イチオシのギャルゲーを大ボリュームで紹介する連載企画「ギャルゲー一本釣り!!」。第34回はフロントウイングより2016年4月28日に発売されたPC用ソフト「ISLAND」の魅力をお届け!

目次
  1. ストーリー
  2. キャラクター
  3. プレイインプレッションをお届け!

三度の飯よりギャルゲーが大好きな私が己の煩悩の赴くまま旬のイチオシゲームを紹介する連載企画「ギャルゲー一本釣り!!」。今回はフロントウイングさんより2016年4月28日に発売された「ISLAND」を紹介しますよ!

フロントウイングさんといえば、本連載でもPSP版「グリザイアの果実」を紹介し、最近ですとアニメ化もされた「グリザイア」シリーズなど、数々のアドベンチャーゲームを手がけてきたPCゲームメーカーです。そんな同社が新たに送り出したのが、今回紹介する「ISLAND」です。

本作では、シナリオライターにごぉ氏(代表作「ひまわり」等)、原画・キャラクターデザインに空中幼彩氏(代表作「魔界天使ジブリール」等)と、ともに著名なクリエイターを起用。本土から遠く離れた南の島を舞台に、複雑な過去を抱え込んだ島の因習、そして未来を変えるべく、主人公の少年が孤軍奮闘するというストーリーが展開する、アドベンチャーゲームに仕上がっています。

メインヒロインのボイスを担当するのは田村ゆかりさん、村川梨衣さん、阿澄佳奈さんの3人、そのほかにも佐藤利奈さん、加隈亜衣さん、河西健吾さん、茂木たかまささん、小形満さん、ふくまつ進紗さんといった声優陣が参加し、物語を彩ります。

すでにアニメ化も発表されるなど、今後の展開にも期待の高まる本作ですが、果たしてどのような作品となっているのでしょうか。基本情報をおさらいするとともに、(ネタバレを回避しつつ)ゲーム序盤のプレイインプレッションをお届けしていきましょう!

ストーリー

本土より遠く離れた南の島、“浦島”。
そこは豊かな自然に恵まれた、まさに楽園。

「いつまでも――こんな時間が続けばいいのに」

しかし複雑な過去を抱え込んだこの島は、
歴史から静かに消え去ろうとしていた。
島の風土病“煤紋《ばいもん》病”による本土との確執。
放棄され廃墟と化した“海上ステーション”。
五年前に“浦島御三家”を襲った三つの事件。
子供たちの間でまことしやかに囁かれる“神隠し”の噂。
そして、島に残された古の“伝承”――。

「お話ししましょう。この島に伝わる、悲恋物語を――」

島を救う鍵となるのは、
御三家に属する“三人の少女”たち。
しかし彼女らにはまだ、島の行く末を変える力はない。

「この島はもう終わりだよ。救われっこねー」

そんな島に、一人の青年が流れ着く。

「……――今は、何年だ?」

未来から来たと主張するその青年は、
島の因習なんぞくそ食らえとばかりに、
未来を変えるために孤軍奮闘し始める。

「待たせたな、俺が来たからにはもう大丈夫だ!」

だが彼には、別の目的があった。
果たして三人の少女たちは、この島は、世界は、
彼によってどう変えられていくのか――。

キャラクター

御原 凛音(おはら りんね) CV:田村ゆかり

「だって――わたしもタイムトラベラーだから」

“浦島御三家”の一つ、御原家の跡取り娘。引きこもりで昼夜逆転生活を続けており、昼間は頑なに外に出ようとしない。

趣味は深夜の散歩。人物を紹介する時に年齢を付け加える癖がある。ぶっきらぼうで冷淡なところがあるかと思えば、一方で、自らを「お姫様」と称する夢見がちな側面も。

不審人物であるはずの主人公・切那に衣食住や仕事、そして名前を与え、執拗に絡んできたり嫉妬の表情を見せてくる。切那について何か知っているのは間違いないが、頑なに口を割ろうとしない。

同じ島の住人にとっても謎の多い人物。5年ほど前に神隠しに遭ったと噂されているが、その詳細を語ろうとする者はいない。

一部には、本当に御原家の血を引いているのかと疑う島人もいる。

伽藍堂 紗羅(がらんどう さら) CV:村川梨衣

「私は――この島を救う宿命を負う者です」

“浦島御三家”の一つ、伽藍堂家の跡継ぎ。浦島神社の巫女。主人公・切那のことを何かと目の敵にし命を狙ってくる。

呪術や超能力に傾倒しており、非科学的な力の存在を信じてやまない。その理由は彼女が口にする「もう一人の未来人」と関係がある。

島人の間では非常識な言動で有名で、生暖かい目で見守られているが、一部には熱狂的な信者も存在する、島の小さなアイドル。

5年前の火事で両親を失っており、現在は境内に建てられたプレハブ小屋で一人暮しをしている。両親は何らかの事件に巻き込まれて殺されたのではないかと疑っており、真相を探る中で自らの「宿命」の本当の意味に気付いていく。

