ある狩人の「Bloodborne The Old Hunters」の感想―5時間位でクリアできると思っていたら“醜い獣ルドウィーク”だけで10時間

ある狩人の「Bloodborne The Old Hunters」の感想―5時間位でクリアできると思っていたら“醜い獣ルドウィーク”だけで10時間

PS4

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2015年11月24日に配信されたPS4「Bloodborne(ブラッドボーン)」の大型DLC「The Old Hunters」。今回は待ちに待ったDLCに対して、「DLCだし、4~5時間で終わるっしょ」と舐めてかかった、ある狩人の感想を綴っていく。

「ピチャ、ピチャ、ピチャ」

待ちかねていた、大型DLC「Bloodborne The Old Hunters」が配信された。ある狩人……つまり筆者は、「連休です!連休を取りますから!」と配信日からの3連休を技量でもぎ取り、家にこもってひたすら狩りに興じることを決めていた。とはいってもある種、こんな考えを持っていたことは否めない。「いうても、DLCだし。ボリュームっていっても…ねえ?」みたいな浅はかな考えだ。

本当に、浅はかだった。本稿では先日調子に乗ってハっちゃけたブラボ用のキャラクターさえかなぐり捨てて、筆者が「Bloodborne The Old Hunters」で味わった苦痛、辛酸、悲劇、悦楽、快感を感想として留めていく。「ゲームの記事らしく、プレイレビューでいいじゃん?」という自問自答もあったが、おそらくこのDLCをじっくりと体験した上で、このDLCのことを語ろうと思うのならば、“感想”という形がしっくりくる。

だって、思いの丈が、深くて、暗くて、堪らないのだから。ねえ、マリア様?

ここまでは「Bloodborne」未経験者でも楽しめる…と思います!

「ペチャ、ペチャ、ペチャ」

気を取り直して、まずは「Bloodborne」を知らないという人にゲームの概要を伝えておこう。本作はソニー・コンピュータエンタテインメント×フロム・ソフトウェアのタッグにより制作されたPS4向けのオリジナルタイトルで、両社が生んだ「デモンズソウル」の血脈“トライ&デス”を余すことなく継承しつつ、それを昇華し、新たな3DアクションRPGの道を切り拓いた作品だ。

特質すべきは【死にたくなければ、攻撃しろ】を地で行くこと。本作には回避動作はあれど、防御動作といえば毛先のキューティクルを守る程度にしか存在しない。従来の3DアクションRPG作品では、“RPG”らしい攻撃と防御の一進一退とでもいうか、様式美的な攻防を採用しているケースが大半であったというのに。

しかし、「Bloodborne」はそのゲームコンセプトから防御を削った結果、攻撃と回避が織りなすスピーディで刺激的な剣戟への進化を果たした。「盾を構える安心感」が喪失した3DアクションRPGが、いかに狩人(プレイヤー)たちに心細さを与えたことか。そして、いかに血に酔う獣(プレイヤー)たちを生み出してしまったことか。

同時に、「Bloodborne」のゲーム難易度の上昇は苛烈を極めた。それは筆者を含む3DアクションRPG系のゲームに慣れたユーザーたちであっても、決して例外ではなかった。当時のクリアまでの道程や、苦労したボスでも語ろうものなら、「俺も!俺も!」と一晩を語り明かせる人は多いことだろう。

もう一つ、大きなポイントを挙げるとすれば、「狂った世界感」は避けられない。「Bloodborne」をプレイしたことのない人は、もしかしたら本作のことを、【血まみれの狂人】や、【臓物まみれの死体】や、【狂犬病じみた獣】が襲いかかってくるだけのキュートな世界観だと考えているのではないだろうか? いや、ごめんなさい。大口叩きました。これだけで十分すぎるほどめっちゃ怖いのです。

