コーエーテクモゲームスより2015年11月19日に発売予定のPS4/PS3/PS Vita用ソフト「ソフィーのアトリエ ~不思議な本の錬金術士~」。本作のディレクターを務める岡村佳人氏に、ゲームのコンセプトや魅力についてインタビュー!

目次
  1. 新スタンダードを確立させる上での“変化”
  2. 調合はパネル式によって視覚的、感覚的なものに
  3. ロジカルターンバトルはスタンスとアイテムの活用がポイント

ガストブランドの代表作であるアトリエシリーズ。昨年の「シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~」まで展開した黄昏シリーズに続いて、新たなアトリエのスタンダードとなるべく今回発売されるのが、「ソフィーのアトリエ ~不思議な本の錬金術士~(以下、ソフィーのアトリエ)」です。

プレイムービープレイインプレッションと続けてお届けしてきましたが、いよいよ発売日を明日に控える今回は、「ロロナのアトリエ ~アーランドの錬金術士~」以降、ディレクターとして作品に携わる岡村佳人氏へのインタビューを紹介します。シリーズの節目ということもあり、さまざまな変化が見える本作だけに、多岐にわたってポイントを伺ってみました。

新スタンダードを確立させる上での“変化”

――アトリエの新シリーズとして展開する、本作のコンセプトについてお聞かせください。

岡村佳人氏

岡村氏:黄昏シリーズが、アトリエシリーズとしてはシリアスな雰囲気の中で、荒廃した世界観におけるアトリエのゲームを表現するというのをコンセプトにしたということもあり、イメージが落ち着いた雰囲気になっています。今までのアトリエと違った方向性を提示することができたと思う反面、その部分がセールスの結果のほうには結びつかなかったこともあり、ユーザーさんの求めている部分として、アトリエらしさをもう一度見直してみようというところから、「ソフィーのアトリエ」を新シリーズとして提案させていただきました。

従来のアトリエシリーズが持っているファンタジー世界における日常やほのぼのとした雰囲気、そしてキャラクターが生き生きとその世界で楽しく暮らしているといったところを中心に、それでいて黄昏シリーズを経験する中で物語性の強いお話も含まれたかたちにしようと。そのコンセプトとしてアトリエの新スタンダードを確立させるというところをご紹介させていただいているのですが、従来のアトリエらしさを楽しみつつ、今の時代に合ったアトリエ像を新たに確立するというところを目指して、今回のシリーズを作り上げました。

――新スタンダードという中で、キャラクターデザインについてはNOCOさん、ゆーげんさんのお二人にお願いしていますが、それぞれにオファーを出した経緯をお聞かせください。

岡村氏:まず最初に、主人公のソフィーを担当するというところでNOCOさんに依頼しました。黄昏シリーズの左さんにお願いした時と同様、前任のイラストレーターさんの印象や影響が強くなってきていると感じてきていて、そのままだとアトリエのイメージを拡げるのは難しくなってしまうと考えていました。そこでアーランドシリーズでの岸田メルさんのように、フレッシュな才能を持ったイラストレーターさんにお願いしようといろいろな候補を選定する中で、NOCOさんに巡りあいました。

NOCOさんにお願いして主人公をはじめとしたベースの設定が決まったところで、世界観を拡げるというところと、1人のイラストレーターにお願いすると負担が非常に大きくなってしまうのを緩和するという意味でももう1人のイラストレーターさんを起用するというのが早々に決まりました。

ただ、NOCOさんのイラストと一緒に並べた時にあまりにもかけ離れてしまうと、さまざまなイラストレーターさんが参加されるようなタイトルであればそれ自体がテイストとして認められると思うのですが、コンシューマゲームで3Dモデルを使う作品だと難しいだろうと。そういう点から、NOCOさんの描いたキャラクターのモデルと一緒の画面にいて違和感なく、それでいて特徴が出るイラストを描ける方を探すのは難航しました。

その中でゆーげんさんに運良く巡りあう機会がありまして、最初はダメ元でお願いした所、快く受けていただき、ゆーげんさん自身の特徴をそのまま生かしつつ、NOCOさんのキャラクターの持つテイストと親和性の高いキャラクターを描いていただきました。

