「BitSummit PUNCH」出展の「三国志BOND」西山泰弘氏にインタビュー:ユーザーたちとともに作り上げていく独自の開発スタイルが目指すものとは?

インタビュー
1コメント 仁志睦

2026年5月22日から24日まで京都・みやこめっせにて開催された国内最大級のインディーゲームイベント「BitSummit PUNCH」。ここではゲラッパのブースにて出展されていた「三国志BOND」の開発を手掛ける西山泰弘氏へのインタビューをお届けする。

三国志BOND公式サイト
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三国志の世界を舞台にしたデッキ構築型ローグライト軍勢バトル「三国志BOND」。2026年夏に発売予定のPC(Steam)向け買い切りタイトルで販売価格はなんと800円。「Pay to Win」要素も一切なく、お手軽価格で濃密な頭脳バトルを体験できる。

プレイヤーは劉備、関羽、曹操といったおなじみの三国志の武将たちを登用し、さまざまな陣形を駆使してのバトルに挑む。ゲームの基本システムは先日実施されたクローズドベータテスト(以下CBT)のレポートにて紹介しているので、そちらを参照してほしい。

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今回の「BitSummit PUNCH」に出展されていたバージョンは基本的なゲームの進め方は前回のCBT版と同じだが、細部にさまざまな追加や変更がなされていた。特に、オートバトルでの違いが顕著で、計略が発動した際や攻城開始時など演出面がいろいろ強化されていた。

軍師のスキルが発動したときの演出も、CBT版では文字が大きく表示されるだけだったが、今回のバージョンでは軍師のカットイン映像やスキルの効果が表示されるようになっているなど、かなりの変更が加えられていた。

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さらに、規定の負け数になるまでの勝利数を競う「頂上争覇」モードのルールも一部変更。CBTでは再挑戦の際にそれまでの勝利数の記録がリセットされていたが、今回のバージョンでは最高記録が保存されるようになっていた。今夏の正式発売に向けて完成度を高めるべく、さらなる強化や変更も予定されているようだ。

リリースが目前に迫る中、今回会場にて本作の開発を手掛けている西山泰弘氏へのインタビューを実施。CBTでの反響や本作の注目ポイント、800円という価格設定の狙い、ユーザーとのつながりを重視する独自の開発スタンスなど、さまざまなお話を聞かせてもらった。

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ゲラッパ 代表取締役(兼任)エグゼクティブプロデューサーの西山泰弘氏。
ゲラッパ 代表取締役(兼任)エグゼクティブプロデューサーの西山泰弘氏。

対人ゲームにこだわりつつも多様な価値観に対応

――先日行われましたCBTの手応えから聞かせてもらえますか。

西山:これはプロデューサーである僕のミスなんですけど、全然ベータ版じゃなかったんです。あくまで早い段階で1回バトルを体験してもらいたいという思いがあって、本当はバトルテストなのにCBTみたいな言葉が先行しちゃったんです。ユーザーさんを混乱させてしまったので、よくなかったです。

もっと時間かけて、ちゃんと(ベータ版が)できてからやれとかよく言われますけど、ユーザーさんと向き合いたいので早く出しちゃうんですよね。ウチのことが好きなユーザーさんたちにプレイしてもらって、彼らの意見を踏まえてどんどん変えていこうみたいな感覚が強いんです。そういう意味では、すごくいいテストになりました。

――ユーザーさんとキャッチボールしながら作っていく感じでしょうか。

西山:そうですね。Discordですごくキャッチボールしています。僕も直接コメントしますし、ユーザーさんとともに作るというのを目指していますので、そこはいい感じでやれています。

――今回のテストで想定外だったことや問題に感じたところはありましたか。

西山:本当はモードが全部で4個あるんですけど、今回はそのうちの1個だけ解放して「ともかくバトルをやってみて!」みたいな感じだったんですよね。対戦ゲームって学習コストが高くて、まずCOM戦があって、人のゴーストデータと戦う「頂上争覇」があって、さらに人とリアルタイムで戦う「天命戦」へ、みたいなステップにしているんです。テスト版はそういう段階を踏めなくて、ゴーストと対戦するモードがポンと置いてあるだけだったので、ちょっと冷たいことをしちゃったなと反省しています。

