アメリカ・ロサンゼルスで行われた「E3 2017」にて、重力をテーマにしたPS4/PC「LawBreakers」が出展された。ここでは、本作のインプレッションと開発者インタビューをお届けする。
「LawBreakers」は、重力が上下反転した近未来の世界を舞台にしたオンラインFPSゲームだ。平和維持組織「Law」と反法律組織「Breakers」の戦いが描かれており、サンタモニカの荒野やグランドキャニオンといった名所が舞台となっている。
各陣営で9種のキャラクターが用意されており、マシンガンや二丁拳銃、バズーカなどそれぞれが個性豊かな武器を装備している。これにより、キャラクターごとの役割が明確化され、チーム単位での高い戦略が実現、勝敗に大きな影響を与えることになる。
本作は欧米で2017年内のサービスが予定されており、PS4/PS4 Pro/PCに対応する。価格は29.99ドル(Core Edition)で、アップデートコンテンツはすべて無料、武器スキンや外見アップグレードが可能なアイテムが販売される予定となっている。
「E3 2017」の会場では、本作の単独ブースが出展。「Blitzball」モードの試遊ができたほか、開発会社・Boss Key Productionsで本作のリードデザイナーを務めるDan Nanni氏にインタビューすることができたので、その模様をお届けしよう。
ボールを奪い合うプレイモード「Blitzball」
会場で体験することができたのは「Blitzball」モードだ。5vs5で競うチーム戦で試合時間は20分。マップの中央に出現するボールを手に入れ、敵チームのゴールポストまでもっていくとポイント取得となる。先に8点を先取したチームが勝利だ。
ボールは出現から一定時間バリアで守られており、その間に銃撃戦が発生し、出現エリアを制圧しておくのがポイントだ。そして、ボールを所持した味方キャラクターが倒されないよう、ゴールまでの導線を仲間が確保していく必要がある。マップは非常に高低差があり、経路も複数存在するので、仲間との連携や戦略が重要になる。
筆者は、今回初めてプレイしたのだが、最初の印象は移動操作が非常に難しいという点。Shiftキーでジャンプやダッシュができるのだが、重力の低いエリアや存在しないエリアがあるため、非常に高く飛ぶことができる。要するに通常のFPSではありえない、頭上や足元から弾が飛んで来るというシチュエーションが生まれるのだ。空中では遮蔽物もないので、狙われたらひとたまりもない。ただし、自分が敵の死角になっていることも多いので、操作になれると隠れている敵を次々と倒すことも可能になる。
操作に慣れてくると、高速移動と、空中を飛び跳ねながら敵を狙い撃つのが非常に楽しい。移動がスムーズに行えると、味方の動きが把握しやすくなり、連携も取りやすい。本記事後半のインタビューでも出てくるのだが、難しい操作に慣れることによる新たな楽しさを体験することができた。
遊びこむほど難しさが楽しさに変わる!開発者インタビュー
――本作の魅力を教えてください。
Nanni氏:5vs5のアクションゲームで、重力が崩壊した世界が舞台になっています。マップには、重力が低いエリアや、全く無いエリアが存在します。そのため、縦方向の移動や戦闘も可能になっています。用意された9種のキャラクターは攻撃に特化していたり、回復できたりと個性豊かです。キャラクターにはアビリティと呼ばれる特殊スキルがありますが、ハイスピードな戦いの中で使いこなせるかはプレイヤーのスキル次第です。
――重力に注目した理由は?
Nanni氏:Boss Key ProductionsのCEOであるクリフが読んでいたThe ExpanseというSF小説の中で、重力の要素が登場し、そこから重力をテーマにしたいとヒントを得て、さらに、ギャング同士の抗争を加えました。重力をどのようにゲームに活かせばよいかを試行錯誤しながら開発していますが、重力によって勝敗がきまるのではなく、誰に対しても中立な要素である現在のコンセプトになりました。
――スピード感のある戦闘で役割分担をするのは難しいのではないでしょうか?
Nanni氏:難しいという意見もありますが、これは私達からの挑戦だと思ってもらいたいです。ただ、一方でテスターからは「もっと難しくしてほしい」「プレイヤースキルを必要とする形にしてほしい」という声も頂いています。「ダークソウル」という非常に難しいゲームがありますが、遊びこんでいくうちに難しさが楽しさに変わっていくと思いますが、本作でも同様の難しさを目指しています。
そのためには、同水準のスキルをもったプレイヤーが正しくマッチできるようなマッチメイキングが非常に重要だと考えています。同じタイミングでスタートしたプレイヤーが、共に学びながら成長できるような形が理想です。テストサーバーでも、最初は操作に苦戦していたプレイヤーが、今では活躍していますよ。
――今回のブースでは、PS4版も出展されており、PC版に比べPS4版が多く出展されていました。
Nanni氏:今回、PS4版を初めて出展したため、PS4を多めに設置しました。私自身、PlayStation対応ゲームを何年も手がけてきましたし、PlayStationは多くのユーザーがいる点が魅力的です。その一方で、コントロールパッドに対応するのが難しかったです。
――今後Xbox OneやNintendo Switchなどへ展開する計画は?
Nanni氏:今のところはありません。ただし、今後の可能性としてはあると思います。他のプラットフォームへの対応も不可能ではありませんが、対応することでローンチが遅れてしまう可能性があるため、総合的に判断した結果、コンソール向けにはPS4のみでリリースするという決断に至りました。
――VRへの対応は?
Nanni氏:無重力での対戦をVRで体験すると酔ってしまうため、VR展開には特別な対応が必要となり、かなりの時間がかかると考えています。代表のクリフもVRが好きなので、もし酔いの問題が解決するのであればチャレンジしたいと思っています。VRに特化したキャラクターがいるとよりおもしろそうですね。
――テストや試遊でのユーザーの反応は?
Nanni氏:全体的に良い反応を得ています。特にテスト開始時からの改善内容に満足してもらえているようです。
――発表当初はFree to Play(以下、F2P)でしたが、売り切り型に切り替えた理由は?
Nanni氏:最初はF2Pで開発を進めていました。しかし、私達が重視していた競技性とプレイ体験を実現できるビジネスモデルを何度も検討した結果、私達が届けたいゲームはF2Pでは難しいのではないかという結論に至りました。その結果、売り切り型に切り替えました。(※一部、追加購入が可能なコンテンツあり)
――e-Sportsでの展開は?
Nanni氏:もちろん、e-Sportsとして盛り上がればよいと考えていますが、e-Sportsタイトルになるかどうかはユーザーが決めることです。私たちが「これはe-Sportsタイトルです」と発表してもユーザーが盛り上がらなければ意味がありません。開発者として競技性の高いゲームを作り、ゲームを楽しんでもらうことを第一に考えています。そうすれば、ユーザーが自然とe-Sportsへの声を上げてくれるはずです。
――日本でのサービス発表を待つ読者にメッセージをお願いします。
Nanni氏:日本の皆さんにはお待たせしてしまっています。私たちは小さい会社ということもあり、バグの修正やゲームの改善に時間がかかってしまいます。日本の皆さんにお届けする頃には最高の体験ができるバージョンをお届けできると思うので、期待して待っていてください。
――ありがとうございました。