コントローラー不要のゲーム機「Nex Playground」、“日本コンテンツ愛”あふれるCEOが語る日本参入の戦略と勝算【TGS2026】「単に米国の製品を日本に持っていくことはしたくない」と言い切る思い

東京ゲームショウ2026
0コメント さとうかずや

コントローラー不要で、自分の体がそのままコントローラーとしてプレイが楽しめる「Nex Playground」。グローバル展開を進めるなかで、2027年には日本市場での発売を予定している。東京ゲームショウ2026において、来日した関係者にインタビューした。

コントローラー不要。北米でヒットし世界展開を始めたファミリー向けゲーム機

コントローラー不要のゲーム機「Nex Playground」、“日本コンテンツ愛”あふれるCEOが語る日本参入の戦略と勝算【TGS2026】の画像

「Nex Playground」は従来のハンドヘルドコントローラーを使う代わりに、超広角カメラと独自開発のAIボディトラッキング技術により、プレイヤーの自然な動きをそのままゲーム操作へと変換。コントローラーやウェアラブル、外付けセンサーを一切使わずに、テレビの前でみんな一緒に体を動かして楽しめるゲーム機であり、ファミリー層をターゲットにした、新しいファミリーエンターテインメントプラットフォームとしている。

Nex Playgroundには、5つのスターターゲームが標準搭載。Play Passは、Nex Playgroundの全機能を解放するサブスクリプションで、豊富でアクティブなゲームカタログにアクセスでき、新しいコンテンツやアップデートも随時追加される(※日本版の仕様・コンテンツは異なる場合がある)。広告やアプリ内課金のない、シンプルなファミリー向けに設計されているという。タイトルにはさまざまなジャンルがあるなか、セガのソニックやバンダイナムコエンターテインメントのパックマンをテーマにしたタイトルも導入される。

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プライバシーの配慮もあり、AIによるモーショントラッキングは、デバイス上でローカルに処理するため、モーショントラッキングに使用される画像や映像がクラウドにアップロード、保存されることはないという。そのうえで、物理的なカメラカバーも付属し、心理的な安心も得られるようになっている。

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2023年に北米で販売が開始され、販売台数は100万台を突破。特に2025年のブラックフライデー週末には、米国のコンソールハードウェア販売台数で第3位。Nintendo Switch 2とPlayStation 5に次ぐもので、Xboxを上回ったという。北米での成功を受けて、2026年には国際展開を開始。2027年には日本市場への参入を計画している。インタビューでも触れるが、日本参入にあたっては国内IPを使用したタイトルはもとより、日本の開発パートナーとの協力のもと、日本の家族のために新しいゲームを、日本で制作する予定としている。

筆者もわずかな時間でボクシングタイプのトレーニング風のゲームをプレイしたのだが、手の動きはもとより、上半身を動かして物をよけたり、ダッキングしたりと、全身を使って遊ぶ楽しみを感じられるものとなっていた。

家族とつながる必要性と「Wii」へのリスペクト。安全性にこだわる開発の背景

お話を伺ったのは、Nex 共同創業者兼CEOのデイビッド・リー氏、Nex プレジデント兼インターナショナル統括のトム・カン氏、Nex 日本法人ゼネラルマネージャーの山本恵美子氏の3人。

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(キャプション:デイビッド・リー氏(左)、山本恵美子氏(中央)、トム・カン氏(右))

リー氏はNex創業以前、Appleでシニアエンジニアリングマネージャーを務めていた経歴を持ち、Nexのコアメンバーには、Appleに在籍したメンバーもいるという。会社として技術的な強みがあるなかで、もともとはツールを作るメーカーとして、ツールを通じて問題を解決する考え方がバックボーンとしてある。そのなかで、リー氏自身がお子さんもいる家族として生活するなか、家族としてのニーズや課題とは何かを考え、“家族には一緒に過ごしてつながる時間の必要性”“身体を動かす必要性”があるととらえ、このニーズに応えられる製品を考えたのが、Nex Playground開発の背景にあるという。

もうひとつきっかけとなったものに、任天堂のゲーム機「Wii」の存在も挙げられた。リー氏はWiiについて、子どもたちや両親、祖父母3世代すべての方が一緒に遊べるゲーム機であったこと、また任天堂の代表取締役社長を務めた故・岩田聡氏に影響を受けたことや、成し遂げた仕事に多大な敬意を抱いていることを語り、Nex Playgroundにおけるインスピレーションになったことも明かす。

ちなみにリー氏は、経営者としてのロールモデルとして、Appleの共同創業者として知られるスティーブ・ジョブズ氏と、前述した岩田氏をあげる。ジョブズ氏からは、大きなビジョンを持ちつつ、細部までこだわること。岩田氏からは、ゲームはすべての人に向けたものということを学んだと語る。

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経営戦略などを担うカン氏は、世界最大のスーパーマーケットチェーンとして知られるWalmartでバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー、オフィサーとしてイマーシブコマース事業を牽引。ほかにもAmazon GamesやAmazon Web Services、Disney Interactiveで要職を歴任した経歴を持つ。そんなカン氏はNex Playgroundのヒットについて、小売店のパートナーに恵まれ、商品を置いてお客に実際に試していただける機会が多く得られたこと、またIPパートナーを説得して許諾を得られるようになり、現在ではよりグローバルで知名度のあるIPを持つホルダーからのお話をいただけるような状況になっていることを挙げる。