――お二人のイラストのテイストはそれぞれ特徴的だと思いますが、ゲームの3Dモデルに落としこむと違和感がなく、かつそれぞれのデザインされたキャラクターの立ち位置に近いかたちで表現されているように感じました。

岡村氏:担当されるキャラクターをどのように分けるかという点は、かなり早い段階から今の分け方(編注:NOCOさんがソフィーをはじめキルヘン・ベルに暮らすキャラクター、ゆーげんさんがプラフタや街の外から来たキャラクターを担当)にしようということは考えていました。異なるイラストレーターさんにお願いする以上は、それがただ雑然と統一感なくまとまっているのではなく、ひとつのテーマ性を持って担当いただくほうが、それぞれのイラストレーターさんの良さが引き立つだろうと考えました。

やはり最初のうちはどうなるかわからない部分もあったのですが、今のところユーザーさんの反応を見ても非常に良い感じで受け止めていただいていると思いますので、ダブルイラストレーターさんというかたちは成功だったと思います。

――発表会でソフィーのデザインについては何回も修正を重ねたとお話されていましたが、デザイン全体としてはいかがだったでしょうか?

岡村氏:ソフィーに関しては最初の頃は、前作までのアトリエの持つ主人公のイメージにNOCOさんが引っ張られていたところがあって、そのあたりを一度リセットするというところで改めてお話をして今のデザインに決まったのですが、それ以外のキャラクターについては比較的順調に進んでいきました。また、NOCOさんがソフィーを中心に先行で進行していましたので、ゆーげんさんについてはNOCOさんの描かれたキャラクターのイメージを元に、外からやってきたことや、プラフタが人形の体でドールメイクできるということも考慮して、デザインしていただけました。

――異なるデザインのキャラクターを、3Dモデルとして同じゲーム内に入れることについて苦労はありましたか?

岡村氏:今回は、NOCOさんの描かれたキャラクターはこれまで同様にフライトユニットさんに担当いただいているのですが、ゆーげんさんの描かれたキャラクターについては、実はコーエーテクモグループのCGチームによる内製となっていまして、チームの方針としては、ゆーげんさんの描かれたキャラクターをいかに3Dモデルとして再現するかというところを目標にしていました。

ですので、それぞれを溶けこませるというよりは、2人の描くキャラクターが親和性を持っていたことで、逆にそれぞれの良さを活かすかたちにしました。例えば、また別の2人のイラストレーターさんを起用して同じことをやろうとしても、それが今回のように上手くいくかは確証が持てないですね。

――変化や変身というキーワードが随所にありますが、その要素をゲーム中のどの部分に盛り込もうと考えましたか?

岡村氏:まず新しいスタンダードを確立するというところで、新しいと言う以上は今までと同じことをしていては変わらないだろうということで、変化というキーワードを意識して今回の「ソフィーのアトリエ」に入れるために、既存のシステムについてもどういったものにすれば変化が感じられるかというところをコンセプトにしました。大きいところでは、探索の時間や天候によるフィールドの変化、ソフィーの衣装の変化、プラフタのドールメイク、そして調合自体がパネル式に変わったところが主な変化になりますね。

――今作の主人公であるソフィーのキャラクター作りについてお聞かせいただけますでしょうか?

岡村氏:新シリーズというところで、これまでのアトリエの主人公たちを考えた時に、わりと自分自身の目標や願いを叶えるために錬金術を学んでいくという流れが多かったのですが、今回はその部分の見方を変えて、若干今までの主人公とはスタンスが違うところがあります。

キャラクター性はアトリエらしく、元気で前向きな女の子というのが一番スタンダードな主人公像だと考えていますので、それをベースに特徴をつけていきましたが、目標という点については自分が錬金術でこういうことをしたいというものはなく、錬金術で人の役に立ちたい、プラフタを助けたいというのが前に来ているキャラクターなので、今までの主人公との違いを感じているのではないかなと思います。

――序盤を遊んだ限りですと、ゲームのサイクルがプラフタの記憶とレシピの発想を軸にしたものになっている印象を受けたのですが、このあたりは前作のライフタスクをベースにしたものでしょうか?

