コナミデジタルエンタテインメント(KONAMI)より2026年9月24日に発売予定のPS5/PC(Steam/Epic Games Store)用ソフト「SILENT HILL: Townfall」。本作の製品版レビューをお届けする。
本稿では、メディア向け最速試遊で明かされた手応えのその先、製品版を1周クリアした視点から、サイモンの裏で展開されるキャラクターたちのドラマ、さらに過酷さを増したサバイバルシステムの全貌に迫る。
とはいえ、1周目をクリアした上での内容となるため、作中の展開や要素が気になる人はあらかじめ注意していただきたい。

メディカルセンターでの合流、そして「ゾーイ」へと引き継がれる視点
前回の世界最速試遊において、主人公サイモンが海から這い上がり、スコットランドの孤島「セントアメリア」の町を彷徨う冒頭のパートが明かされた。息苦しい霧の中、レトロガジェット「CRTV」を頼りに進んだサイモンがたどり着いたメディカルセンター。そこで待ち受けていたのは、彼がずっと追っていた現地のクリニックで働く看護師・ゾーイの姿だった。

製品版では、ここから先のチャプターにおいて操作キャラクターがサイモンからゾーイへと切り替わる。実は本編の進行に伴い、彼女自身を動かして謎に迫る場面が用意されている。サイモンが持つ「CRTV」に対し、ゾーイが常時所持しているのは「ポケットベル」だ。
彼女はメディカルセンターからのメッセージを受信しながら進むことになる。ポケットベルの画面の端が一部暗くなった場合はその方向に敵がいることを示しており、CRTVのように位置を完全に把握することはできないものの、敵がいるかいないかを把握する重要な手立てとなる。


また、序盤のサイモンとゾーイの操作パートでは同じセントアメリアの町を歩くことになるのだが、同じ場所でありながらも漂う雰囲気が異なり、異なるルートで同じ目的地へ向かう場面も存在する。同じ町を舞台にしていながら、どこかそうは感じられない違和感のようなものが、探索の面白さをより一層掻き立ててくれる。

彼女の操作時は、銃器などで正面から敵をねじ伏せるコンバット体験よりも、周囲の環境や音を利用したステルス行動が主体となる。ラジオを鳴らしたり、拾った空き瓶やレンガを投げたりして敵の注意を誘導し、わずかな隙を突いて切り抜ける極限の緊張感が強いられる。
緊迫した場面でポケベルのメッセージ受信音や振動が突如として鳴り響くと、敵の恐怖とは別の方向で心臓が跳ね上がるような驚きを味わう場面もあった。
メッセージに導かれるように患者の家へとたどり着いたゾーイだったが、そこから脱出した先で目撃したのは、町全体が異形のクリーチャーに侵食されていく狂気の光景であった。




リチャードの登場と、ガジェットなき手探りのサバイバル
サイモンやゾーイの視点に加え、本作ではもう一人の重要人物である「リチャード」を操作するチャプターも大きな見どころとなっている。

サイモンと協力関係を構築していくことになるリチャードの操作パートにおける最大の特徴は、高い火力を発揮する「ショットガン」が手に入る点にある。一見すると心強い武器を得たように思えるが、彼はCRTVやポケベルといった索敵のためのガジェットを一切所持していない。
つまり、周囲の状況を事前に察知できない「完全な手探り状態」で危険なエリアを進まなければならないのだ。この場面では、物陰にひっそりと身を潜めたり、暗闇を縦横無尽に駆け回った挙句に見えない死角で待ち伏せたりする、極めて厄介な新種クリーチャーが出現する。
予測不能な動きで追い詰めてくる敵に対し、手元のショットガンだけを頼りに生き延びるわけだが、索敵できない恐怖から不意を突かれることが多く、その恐怖と驚かされた怒りをそのままぶつけるかのように、必死でショットガンをぶっ放してしまった…。




