東京ビッグサイトで開催された国内最大級の玩具見本市「東京おもちゃショー2017」にて6月1日、ソニーが新トイ・プラットフォーム「toio」の発表会を開催した。
発表会が行われたソニーブースには、同社の新規事業プラットフォーム 新規事業創出部の統括部長・小田島伸至氏と、新規事業創出部の統括課長・田中章愛氏が登場。まずは小田島氏が挨拶として、「toio」が生まれた背景を解説した。
ソニーでは2014年から新規事業を生み出しやすくする仕組み「Seed Acceleration Program(SAP)」を推進しており、ここでは社員が思いついたアイディアをスピーディに商品化、あるいはサービス化し、ユーザーに届けているという。これまでにも11のサービスと商品が形になっており、今回の「toio」は12個目の商品となる。
そして「toio」の開発リーダーである田中氏は、SAPの立ち上げメンバーとしても活躍。これまでは他の商品のサポートを行っていたが、心に留めていた「toio」のアイディアを形にするためオーディションを繰り返し、ついに製品化へこぎつけたという。
ソニーの技術が詰まったプラットフォームに
続いては、小田島氏の話題にも挙がっていた田中氏から、「toio」の詳細が語られた。本商品は本体コンソールとモーター内蔵で自由に動くキューブ2台、そしてキューブを動かすリング状のコントローラーがセットになっている。
その特徴は、さまざまな玩具を組み合わせることで創意工夫を楽しめる体感型プラットフォームである点だ。アクションゲームやパズルゲーム、さらには工作など、工夫次第であらゆる遊びを再現可能。キューブはなにかを乗せたり、被せたりといったカスタマイズ性もあるため、例えば自分の好きなキャラクターをキューブに乗せて戦わせるなど、子供の創作意欲を高める効果も期待できる。
田中氏によると「toio」の設計にあたって、200人以上の子供に対してリサーチをしたという。子供からは空想の世界が現実になる点、ゲームに勝つためにどんどん改良を加えられる点が好評だったという。また親からは対面コミュニケーションに一役買ってくれると高い評価を得たそうだ。それだけでなく「現在は少子化の影響で、1人の子供に良質な体験を与えたいニーズがある」と田中氏。時代背景にも合った商品だと主張した。
「toio」の各デバイスには、ソニーの技術が随所に見られる。その最たる例が2台のキューブで、内部には絶対位置センサーを内蔵。これによりキューブは自分がどこにいるかを瞬時に判断し、さらにお互いの位置関係も把握できる。これによってお互いがぶつかり合う対戦ゲーム、障害物を避けるレースゲームなどをすぐに楽しめる。そしてリング状のコントローラーは、握りやすさをテーマに開発を進めたという。手首にかけることで両手を自由に使うことも可能で、キューブの位置を修正したり、改良を加えたりといった作業も容易になる。
さまざまな技術、そして開発者の思想が詰まった「toio」だが、同時に田中氏は「あくまでも楽しみの幅を広げる黒子役」と語る。「toio」はソニーやパートナー企業から発売される別売りのゲームや工作キットを利用することで、遊びの内容を広げていくことができるからだ。
現在のところソニーからは「トイオ・コレクション」「工作生物 ゲズンロイド」の2タイトルが発表されている。これ以外にバンダイともコンテンツ企画・開発で協力。レゴとは製品のバンドルキャンペーンで手を組み、ソニー・ミュージックは「toio」によるイベントやコンテンツを企画する。
すでにタイトルが明かされている「トイオ・コレクション」は、工作やレゴ製品などの玩具を組み合わせて遊ぶ基本ゲーム集となる。これを購入すれば自陣に侵入してくるキューブをおはじきで防御するシューティングゲーム、ロボコンのようなバトルゲームがすぐに楽しめる。
一方の「工作生物 ゲズンロイド」は、「ピタゴラスイッチ」でおなじみのユーフラテスが企画協力で参加する工作ブック。こちらを利用するとキューブが二足歩行の生物や虫など、さまざまな生き物の動きを再現するようになる。さらに同梱されている工作シートを使えば、より生き物らしい姿に変えることが可能だ。
最後に田中氏は、動きのプログラムはメーカー側が提供したものを使い形だが、将来的にはユーザー側で動きのカスタマイズをできるようにと展望を語った。さらに難しいプログラミングではなく、あくまでもエンターテイメントとして「子供たちの楽しみを提供していきたい」と述べた。
「toio」の発売日は2017年12月1日を予定しており、価格はオープン価格。市場推定価格は20,000円前後になるとのこと。また「トイオ・コレクション」は5,000円前後、「工作生物 ゲズンロイド」は4,000円前後での販売となる。