9月15日より幕張メッセにて開催されている東京ゲームショウ2016。ここでは、「バイオハザード7 レジデント イービル」のPS VRでのプレイレポートをお届けする。
8月にドイツで行われたイベントで、限られたメディアにのみ公開された本作の体験版“Lantern”が、東京ゲームショウ2016にて世界で初めて一般公開される。
筆者は8月にこの体験版を、モニターを介してプレイする機会を得ている。その際に掲載したプレイレポートでは、確かに「VRで一度プレイしてみたいと思ってしまった」と書いた。書いたのだが、まさかこんなに早く実現するとは思ってもいなかったのだ。そう、今回はPS VR版の試遊である。まだ心の準備ができていない。
とはいえ、一度プレイした作品である。謎解きやルートもわかっている。PS VRでの「バイオハザード7」の恐怖を適度に味わいながら、手早くゴールしてしまおう――そう思っていた。
改めて説明すると、Lanternはある女性の逃避行の様子をピックアップした体験版だ。ゲームが始まると再生される、一本のビデオメッセージ。そこには、薄暗い森のなかで女性が激しい動悸と息遣いを交えながら、必死に何かを伝えようとしている様子が収められていた。
その女性を、ランタンを片手に老婦人が狂気をはらんだ声を上げながら探している。プレイヤー=女性は、この老婦人から逃れなくてはならない。
目の前に細く続く道を進み、崩れかけた屋敷に逃げ込んだ。ところどころ開かないドアがあるのだが、ある程度のルートは覚えているはずであった。しかしそこをガツンと打ち据えてきたのが、PS VRでの“アイソレートビュー”(主観視点)プレイである。没入感が尋常ではなく、追ってくる老婦人があげる常軌を逸した怒声で心も身体もこわばり、操作がおぼつかない。しゃがめないところで必死にしゃがもうとして、焦る。
実は一番恐怖を感じたのは、自分がゲームの中で操作している女性の手が出てきた場面である。自分の視界に彼女の手が映った際、脳がそれを自分の手と一瞬判断した気がしたのだ。その瞬間、この廃屋の世界にグイッと引きずり込まれた。あの老婦人に追われているのはまさしく自分なのだと感じ、鳥肌が立つ。
老婦人から距離を取ったところで、少し落ち着いて自分の周りを見回してみた。老朽化した木造の廃屋は、壁の木目まで緻密に描写されている。またベランダから外を見れば、遠くに生い茂る木々や薄暗い空まで表現されているのが伺えた。
一般的なゲームよりプレイヤーの動きが自由なVR対応作品は、至るところに移動したり、細部をじっくり見ることが“できてしまう”。しかしそんなプレイヤーの行動も見透かすかのように、あるいは期待に応えるように、本作の世界は実に細かく描かれている。この細やかな描写も、底知れぬ恐怖を生み出す力になっているのだろう。有機物のみならず、ボウッと灯された光の表現も絶妙だ。
ちなみに、正味15分ほどのプレイであったが、VR酔い、VR疲れといったものはまったく感じなかった。この点については、かなりブラッシュアップが重ねられているのではないだろうか。
さて、体験版もラストまでたどり着き、ようやく(プレイヤーである自分は)この館から脱出できる……と息をついたのもつかの間、なんと前回プレイ時には収録されていなかったシーンが始まった。
このシーン、15日に公開されたばかりの最新PVにも収められていた、とある場面である。拘束されている自分の前で、自分を追いかけ続けてきた老婦人とその家族とおぼしき者たちが、恐るべき“ごちそう”を口にしている。
その“ごちそう”の描写も実に緻密……だったように見えた。何しろ怖すぎて、もはや目を半開きにするしかなかったのである。この恐怖がどれほどのものか、ぜひ東京ゲームショウ2016のパブリックデイに味わってほしい。