……さて話を戻すと、それは間違いではないが、正解ではない。本作がプレイヤーに与える心理はまるで「うおー、こえぇー」→「なんか変なのきたー、こえぇー」→「ん?……んんん???」→「(絶句)」である。「Bloodborne」は時に“コズミックホラー”というジャンルで称されることもあり、その結果、既知の概念を逸脱した造形が前触れもなく眼前に現れてしまう。

それらを目にすると、「コレを造形した人が、コレを自身の親御さんに見せた時の顔が見てみたい」と思わず考えさせられるほど、プレイヤーの心は静かに切りつけられる。しかし、【平行世界】【平行植物】といった単語に思い入れがある人は、もしかしたらこのゲームを選んで正解かもしれない。そういう人であればやがて真実に行きつくことだろう。だって、皆さんは知っているだろうか? 「宇宙は空にある」ということを。

※※※ この先、啓蒙に注意 ※※※

この先の内容は、「Bloodborne」および「Bloodborne The Old Hunters」に関するネタバレを含みます。多分に含みます。ですので、攻略中の人または今後プレイを検討している人は絶対に、絶対に、絶対に見ないでください。読まないでください。自分の胸に秘めた「虫」を踏み潰して回れ右。クリア後にまたお越しくださいませ。

その一方、「Bloodborneは知ってるけど、よく知らない人」「Bloodborneをプレイしたことがない人」はどうぞお目通しください。とはいっても、以降は全て“ゲームをプレイしていること前提”で語ってしまっているので、何一つサッパリと分からないはずですが。それでもいいという人は、最高の医療をもって迎え入れますよ。

そうだ、瞳とか興味ありません?

再び、獣狩りの夜が始まる――

「――狩人よ、警告は読まなかったのか?」

とはいってもご安心を! 記述する事柄は局部に収めており、画像も極力意味のないものを選別しているつもりですので、あまりビビらなくても大丈夫です! というわけでここからは早速「Bloodborne The Old Hunters」の感想へと移りたく思います。が、まずはタイトル文に至った状況として、私がDLCに挑んだプレイ条件を記しておくとしましょう。

まあ、とりわけ重要なのは「周回3周目」「メイン武器:慈悲の刃」「聖杯血晶 0個」というところでしょうか? そんなわけで、DLC到達条件を達成してから悠々と最初のDLCエリア「狩人の悪夢」に行ったわけなのですよ!

私が挑んだ「Bloodborne The Old Hunters」
  • トロフィーコンプリート用のキャラクター
  • スタートは3周目の冒頭(クリア周回数)
  • レベル100(体力/40、持久力/40)
  • ステータスは技量特化。メイン武器は慈悲の刃+10、葬送の刃+10
  • 聖杯血晶は掘っておらず(※聖杯ダンジョンで獲得可能な強力な血晶石)
  • 聖杯自体は深度5 トゥメルイルまで解放済み
  • 気持ちは余裕綽々

そして、私は、悪夢を味わった。11月24日14時、エリア冒頭にて“あの古狩人たち”と出会う。なんだ、この硬さと痛さは? 新武器の一つで、かつてないほどのリーチを備えた蛇腹剣「獣肉断ち」をブンブンと振り回してくる。こっちは2発も受けてしまえば死亡なのに、回避のタイミングが掴みづらい変則的なモーション。おまけに、私の自慢の「(本編血晶のみの)慈悲の刃」では無慈悲なダメージしか与えられない。張り詰めた緊張の中、ボスを倒す気分で挑んだ。死んだ。

ここまでは「ほう、なかなか歯応えのあるユニークモンスターじゃねえかっ」と思っていた。だが、“古狩人たち”といったように、古狩人はワンサカといた。個人差はあるのだろうが、大体の人はこの辺りで気が付くのだろう。「想像以上の難易度をお出ししてきやがった…」と。私の場合は周回数を重ねていることが大きかったのだが、それにしても、なんて場所だ。

