メーカー表記のジャンルは「謎解き×パニック×アクティブ3DダンジョンRPG」。「3DダンジョンRPG」というゲームジャンルはよく知っているつもりですが、「謎解き」「パニック」「アクティブ」とはどんな感じなのでしょうか。大変気になる「神獄塔 メアリスケルター」のインプレッションをお届けします。
制服のような服装で、艶っぽい表情で立っている一人の少女。背景は夜の廃墟? 公式サイトにも使用されているメインビジュアルですが、何やら意味深な感じがしてパッケージを見るだけで心惹かれます。首輪が付いているようですが、やっぱり監獄絡みなんでしょうか? 謎は沢山ありますけど、遊んでいけばきっとわかるはず。早速プレイして確認していきましょう。
ちなみに今回プレイしているのは、10月27日に配信されたパッチ1.03が反映されたバージョンになります。
ゲームを始めるといきなり難易度を聞かれます。難易度は「EASY」「NORMAL」「FEAR」の3種類。カーソルの初期位置は「NORMAL」なので、ひとまず「NORMAL」を選んでおきましょう。難易度は環境設定でいつでも変更できるようなので、遊んでみて難し過ぎたり簡単過ぎたら難易度を変更するようなスタンスで問題なさそうです。
日本有数の繁華街が破壊され、塔がそびえ立ち、人々はメルヒェンと呼ばれる怪物に捕まり、支配されている。黒にピンクというビジュアルイメージがとにかく不気味なのですが、いきなり始まりが牢獄の中。悲壮感に明け暮れる主人公のジャックとヒロインのアリス。
アリスは「今日は舐めさせられただけだから。」と言い、ジャックは拷問されたと言っている。何だろう、この不気味な環境は。捉えられて悲壮感があるのは確かなのですが、既にその悲壮感を突き抜けた先に入り込んでいるのではないかという描写。かと思うと、今度はジャックがアリスに「舐めて、早く!」と……。
と、まぁ、序盤から色々とぶっ飛んだ感じに見えますが、実際のところ、ストーリーはがっつり入っているRPGのように見えます。いわゆる世界観がシステムに入り込み、システムがシナリオに組み込まれている流れ。会話画面でスタートボタンを押すとAUTOモードになるのですが、イベントが始まると30分とか1時間とか会話でストーリーを進めるような感じで、丁寧に状況を把握させてくれます。
赤ずきんという少女に助けられて、牢獄から脱出したアリスとジャック。しかし、ここは監獄「ジュエル」に支配された世界。牢獄から脱出してもまだ逃げ延びたわけではありません。
赤ずきんは血式少女隊という組織に所属していて、アリスが血式少女だから助けに来たという話。メルヒェンの血を浴びると目がピンクになるのが血式少女の証し。赤ずきんもアリスも血式少女なので、ともに戦うことになります。しかし、主人公のはずのジャックは血式少女じゃないようで……まぁ、そもそも「少女」ではないことは確実なのですが。
3Dダンジョンの構造自体はオーソドックスなタイプ。但し、ビジュアル的には若干不気味さを感じます。そのビジュアルは単に牢獄に近いところだから、と言うことはあるのですが、「不思議の国のアリス」のイメージなのか、ところどころにトランプやハートのマークが出て来るところに異質な感覚を覚えます。見ている分にはワクワクするファンタジーの世界も、いざ入り込むと不気味に感じるモノ。得体のしれないおどろおどろしさを肌で感じることになります。
3Dダンジョンを探索していくと、マップに道が記されていきます。歩いた床とその床の周りの壁や扉は順次マップに記載されていきます。但し、後々ギミックで開いて進めるようになる場所はマップ上ではうっすらと線が引かれる程度の見せ方をしているため、後でマップを見ても単なる壁と間違って認識してしまいます。基本的にはマップを見ながら場所を把握しつつ、最終的にはその場に見えていることを信じるような攻略が必要そうです。
バトルでは、血式少女たちが武器を使って戦うのに対して、主人公のジャックは戦う事ができません。同社の「限界凸起モエロクリスタル」なんかも確か主人公が戦えないシステムだったような気がしますけど、今作でも主人公が主体的に戦えない作り。まぁ、実際にはプレイヤーが全部の仲間のコマンドを決定していくわけですけど……。最初の時点でジャックがバトル中にやれることは、「待機」「守る」「アイテム」「逃げる」の4種類。つまりはジャック一人では戦えないと言うことですね。
「待機」は何もせずにボーっと立っているような状況のこと。変なコマンドに思うかもしれないですけど、戦わないモノにとってこの行動は実は大事。「守る」は血式少女の中の誰かを指定して守り、その血式少女が攻撃されたら守ることができる代わりにジャック自体は気絶してしまいます。「アイテム」はアイテムの使用となり、「逃げる」は全員で戦闘から抜ける行動になります。
つまりは戦えないジャックにとって、自分自身を守るという手段がないんですね。だから「待機」。「守る」で本当に守れる回数は限られていて、その回数を超えると戦闘不能になってしまうため、「守る」をしない状態、守らない状態が「待機」ということになります。
