ガンホー・オンライン・エンターテイメントが2016年4月14日に発売した、PS4向けステルスアドベンチャーゲーム「République(リパブリック)」のプレイレビュー。見てはいけない“ある物”を見てしまったある女性を救うべく、プレイヤーは彼女の救出に乗り出す。

目次
  1. ホープを救い出す術は、ホープを縛り付ける監視システムにあり
  2. まずはゲームの登場キャラクターを紹介
  3. ホープの脱出劇の先に待ち受けるものとは……?
  4. PS4版の追加コスチュームを紹介!

今回紹介していくPS4版「République」は、ライアン・ペイトン氏が率いる米・カモフラージュ社が制作したステルスアドベンチャーゲーム。

本作は、iOS/Android/PC向けに配信されているゲームアプリをPS4向けに最適化し、同時に全5章から構成される物語をフルパッケージで収録したタイトルとなっている(※PS4以外のプラットフォームでは章毎に配信。PS4版の価格はパッケージ版が3,600円、ダウンロード版が3,000円)。

“あるかもしれない未来”を示唆する独特な世界観、プレイヤーと主人公・ホープの視点を切り替えて進めていく知的なゲーム性はもとより、PS4用コントローラーパッドに最適化された操作性や、日本語ローカライズ(字幕)されたシナリオは、既存プレイヤーであっても見逃すべきではない。

ホープを救い出す術は、ホープを縛り付ける監視システムにあり

ゲームの舞台は、謎の全体主義国家“メタモルフォーゼ”。ここは極度の監視システムが敷かれた社会であり、規定から逸脱した者は容赦なく隔離され、“再矯正”なる洗脳を施されてしまう。いわゆる、ディストピアと称されるべき場所だ。

物語は、プレイヤーの元にホープと名乗る女性から、一本の電話がかかってくるところからはじまる。彼女はこの社会において見てはならない“ある物”を見てしまったことで、メタモルフォーゼからの再矯正を受ける瀬戸際に立たされていた。

プレイヤーはそんな囚われの身であるホープを救い出すために、施設を管理する「プリズラック(護衛者)」の1人、クーパーのサポートのもと、監視システムをハッキングし、厳重な警備の目を逸らして、彼女を脱出させようと試みる。

まずはゲームの登場キャラクターを紹介

主人公・ホープ

“ある物”を見たことから、メタモルフォーゼによって幽閉されてしまった罪なき女性。運よく入手した携帯電話を頼りに、プレイヤーの手助けの元、彼女は施設からの脱出を決意する。

フレッド・クーパー

30代の男性。メタモルフォーゼではプリズラック兼IT業務を担当する男性。極度の人見知りだが、ホープの境遇に同情し、プレイヤーと共に脱出の手助けをしてくれる。

クイン・デリンジャー

38歳の男性。メタモルフォーゼの護衛長であり、プリズラックの司令官。常に力を乱用している危険人物である。

ミレー・アザリー・プリドー

42歳の女性。過去に人類学者としての経歴を持つ。たが、“メタモルフォーゼ”に携わるうちにその人格も変化してしまった。

監督者

60歳半ばの男性。メタモルフォーゼの建国者にして最高指導者。その目的と素顔は謎に包まれている。

世界観は中々にハード。「ただのSFでしょ」と一蹴せずに、高度な発達を経て行きついた社会であり、現実世界でも起こるかもしれない延長線上と捉えれば、“こうであってもオカシクない近似性”を感じてしまう。しかし、ここであまり主張すると、いつかの未来で反社会分子としてマークされるかもしれないのでこれくらいにしておく。いや、「監視社会、最高!」くらい書いておくほうがベターか。

さて、そんな世界を示唆するエピソード1「序章」の導入部を見たら、いよいよゲームがはじまる。本作は攻撃的なステルスゲームではなく、隠れて逃げてやり過ごす脱出ゲームに近しい。ステージを進めていくうえで重要なのは、施設内の監視カメラやシステムを掌握する【プレイヤー視点の操作(OMNI(オムニ)ビュー)】と、実際に移動したり隠れたりする【ホープの操作】にある。