プレイする前は本当に、「DLCだし、数時間でクリアできるだろう」とたかをくくっていた。しかし、現実は一番最初のボスに到達するまでに、探索を含めて余裕の二桁DEAD。「DLC=ファン向けコンテンツ」とまでミーハーに考えていたわけではないのだが、ここまで本気の姿勢でブチかましてきたDLCを目にしたのは久方ぶりである。

そして、色々な意味で「まさかな…これが続くわけがない…まさかな…」と考えながら最初のボスに挑んだ結果……気が付くと3時間、死に続けていた。敵の名は「醜い獣ルドウイーク」。本編では人気武器「ルドウイークの聖剣」の持ち主として知られ、その姿もDLC発表とともにPVなどで明らかにされていた。つまり、今回のDLCの顔役だ。

 
このルドウイーク、非常に強い。私は本編のボスの中でも「教区長エミーリア」に辛酸を舐めさせられ過ぎたせいで、エミーリアこそ最強にして最弱(対策を練り続けた結果)と思えるまで克服したのだが、ルドウイークはあの時感じた“無理”を一戦で凌駕した。

本編のボスたちは最初の数戦でボコ負けしても、「無理ではないのかもしれない」とチャレンジ魂を呼び覚ましてくれた。しかし、ルドウイークは違う。「これ、勝てない系のイベント戦闘かな?」と逃避を試みてしまう。エリア内で行ける先はもうどこにもないというのに。そこから数十戦……ルドウイークの癖が見えてきた。だが、癖が見えたところで、それを補う隙のなさで火力勝負に持ち込まれてしまい、絶望を味わう。

ここで私が選択していた戦法は「近接戦で相手の足が折れるまで斬り続ける by 後は回避任せ」。基本はヒット&アウェイだが、慈悲の刃の火力&リーチでは、3週目ルドウイークに決定打を与えるのが私には難し過ぎた。そのため、相手のワンパンで倒されようとも、いつか来る“もしかして”を掴みとるため、「お願いします…お願いします…」と祈りながら、思考停止のR1ボタン連打を繰り返していた。あっ、飛んだ。死んだ。

そして諦めた11月24日21時。私は体力を上げることを、全要素をルドイーク用に調整することを、そして聖杯ダンジョンに潜ることを決めた。愚かな私はこの結論にたどり着くまで、「縛って、勝って、うち最強やん?」「即死圏内のギリギリが俺を狂わせる」「新キャラ作って1週目にしょ…」だの、しょうもないことを引き換えにプライドを折らなかった。でも、ことここに至っては認めざるを得ない。

「――強くなきゃ、ここでは戦えない」

そして、私は、狩人は、見違えるように強くなった。体力は80、持久力は50、武器は葬送の刃(変形前)をメインに、聖杯血晶はお馴染みの物理27.2%×2。聖杯ダンジョンの解放からスタートであったら、顔中が苦汁にまみれているところだったので、トロコンキャラクターさまさまである。これにより、死亡までの被撃回数は体感で3~4回、攻撃の与ダメージは純粋に100アップと……この無敵感よ!

ちなみに私はこの時点で、古狩人や連盟員の協力NPCの存在に一切気付けていない。かといって、こういう類のゲームは「まずはソロでクリアして『1人でやったぞ!』の自負を得る」のが己に課した誓約(プレイスタイル)なので、協力NPCなんて甘え要素は見つからなくてよかったくらいだ。見つかってたら絶対使ってた。

決戦は明くる11月25日0時。勝てるまで悪夢は醒めない。越えるまで寝ることはできない。先のことは、全て3連休シールドで防ぎきる(この時点で仕事の連絡を1件見逃し)。だが…、それなのに…、いやそれでもか…、ルドウイークには勝てない。この頃には「醜い獣ルドウイーク」は安定して打ち破れるようになっていた。だが、残り体力半分で覚醒する「聖剣のルドウイーク」の、あの月光の聖剣から逃れることができない。