岡村氏:元々はもっとシンプルで、アイテムを作っていくことでお話が進んでいくものを計画していました。それはある意味で昔のアトリエらしい構造だと考えていましたが、テストプレイを進めていく中で昔のユーザーさんと今のユーザーさんの違いが現れてきました。

ある意味で究極の自由というのは何も目的がなくて自分の好きなようにできることだと思うのですが、実際にそれをゲームに落とし込んでみると、思った以上に何をすればいいかわからない、指針がないのでどうしたらいいかわからないという意見が内部でも出てきました。

そのあたりも時代の変化であり、今のユーザーさんが求めているものの違いだと思い、アイテムを作ることでお話が進んでいくことは変えずに、ライフタスクのような考え方で、目的となるアイテムを作ったら記憶が戻ってお話が進むようにしました。そして記憶が取り戻されることで、プラフタが元々記憶していた採取地の情報がソフィーに共有されて、新しく行ける場所が増えていくのが基本の構造となります。

最低限のやるべきことは提示した上で、それと同時にほかのレシピも開示されていくので、お話を進めるためのレシピを優先して先に進むこともできますが、今作でも期限は存在しないので、それ以外のアイテムを作りながらじっくりと進めていくということも楽しめます。

――チャート式にはなっていますが、一度開示されたレシピは特に制限なく作れるのは良かったです。

岡村氏:元々レシピ以外に材料を手に入れていないと作れないというロックがあるので、それがある以上、レシピ発想については発想する以外のところでの制約は基本的にかけないようにしました。後半に行くにつれてより発想するのが難しい、高難度のレシピもあるので初心者からベテランユーザーの方まで楽しめるのではないかと思っています。

調合はパネル式によって視覚的、感覚的なものに

――調合はお話されていたようにより視覚化されていますが、改めてその仕組みについてご説明いただけますでしょうか?

岡村氏:調合に関しては、今までの数字と効果をいじっていいアイテムを作り上げていく仕組みは理解すれば面白いけれど最初がすごく分かりづらくなっていて、難しいという印象をユーザーさんに与えてしまっていたと思います。黄昏シリーズではやりこみ度合いは上がったものの、その部分を変えることはできず、そのまま継続すると難易度がどんどん上がっていってしまい、一見さんお断りのゲームになってしまうと考えました。

今回は新シリーズになるということで一度リセットして、わかりやすさや視覚的、感覚的に遊べるというところを重視したシステムに作り変えようと考えで、今回の調合システムを採用しました。とはいえ、やはり基本のシステムまで変えてしまうのは心配な面もあり、材料を組み合わせるということ、そして材料ごとに数値や効果の違いがあり、それを活かすことでより良いものができるというベースの部分は変えずに、作る過程を釜の上で調合するというようなイメージで遊べるものを目指して、パネル式の調合を採用しました。

――品質の組み合わせが足し算になっている(これまでは平均)ところは分かりやすかったです。

岡村氏:数字が多いというところを改善する狙いもありつつ、とはいえ全く数字がないとどのぐらいなのか分かりづらくなってしまうので、残すところは残した上で出来る限りわかりやすくなるように考えています。

今回の調合に関しては、先ほど説明しましたとおり、釜に材料のパネルをはめ込んでいくことでアイテムが完成します。その中で釜が複数あるというところがひとつのポイントになります。パネル式にするということでルールを固定にする必要はないのではないかということで、釜ごとにそれぞれルールが変わるというかたちを採用しました。同じアイテムを作るにしても、難易度が高いものや安定した結果が得られるものなどがあることで、ユーザーさんの肌に合った調合を楽しめるようになると思います。

具体的には、「達人の錬金釜」ですと、時間制限があって、一度始めてしまうとドンドン時間が経過してしまうのですが、その分調合すると大きな効果が得られます。また「おばあちゃんの錬金釜」ですと、必要な錬金レベルに達していなくても、絶対に失敗しないようになっています。

