E3 2017で発表された「モンスターハンター:ワールド」が、今月ドイツで行われたgamescomで初めてプレイアブル出展された。その日本語版に触れる機会を得たので、前後編にわたってプレイレポートをお届けする。

後編では、本作に登場する武器14種のなかから、今回筆者が使用した5種のプレイフィールや新アクションを紹介する。

「モンスターハンター:ワールド」プレイレポート(前編)

大剣

シンプルゆえの高性能がウリの大剣には、2つの新アクションが追加された。

ひとつは、「溜め斬りコンボの3回目」だ。これまでは「溜め斬り1段目→大剣を振りかぶって溜め斬り2段目」までつながっていたが、本作ではここからさらに真・溜め斬りが繰り出せるように。モンスターの動きを止める方法が豊富な本作では、大きなダメージソースになるだろう。

もうひとつは「タックル」である。溜め中に○ボタン、回避中に△ボタンを押すことで発動し、のけぞり・吹き飛ばし無効という性能をもつ。基本的に攻撃は避けてナンボなモンハンにおいて、こういったモンスターとガッツリかち合う動きは珍しい。カウンター気味に当てて懐に入り、そのままコンボを浴びせよう。

gamescom出展版に限っての印象だが、大剣の立ち回りに大きな変化はなさそうだ。攻守一体の、使い勝手の良さは相変わらず。初心者でも上級者でも扱える得物である。

操虫棍

立体的な攻撃を得意とする操虫棍は、空中での行動バリエーションが増えた。R2ボタン+×ボタン跳躍したのち、空中で×ボタンを押すと「空中回避」、○ボタンを押すと「ジャンプ突撃斬り」を繰り出すようになっている(跳躍→△ボタンで通常の空中攻撃)。

空中回避は、ボタンを押した瞬間にもう一段ピョンと跳ねる感じ。いわゆる二段ジャンプである。回避以外に、タイミングや位置を調整するのにも一役買うだろう。

ジャンプ突撃斬りは、その名の通り空中から急降下しながら斬りつける攻撃。鋭角な動きが特徴で、空中回避と組み合わせればフィールドを縦横無尽に飛び回る立ち回りが可能だ。ちなみに空中回避→ジャンプ突撃斬りはめちゃくちゃカッコいい。

また、本作では棍と虫が別々になっており、別々に強化するようになっている。

ライトボウガン

ライトボウガンには「起爆竜弾」なる特殊な弾丸が追加されている。これは、地面に砲身を突き刺して設置する、地雷のような弾薬だ。設置後に攻撃したり、モンスターが踏んだりすると爆発する。

通常弾などの自分で用意する弾丸とは別に用意されており、弾数は3つまで。手動でリロードすることはできず、使用後に一定時間が経過すると再び使えるようになる。

素早い立ち回りでヘビィボウガンと差別化されていたライトボウガンだが、起爆竜弾の追加によって、その機動性をさらに活かした立ち回りが可能に。モンスターが通りそうな場所に設置するだけでなく、懐に潜り込んで仕掛けるゲリラ戦法も選択肢になる。

ちなみに、武器出し中に△ボタンを押しっぱなしにすると、装備している全種類の弾を順番にリロードしてくれる。

狩猟笛

演奏する旋律による多彩なサポートが魅力の狩猟笛には、今回の遊んだ範囲では新たなアクションの追加は確認できなかった。が、一度作った音色をストックして、最大3つの効果を一気に発揮することができるようになった。例えば、

  1. △→○→○《攻撃力UP【小】》
  2. ○→△+○→△《体力UP【小】》
  3. △→△+○→△+○《防御力UP【小】》

※上記は仮の旋律です。

と旋律をつないでからR2ボタンで演奏すると、上記3つの効果をまとめて発揮することができるのだ。演奏する回数が減り、そのぶんスキも減るので、かなり使いやすくなったはず。特に本作はマルチプレイの要素が強い作品ゆえ、活躍の場は多いだろう。譜面には、次にどの音色を揃えれば旋律ができあがるのかも表示される。

ハンマー

見た目以上に機動力が高いのがハンマーだ。扱い方も大剣と同じかそれ以上にシンプルだが、坂を滑り落ちながらジャンプして回転攻撃をするという芸当もあわせもつ(実機プレイ生放送で辻本良三氏が披露した技である)。

○ボタンを連打するだけで繰り出せる叩きつけ5連撃は、溜め攻撃のように隙が少ないぶん、気軽に狙える優れもの。途中まででも十分なダメージ量を稼げるうえ、最後の攻撃は複数ヒットするので、ダウンを取ったら的確に弱点へと当てていきたい。

辻本良三氏ら開発陣に訊く

最後に、「モンスターハンター:ワールド」プロデューサー・辻本良三氏、エグゼクティブ・ディレクター兼アートディレクター・藤岡要氏、ディレクター・徳田優也氏への質疑応答の模様を紹介する。

右から辻本良三氏、藤岡要氏、徳田優也氏

――現在、完成度は何%くらいでしょうか?

