千葉・幕張メッセにて9月17日より開催中の「東京ゲームショウ2015」。9月15日に行われたSCEJAカンファレンスにて発表された「龍が如く」シリーズの最新作「龍が如く 極」のプロデューサー、横山昌義氏へインタビューする機会を得たので、その模様をお届けする。

――まず、このタイミングで第一作をリメイクしようと考えた理由を教えてください。

横山氏:2005年に第一作目の「龍が如く」が発売され、そこから10周年という節目を考えた時、やはり原点が持っていた輝きや素晴らしさというのを、未体験の方も含め、もう1度最新の環境で体験していただきたかったというのが大きかったですね。

ちょうど作れるタイミングでもあったので、10年間応援してくださったファンの皆様への感謝の気持ちも込めて、作っておくべきだろうと考えました。

――やはり、「1」の前日譚である「0」からの流れというのも?

横山氏:「龍が如く」の第一作をPS3などの最新環境で遊びたいという要望が多く、僕達自身も作りたいなと思っていたんです。ただ、常に新しいものを作り続けるというのがクリエイターの使命だと思いますし、そちらに常に意識を働かせていたわけです。

ただ、「0」を作るにあたって「1」を改めて研究し直してから「0」を制作したという経緯があったのですが、改めて「1」の凄さというのを実感しまして。「0」から繋がる物語をもう1度作れば、盛り上がった気持ちを第一作目へと向けられるのではないかと思いました。

――開発ペースが非常に早いのが「龍が如く」シリーズの特徴ですが、「極」発売まで約4ヶ月と、今回はいつもにも増してペースが早いように感じられました。

横山氏:開発が早いのにはいろいろと理由があるのですが、「極」に関していうなら、大本のメインシナリオが出来上がっているというのが一番大きいです。「龍が如く」シリーズは良くも悪くもシナリオがゲーム全体の設計仕様書になっている所があって、シチュエーションや敵にしても、まずシナリオが先行してゲームを作るんです。新規エピソードというのはたくさん入りますが、「1」は勿論それは既に出来ていますし、作るものさえ決まっていれば、あとはとにかく早いのがウチのチームなので。

――その「極」から加わる、新たな追加要素について教えてください。

横山氏:バトルシステムに関しては、スタイルチェンジなどを含めて基本的に「0」のものを踏襲しつつ、本作ならではのアレンジを加えていく形になります。「0」からの流れを受けて、前作で全てのスタイルを習得しきった最強の状態からスタートするのですが、獄中にいる間に身体がなまってしまい、覚えた技などを全て忘れてしまうんです。

そこからもう一度神室町に戻って最強の自分を取り戻していくという、成長システムにもストーリー的な要素を盛り込んでいます。

――公開されている情報の中でも、ゲーム中のいろいろな所に真島五朗が登場する、「どこでも真島」システムが特にインパクトがありました。

横山氏:その「0」からの成長システムの話の延長上にあるのが「どこでも真島」システムです。これまで明かされていなかった、真島は「0」の後どのように桐生に執着するようになったのかという点を描くことを軸に、真島が桐生にいろいろなちょっかいをかけてくるのですが、その戦いが桐生にとって元の自分を取り戻すための重要なファクターとなるんです。なので、ただ楽しいから入れているわけではなく(笑)、桐生が最強の自分を取り戻していく過程として必要だったという面が強いですね。

――ストーリーの部分ではやはり、錦山関係のエピソードが中心になるのでしょうか。

横山氏:「0」をプレイしていただいた方は分かると思うのですが、あれだけ大変な苦難を桐生と共に潜り抜けてきた錦山が、どうしてあんなことになってしまうのか。それには勿論理由があって、その葛藤などを錦山視点で描くエピソードというのが中心になっていきます。バトルシステムもストーリーも、「0」の内容を踏まえた上で、プレイした皆様が納得していただける、より「1」を楽しめるような形になるように制作を進めています。

――横山さんは、「1」制作当時からメインスタッフとして関わられています。改めて「1」を振り返って思い出すことや、シリーズとしては初のリメイク作として、新作の制作と比較した難しさのようなものはありますか?