基本的にはアイテムを配置することで周囲のマス上にボーナスが発生するので、そのボーナスをいかに大きくして、まとめてとるのかというところと、できるだけマスを埋められるかというところが重要になってきます。同じマスを連続して埋めるともちろんボーナスはたくさん得られますが、その分マスを埋められなくなってしまいます。マスを埋めた数が重要になるポイントとしては、全体のマスに対して、パネルの属性ごとにどれだけ埋めたかの割合が、作ったアイテムの効果にさらなるボーナスとして反映されることです。

今回の調合は材料を入れていった後、最後にその過程を反映する部分を作りたいと思っていました。それを入れることでただ埋めるだけでなく、どれぐらいの割合で埋めるか、そしてマスに発生するボーナスを取っていくのかを考えられるようになっています。

――2種類のボーナスが存在することになりますが、どちらがより重要になるのでしょうか?

岡村氏:属性の割合に関するボーナスは、元々の効果がどのぐらいかによって変わるので、単純に属性の割合を埋めればいいというだけでなく、いい材料を使った上で、たくさんのマスを埋めればより効果が大きくなります。

大前提として材料の吟味をするというのは今までと変わらないのですが、その上でどうやってマスを埋めるかによって結果が変わるということで、感覚的になっていると思います。あとボーナスがつくのは同じ属性の効果を使った部分だけなので、例えば青いところを多く埋めていけば、青属性の効果が大きく変わっていきます。

――より数値が必要な効果については属性のボーナスを狙っていって、あまり数値を必要としない効果は高品質の材料のみで対応する、みたいなかたちも可能になってきそうですね。

岡村氏:そのほかにも、3色の属性を使った時に全ての割合を一緒にすれば均等にボーナスを付与することもできます。基本的には釜の色と同じ属性の材料を使うのが正解になりますが、そういった材料が揃えられない時はあえて違う属性の割合を一緒にして、それによって違った恩恵が得られることもあります。

そして、アイテム特性の引き継ぎに関しては従来の調合通りとなりますので、そのあたりのやりこみ部分は変わらず楽しんでもらえるのではないかと思います。このように、やっていることは今までの調合をベースとしたものになりますが、その途中の過程で作ったアイテムをより良くするための構造を感覚的に遊べるような調合システムにしました。

――同じ材料を揃えても、組み合わせ次第で結果はかなり変わりますよね。

岡村氏:今回も時間泥棒な調合システムになっている部分はありますが、やはり最初ということもあって元々の調合のなじみ深さを優先したところもあるので、今回の調合を支持していただけるようであれば、今までベースにしてきた部分も含め、新しいものにチャレンジしたいと思っています。

――調合に関わるところで、ドールメイクはアイデアとして面白いなと思ったのですが、構想の段階からすでに考えられていたのでしょうか?

岡村氏:新スタンダードを目指すというところで、既存の要素について新しさを提供することは当初からできると思っていました。ただ、一度それを見返していた時に、シリーズのファンの方であれば変わった点が伝わるものの、アトリエを遊んだことのないユーザーさんにとっては何が変わったのかがわかりづらいと。

そこでわかりやすい要素を入れたいなと考えまして、それなら調合で女の子を作ってしまおうというのが起点となり、ただ作るだけではなく、さまざまに姿を変えてカスタマイズできるようなかたちにしようというところで、ドールメイクが採用されました。

当初はパーツやアクセサリーを含めて細かくカスタマイズするものを想定していましたが、ゆーげんさんにドールメイクの話をお伝えしたところ、デザインを非常にたくさん用意してくださったので、個々のカスタマイズというよりはゆーげんさんがデザインしてくださったコスチュームのイラストを活かしたほうが、ユーザーさんとしても嬉しいのではないかと思い、今のかたちになりました。

仕組みは非常にシンプルで、それぞれで使える材料を選んで、何を選んだかによってコスチュームが変化するというのが基本になります。

――使うカテゴリは決まっている感じですか?