無力感に苛まれながら、「灯りで復活→輸血液×5個を確保→ボス入場のコースなら狩人最速選手になれるのでは?」という暗い悦びに浸りながら、まな板の鯉のように死に続ける。手持ちの聖杯血晶やステータスの関係から「メイン武器が変えられない!」という思い込み、レベルを上げ過ぎたら今後のマルチプレイに支障が出るという強迫観念(※)。敵はモンスターだけではない、己の黴た心もだ。

※レベルに関しては結果的にとりこし苦労。最終的に165まで上げましたが、バシバシ協力・侵入できます。

 
獣の夜も深まる11月25日2時。ふと、私は慈悲の刃を手に取った。元々、この武器を余すことなく、最後まで楽しみつくすために作ったのだ、このキャラクターは。葬送の刃で培った攻略法を投げ打ち、醜い獣ルドウイークに無心で連撃を加える。聖剣のルドウイークの斬撃はいまだに避けられない。しかし、よく見てみると、相手がやたらと大技を乱用していた。完璧な避けパターンは構築していなかったが、ただ無心で近寄り、攻撃を避け、その隙に足元を切りつけていた。

すると、ルドウイークの足元が崩れた。内臓攻撃の位置取りよりも、一心不乱に斬り続けることを選択していた。ふと、それまで意識していなかった敵の体力に視線が向く。……残り体力ゲージ 2cm弱。一転、狩人の動きから彩りが消える。これまで無我のままに斬り続けていた心に欲望が湧き、思考が凍りつく。知っている、この感情、これは「Bloodborne」でよく味わった。それはつまり、「お願いします…お願いしますから…」とよく分からないものに祈る瞬間だ。

回避したいのに回避しない矛盾。ひたすらR1ボタンを連打するだけの機械に成り下がるその無様さ、なんと滑稽な狩人の姿か。シモンの仲間たちにすら嘲笑されるかもしれない。しかして、ルドウイークの首が地に落ちた。私は深く息をつき、家の外へと出て、真冬の寒空の下で煙草を喫みながら、にまぁーっとした。DLCの最初のエリア「狩人の悪夢」に入ってから約10時間。私は勝ったのだ。純粋に敵と戦っていただけの時間ではないが、私は征したのだ。

そして、私はここでようやく確信した。難しすぎんだろっ!!!

「実験棟」―おぞましさは美術なり

「ちょろり、ちょろり、ちょろり、ちょろり」

実のところ、2015年で最高峰の重苦しい戦いであったルドウイーク戦から先は、詰まったというほどの苦労をしていない。「初代教区長ローレンス」のえげつない攻撃範囲には思わずよだれを垂らしそうになったが、新たな相棒「シモンの弓剣+10」をもってすれば、「お願いします…お願いですから…」の祈りが通じて、火傷程度でどうにかなった。

また、ユーザー間を賑わしていた最後のボスについても、最初は「無理ゲー」、次第に「良くなってきた」、最後は「全てがかみ合った」ことで、骨折しそうな程度でどうにかなった。要するに、操作技術よりもレベル+聖杯血晶が大きく働いただけの話ではあるが。ここまでの結論としては、ルドウイーク以外は再戦しても倒せるが、ルドウイークだけはまだ無理な気がする。

なお、「どうしても無理!無理なもんは無理!」というくらい行き詰ってしまった人は、「The Old Hunters」で増えた協力NPCの存在に頼るべきだ。狩人&ヴァルトール&ヘンリエットのトリオを結成すれば、ルドウイークですら軟弱な獣と化す。上手くいけばの話だが。むしろ、私のように特に変なこだわりがないのであれば、それこそプレイヤーの協力者を募って挑むのがいいだろう。

まあ、今回紹介している発売後の3日間の頃は、周回数の違いによる火力/体力の差が問題で、“ワンパンお疲れ死”の阿鼻叫喚が多発していたが。

 
さてと、ここいらで「Bloodborne The Old Hunters」のストーリーについても触れてみよう。とはいっても例の如く、本作は物語の断片を拾い集めて、プレイヤーがストーリーを推測するという仕組みなので、「コレだ!」という正解を導き出すのが難しい。私もそれなりにアイテムの説明文、マップの状況、他者がかいつまんだ情報を咀嚼しているクチだが、それでも皆さんは鵜呑みにしない方が賢明である。気を付けて。

