ソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジアと東宝が共同制作した「『シン・ゴジラ』スペシャルデモコンテンツ for PlayStation VR」の特別先行体験会&記念トークショーが、本日8月3日に実施された。映画業界から見てVRは、一体どのように映っているのだろうか?

目次
  1. 映画業界にとって「正直脅威」
  2. 「シン・ゴジラ」スペシャルデモコンテンツを体験!

「『シン・ゴジラ』スペシャルデモコンテンツ for PlayStation VR」は、7月29日より全国公開された映画「シン・ゴジラ」とソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジア(以下、SIEJA)とのコラボレーションコンテンツだ。

その名のとおりPlayStation VR(以下、PS VR)向けのデモコンテンツで、史上最大となる全長118.5mのフルCGゴジラが目の前に迫る、リアリティあふれる“ゴジラ体験”が味わえる。

このコンテンツは日本国内向けのPlayStation Storeにて、10月13日のPS VR発売同日から期間限定で無料配信される。それに先駆け、本日8月3日に一般向けの特別先行体験会が開催。「シン・ゴジラ」監督・特技監督の樋口真嗣氏、同作プロデューサーの佐藤善宏氏が招かれ、「シン・ゴジラ」製作に関する話題に花を咲かせた。

ここでは、上記2名にSIEJAの秋山賢成(あきやま けんじょう)氏が加わった3名による、スペシャルデモコンテンツにまつわるトークと、デモコンテンツそのものにフォーカスしてレポートしていく。

樋口真嗣氏
佐藤善宏氏 秋山賢成氏

映画業界にとって「正直脅威」

そもそもこのスペシャルデモコンテンツの製作に至った経緯はどのようなものだったのだろうか。秋山氏は、PS VRを東宝に体験してもらう機会がきっかけだったと話す。VR体験に感銘を受けた東宝とSIEJAで、ゴジラをより拡張して表現する最高のコンテンツを作ることになったという。

映画のコンテンツがVRで描かれることについて問われた佐藤氏は、映画業界にとって「正直に言って脅威」と率直な意見を述べる。映画は見せたいものを見せるもの、VRは見たいものを見られるもので、相乗効果が及ぶ部分もあれば、ライバルのような関係になる部分も出てくる。今回のコラボは、ある意味で挑戦的だと考えているという。

映画監督から見たVRはどうだろうか。樋口氏は、映画の構成要素で重要な「フレームを切り取る(絵を見せるアングルを決める)」「カットを割る(複数の絵を続けて見せて印象を操作する)」といった作業が、VRの中ではなくなると語る。VR体験者がいるのは空間なので、アングルもなければカットもないのだ。それは「映画のように見えて、映画では絶対できないこと」(樋口氏)だ。

しかし逆に言えば、VRでは映画のようなことはできない。まったく違うジャンルの体験で、そこに樋口氏はおもしろさを感じている。

“VRゴジラ”へのこだわり

ゲームコンテンツに注目が集まるPS VRだが、秋山氏はゲーム以外にも、ドラマやTV番組、アーティストとコラボしたVRコンテンツなど、さまざまな場所に自分が入れる楽しみもあると話す。今回の「シン・ゴジラ」スペシャルデモコンテンツは、まさにその一つだろう。

「シン・ゴジラ」スペシャルデモコンテンツは、118.5mというゴジラ史上最大のスケールをVRで表現することを目指し、ゴジラと自分との距離感や音、ゴジラの足音まで徹底的にこだわって作られている。より迫力を出すために突き詰め続けており、この体験会の前日まで調整していたという。

ここで登場するゴジラは映画で使用されたCGをそのまま扱っており、ディティールには自信があると秋山氏は胸を張る。またゴジラそのものや尻尾の動きもすべて東宝監修によるもので、同社が定める、ゴジラのデザイン上の規定もきちんと守られているそうだ。

このデモコンテンツを体験した佐藤氏は、自分の動きで最大級のゴジラを体感でき、ゴジラの大きさが十分に活かされていると賞賛。大きさや足音、近づいてくる感じがとてもよく表現されており、新しい「シン・ゴジラ」を今までの流れと違う視点から作り上げたものだと評した。

さて、樋口氏はというと、実はこの時点でこのスペシャルデモコンテンツをまだ体験していなかった。ということで、観衆が見守る中で“公開初体験”がスタート。体験中の樋口氏からは「おお!」と驚いたり、うめいたり、言葉にならない声が多く聞かれた。

ヘッドセットを外した樋口氏は「すごいですよ」と一言。まだ体験する前の観客に配慮して多くは語らなかったが、以前にPS VRを体験した時と比べてヘッドセットの進化を感じたようで、PS VRを手にしながら終始満足気な顔を見せていた。

「シン・ゴジラ」スペシャルデモコンテンツを体験!

怖すぎて笑う筆者
怖すぎて笑う筆者

ここからは筆者が実際に体験した「『シン・ゴジラ』スペシャルデモコンテンツ for PlayStation VR」をレポートしていく。

舞台は焼け野原となった東京駅・丸の内駅舎の前。人々が逃げ惑う声が聞こえるが、自分は動くことができない。周囲を見回していると、頭上を強大な尻尾が通り過ぎた。尻尾の行く先を見やると、高層ビルの向こうから怪獣王が姿を現す。

遠くにいるように見えたゴジラは、ふと筆者のいる方に目を向けると、こちらに歩みを進めてきた。身動きも取れないまま、その巨体がどんどん近づいてくる! そして……。

とにかくその恐怖と圧迫感が想像以上だった、というのが率直な感想だ。特にゴジラと目があった時の恐怖感は凄まじく、「自分はここで死ぬのだ」と思ってしまったほど。

映画で筆者の自宅近辺をゴジラが通り、破壊していった姿を見て「本当に現れたらどうやって逃げたらいいだろう」などと思いながら観賞していたのだが、このデモコンテンツを体験してどうにもならないことがよくわかった。それほどまでに、間近まで迫り来るあの巨体は絶望感を覚えさせる。まさに“恐怖の象徴”だ。

確かに、これは映画とはまったく異なる体験だ。映画でも“どうしようもできない恐ろしさ”が随所に感じられたが、同じ恐怖でもスクリーンの向こうに見るのと、自分がその中に立って感じるのでは種類が違う。

とはいえ、どちらが優れ、どちらが劣っているということではない。そもそも体験の種類が異なるので、比べられるものでもない。むしろ、同じ「ゴジラ」というコンテンツが2つの手法で描かれたことで、「ゴジラ」の世界がより広がったと感じた。

このデモコンテンツで、映画とはまた違う、新しいゴジラの楽しみ方が味わえるだろう。PS VRを予約した人、あるいは購入予定の人は、入手した際にはぜひこの「シン・ゴジラ」スペシャルデモコンテンツを体験してみてほしい。

会場に現れたシン・ゴジラ1号雛形
過去のゴジラシリーズ全作品のポスターも展示されていた

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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