辻本氏:ほぼチェック段階です。ただ今回はシステムがかなり変わっているので、調整しなくてはいけないことも出てきそうです。

――これほど新しい仕様になったのは、どんな経緯だったのでしょうか?

辻本氏:シリーズを10年間続けてきて、アクションや生態系、高低差などさまざまな部分でチャレンジしてきました。そのチャレンジしてきた要素を、現在の据置機の最新技術でさらに伸ばしていった結果、このようなゲーム性になりました。

――特に重要視した部分はどこですか?

辻本氏:「モンスターハンター」のユニークな世界を表現することです。「モンスターハンター」にとって大切な、「生き生きとしたモンスター」を表現し、そこにハンターとしてワクワク感をもって飛び込んでいけるようにしたかったんです。そのために、フィールドも動きもシームレスにつなげるというのが今回のテーマになりました。

藤岡氏:モンスター同士の関わり、生態を含めて、すべての環境をプレイヤーに利用してほしいという思いがありました。そのためには、やはりシームレスな環境作りが大事になります。それを突き詰めて、今の形に作り変えていきました。

――アイテムの中に「捕獲用ネット」というものがありましたが、どうやって使うのでしょうか?

辻本氏:フィールド上にいる虫や動物などの「環境生物」を捕まえることができます。捕まえるとポイントがもらえるのですが、そのポイントをどう使うのか、捕まえるとどうなるのかは、また情報をお出ししていきます。

捕獲用ネットを□ボタンで使用すると、ネットを設置します。そうすると、スリンガーの操作がネットの操作に切り替わります。

――大型モンスターの捕獲は従来通り捕獲麻酔玉などで行いますか?

藤岡氏:そうです。

――フィールドを歩き回っていたら、アイルーとはちょっと違う小型の生物に出会ったのですが、あれは何ですか?

藤岡氏:「テトルー」という、この大陸の獣人族でアイルーとは別の種族です。詳しくは今後発表していきます。

――夕日がすごく綺麗で、食事もとてもおいしそうで、グラフィックもかなり力を入れているように感じました。

藤岡氏:一瞬でも心に残る画が大事だと思っています。たまたま綺麗な夕日が見られただけでも心に残って、感情移入できますよね。色んな体験ができるように作っています。

僕が見ている限りでは、食事の表現までこだわっているゲームはなかなかないと思います。「モンスターハンター」はしょっちゅう食事をするゲームなので(笑)、とびきりうまそうなものをデザイナーと一生懸命作りました。

――ゲーム内で時間が経っていくとお聞きしましたが、夜になるとモンスターに変化が起きたりするのでしょうか?

徳田氏:ものすごく大きく変わるわけではないのですが、一部のモンスターが眠るアクションを多くとったりします。あとは、閃光玉の代わりになる虫が、普段は屋内にしかいないのですが、夜になると外に出てきます。夜のほうが使える罠が増えたりですとか、そういった仕掛けを入れています。

――夜から始まるクエストもありますか?

徳田氏:ゲーム内で時間が経過していくので、夜にクエストに出ればそうなります。

――マップは大体何種類ありますか?

辻本氏:色々とあります!(笑)

藤岡氏:バリエーションの出し方は、「モンスターハンター」として感じてもらえる分は用意しようと思っていますので、楽しみにしていてください。

辻本氏:同じフィールドでも、出てくるモンスターによってフィールド上での行動や、使えるものが変わってきたりするので、そういうところも楽しんでいただけると思います。

――フィールドを歩き回っていたら、モンスターの縄張りに入って追いかけられたのですが、縄張りから出ればそれ以上追ってこないのでしょうか?

藤岡氏:怒るとどこまでも追いかけてくる大型モンスターもいますが、ある一定の範囲でうろうろしているものは、それ以上追いかけてきません。

徳田氏:中には、こちらから攻撃せずとも、縄張りを荒らされただけで攻撃してくるモンスターもいます。モンスターからは逃げてもいいですし、茂みに隠れてやり過ごすこともできます。臆病なモンスターは何匹か倒すと逃げていったりしますので、全滅させる以外にも対処法を用意しています。

――色々な武器種を触ってみましたが、全体的に動きがアグレッシブになった印象を受けました。それはフィールドがシームレスになって、マップが広くなったゆえでしょうか?