対して血式少女の戦闘時のコマンドは「攻撃」「スキル」「舐める」「防御」「逃げる」の4種類。まぁ、RPGに慣れている人であればそれぞれどんなコマンドかはわかるでしょう。ジャックの「守る」がダメージをしっかりと防いでくれたのに対して、「防御」はダメージを軽減する効果なので、どちらのコマンドを使うかはちょっと考えるところがあるとは思いますけど。「舐める」は……これは後で書くことにしましょう。
敵やスキルには属性があるようで、火→風→雷→土→水→火という強弱関係。敵の弱点を突くと血しぶきをあげ、この血しぶきを血式少女が返り血として浴びると返り血アイコンが満たされていき、返り血アイコンがMAXになるとジェノサイドモードに突入。ジェノサイドモードになった血式少女はステータスが上昇し、強力な専用スキルを使えるようになります。興奮して普段以上の力を発揮してしまうような感覚でしょうか。ちょっと違うかも。
返り血アイコンが溜まるとジェノサイドモードになる一方、途中でこの返り血を別の血式少女が舐めると、人によって違いはありますが、体力を回復したり強化したりするような魂血スキルが発動されます。
ジェノサイド化して激しく戦うか、魂血スキルで回復するか、その場の状況によって使い分けるような感じ。
この返り血アイコンは、普通に溜まっていく分にはきれいなピンクに染まっていくのですが、仲間が大ダメージを受けたり戦闘不能になったりすると「穢れ」が溜まり、どす黒い色になってしまいます。このどす黒い状態で返り血アイコンが溜まると、ジェノサイドモードではなくブラッドスケルターモードになってしまいます。
ブラッドスケルターモードになると、その血式少女の行動になってもプレイヤーが操作することができず、その血式少女が行動不能になるか、戦闘を終わらせるか、戦闘から逃げるまでブラッドスケルターモードが続きます。この辺りが「パニック」の要素なのでしょうか。でも、大丈夫。このブラッドスケルターモードに対して有効なのが、ジャックの存在になります。
しばらくゲームを進めると、ジャックのコマンドに変化があります。シナリオ的には意味付けがあるのですがそれは置いておいて、先ほどの「待機」がなくなり、「造血」と「メアリガン」が追加されます。「メアリガン」はジャックの血を発射する武器なのですが、敵にダメージを与えるものではなく、血式少女から「穢れ」を取り除く武器になっています。
つまり、ブラッドスケルターモードに突入した血式少女を元に戻す効果があるということですね。但し、「メアリガン」はジャックの血を使うため、むやみやたらと使うわけにはいきません。血が足りなくなったら「造血」で血を溜めましょう。このあたりの話は、システムがうまく設定に活きているけど、考えれば考えるほどぞっとする話になってくるので、血が苦手な人はあまり考えないようにしましょう。
ジャックのメアリガンはダンジョンに対して使用することができます。それどころか、バトルでメルヒェンたちが流した血はダンジョン内に飛び散ります。なので、ダンジョン内でバトルを繰り返すと、ダンジョンがどんどんピンクの血で染まっていきます。
敵のメルヒェンは現状のアリスや赤ずきんでも余裕で倒せます。でも、その親玉のようなナイトメアは簡単には倒せません。ナイトメアは何度でも蘇る無敵の看守。ダンジョン探索中に周囲が暗くなったら警戒しましょう。ナイトメアが発生すると「惨殺鬼ごっこ」が始まります。この際、ダンジョン内が暗闇になりますが、メルヒェンが流した血はピンクに光り、ジャックたちの道しるべになってくれます。
通常の3DダンジョンRPGに慣れていると、この「虐殺鬼ごっこ」はちょっと戸惑ってしまうかもしれません。ナイトメアは発生すると、プレイヤーの操作に関係なく追ってきます。ダンジョンを移動して敵に遭遇するまでは特に時間について気にする必要はありませんでした。バトル中も、攻撃する順番は決まっていても、コマンドを決めなければ先に進まない仕組みでした。しかし、「虐殺鬼ごっこ」はプレイヤーが止まっていてもナイトメアは関係なく迫ってくるのです。「虐殺鬼ごっこ」状態になったら、さっさと移動して逃げましょう。
このプレイヤーの操作とは関係なく、時間の流れを無視して動いているギミックは他にもあります。ダンジョン内には、たまに天井や床から仕掛けが攻撃してくるところがあります。仕掛けが引っ込んでいる時に通れば無傷ですが、仕掛けにぶつかってしまうと大ダメージになってしまうため、慎重に行動しなければなりません。このあたりの要素が「アクティブ」なんでしょうね。
ジャックがダンジョンを移動している時にメアリガンを発射できるように、血式少女達もダンジョン内でできる行動があります。アリスはダンジョン内にセーブや転移(ベースとなる解放地区に帰還)をできるポイントを設置する「ワンダーホール」という能力を持ち、赤ずきんは金網などのモノを切ることができる「ボディニッパー」という能力があります。