今回の作品では、本編であまり深く掘り下げられることのなかった「医療協会」と「ビルゲンワース」、その両組織と関係する“何もの”かの過去について触れられている。「狩人の悪夢」というエリア自体、この2つに関わった人物、存在、コミュニティーなどに関連する、強い好悪の感情をない交ぜにしたドロドロで形作られているものだ。そのため、地形や時間の連続性および整合性には欠けている。まあ、それが奇妙でいて心地いいのだけれど。

 
深い内実については持論を展開するのが大いに恥ずかしいので、具体的な部分を抜粋すると、「医療協会 マジ ヤバイ」「ビルゲンワース 超 ヤバい」「シリーズ初、ヒロイックなヒロインが登場(鳥羽の狩人アイリーン除く)」と、これまでボンヤリしていた部分に対しての事実が浮き彫りにされている。これは本編における「なんで」「どうして」を補強できるほどの骨組みだ。

「ヤバイヤバイばかりで分かんねえよ!」という人は、とりあえず実験棟に行ってみよう。どうしてそうなったのかは分からなくとも、何が起きたのかは嫌というほど目にできるはず。この実験棟は、一目見れば施設の概要が把握できそうなほど、「Bloodborne」内でも随一に狂った場所である。これまでさまざまに「絶対に行きたくない、住みたくない、生まれたくないエリア」が生み出されてきたが、ここは絶対に訪れたくないランキングの3指に入る。

施設内には、人の身体に似たモノに、おぞましい巨大なピンク色の肉塊が乗せられた患者たちが蠢いている。一体、何を元に実験したのでしょう? 施設内はいたるところが暗がりで、そこいらにガラス瓶や点滴が落ちており、歩くたびに何かの割れる音が響きわたる。暗所からは頭に刺さる叫び声とともに、ピンク色の肉塊が両手を振り回しながら襲い掛かってくる。

しかし、血まみれの床はすぐに見慣れる。理解の及ばない物体は敵とする。そう、実験棟の素晴らしいところは、身体的にも精神的にも嫌悪感が充満しており、隅から隅まで正気の欠片も見当たらないのに、それに慣れてしまうことだ。「Bloodborne」をプレイしたことのない人であれば、怖いもの見たさの気持ちに、これらの刺激的な場面が植えつけられ、本作を“そういうゲーム”と定義付けてしまうかもしれないほどの有様なのに。

だが、ここまで「Bloodborne」を進めてきたプレイヤーたちはおそらく、気持ちの悪すぎるその全てを、自身で制圧していくうち、よく分からなくとも連続する物語の背景の一つとして捉え、おぞましさの度が過ぎたこの場所に、いつしか安堵を覚えてしまう。歩いて、知って、覚えるうちに啓蒙が高まり、自身の理解の範疇にそれらを収めてしまう。言葉を飾らなければ「ゲームだし」「人間的な慣れ」としても問題はないが、小難しい方がカッコいい。

それにしても、この実験棟のデザインを作り上げた人が都内で同じ電車に乗り、あまつさえ隣に平然と座っているのかもしれないと考えると、私は戦々恐々である。クリエイターの血が流れている人種は、底が見えそうにない。

さらに、ビジュアルついでに語りたいことがもう一点。DLCにより導入された、「日本語音声への対応」についても触れておきたい。私はまだDLC範囲内のみのプレイで本編を通してはいないのだが、既に“こういう3DアクションRPGは英語であるべき!”と思っていた意識にガツンと打撃を受けた印象だ。

私は英語のリスニングなんて、中学生の範囲ですら頭痛が痛い程度なので、基本的に雰囲気とイントネーションで楽しんでいる。「日本語なんてカッコわりーよ!」というほどヤンチャな考えは持っていないつもりだが、“こういう3DアクションRPG”に関して天秤を傾けるのであれば、実際そうなのかも。そういう感じ。しかし、言語を音声として認識できるようになると、ゲームから受け取れる情報量がまるで変わってくる。