岡村氏:基本的には、該当する4つのカテゴリのアイテムが材料として使えます。拾ってきたものから調合したものまでさまざまな材料が使えるのですが、単純なコスチュームチェンジになってしまうのを避けるため、意図的に自分の好きなボディを選ぶことができないようになっています。複数の条件を満たした場合は、より優先度の高いボディが実装されるというところもあり、そのあたりはお客さんの反応を見て何か考えたほうがいいのかなと思います。

――右側のチャートを見ればわかるような感じでしょうか?

岡村氏:そうですね。一度作ったことのあるボディであれば、閾値が記録されるのでそれを元に作るボディを決めることができます。それを探しだすのは最初の内は大変だと思うのですが(笑)。あとは良い材料を使うことでプラフタのベースの能力値が変わるという面もありますので、実際にバトルに参加させるために強化させるという意味合いと、好きな見た目を実現するということを考える仕組みになっています。

――閾値がわかれば、オリジナルに戻すということもできるのですね。

岡村氏:それもできますね。(ビタースイーツを作って)そしてこれが一番おかしなボディです(笑)。プラフタのコメントもちょっと悲しい感じになっています。

――これはゆーげんさんのアイデアなのですか?

岡村氏:ちょっと変なのを作りたいという話をしたら、お菓子がぶっかかっているのが上がってきて、これ面白いのでじゃあ行きましょうという感じです(笑)。本当にいろいろと楽しめるのではないかと思います。

――バリエーションは今公開されているもの以外でもあるのでしょうか?

岡村氏:いま出ているものと同じぐらいまだ用意していますので、ぜひいろいろと見ていただきたいと思います。それとドールメイク中に流れる歌もシュールで、ずっと聴いていると中毒になるのではないかと思います。これも隠し要素としてボディが増えていくと歌が変わるという仕掛けも用意しています。

――最近のアトリエとしては割と珍しい遊びですね。

岡村氏:これまでも、音楽的な部分に関してはアトリエの曲が進行に応じて変わったり、歌がつくといったことはやっていますね。あとアーランドですと「錬金少女メルルのうた」はわりとはっちゃけているので、そのあたりの従来のアトリエらしさを新しいかたちで入れてみたものですね。今回もサウンド周りについてはチームもこだわって作ってくれたので、そのあたりも見てもらえると嬉しいです。

ロジカルターンバトルはスタンスとアイテムの活用がポイント

――バトルについては過去作とは大きく変わるロジカルターンバトルが採用されていますが、その狙いはどういったところにあるのでしょうか?

岡村氏:シリーズとして、これまでコストターンバトルをずっと続けてきていたのですが、黄昏シリーズの最後で完成されたシステムになったかなというところがありました。それをもう一度継続してしまうと、どんどん難易度が上がってしまうということを、新シリーズを考える時にいつも考えるのですが、やはりバトルの敷居が上がりすぎることを懸念しまして、一度別の方向性にシフトさせてみようと思ったのが、今回の発端ですね。

サポートのアクションについても最初は状況を見てサポート防御をして魔物の攻撃を防いだり、サポート攻撃で追い打ちをするというところが新鮮な印象で受け入れていただきましたが、繰り返し同じ仕組みを採用してきたことで、あるところまで行き着いてしまうと魔物の強い攻撃が来た時にサポート防御するだけの固定的な選択肢になってしまっていたのかなと感じていました。そのあたりを一度リセットするという意味でも、シンプルな方向にシフトさせたのが今回のロジカルターンバトルになります。

行動が先行入力になるということで、ある程度、魔物の行動を予測しながら行動を決定する必要があるので、戦略性という意味ではまた違った思考性が増えていると思います。特に、全てではないものの、アイテムをキャラクター全員が使えるようになったことで、どのアイテムをどのキャラクターに装備させるかによっても戦い方が変わりますし、そういった意味で従来のアトリエらしい、アイテムを活用するバトルというところにリセットされたと思っています。

もちろん、従来のバトルが面白いということであれば、そのあたりはフレキシブルに考えていきたいと思ってはいるので、ユーザーさんの忌憚ない意見を伺いたいと思っています。