「ボディニッパー」があると、マップ内の金網を切ることができ、進める範囲が広がっていきます。他にも、色々な場所があるので、仲間を増やせば何かできることが増えるのではないかと、ワクワクしながらゲームを進めることになります。
ダンジョン内の床がないところは進んでしまうと落ちてダメージを受けてしまいます。しかし、下のフロアに落ちるのではなく、ダメージを受けた上で元の位置に戻るだけなので、無駄に飛び降り願望を抱くのはやめましょう。
穴の手前にジャンプ台があるときは、ジャンプで床何枚分を一気に飛ぶことができます。また、穴の上に一本の細い鎖があるところでは「綱渡りギミック」が発動し、右スティックの左右でバランスを取りながら鎖の上を渡ることになります。見た感じだと、ジャンプ台は一方通行、綱渡りは両方向に移動が可能な穴に設置されているようです。
壁にはレバーがあり、レバーを引くと扉が開いたり、何かが発動したりと、ギミックと連動するような仕組みになっているようです。それ以外に、宝箱や採取ポイントなどがマップに配置されているようで、古びたメモは拾うとバトルの後でメモをゲットしてヒントをもらうことができ、ノベルの切れ端を拾うと、タイトル画面の「BONUS」内にある「NOVEL」で同じ時間軸に別の人物が体験している冒険譚を読めるようになります。
レバーやメモはミニマップに表示されるけど、採取ポイントはミニマップに表示されないので、マップが記録されてもある程度はプレイヤー自身が把握しておく必要がありそうですね。
探索しているジェイルには食欲、性欲、睡眠欲の3つの欲求が設定されていて、ジャックたちがダンジョン内を探索していて、血しぶきを上げると食欲が上昇、宝箱や採取ポイント、エモーションポイントを調べると性欲が上昇、ジェイルの睡眠タイム中にダメージを受けずにいると睡眠欲が上昇するようですが、それ以外にもジェイルの気まぐれでそれぞれの欲求が上昇することがあります。このそれぞれの欲求ですが、ゲージがMAXになるとバトル中でも唐突にルーレットが発生して恩恵を得られるため、適度に期待しながら探索していきましょう。
ダンジョン内では、ミニマップで場所を指定してオートパイロットで目的地まで自動移動してもらえる機能があるので、慣れてきたら使って見ましょう。バトルもバトル中に□ボタンを押すとオートバトルにできるので、慣れればいろいろと楽できます。まぁ、死んだらゲームオーバーなので、油断はできないのですが。
ダンジョン内を探索し、核を見つけて破壊して、不死化が止まったナイトメアを倒すまでがダンジョン攻略の流れのようですが、この辺りは実際にプレイしてみてください。
最後に、血式少女たちについて。ゲームを進めていくと仲間になる(というか、設定的にはジャックとアリスが新人なのですが)血式少女が増えていき、それぞれをカスタマイズすることができます。
アリスと赤ずきん以外だと、シナリオ的に登場が早いのはかぐや姫ですが……。
先にパーティを組めるのは、白雪姫と眠り姫。
あとは、いつ仲間になれるか期待だけ膨らませておきましょう。
バトルに参加させてレベルアップするとCPが手に入り、このCPを使ってスキルメイクで新しいスキルを習得させ、研究所でスキル枠の拡張、職業の変更、さらには「血式退化」を行うことで血式少女を育て直すこともできるようになっています。
さらに、バトルで貯めたお金でアイテムを購入し、血式少女にプレゼントすることで、好感度を上げたり、血式少女のインテリアを充実させたりできます。好感度が上がると、個別のイベントが発生することがあり、エンディングも変わってくるようなので……あれっ? アリス以外の子たちとも仲良くなっていいのかな??
ダンジョンRPGとしての「謎解き」は当然ありますけど、恋の「謎解き」はプレイヤー次第と言ったところでしょうか。ともかく、ストーリーが充実していて、ダンジョンの探索でも血式少女たちとの交流でもやることがたくさんありそうな「謎解き×パニック×アクティブ3DダンジョンRPG」の「神獄塔 メアリスケルター」。どうやら長く浸ってしまうダンジョンがまた現れてしまったようです。いや、設定的にはさっさと脱出したくならないといけないのですが……。
プロフィール
酒缶(さけかん)/ゲームコレクター
1万本以上のゲームソフトを所有するゲームコレクターをしつつ、フリーの立場でゲームの開発やライターなど、いろいろやりながらゲーム業界内にこっそり生息中。ゲーム関係者へのインタビューをまとめた電子書籍「ゲームコレクター・酒缶のファミ友Re:コレクション」を展開中。関わったゲームソフトは3DSダウンロードソフトウェア「ダンジョンRPG ピクダン2」「謎解きメイズからの脱出」など多数。価格コムでは、ゲームソフトとAndroidアプリのプロフェッショナルレビュアーを担当している。
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