ゲームの簡単な流れは、下記スクリーンショットのような感じで――

プレイヤー視点(OMNIビュー)の操作

1.ここからみえる□ボタンのカメラに移って……
2.続いては×ボタンのカメラに移って……
3.行く先の危険なポイントを洗い出していく。

ホープの操作

1.ホープを移動させてみる。
2.ゲーム中の視点は全て監視カメラを通したアングルになっているので……
3.カメラを右スティックで操作し、ホープが映るようにする。移動していると操作しているカメラが別のカメラへと
自動で切り替わるが、あまりレスポンスがよくないので、角で誰かにバッタリ!が頻発してしまうのに注意したい。

本作ではこのように、【情報の収集】と【実際の行動】が切り分けられていることで、一般的なステルスゲームとは一味違う感覚を楽しむことができる。ホープは催涙スプレーなどを使うことでプリズラック(敵)から戦闘能力を奪うことが可能だが、数には限りがあるので、基本的に力押しの強行突破で物事を進めようとするのはよろしくない。

R1ボタンで開く、プレイヤー視点のOMNIビューでは、複数の監視カメラをハッキングして、さまざまな角度から周辺の状況、プリズラックの配置を把握することができる。安全に安全を重ねたルートを吟味した後、ホープを移動させていく。これがぴったりハマった瞬間が本作ならではの醍醐味といえる。

ただし、本作ではプリズラックに見つかり、捕まってしまってもすぐに再矯正を施されるわけではなく、マップ中の隔離室(安全地帯・中継地点的なもの)に連行されるだけなので、ゲームオーバーの不安を感じることはない。また、隔離室も結構な数が点在しているので、「スタート地点まで戻された…‥」などの大幅な時間のロスは抱えずに済む。

ホープの頼りになる相棒の一つ、ロッカー。
催涙スプレーを使うとプリズラックがモヤモヤに。この間は周囲をウロウロしてても捕まることがない。
ホープの操作 プレイヤー視点(OMNIビュー)の操作

なお、OMNIビューに切り替えている間はゲームの進行が停止するので、操作自体は落ち着いて行うことができる。リアルタイムで進行しないことが若干ハラハラ感を途切れさせてしまっているが、プレイ中は“気軽にテンポよく開けるメニュー画面”としても活用できるので、そう悪いものではない。

また、OMNIビューでは監視カメラをハッキングするだけでなく、「メールを盗み見る」「プリズラックの気を散らす」「ドアの開錠/施錠」など、さまざまな手段が存在する。中には“施設内で見つけたデータを売却し、イリーガルな手段を購入する”ことでアンロックされるものもあるので、さまざまなカメラで、さまざまな視点で、施設内をくまなく探していくのが大切だ。

各所のギミックに関しては、どこで何ができるのかがあらかじめ決まっているので、「どこで何をどうすればいいんだろう」と迷うことは原則ない。ゲームの主軸はマップ内の探索にある。一部、OMNIビューについてはより高度なハッキングを可能にするため、「バージョンアップ」を行わなくてはならなくなるが、こちらはストーリーに依る部分なので、先へと進みつつ探していこう。

なお、カメラで映されているキャラクターについてはプロフィールを盗み見ることもできる。どのような人たちがプリズラックをしているのかも、目にしておくと面白い。ちなみに、本作ではプリズラックにピックポケット(盗む)を行うと、さまざまなアイテムが入手できる。が、プリズラックは何故かやたらとゲームのフロッピーディスクを持っている。

それらをインベントリで確認する度に、クーパーのナード全開な解説を聞くことができるので、ありがたく拝聴しよう。

OMNIビューのバージョンアップが要求されるオブジェクトは各所に存在している。
どこかで右画像のピラミッドのような物体を見つけられればレベルアップすることができ……
バージョンアップ完了。新たなオブジェクトにアクセスできるようになる。
プリズラックに就いている人たちは、不安定な人が多いようだが……?
みんな、やたらゲームのフロッピーディスクを持っている。

今回プレイしている序章では、「読んじゃいけないものを読んで、言葉の毒に汚染された」「図書館の館長に会えばきっと助けてくれる」というホープをサポートし、図書館なる施設を目指していく。チュートリアルを兼ねていることから、難易度もそう高いものではない。慎重にプレイしていれば誰でもクリアすることができるはずだ。