バトルの流れを簡単にご説明しますと、今回大きく変わったのは先行入力によりキャラクター全員が一度に攻撃をするというところと、サポートのシステムを変えるかたちでスタンスという要素が加わったことです。攻撃と防御、どちらかのスタンスを選ぶかによってサポート攻撃とサポート防御が発生します。攻撃スタンスであれば与えられるダメージが増え、防御スタンスであれば魔物から受けるダメージが減少するので、特に強力な魔物と戦う時はこの使い分けが非常に重要になってきます。また、行動順によってサポート攻撃やサポート防御がチェインリンクで連携するというところも大きな変更点となります。

先行入力で全員が同時に行動するパターンになった時に、演出が間延びしてしまうと懸念しているユーザーさんがいるかもしれませんが、そのあたりはスピーディーにバトルを楽しめるようになっています。また、“warning”の時は非常に強い攻撃をしてくるといった具合に、魔物の行動がある程度予告されるかたちになっています。今までの戦闘でも何回行動したかによって管理されていたのですが、それがもう少し視覚的に見れるようになっていることで、ある程度魔物の行動を予測できるようになっています。

基本は攻撃を順番にしていくというかたちですが、演出の早送り機能がついているので、もしサクサクと進めたい場合はONにしてもらうとスピーディーに演出が再生されます。

サポートで連携することで非常に強力なスペシャルアタックが出るのも特徴ですが、ここでカットインが入ったりするのも2人のイラストレーターさんにお願いしたことで実現できるようになりました。今回は戦闘にかぎらず、イベントスチルも前作を超える枚数が用意されています。

――パメラ、ロジーなど気になるキャラクターの姿もありますが、これはスターシステム的な捉え方で大丈夫でしょうか?

岡村氏:そうですね、今回のロジーは、「エスカ&ロジーのアトリエ」のロジーとは違う存在になります。元々アトリエシリーズでは人気キャラクターをスターシステムというかたちで登場させる要素はありましたが、黄昏シリーズではそういった要素を意図的に廃していました。

それに対してユーザーさんから寂しい、復活させてほしいという声もいただいていたので、そういったところからプニを復活させたり、既存キャラクターのスターシステムによる登場を入れてみました。特にプニプニに関しては少し見た目も変わっているので、また違ったプニなのかなというところで見てもらえればと思います。

――ダウンロードコンテンツ(DLC)については、どういった内容を予定しているのでしょうか?

岡村氏:今後いくつか予定しているものはあります。おかげ様で予約も好調でして、発売日に恩返しとして、ガストのアトリエシリーズ以外のタイトルのBGMパックを用意しています。わりと懐かしいタイトルが入っているので、そこはまた違った雰囲気で楽しめると思います。その後もさまざまなDLCを展開したいと思っていますので、そのあたりは情報の公開をお待ちください。

――そのあたりは従来のようなコンテンツを想像しておけばよいでしょうか?

岡村氏:マルチプラットフォームで出すというところもあるので、今回に関しては最初に遊んでいただいたユーザーさんに一番楽しんでもらえるようなコンテンツを出していきたいと思っています。従来のPlusシリーズのような展開とは違ったかたちでDLCをお見せしたいと思います。

――本シリーズにかける意気込みも含めつつ、ファンの方にメッセージをお願いします。

岡村氏:今年も非常にお待たせしてしまい、ユーザーさんにご心配をかけたかと思うのですが、おかげさまで今年も新しいアトリエをみなさんにお届けすることができてホッとしつつ、本当に嬉しく思っています。特に今回は新シリーズということで新しい試みにもたくさん挑戦していますし、それでいて従来のアトリエらしさというところもさらに力を入れて作りこんだタイトルになっています。

今まで遊んでいただいたユーザーさんはもちろんのこと、新シリーズの1作目ということで、調合などがわかりやすく感覚的に遊べるようになっていますので、まだ遊んだことのない方もぜひこの機会に遊んでいただいてアトリエの世界を楽しんでいただければと思います。引き続き、ガストのアトリエシリーズをお願いいたします。

――ありがとうございました。

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※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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