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――そうしたテストを踏まえて、いろいろ変更されたものが今回出展されているバージョンになるのでしょうか。

西山:いえ、まだ全然です。テストが終わってからゲームに触われたのって2週間ぐらいですからね。ただ、前回のテストはROMを配布する形で実施したんですけど、今回はSteamのエンジン上で動かしています。グローバル向けに英語版と中国語版もしっかり入れています。ゲーム内容というよりも幅広いマーケットに届くようにみたいな感じですね。

そういった事情もあり、今回もゴーストと戦う「頂上争覇」を体験してもらうことになります。本当はクエストやCOM戦もやっていただきたいんですけどね。そうやって軍師のレベルを上げていくと自分のレートがだんだん分かってきます。で、レートが分かったら、どのぐらい対戦で勝てるかとりあえずやってみてほしいと思っています。

――対人戦がメインというわけではなく、あくまで一要素なわけですね。

西山:僕は全員に対人戦をやって欲しいと思っていますけど、今は対人戦で勝ったり負けたりすると疲れたといって離脱する人がけっこう多いんです。だから、対人戦は週末とかに行うイベントみたいな形でやろうかと思っています。特に対人戦をやらずとも、自分のレートを上げてゴーストに勝って気持ちいいとか、そういう遊び方もできます。

僕はアーケードの出身で対人戦のゲームばかり作ってきました。アーケードって100円で3分楽しんでもらう、みたいなところがあるじゃないですか。でも、コンソール(買い切り型)は長く楽しんでほしいですから、クエストやゴースト戦だけでも十分楽しんでもらえるようにと考えています。で、だんだん強くなって自分は今どのぐらいの強さなのかなってなったら、週末の「天命戦」も楽しみになるといいな、みたいな。

昭和だったら「みんなガチでやれよ!」でいいんですけど、令和の今はもっと皆さんの多様な価値観を受け入れないといけないですから(笑)。でも、やっぱり対戦をやってほしいんですよね。

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――CBTでの「頂上争覇」は再挑戦する際に前回の記録がリセットされていました。今回のバージョンでは最高記録をリセットせずに残す形に変更されているとのことですが、理由を聞かせてもらえますか。

西山:最高記録を消すのは冷たすぎだっていう声が多かったんです。おっしゃる通りですよね。

ただ、最終版での「頂上争覇」は1週間に1回チャレンジしてもらって、どこまで勝ち抜けるか楽しむというものになります。普段はほかのモードをやってもらって、週末には「頂上争覇」もあるよ、みたいな。

――では、最終版では1週間ごとに記録がリセットされる形になるわけですか。

西山:今はそういうつもりでいますね。「今週、オレは何勝いった」とかいう向き合い方をしてもらいたいと思っていますし、「天命戦」のランキング戦で何位になったとかも見てもらいたいですね。

――オートバトルの演出もいろいろ追加や変更があるとのことですが。

西山:そもそも前のテストではエフェクトが全然入っていなかったですからね。どの武将の計略が、どの部隊に効果があったかといった表示も上手くいっていなかったです。そのあたりは最低限やりますし、敵を撃破したときに「倒したぜ!」みたいに見える演出とかもしっかりやります。

計略が発動するタイミングの表示もお願いしてあります。計略は待機の状態から10秒後に発動する武将もいれば、5秒後に発動する武将とかもいるんですけど、画面上ではどれもいきなり発動しているように見えてわかりにくいんです。そうした部分の表示ももっとわかりやすくしようといろいろ考えています。

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――今回出展されているバージョンにも変更要素の一部は反映されているんですよね。

西山:でも、僕が目指している100パーセントのものに比べると……CBTのときが20パーセントぐらいだったら、今回のバージョンはやっと40パーセントぐらいです。

これはゲームを作る側の都合でユーザーさんには関係なくて申し訳ないんですけど、建物とかと一緒で躯体ができないとどうにもならないんです。壁紙をどうするとかは後でどうにでもなるんです。その意味でいうと、基礎はしっかり作れたと思っていますし、細かいところはまだまだ変えていきますよ。

前のバトルテストに参加された方が見たら、「2週間ちょっとで、こんな変わるの?」ってなると思います。本当に細かいところをいろいろ直していますから。

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ユーザーたちに意見を言ってもらって、ともに作り上げていく