特にそれが印象的であった実験棟では、スタート地点の近くにいる愛嬌ある狂気「目玉を探す人」、非常識の塊でぶん殴ってくるかのような存在「コマドリ」、明らかにオカシイのに癒されてしまう元・血の聖女「アデライン」などが、そのキャラクター性も相まって印象深い人が多いのではないだろうか。

人間と狂気の境い目を表現する、彼・彼女たちの演技・語感は実にユニークで、“日本語ならではの味わい深さ”を甚く堪能することができた。特に、アニメファンであればアデラインを演じる花澤香奈さんへの認知度も高いと思われるので、一聴の価値ありだ。

そして、悲しく、可愛らしく、純粋に、ひたむきに狂っているアデラインと、隠された狂気に関わってしまったもう一人の女性の存在が、実験棟の、ひいては医療協会の歪んだ正当性を際立たせている。このステージに初めて訪れた時の感情は、そう易々と忘れられるものではない。

「漁村」―それは私の苗床

「ビルゲンワース、ビルゲンワース……」

私は「漁村」というマップが大好きだ。漁村には従来のテイストとは少し違う、海の奥底に身を潜めている支配者をインスピレーションしたかのような、フジツボ、ナメクジ、語るもおぞましい生臭そうな魚人が生息している。実験棟が身体・精神の嫌悪を想起させるとすれば、漁村はまぎれもなく生理的な嫌悪を誘発させる場所だ。加えて、蔓延している憎悪が目に見えるかのような場所だ。

しかし、私はここが大好きだ。デザイン的には絶対に勘弁してほしいランキングの3指に入るほど恐ろしいのだが、何より“ゲーム的に大好き”。というのも、漁村にはエリア内にボスが存在せず、次に辿り着くマップまで地続きになっているおかげで、「道中攻略専用のマップ」として存在しているおかげだ。

「Bloodborne」に限らず、こういったゲームのシステムで協力・敵対プレイを行うと、「ボス」「対人」などの分かりやすい目的により、道中攻略のアレやコレやキャッキャウフフが排除されやすい。しかし、漁村で協力プレイを行うと「皆でステージ攻略を頑張る」ことが第一の目的となるため、大型ボスと戦うだけではない、純粋なステージ攻略の楽しみに終始できるのだ。

さらにいうと、私は漁村の敵対プレイが大好物。3連休の3日目に、10時間ほどぶっ通しで漁村で敵対プレイをしていたほどに大好物。ただ、私は敵対プレイをするときは純粋な対人目的ではなく、ロールプレイに徹した“アトラクション系の敵対者”を演じることが多い。

敵の後ろに隠れながら遠眼鏡でチラチラ覗き込んでみたり、スローイングナイフや火炎瓶を投げてヘイヘーイ!と煽ったり、輝く硬貨で道を作って意味のない目的地を示唆したりと、ネチネチと嫌らしいユニークNPCのようなロールプレイをもって攻略組を迎え撃つ。

目的は攻略組を倒すことだけでなく、「なんか、遊園地の狂ったマスコットみたいな奴がいるぞ」と思わせること。しかし、向こうから勝手に馴れ合ってきて、本当に隙を晒してくるようであれば、その背中に落葉で落とし前。南無三。漁村からその先のマップまで、敵配置とギミックを活かして延々と遊んでいると、約30分~1時間くらい同じ人たちと遊んでいる気がする。

とはいっても、協力と敵対の意志疎通は困難なので、押し付けはしないよう心掛けているつもり。敵対者は存在しているだけでプレッシャーになっているので、余裕綽々なのは常にこちら側だけなのだ。また注意している点としては、あまり敵意むき出しの立ち位置をとって、攻略組の足を止めてしまうことが挙げられる。あの気まずい硬直の時間、嫌よね。