死角に潜む罠とおぞましいクリーチャーたち
再び操作がサイモンに戻ると、サバイバルはさらなる過酷さを極める。探索中、終始不安感をあおってくるのが島に満ちる不気味な環境音だ。さらに、クリーチャーに見つかると一気に緊迫感を煽るBGMへと切り替わるため、状況の変化が耳からダイレクトに伝わってきて常に神経がすり減るような感覚に。
目の前に現れるクリーチャーは、まさに異形と言わざるを得ないおぞましい姿をしたものが次々と登場する。シーンによっては画面いっぱいにアップで映し出されることもあり、思わず目をそむけたくなってしまうほどの強烈なインパクトを放っている。さらに、中には全く歯が立たず捕まってしまったら即死となってしまうような脅威も潜んでおり、一瞬たりとも気が抜けない。
町や建物の随所には「隠れる」ことができるポイントが用意されており、身を潜めてやり過ごすことが可能だ。その際はドアなどの網目状になった格子越しから外の様子をうかがうことができるのだが、クリーチャーが近くを通り過ぎるたびに「頼むから見つからないでくれ……」と、息を潜めてハラハラさせられる場面が何度もあった。
安全地帯だと思って油断していると、実はすでに気付かれており、隠れていた場所から突然クリーチャーに引きずり出されて絶命してしまうことも。常に全方位への警戒が欠かせない。



とある場面では、クリーチャーの死体がそこらじゅうに転がる薄暗い通路を探索することになるが、気を付けなければならないのが「よく見るとまだ息のある個体が紛れている」点だ。気付かずに不用意に近づくと、突然地面から掴まれ、容赦ないダメージを受けてしまう。
基本的には近づかなければ放置しても構わないものの、狭い通路などではどうしてもすぐ傍を通らなければならない場面も多い。そのため、安全のためにあらかじめ空き瓶を直接当てたり、角材などで先制して殴り倒したりして確実に対処するのがベターな立ち回りだった。



暗闇に包まれたエリアでは、CRTVで安全を確認しながら進むものの、独特の静寂と相まって精神的な動揺を常に誘われる。そんな中、突如として暗闇の奥からクリーチャーが現れた時には、やはりと思いつつも動揺を隠せなかった。
クリーチャーについては、発見されてからその場を逃げ切ることもできなくはないが、それは構造など周りの状況を把握できている場所だからこそ通用した方法にすぎない。徘徊するクリーチャーが多いため、焦って逃げた先で予期していなかった別の個体に出くわしてしまう危険性も高い。そのため、周囲の音などに耳を澄ませ、慎重に行動してプレイを進めていくのがもっとも無難だと言える。
角材や銃器以外の武器も手に入るが、リソースはすべて有限である。「ここで正面から弾薬を使ってでも敵を排除すべきか」「それとも音で誘導しながらステルスでやり過ごすべきか」。こうした瞬時の判断とリソース管理のジレンマが、ゲーム後半にかけてプレイヤーの選択を重くしていく。



謎解きの歯ごたえ、そして深く沈み込む考察への誘い
物語を進めていくと、謎解きをはじめとするさまざまなギミックがプレイヤーを待ち受けている。本作ではデフォルトの難易度として、戦闘難易度がノーマル、パズル難易度がヒントありに設定されており、ある程度のヒントを駆使しながらテンポよく進めていくことが可能だ。
ただ、中には一筋縄ではいかないものも存在し、半日ほど謎解きに頭を悩ませてしまう場面に直面することもあった。そうした難問を自らの思考で解き明かしたときの達成感は格別であり、ヒントありでスマートに進むか、それとも歯ごたえを求めてノーヒントで挑むかという選択そのものが、本作の面白さをさらに引き上げる大きな要因となっている。

また、製品版を体験する上で見逃せないのが、安元洋貴さん(サイモン役)、甲斐田裕子さん(ゾーイ役)、大塚明夫さん(リチャード役)らによる日本語ボイスの存在だ。キャラクターたちが抱える内省的な葛藤や、肌を刺すような冷たい空気感がより聞き馴染みのある日本語でダイレクトに伝わってくる。

クリアを迎えた後も、本作はプレイヤーの心に強い余韻を残す。物語を進める中で、何が本当に起きたことなのかは深く語られず、どこまでが現実でどこからが虚構なのか、その境目があやふやなまま幕を閉じる。
数々の疑問は残るものの、だからこそクリア後も考察が猛烈にはかどり、「周回プレイを重ねればその意味が分かるのではないか」という衝動に駆られて、スタッフロールが終わるやいなやそのまま2周目の世界へと足を踏み入れていた。
スコットランドの孤島「セントアメリア」を舞台に、個人と社会の歪みを描き出すサイコロジカルホラー。発売を迎える本作の、ぜひこの逃れられない深淵へ、あなた自身の足で踏み入れてみてほしい。

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