この夏、ゼッタイに遊んでもらいたい編集部オススメのゲームをお届けしちゃう「サマゲー(Summerに遊びたいGame)2012」。第2回は青春-自己-探索-ミステリアス-認識-アドベンチャー・PSP「セカンドノベル ~彼女の夏、15分の記憶~」を紹介します!

「セカンドノベル ~彼女の夏、15分の記憶~」は、2010年7月29日に発売されたアドベンチャーゲーム。夏休みに帰省した主人公・直哉と、学校の屋上から飛び降りた後遺症により15分間しか記憶を維持することができない女性・彩野を中心に、親友・ユウイチの死と、その後の彩野の行動の裏に隠された真実を紐解いていきます。

第1回の「TOKYO JUNGLE」とは大きく趣きを変え、ここでは夏をしっとりと楽しめるであろうこのタイトルを紹介していきたいと思います。

私が考える本作の肝となる要素は2つ。1つはゲームブック的な要素を取り入れた“物語”の紐解き。そしてもう1つが“記憶障害”という非常にセンシティブな要素をゲームの中心においていることです。ここでは、その2つそれぞれにスポットを当てて、本作の魅力に触れていきます。

まず1つ目ですが、記憶障害によって17歳までの記憶しか持たない彩野は直哉と出会うことで、高校時代の自分たちを舞台にした“物語”を語ります。それは当時の学園生活を背景にはしているものの多くの矛盾点を含んでおり、それを紐解くことで物語をより深く読み進めることができるのです。

その時に使われるのが、直哉が彩野の物語の中から切り取ったキーワードと、物語を要約した“あらすじ”です。その内容は、15分で記憶を失ってしまう彩野がすぐに状況を理解できるようにするものであり、さらには物語の転換を図る上でも重要なものとなっています。

物語の矛盾点を見つけ出し、それをキーワードやあらすじで指摘し、次の物語を読み進めることで、最終的に5年前に起きた真実にたどり着くという流れは、プレイヤーの選択により、ダイレクトに展開が変わっていくという点でゲームブックに近いものがあると思います。

そして、2つ目として、本作が上記のシステムで表現できる設定はほかにも存在するであろう中で、あえて“記憶障害”という題材を取り入れている点は見過ごしてはいけないでしょう。

フィクションであることから、記憶を保持できる時間について15分という明確な基準を設けているとは思いますが、それを抜きにしても記憶を失ってしまう女性とそれを取り巻く人々の姿を描くことは、非常に繊細なものであると考えています。その点を逃げずにまっすぐ丁寧に描いていたのは、発売当時プレイした筆者が一番胸に突き刺さった部分でした。

夏といえば海水浴やお祭りなど、みなさんにとって非常に賑やかな季節だとは思いますが、一方で私にとっては少し物悲しさを感じる季節です。そして、本作はまさにそんな雰囲気を味わえるタイトルだとプレイした時も、そして今も思っています。物語の真実と、その先にあるわずかばかりの心の解放をぜひ樂しんでもらえればと思います。

なお、現在「セカンドノベル」のダウンロード版が期間限定でお求めやすくなっています。今回の記事で興味を持っていただいたようでしたら、そちらもチェックしてみてはいかがでしょうか。

セカンドノベル ~彼女の夏、15分の記憶~

日本一ソフトウェア

PSPダウンロード

  • 発売日:2010年7月29日
  • 12歳以上対象
  • PS Store ダウンロード版

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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