漁村最大の難所「井戸」で誰かが死闘を演じていれば、悠々とその場を見学しつつ、過分な危害を加えないよう適度に煽る。勝利の暁には、はしごの上部に陣取って蹴りつけて完封する。また、いかにもな場所で「命乞い」をしながら相手を誘い込み、強力なNPCの出現にたじろぐ相手を「確かな意思」でグッ!っとする。これも好き。文字にするとめっちゃ小物っぽい。

ちなみに最近のマイブームは「時限爆発瓶」と「縄付き時限爆発瓶」。これらは使用時、手元で投げてから一定時間後に爆発するという新アイテムなのだが、総じて威力は低い。しかし、相手にプレッシャーをかける小道具としては最良だ。

特に、火炎瓶などでは高低差のある地形、エレベーターなどでは使用距離の限界により、何もないところで爆発や消失してしまうのだが、時限爆発瓶であれば“地面に設置されてから爆発する”という制限上、高低差による消失を気にせず使用できる。

そのため、すごく長いエレベーターで上昇してくる攻略組の上から、ひたすら時限爆発瓶を投げて慌てさせる手法が個人的に流行っている。運が良ければ、エレベーターの到着+爆発のノックバック=溜め攻撃一点強化の「葬送の刃」のR2ボタン長押しを合わせて、複数人を一斉に瀕死に追いやることすらできる。そのあと大抵倒される。

なお、一見誰かに楽しんでもらいたいようで、こっちが楽しみ方を強要しているのが透けて見えているので、出会ってしまった人は「真っ向から相対してこないので、倒すこと自体が難しい厄介な敵対者」と思って処理に勤しんでほしい。また、ひたすら対人プレイを積み重ねることに飽きてしまった人などは、このアトラクション系ロールプレイがぜひともオススメだ。

あとついでに、漁村生まれの新たなキメラアイドル「魚犬」も見逃せない。この生物を初めて見た時のトキメキを、みんな忘れてはいけない。「これ作りましょう!」と提案した人の発想の源が知りたい。

血に酔え、血に酔え――

私は「Bloodborne」という作品自体が、おそらく2015年内で一番好きなタイトルといえる。戦闘も世界観もビジュアルも、狩人の仕草に至るまで全ての要素が惚れ惚れするほどスタイリッシュでカッコ良過ぎる。ゆくゆくは10年後、20年後、「PS4タイトルといえば? やっぱ『Bloodborne』でしょ」と口にする自分が想像できるくらい、このゲームに惹かれてしまっている。

そして今回の「Bloodborne The Old Hunters」は、本当に単なるDLCでは済まなかった。再三にわたって繰り返すが、プレイする前は「所詮、DLCのボリュームだし」と思っていた。実際、ゲームのボリューム自体は本編に対しての一角でしかないのだが、難易度調整によってエンドコンテンツと呼んでいいほどにゲーム内容が洗練されている。

逆説的に、2015年12月発売の「Bloodborne The Old Hunters Edition」というフルパッケージで本作を評価すれば、これまで指摘されてきた「もっと遊びたいがゆえの『Bloodborne』のボリューム不足」もしっかりと解消されているように思える。すごいぞ、「The Old Hunters」。

 
しかし、それでも不満が残る。そう……もっと、もっとだ、もっと血をくれ。「狩人は酒では酔わない。血に酔うのだ」といったのはソニー×フロム、あなたたちだ。私はもっと汚れた獣を、気色悪いナメクジを、頭のイカれた奴らを、どんどんすり潰したい。「Bloodborne」が示唆した革新的なバトルコンセプトを、気の触れるようなストーリーを、もっと味わいたい。

いけない、啓蒙が、啓蒙が足りない。瞳が足りない。頭の中には瞳はないし。口の中には瞳はないし。そうだ、瞳を作らなければ。止まらない、止まらない。水の滴る音が止まらない。暗く蕩けた脳液が欲しい。ちょろり、ちょろり。海の音が鳴りやまない。ああ、やっぱり。宇宙は空にあるんですね。

最後に“僕がシビれた仕掛け武器 TOP3 TOH Ver.”をお届け!

