フジ・メディア・ホールディングスとフジテレビジョンは、ゲーム事業について簡易新設分割による分社を実施し、2016年4月1日付でフジゲームスを設立する。本日3月25日に行われた「フジゲームス設立発表会」では、新会社の設立に至った経緯が説明された。
これまでフジグループのゲーム事業は、フジテレビのゲーム&インキュベーション事業部と、gumiとの合弁で設立されたFuji&gumi Games(以下、FgG)が中核を担ってきた。「テルマエ・ロマエ ガチャ」「ファントム オブ キル」「誰ガ為のアルケミスト」といったタイトルを知っている人も多いのではないだろうか。
こうした取り組みを通じてゲーム事業の規模を拡大してきたフジグループだが、市場の変化に対応し、さらなる成長を遂げるために新会社「フジゲームス」を設立。急激な市場環境の変化に即した意思決定やクリエイターの採用、第三者との提携・投資を柔軟に行っていくとしている。
本日行われた発表会では、“満を持して”という形で設立されるフジゲームスの誕生に至った経緯や、ゲームに関するフジグループの多彩な展開が発表された。
「機は熟した」
今回、ゲーム事業に注力する新会社が設立されることになったが、もともとフジテレビは6年前からフィーチャーフォンやPC向けゲームを制作しており、億単位の売上を記録してきたとフジテレビジョン常務取締役・大多亮氏は語る。
その後、2014年にはgumiとタッグを組んでFgGを設立し、「ファントム オブ キル」「誰ガ為のアルケミスト」といった作品を生み出してきた。
こういった展開を経て、フジテレビは同じ「エンターテインメント」という分野でありながら「近いようで遠かった」と大多氏も語るゲーム事業に本格的に取り組むことに。まさに「機は熟した」(大多氏)ということで、フジゲームスを設立するに至った。
フジテレビジョン コンテンツ事業局長の山口真氏は、フジゲームスをもってゲーム業界に挑戦しようと決断した理由を2つ挙げた。
ひとつは、新会社の代表取締役社長に就任するフジテレビジョン ゲーム&インキュベーション事業部長・種田慶郎氏をはじめ、ゲーム業界で仕事をしたいというやる気のある人材が集まったこと、そして彼らの人脈を使いながら戦えること。そしてもうひとつは、これまで出してきた作品で手応えを得たことだ。
昨今のスマートフォンゲーム業界は、1作品あたり数億円単位の規模になってきており、だんだんと参加できる者が絞られてきた。山口氏はこの状況を「予選リーグが終わって決勝トーナメントに入った」と形容。“決勝トーナメント”に進出する手応えを掴んだと自信を見せる。
とはいえ、垂直統合でゲーム組織を作ろうとしているわけではないと、山口氏ののちに登壇した種田氏は強調する。種田氏は、フジゲームスは他社や異なる領域の一線で活躍するクリエイターと協力し、新しいストーリーやキャラクターを生み出して、アニメや映画、コミックなどマルチ展開しながら中長期的に大きく育むハブになる会社にしたい、ポジティブな話題を国内・世界に発信していきたいと意気込みを語った。
なおフジテレビがパブリッシャーとなっていた作品は、すべてフジゲームスに移管される。また「フジゲームスらしい大作」(種田氏)のリリースには1年、2年待ってほしいと種田氏はコメント。具体的な数字としては、2019年度中に売上で100億円、営業利益で25億円を目指しているとした。
フジゲームスのサウンドプロデューサーを務めるのはToshIさん!
ここで、ゲーム音楽にも力を入れていくというフジゲームスのサウンドプロデューサーに、ロックバンド・X JAPANのボーカル・ToshiIさんが就任することが明らかになった。
ToshIさんにサウンドプロデューサーを依頼した理由について種田氏は、日本発のエンターテインメントを国内のみならず世界に発信することを目指しており、それを実際に行っているのがX JAPANであり、ToshIさんであると説明。
ToshIさんもX JAPANとしてグローバルに活躍する中で、日本のゲームが世界中から期待されていることを肌身で感じていたという。その分野に新しくチャレンジできることにとてもワクワクしており、世界中のゲームファンに日本のゲームカルチャーを届けられるような仕事をしていきたいと意気込んだ。
ちなみにToshIさんは、ゲーム黎明期のテニスゲーム、野球ゲームをプレイしていたという。その後長らくブランクがあったものの、今回のオファーを受けてから勉強し始め、高度化したゲーム音楽に驚いたという。
今後はフジゲームスのサウンドロゴの開発、そしてゲーム楽曲の制作に取り掛かるとのこと。ToshIさんの手でどんな楽曲が生まれるのか、ゲームファンのみならずX JAPANファンも注目だ。
ナイアンティックへの出資
さて、「フジゲームス設立発表会」では、2016年2月にiOS/Android「Ingress」を運営するアメリカのナイアンティックに資本参加した件について、改めてフジテレビ 国際開発局長 前川万美子氏より説明が行われた。
ナイアンティックはGoogle内の社内ベンチャーとしてジョン・ハンケ氏によって創業され、2015年10月に独立した会社だ。位置情報を使ったスマートフォン向けアプリ「Ingress」で広く知られており、全世界で1,400万ダウンロードを記録している。
ハンケ氏はフジテレビに対し、アジアのメディアとブランド構築に関する知見をもたらしてくれると期待。それを受けてフジテレビも、番組やイベント、ゲームといったさまざまな協業の可能性を探っていくとした。
e-Sportsの新番組が放送決定!
