達がついてきてくれるのも頼もしい。ハンター達は攻撃はもちろん、回復やトラップでの支援も行ってくれるため、ソロプレイでもしっかりと共闘感を味わいながら狩りを楽しむことができるようになっている。ぼっちハンターには非常にありがたい機能となりそうだ。
無事にジンオウガ討伐に成功した後は、岡野氏ら開発陣が、杉浦氏たちに内緒で徹夜し、今日に間に合わせたという特殊種の一体、リオレウス豪火種のクエストにも挑戦。リオレウス豪火種はその名の通り、全身に炎を纏っているという他のシリーズでは見られなかったインパクト抜群の外見をしたモンスターで、火傷の状態異常を与える攻撃を多用してくる厄介な相手。先ほどのジンオウガとは攻撃力・体力のタフさが桁違いとなっており、同じ感覚でゴリ推し気味に戦おうとすると、あっという間に体力を減らされ追い詰められてしまう。
しかし、このあたりから操作に慣れてきていたこともあり、リオレウスの攻撃を回避とガードでしのげるようになってくる。今回筆者が武器として選択した片手剣の特徴は、装備によって設定されたアイテムを使用できることなのだが、今回設定されていたのはシリーズでもお馴染みのトラップである落とし穴。これによってリオレウスの動きを封じることに成功し、加えて畳みかけるようなタイミングでアイルーがシビレ罠を設置してくれたことで、一気に形成は逆転、残るはゲージ1つ分というあと少しで倒せそうな状況に。
だがここで追い詰められたリオレウスの反撃が激化し、これまで使用してこなかった毒の状態異常を与えてくる攻撃をモロに受けてしまい、一気に体力を減らされ倒されてしまう。さすがにこのまま終わってしまうのは悔しい…と狩玉を使ってコンティニューすると、復活から2、3撃を与えたところでリオレウスが倒れてクエストクリア。ほんのもう数撃を耐えられていればノーコンティニューでのクリアができていただけに、やや悔しい結果となった。
だが、リオレウス豪火種は、これでも今回の体験会向けにかなりの弱体化調整が施されて現在の性能になっているとのこと。いざリリースされた時には、更なる強敵となってプレイヤーの前に立ちふさがることになりそうだ。
また本作の目玉ともいえるマルチプレイに関しては、司会の春原このみさん、杉浦氏、山本氏、岡野氏ら4名によるデモプレイが行われた。4人も同じジンオウガとリオレウス豪火種の討伐クエストに挑戦し、なんと杉浦氏は「オート機能」を使っての参加。このオート機能はクエスト開始前に使用を選択でき、クエスト中はオンオフをいつでも自在に切り替えて操作を行える。オートでもプレイヤーと遜色ないしっかりとした動きをしてくれるため、回避や防御が苦手なプレイヤーは、モンスターの攻撃が激しくなったらオートに任せ、ひるんだタイミングを狙って攻撃を自分で行う、といった幅広いユーザーが楽しめるような機能となっている。オート機能に関しては「モンスターハンター」シリーズ大好きな開発陣から猛反発を受けたそうだが、杉浦氏の強いこだわりによって実装が決定したという。
クエストではまず岡野氏が武技技を使って攻撃、よろけたところに山本氏がハンマーで頭部を狙い、全員で尻尾を狙うという連携攻撃を狙おうとするも、岡野氏の武技技の時点で尻尾が切れてしまうという予期せぬ展開もあり、すっかりグダグダに。最後には、もっとも操作に慣れているであろう岡野氏が解説に意識をとられすぎて1落ちしてしまい、思わず会場に笑いが沸き起こるというハプニング(?)もありつつ、「モンスターハンター」シリーズの大きな魅力である、大勢でワイワイと話しながら強敵に挑む楽しさが健在であることも改めて確認できた。
実際にプレイを体験してみた身として、岡野氏が「今まで待ってて良かったと思える出来を保証する」と自信を見せるのも納得の、コアな「モンスターハンター」シリーズファンは勿論、アクションの難しさに敷居の高さを感じていたプレイヤーも一緒に遊ぶことのできる、間口の広いタイトルになっていると感じられた。
現在の武器種は全12種類だが、大型アップデートにより新たな武器種として「チャージアックス」の実装も予定されており、本作ならではのオリジナルアレンジが加えられた、一味違うチャージアックスとなっているという。
また、Android向けに7月10日からクローズドβテストの実施が予定されており、クローズドβに応募した全員にハンマー「始まりの宝槌」がプレゼントされるキャンペーンも行われる。この機会を逃さず、是非とも新しい、けれど旧来の楽しさがしっかりと残っている「モンスターハンター」を体験してみて欲しい。