記事の最後は、使いたいものが多すぎて強化素材が全然足りないでお馴染み「Bloodborne The Old Hunters」の新武器より、私好みの3つをピックアップ!

今回は“変形する瞬間がカッコいい”はもちろん、攻略上の性能的な観点も含めつつ、そのビジュアルに迫ることにしました。ですので「おや、教会の杭がありませんねー?」「爆発金槌に決まってんだろ!L1連打すんぞ!」とか、あまりカッカしないでください。なにとぞ、お命だけは、お命だけは。

というわけで、納得したら早速GO!

「回転ノコギリ」

怪しい棒状の接合物体と、ノコギリ刃が付いた円形の兵器が合体する、アナログでデジタルなマッスルウェポン。デザインのコンセプトが尖りすぎて、武器としても、拷問器具としても、しっくりくるようでしっくりこない。その見た目だけでクラクラしてしまいます。

ただし、ゲーム内での使い勝手は上々で、「Bloodborne The Old Hunters」の中でも結構な人気を誇っている回転ノコギリ。攻略のお供にも超You Know! 回転するノコギリの刃をベタ足で押し付ける特殊攻撃の様子は、巷ではピザカッターという名で親しまれているとかいないとか。

注目は、棒状の物体を円形のノコギリにブッ刺した瞬間、男の子の心をくすぐるように、機械の産声が「ギュイイィィィン!!」と鳴動することです!

「シモンの弓剣」

「Bloodborne The Old Hunters」におけるマイ・ベスト・パートナー。元は狩人シモンのためだけの特注武器で、「剣」と「弓」の2形態で戦うことができるのが特徴です。が、アイテム説明によるとシモンの少数の理解者を除いて、周囲の狩人には嘲笑われていたとか。いわく、「弓で狩りをするなんて」と。あまりにユーモアが効き過ぎていてシビれる。

色気を感じさせる波打った剣が、鋭利で気品のある弓へと変形する瞬間は、通常再生ではあまりに早すぎて見えないのですが、それがまたカッコいい。利便性も高く、弓形態は歩き打ちも可能なので、遠距離用の武器としても、ローレンス戦でのヘイト取りにも引っ張りだこの逸品です。

えっ、メイン武器の慈悲の刃? やっこさん引っ越したよ。

「小アメンの腕」

これを武器にしようとした発想、作成・完成に至るまで携わった職人、いずれも正気を保っている人が関わっていなかったんじゃないかと考えられます。そんな武器「小アメンの腕」は、上位者・アメンドーズの小さい個体から落ちた腕を、そのまま武器に加工してしまったものです。オカしい。

特質すべきは生体じみた「ニュルニュル」「ビチャビチャ」「グチャグチャ」なる変形時の効果音。攻撃も生き物じみていて、使用者の意図とは別に勝手に動いています。さぞかし啓蒙の高まった偉人が生み出したのでしょう。ただ、武器としてはリーチに優れていて、「えっ、そこまで届くの?」となるので心強いです。

誰かの世界に侵入した際は、ニュルニュルグチャグチャと変形を連打しまくって、戦う前から相手の心を削りにかかりましょう!

Bloodborne The Old Hunters Edition

ソニー・コンピュータエンタテインメントPS4ダウンロード

  • 発売日:2015年12月3日
  • 価格:4,900円(税抜)
  • 17歳以上対象
Bloodborne The Old Hunters Edition

Bloodborne The Old Hunters

ソニー・コンピュータエンタテインメントPS4ダウンロード

  • 発売日:2015年11月24日
  • 価格:2,000円(税抜)
  • 17歳以上対象
Bloodborne The Old Hunters
(C)2015 Sony Computer Entertainment Inc. Developed by FromSoftware, Inc.

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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