――発売に向けて次の展開は考えられていますか。

西山:今は6月に行われるSteam Nextフェスに向けて動いています。先ほども言いましたが、ウチはどんどんユーザーに見せちゃって意見を取り込んでいこう、賛否両論があってもいいから一緒に作っている感じでやっていこう、みたいなスタンスです。そういうノリですから今後も皆さんに細かく見せていけたらなと思っています。

そうやって好きになってくれた人が、たくさん広めてくれるかもしれないじゃないですか。だから、ユーザーさんに協力していただいた方がいいと思っているんです。こういう取り組みも大手だったらできないと思います。ウチってインディーと大手の中間みたいな会社なので、どんどん試してみたいですね。

――買い切りで800円というかなり思い切った価格設定になっていますが、どういった狙いがあるのか聞かせてもらえますか。

西山:買い切りでこの価格のカードゲームなんてないですからね。でも、こういうゲームを楽しみたいという人には、ちゃんとご評価いただける内容にはなっているのかなと思っています。

最初、僕はスマホのF2Pでやろうとしていたんです。でも、これは対戦ゲームだし、コツコツ楽しめるゲームでもあるので、そういうゲームってファンになったらけっこうお金を払ってくれるんですよ。だから、ファンになってもらうための敷居はできるだけ下げようという考えがありました。

――ファンとのオフ会なども企画されているんですよね。Discord上でもそうですけど、すごくファンと密にコミュニケーションを取られているんだなと感じています。

西山:僕らが作っているのは対戦ゲームで、こういう戦略があってとかいろいろ語りたくなるゲーム、一緒に見たくなるゲームを作っているつもりでいます。それってユーザーと繋がれるじゃないですか。で、ユーザーと繋がることをやれば、ほかの会社さんのゲームともちょっと差別化されますよね。オフ会とかやるともっと密接に繋がることができて、さらに差別化できるんです。

ゲラッパはGENDAグループさんと組んでやっていますが、GENDAグループさんはゲームセンターもやっているので、このゲームを通して店舗との接点も作ろうと思っているんです。そうすると、他の会社さんじゃできないことを、さらにどんどんやれるじゃないですか。

きっと賛否両論あると思います。内輪感が出ちゃうとかね。それでも、やっぱり僕はユーザーと接点があってユーザーがプレイしているのが見えるのがモチベーションになっているんですよ。

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――それは、やはりアーケードゲームを作ってこられたからなのでしょうか。

西山:そうかもしれませんね。しかも、厳しく言っていただけますから。なぁなぁになると良くないですけど、ウチのユーザーさんはめっちゃ厳しいです。意地悪なことも言いますけど、それがありがたいんです。そういうことって愛していないと言わないじゃないですか。本当にムキになって言って下さったりしますから。

一番ダメなのは無関心です。無関心だとそもそも俎上に乗らないですからね。そういうのも含めて、ウチのユーザーさんは市場にいるゲームプロデューサーみたいな感覚があります。ただ、意見を選ぶのは僕です。上手くいかなかったら僕の責任なんで、ユーザーさんは忌憚なく意見を言ってねと伝えています。

――では、今後もファンミーティング的なものは開催したいと。

西山:やります、やります。さきほど言った「天命戦」は毎月ランキングイベントもやろうと思っていますので、それを配信してとかいろいろなことを考えています。そこはもうしっかりやりますよ。買い切り型ですけど、そういう運営はしていきたいですね。

――最後に、今夏の発売に向けての意気込みとファンへのメッセージをお願いします。

西山:たぶん、商品って買うときに使うお金と満足度が合うかどうかだと思うんですよ。そういう意味では、満足度があるものにはなっていますので、ご期待いただければと思います。売れれば武将のカードの種類もゲームのモードも増やしていきます。いろんなことをやっていきますよ。

やりたいことはまだまだいっぱいあります。めっちゃ気合入っていますから(笑)。「三国志BOND」というシリーズを、興味を持って付いてきてくださるユーザーさんと一緒に育てていければと思っていますので、楽しみにしていてもらえればと思います。

――わかりました。本日はありがとうございました。

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※画面は開発中のものです。

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