「つぐのひ -天招ねく救いの糸-」で作者・ImCyan氏が選んだのは、シリーズの“原点回帰”。初期の「つぐのひ」が持っていた独特の空気を、いま世界中の若い世代に愛される「リミナルスペース」「ドリームコア」の感覚で捉え直す――そんな作者自身による自作の再解釈となっている。
その原点の空気の中で本作が描くのは、インターネット・バッシングと、その矛先に立たされた“加害者家族”だ。主人公は、父がネットで告発されたことをきっかけに加害者の家族」と見なされるようになった少女。住所は特定され、家の壁は落書きで埋まり、帰り道には毎日のように、正義の説教を言いたてるネット民がやってくる。
現代のインターネットで日々起きていることが、「毎日、同じ帰り道を歩くだけ」という「つぐのひ」の形式に落とし込まれている。派手な怪異ではなく、善意と正義の顔をした日常こそが、少女を追い詰めていく。
原点の空気に立ち返る一方で、ゲームとしての作りも普段とは少し変更されている。本作では、第1章から終章までの章仕立ての構成が採用されており、1日あたりのプレイ時間は普段より短く、テンポよく展開。章が進むごとに空の色が変わり、少女を取り巻く世界が変化していく。そして物語の最後には、シリーズの「歩くだけ」の先に、プレイヤー自身の「選択」が待っている。
(C)ImCyan/Vaka, Inc.
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