ここからは、フジグループによるゲームに関するさまざまな展開を紹介していこう。まずは4月23日18時より、フジテレビONE/ONEsmartにてe-Sportsを取り扱う新番組「いいすぽ!」が放送開始されることとなった。
本番組は毎週土曜日18時から2時間生放送され、プロゲーマーをはじめとした凄腕のプレイヤーたちの戦いを生で観戦することができる。
初回はカプコンの「ストリートファイターV」をピックアップ。そしてゲーム実況サイト・Twitchの全面協力を得て、全世界同時配信される。
この日は本番組のMCを務めることになったバカリズムさんも登場。バカリズムさんはRPGやSLGを好み、休みの日には10時間にわたりやり込むほどのゲーム好きだ。競技として楽しむe-Sportsにも「非常におもしろい」と興味津々。ゲームの上手い人がもっと評価されるきっかけになればいいと期待を寄せた。
各ゲーム作品の最新トピックスが発表!
続いて、FgGのプロデューサー・今泉潤氏が登場。今泉氏は、“アニメのようなゲーム”と表現した今春配信予定の「シノビナイトメア」、新たな展開“プロジェクトZERO”がまもなく始まる「ファントム オブ キル」(以下、「ファンキル」)、その「ファンキル」を超える勢いを見せた「誰ガ為のアルケミスト」(以下、「タガタメ」)の各タイトルを説明。この中でさまざまなエンターテインメントを展開していくと話した。
「ファンキル」&「タガタメ」を応援するメンバーが登場
ステージには、「タガタメ」の公式サポーターに就任した武田玲奈さんも上がった。
武田さんは「タガタメ」公式サポーター就任について、アニメ・ゲームが好きなのでうれしいと率直な気持ちを口にする。実際にゲームもプレイしたようで、完成度が高く、出演声優も豪華でテンションが上がると笑顔で話していた。
会場には「ファンキル」のコンセプトフィルムの主題歌を歌うでんぱ組.incも登場して華を添えた。主題歌の歌詞にはゲームのストーリーに関連したワードが散りばめられており、いつものでんぱ組.incのものに比べてシリアスな楽曲になっているという。
さて、ここで昨年FgG名誉会長に就任したタレント・大久保佳代子さんからのビデオメッセージが披露された。大久保さんはフジゲームスの設立を喜ぶと同時に、あと4日で名誉会長の任期が終わることに言及し、今泉氏に強烈なプレッシャーをかける。
それを受けた今泉氏は、まず事務所に連絡してみるとコメント。ちなみに更新される予定は「特にない」そうだ。
「ダービーロード」がバージョンアップ!
続いて、「ダービーロード」公式サポーターの足立梨花さんと、競馬評論家・井崎脩五郎氏が登場した。
2人とも「ダービーロード」で競走馬の育成に励んでおり、競馬初心者の足立さんも馬を育てる楽しさと競馬のあれこれを、ゲームを通じて学んでいるようだ。
その「ダービーロード」で、プレイヤー同士でレースができるようになる。会場では早速、井崎氏が育てた「タマニワアテロヨー」と、足立さんの「スマイルアダチ」がレースを実施。50年の知識を全部詰め込んだ史上最強馬だとニコニコ顔で話していた井崎氏のタマニワアテロヨーが、レース開始直後からトップに立って独走し、スマイルアダチに10馬身差をつけて大勝していた。
多彩なジャンルのゲームを、テレビ局らしくさまざまな方面に展開していくフジゲームス。最後に山口氏は、このチャレンジを応援してほしいと呼びかけ、発表会を締めくくった。