横山氏:大変なことはたくさんあります(笑)。改めて「1」を見てみると、今だったら絶対にやらないカメラワークや演出というのをたくさんしているんですよ。ただ、そうした当時経験不足だった自分達なりに、「これがいいんだ!」と思って突き進んだ「荒さ」の中には、今の僕らには作れないエッセンスもたくさんあって。神室町という町を僕達もそれほど知らなかったからこその、何が起こるか分からない面白さというか、「1」ならではの良い所というのは参考にしています。

実は僕達は「リメイク」という言葉はこれまで使っていなくて、「シナリオがほぼできている新作」という感覚に近いですね。

ただ、新作の制作よりも難しいと言えるのが音声収録です。新キャストの方はそうでもないのですが、問題はこれまで出演されているキャスト陣で、例えば桐生役の黒田(崇矢)さんであれば、当時より桐生への理解度は高くなっているのですが、それが却って「1」の桐生らしくなくなってしまうこともあるんです。ご存じの通り、「1」の時点では桐生はまだ遙に対して態度がそっけないのですが、どうしてもその後の展開を知っていると優しさのような部分が出てしまったり。そうした要素を削ぎ落として過去に近づけながらも、心の揺れ動きであるなどの要素、当時よりもより良い演技で表現できるように、キャスト一同楽しみながら挑戦していいます。

「リメイク」よりも「リベンジ」という方が正しいかもしれませんね。負けたというわけではありませんが(笑)、「もう1度、過去を越えてやるんだ」という意識を開発も役者も持ってチャレンジできているので、凄くいいものを作れている感覚があります。

――では、同時に発表された次なる作品である「6」についてもお話をお聞かせください。いよいよ、PS4専用タイトルとなりました。

横山氏:「龍が如く」シリーズはPlayStationと共に育ってきたタイトルですから、PlayStationの発展に伴って新しいものに挑戦していくことは、1つの使命だと思っています。「極」に関して言えば10周年を記念する作品ですので、今まで応援してくれたファンの皆様への感謝の気持ちを込め、なるべく大勢の方がプレイできるよう、PS3とのマルチプラットフォームという形にさせてもらいました。

一方の「6」はというと、グラフィックであったりプレイフィールであったり、今まで誰も経験したことがない「龍が如く」の次のステップを見ていただきたいなと。そうなると最新のハードであるのがベストになりますね。TGSに出展しているシアターでも、最後に「6」の映像を少しだけお見せしているのですが、それだけでも明らかに今までとはグラフィックのレベルが違うことが分かっていただけるかなと思います。是非とも、最高のテクノロジーで皆さんに味わっていただきたいと考えています。

――「極」に付属する体験版についてもお聞かせください。

横山氏:「新しいハードになるとこんなにも変わるんだ」ということを体験していただける内容になっており、新しい「龍が如く」の世界の片鱗を味わって頂けるものをお届けできると思います。PS3版の「極」にもPS4用の「6」体験版は付属しますのでご安心ください。

――現段階ではお話できないことは多くないと思うのですが、気になる主人公やキャラクター達はについては……?

横山氏:あまり隠すつもりはないのですが、それについては近い内に情報も発表されていくと思いますので、現時点では乞うご期待とさせてください(笑)。皆さんの期待を裏切るようなことは、おそらくないと思いますので。

――分かりました、楽しみにお待ちしています(笑)。それでは、最後に発売を楽しみにしている読者の皆さんにメッセージをお願いします。

横山氏:今回初めて2作を同時発表させていただく形になったので、混乱されている方もいらっしゃるかと思います。まず「極」に関しては、これまで10年間応援してくださったファンの皆様に、第一作を最新の環境でもう1度遊んでいただきたいという感謝の気持ちで製作にあたっています。価格も普段より抑えめになっていますが、これは決して内容が薄いわけではなく、感謝の気持ちと少しでも新規の方々にも「龍が如く」シリーズに興味をもっていただければと思い、少し無理をして設定させていただきました。

「極」とそれに付属する体験版をプレイし終えた後には、「6」の関連情報も続々出てくると思いますので。「極」と「6」、両方とも遊んでもらえれば幸いです。

――本日はありがとうございました。

龍が如く 極

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  • 発売日:2016年1月21日
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龍が如く 極

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※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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