枢都 夏蓮(くるつ かれん) CV:阿澄佳奈

「あたしは――ぜってーこの島を出てってやる!」

“浦島御三家”の一つ、枢都家の長女。島の町長の娘。

男勝りな口調で、常にナイフを所持しているなど、未だに反抗期のまっただ中。その実、恋愛ごとに関しては奥手で、よく主人公・切那に弄られる。

勉強は出来ないが、島の人間の中ではかなりの常識人で情に厚い。

その家柄や人柄から玉の輿を狙う島の男は多いが、本人は、家出をして本土に行くという夢に向かって邁進中。切那のことを本土の人間だと信じており、興味を寄せてくる。

5年前に家族を捨てて島を去った母親に憧れており、母の背中を追いかける過程で、その背中の大きさに気付いていく。

三千界 切那(さんぜんかい せつな)

「そんな歴史は、こんな世界はぶっ壊してやるッ!!」

この物語の主人公。全裸で島の砂浜に打ち上げられていた謎の青年。御原凛音に助けられ、住み込みの使用人として働き始める。

世界を救うという使命を背負い未来から来たのだと主張する。使命を果たすためには元凶となる人物を殺さなくてはいけないのだが、肝心の名前をどうしても思い出せない。

それどころか自分がどこの誰なのかすらも覚えていないが、あまり深くは考えない脳天気な楽天家。ぶっちゃけ、ただの不審者。奇天烈な言動で閉鎖的な島の雰囲気にマシンガンのごとく風穴を開けていく。

プレイインプレッションをお届け!

今回はルート分岐までを通して感じたポイントを中心に紹介していきますが、そこまでで作品に惹き込まれるギミックがいくつも用意されていました。

まず全体を通して言えるのが、おとぎ話の「浦島太郎」を題材としている点。一般的におとぎ話といえば、語り手の解釈によって途中の展開だったり結末が変わっていくものですが、本作では浦島太郎の物語を媒介に、島に伝わる独特の伝承として昇華させています。本土から離れた「浦島」と、島を統治する浦島御三家という存在、そして伝承にその名を刻まれた1人の少年と3人の少女が同じ時間を過ごすということ、それらがさまざまな意味合いを持ってストーリーが進行していきます。

ゲーム序盤では、過去の記憶を失った青年・切那と、3人の少女との交流が描かれます。基本的には軽快なテンポ感で会話は進行していきますが、島には風土病である「煤紋病」が以前から蔓延しており、病気の進行を早めてしまうことから、陽の光を浴びることのできない人々がいます。病気を通して本土から迫害を受けてきたこと、そして閉鎖的な環境下にあることで、島の人々からはどこか諦観のようなものが漂っているのが印象的です。

浦島御三家の跡継ぎである凛音、紗羅、夏蓮の3人は、それぞれに異なる境遇を持っています。

なぜか昼には外に出歩こうとはしない凛音は、切那との出会いを通して、母親である玖音にも関わるある悩みと向き合うこととなります。また、基本的には厳しい物言いをするものの、切那の姿が見えないと途端に心配したりといった危うさを持っています。

紗羅は、5年前に両親を失い、一人で暮らしながら浦島神社の巫女として“宿命”を全うしようとします。また、未来人であると主張する切那に対して、排除することも辞さないほどの厳しい態度をとっているのは、タイムトラベルに関する知識を有していることも関係がありそうです。

そして、浦島の町長を父に持つ夏蓮は、登場当初から父親に対して反抗的な態度をとり続けますが、それは島を去った母親への憧憬であり、本土に行く資金を用意するために凛音の屋敷で働くことになります。普段は強気な姿が印象的ですが、切那からもよくからかわれる姿が可愛らしいです。

序盤ではとにかく島のことやキャラクターの背景を感じ取ってもらえると十分かなと思いますが、一方で、後々に重要になってくるキーワードもところどころで出てきます。先に紹介した伝承周りはもちろんのこと、紗羅や玖音などから語られる時間移動にまつわる話なども非常に丁寧で、知識的なフォローにもなってくると思います。

正直なところ、物語として大きく動き出していくのは、さまざまな選択肢の後、ルート分岐が確定してからになります。なかにはバッドエンドに直行してしまうような選択肢も登場するのですが、本作ではこれまでに見たルートのシーンにジャンプすることができるフローチャート機能も用意されています。これがかなり便利な機能になっていますので、分岐の過程も含めてぜひ活用してみてください。

言葉では伝えづらいものの、音楽やビジュアルはその場面場面にマッチしていて、映えるものばかりです。また、キャストによるお芝居と合わせて、集中線や吹き出しなどコミック的な演出手法が数多く用いられている点もポイント。これが意外とハマっていて、作中のテンポ感をより生み出しているように思います。

第34回、いかがだったでしょうか。タイムリープなど、SF要素が入った作品は知識が求められるケースが多かったりしますが、各ルートに入るまでをプレイしただけでも非常にわかりやすく、かつテンポ感もよく読ませることを十分に意識したものになっています。キャラクターについても、記憶のない切那からの目線で、その印象がころころ変わっていくので、先を読み進めるのが常に楽しかったです。それだけに先に待つ真実にドキドキしてしまうのですが…。

次回がいつかということにはもはや責任を持てなくなってしまっているのですが、熱気の冷めやらないうちには次の1本を出していきたいなと思いますので、引き続きご注目いただければと思います。

ISLAND

フロントウイング

PCパッケージ

  • 発売日:2016年4月28日
  • 全年齢対象
ISLAND

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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