さらに“安全性と信頼”も重要なことと強調する。現在のゲーム市場において安全性と信頼の観点からは、必ずしも担保できていないと感じているという。また親は子どものために信頼できるものを買いたいというニーズがあり、それに応えるには、デバイスとサービスのすべてを信頼でき、安全なものにする必要があったという。例えばサードパーティ製のアプリやゲームを本体に個別にインストールすることは不可となっており、すべての体験の信頼性、安全性、認証をNex側で管理する。また、ゲーム内に広告、マイクロトランザクション、チャット機能は一切搭載されてないなど、子どもと保護者にとって、よりシンプルで安心して利用できる環境を提供し、そのニーズに応えられたことが成功の大きな部分を占めているという。

リー氏はこれに加え、最初の5000台を作った際、“製品を手にした5000の家族に絶対に満足してもらう”ことを唯一の目標として掲げたという。より良い製品を作り続けることで両親や家族が製品を気に入り、たくさんの口コミが生まれたことで、他の人にその良さが伝わったことも大きな要因とした。そしてカン氏は、外部の競合よりも、顧客にフォーカスし、お客様のことに集中してあらゆることに取り組んでいると語った。

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「日本市場向けの製品を作る」。徹底したローカライズとあふれる日本のコンテンツ愛

日本市場の参入にあたっては、前述のように2027年発売予定としているが、これには準備に時間を要しているため。リー氏とカン氏は“日本は世界で最も重要で影響力のあるゲーム市場の1つ”“日本のマーケットは他の国や地域とは異なる独特なもの”として、これまでも日本独自のIPやコンテンツ、音楽、そして複数の日本デベロッパーとの協力に時間をかけてきたという。「私たちは愛と敬意を込めて日本の市場に参入したい」と揃って語る。

そのキーマンとなるのが山本氏。ウォルト・ディズニー・ジャパンにおいては「キングダム ハーツ」の誕生につなげるとともに、同シリーズのエグゼクティブプロデューサーを務めたことでも知られている。直近では、Amazon Gamesでアジア太平洋地域のパブリッシングおよび事業開発の統括を務めるなど、グローバルなゲームビジネスと日本市場をつなぐ役割を担ってきたという。

山本氏はNex Playgroundの日本展開について、日本市場に合わせた価格帯や販売形態のアプローチが必要と感じているそうだ。また、何より大事なこととして“日本で開発すること”“日本のIPを届けること”を挙げる。特に日本の開発者はWiiでの開発経験を有していたり、モーションコントロールに慣れていたりする方も多いという。さらにグラフィックの美しさだけに頼らないゲーム性を打ち出せることも、日本の開発会社の強みだとしており、Nex Playgroundにマッチしていると語る。

さらに、コンパクトな日本の住宅事情や、集合住宅における足音などの騒音の懸念についても言及。Nex Playgroundの広角カメラは1メートル離れるだけで全身を捉えることが可能であり、1メートル四方あれば十分なプレイ体験が得られるという。また、現状においてジャンプが必要なゲームは1つか2つ程度であり、上半身や腕だけで遊べるゲームもたくさんあるため、必ずしもジャンプする必要はない。騒音が問題になりにくい点も強調する。そのうえで、こうした懸念を払拭するように伝えることも、普及に向けた鍵になるとしている。

さらにリー氏は「単に米国の製品を日本に持っていくことはしたくない。日本市場向けの製品を作る」とキッパリ。その背景には、リー氏の“日本のコンテンツ愛”がある。リー氏は香港で育ったこともあり、子どもの頃に触れてきたエンターテインメントは日本から来たものばかりだったそうだ。

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取材中、リー氏の好きな作品に「HUNTER×HUNTER」や「ドラゴンボール」、「仮面ライダー」などが挙げられたほか、お子さんは日本の漫画やアニメを見て日本語を学んでいること、一番好きなアーティストはYOASOBIといった話題が飛び出すことも。

特に象徴的だったのは、インタビューの冒頭でリー氏が自己紹介したときの言葉。同氏は「HomeCourt」という、スマホのカメラを使ってバスケットボールのシュートやドリブルをAIがリアルタイムで追跡・分析する、NBAの公式パートナーにも認定されたトレーニングアプリを手がけた経歴を持っているなかで、自身についてこのように紹介した。

「私の原点は『スラムダンク』です。私は『スラムダンク』を見て育ったので、バスケが大好きです。自分自身、身長的には宮城リョータ、プレーとしては三井寿の3ポイントシュート、そして桜木花道の心を持っていると思っています」(リー氏)

今でもリー氏のエンターテインメントの中心は日本のコンテンツやIPだとし、大好きな日本のIPをプロダクトに取り入れ、自分の家族と一緒に楽しめるようになることが、本当に嬉しいという。と同時に、徹底したローカライズをはじめとして、日本のIP、スタジオ、音楽、パートナーとの協力など、時間をかけて準備を行い、日本のみなさんにも家族で楽しんでもらうことを第一に考えていると強調する。また、リー氏はコミュニティ活動にも非常に積極的であり、コミュニティとの対話を通じて新製品の意見を求めたり、アドバイスをもらったり、不満に耳を傾けたりすることを毎日のようにしており、日本でリリースしたあとも同じように、利用者の声に耳を傾け、製品をより良くしていきたいという。

加えて日本のエンターテインメントは非常に繁栄していること、グローバルな影響力を持っているとして、Nex Playgroundを通じて今以上に日本のIPを世界へ広めていく大きなチャンスがあると考えており、そのことに役立ちたいとも語っていた。

「日本市場向けの製品を作りたいですし、本当にやりたいのは、子どもの頃から愛してきた日本のIPや音楽をNex Playgroundに取り入れ、グローバル市場向けにより良い製品を作ること。これが私のやりたいことです」(リー氏)。

※画面は開発中のものです。

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