徳田氏:ハンターもモンスターもシームレスで、できるだけ動きを止めない作りにするのをコンセプトにしていました。それを軸にしつつ、武器の特徴をより活かすアクションを追加しています。

――「アイテム自動調合」などのシステムもありましたが、調合には変更を加えていますか?

徳田氏:レシピが変わっているものがありますね。

藤岡氏:今回は薬草だけで回復薬が作れるようにしています。かなり消費するものは1個だけで調合できるようにするなど、調合もだいぶ見直してストレスを少なくしています。

――剣士とガンナーで防具が共通のものになっていましたが、今回はそれぞれ専用の防具を使うことにはならないのでしょうか?

徳田氏:はい。気軽に武器を交換してほしいので、剣士・ガンナーの防具は共用にしています。武器側にスキルがついているようなイメージになっていて、剣士なら防御力が、ガンナーなら属性耐性値が上がるスキルがついていますので、結果的に剣士は防御力が、ガンナーは属性耐性値が高くなります。

――モンスターを攻撃した際にダメージ値が出たり、ガイドがしっかりついていたり、わかりやすくプレイできるようになりましたね。

藤岡氏:「モンスターハンター」は、アクションの駆け引きを大切にしながら作ってきました。より多くの人にそこを楽しんでもらうために、初動でつまづかないよう、かなり意識して設計しています。

ダメージ値も、自分がどれくらい効果的に部位を狙えているのかわかるだけでも、すごく意味があると思っています。そういった目線で色々なガイドを表示させています。

辻本氏:初めてプレイする人はもちろん、今までシリーズをプレイしてきた人も違和感がないように、入れるものをチョイスしています。プレイしていただいて、ダメージ値が出てもそんなに違和感がなかったのではないでしょうか。

――時間制限なしでフィールドを探索できるクエストもあったりしますか?

藤岡氏:クエストを受ける前がまさにその状態ですね。アイテムも採取できます。

――武器防具の強化方法はどうなりますか?

徳田氏:素材を入手して強化していく基本の設計は変わっていません。

藤岡氏:今までよりグラフィカルにして見やすくしたりといった工夫はしています。

――PS4 Proに向けたチューニングはしていますか?

藤岡氏:4K対応させたり、フレームレートを優先したり、遠景をもっとクリアにしたり、PS4 Pro用にチョイスできる項目を用意しています。

――新モンスターと既存モンスターの割合はどれくらいですか?

藤岡氏:具体的な数や割合は言いにくいのですが、今回はフィールドごと環境を見直していることもあって、その環境に特化したモンスターをより多く出そうとしています。既存モンスターをそのまま登場させるのが難しいところもあるので、そこは新しいモンスターを用意しています。当然、リオレウスのような人気モンスターはちゃんと出していますが、今までと違うところを楽しんでもらえるように作っています。

――大小さまざまなモンスターが出ていますが、さらに大きなモンスターも……もしかしたら……?

藤岡氏:いたり、いなかったり(笑)。

徳田氏:そこは満足していただけるように作っています!

――携帯機では持ち寄って遊ぶオフラインプレイが比較的多かったと思いますが、こちらはオンラインプレイが主流になるのでしょうか?

辻本氏:据置機なので、オンライン環境を存分に活かしてプレイしていただきたい思いがあります。インターネットにつなぎながらシングルプレイもできますし、クエストの途中でマルチプレイに切り替えることもできます。今回は村クエスト、集会所クエストの区別はありませんので、「今は一人で」「ここはみんなで」と選びながら遊べます。

藤岡氏:ストーリーを進めていて、ちょっと詰まったなと思ったら、その場で救難信号を出して、他のプレイヤーに手伝ってもらうことができます。

――救難信号を受ける側はどのように表示されるのでしょうか?

徳田氏:クエストボードにアクセスした際に、救難信号が出されているクエストがリストになっていますので、その中から選べます。フィルターをかけることも可能です。

――モンスターの体力が低いときに他のプレイヤーが参加して、すぐに終わってしまっても、報酬は均等にもらえるのでしょうか?

藤岡氏:続報をお待ちください。ただ、変なプレイにならないように、バランスが取れるようにはしています。

――最後に、楽しみにしている方々へのメッセージをお願いします。

辻本氏:gamescomで初プレイアブルになりますが、東京ゲームショウ2017でも大きく展開し、情報も出していきますので、そちらもぜひ期待してください。また、東京以外でもプレイしていただける機会を作りたいと思っています。

藤岡氏:モンスターを狩るのはもちろん、環境に浸るだけでも楽しめると思います。東京ゲームショウではたくさんの情報と遊んでいただける環境を用意したいので、ぜひ楽しみにしていてください。

徳田氏:変わっているところ、気になっているところがあると思いますが、プレイすれば楽しんでいただけると思っていますので、どこかの機会でぜひ遊んでみてください。

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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