操作性に関しては、スマートフォンデバイスによる直観的な操作と比べても、コントローラーパッドで操作することの違和感は特に感じられず。コンシューマーになれている筆者の身を差し引いても、むしろやりやすい部類といえる。ただ、ゲーム的にホープの身のこなしはそれほど軽やかなものではないので、初めてプレイする人はそこだけ注意しておこう。すぐに慣れるけどね。

続いて、プレイ中に気になった点としてだが、“設定上の閉塞感や恐怖感が、ゲームシステムのせいで軽くなってしまう”ことが挙げられる。

先程、プリズラックに見つかり、彼らに近寄られると、ホープが捕まり、隔離室に戻されると述べた。しかしこれにより、緊張感がなくなってくると「見つかってもいいや」と走って、探して、見つかって、戻って、また走ってとしたり、隔離室に戻りたいからわざと見つけてもらったりと、気楽なシステムとして活用しはじめてしまう。

ホープの走る速度=プリズラックの走る速度なので、走って逃げてOMNIビューで扉をロックして撒く……ということもできる。一応、プレイングとしてはこれも一つの正攻法だが、緊張感の消失とともに乱用しはじめると、プレイヤー自身が考える“このゲームに求めるもの”がボヤけてしまうのでモチベーションの意味でも注意したい。

相手の目の前で隠れると「でてこい、でてこい」と手招きされ、隔離室へ。皆それほど乱暴ではなく、結構チャーミング。

また、プリズラックたちの視野は狭く(これは大本がスマートフォンゲームであることに依るのだろうが)、真正面から視認されない限り、ホープがしゃがんで近くを歩いていても見つかることがない。加えてピックポケットのシステムとも兼ね合いか、接近に対する感知もしてこないので、いわば“ザル”のように感じることもある。

先へと進んでいくと変化していくのだろうか?

ホープの脱出劇の先に待ち受けるものとは……?

本作の視点の切り替えは、ステルスゲームジャンルにおける新たなアプローチの一つといえる。システム面の斬新さは言わずもがなとして、これまでのステルスゲームでは、情報の収集と実際の行動が1人のキャラクターの力に集約されていたケースが多く、結果的に“そういうことができても不思議ではないキャラクター”に繋げられていた。

これは決して悪いことではない。これによってさまざまな魅力を備えたゲームヒーローたちが生まれてきたのは、当該ジャンルの功績ともいえるくらいだ。しかし、ステルスゲーム=パワフルなヒーローのセット売りが長く定着し続けてきたことで、“ジャンル自体の振り幅が、そこに留まってしまっていた”とも言えてしまう。

もちろん、正反対に位置する“平凡で無力なキャラクター”を主役に据えたタイトルも数多く存在しているが、演出上とはいえ「えっ、そんなこともできちゃうの!?」といったアクションを無理強いされてしまうミスマッチに関しては事欠かない。無力な人物を波風の立たない内容・演出に落とし込むのであれば、人間性が見えづらい1人称型の脱出ゲームが関の山なのだ。

その点、本作では「無力な女性の主人公(ホープ)」が違和感なく収まっている。しっくりきていると言ってもいい。敵を撃退することはできるが、それは決して彼女の持ちうる能力から飛躍しすぎた演出ではない。システマチックな面を全てプレイヤー自身が担っていることで、ホープはセクシーで万能なヒーローではなく、無力な1人のヒロインのままにゲーム内に存在することができている。

それ自体が革新的かと問われれば、これ以上は言いよどんでしまうけれども、キャラクターとゲームシステムの関係性における新たな着地点としては、「République」のゲームデザインは非常に説得力がある。だからこそ、ゲームで描かれている物語が真に迫っているのだろう。

PS4版の追加コスチュームを紹介!

キトゥン風

ダウンロード版早期購入特典

ソニー・インタラクティブエンタテインメントの「GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動」とのコラボ衣装。

プリズラック(護衛者)

パッケージ版/ダウンロード版早期購入特典

敵に近づきすぎなければ、普通に歩きまわっても発見されないようになる。装備は弾数無制限の新型スタンガン。

スピードランナー

パッケージ版/ダウンロード版早期購入特典

歩く、走る、隠れる。全てにスピードが求められるタイムアタックに挑戦できる。

女子高生

ゲーム内入手

着替えることで大きく難易度が上がるサバイバルモードになる。

République

ガンホー・オンライン・エンターテイメント

PS4ダウンロード

  • 発売日:2016年4月14日
  • 15歳以上対象

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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