日本マイクロソフトは本日7月2日、新年度経営方針の記者会見を開催した。Xbox関連の展開についてはほとんど触れられていないが、Windows 8やSurfaceといったゲームユーザーには比較的近しい話題があったので、会見の模様をお伝えしていこう。

樋口泰行氏
樋口泰行氏

記者会見には、日本マイクロソフト 代表執行役 社長の樋口泰行氏が登壇。同社では7月から2014年度の会計年度がスタートするが、まずは6月末をもって終了となった2013年度の内容について説明が行われた。大きくコマーシャルビジネスとコンシューマビジネスがある中で、コマーシャルビジネスは新政権発足の影響(アベノミクスの一環である、IT強化に伴うICTへの理解)もあり、2年連続で二桁成長を記録し「成熟マーケットとしてはいい結果になっている」と述べた。

コンシューマ事業については、安価なタブレットが台頭してきたこともあって、一時的にコンシューマPCに影響が出ているという。しかしユーザーがタブレットでは多くのことはできないことに気付き始めており、今後タブレット競争のフェーズ2が訪れた際には「Windows 8/8.1の評価が急速に上がってくるのでは」とした。

2013年度はWindows 8の投入を始め、クラウドプラットフォームのWindows Azureに関する展開(Iaasの対応や日本データセンターの設置)、Office 365の推進、さらにはパートナーシップの強化や政府との連携などが行われてきたが、今後の立ち位置についても語られた。これまではOSやOffice、サーバー製品が中心だったが、世の中のニーズに合わせ、デバイス&サービスカンパニーへと変革していこうと考えているという。

すでにその取り組みは始まっているが、今年度からはそれを本格化させ、社運を賭けて進めていくようだ。現状を「この分野においては、我々がリードしているわけではない」と捉えており、チャレンジャーとして取り組んでいく姿勢を見せていた。実際にどう展開するかについては、単にデバイスを出すだけではなく、ソフトウェアの資産や周辺機器を含めた関連性を継承し、デバイスとサービスなどをシームレスに繋ぐことで、トータルでのバリューを提供できるようにしていくとのこと。

デバイスも引き続き強化していくため、現在はWindows 8のタッチデバイスを全社員に配布し終えており、今後は自ら使って自らPRする、全社員がセールスパーソンという心づもりでいるようだ。アプリケーションの開発支援も2倍の規模にするほか、Windows 8.1以降はBingやSkype、SkyDriveといったサービスとWindowsデバイスの連携を密にすることで、「新たなユーザーシナジーを提供していきたい」と述べた。

デバイスと言えばタブレットのSurfaceが挙げられるが、これについては「Officeが使える」「キーボードも使える」「USBポートもある」「セキュリティ対策もされている」といった面から、タブレット&PCの使い方ができると評価を受け、手応えを感じているという。店頭で扱われるスペースはそこまで大きくないものの、先週までの4週連続で、量販店でのiPadの売上を超えており、社内でも驚いているとのこと。

Surfeceの法人向け販売もいよいよ目前となり、第一四半期(7月~9月)中に提供を始めるとしている。まだ各社へ働きかけをしてない段階だが、すでに法人市場からの案件が100件を超えているようで、SurfaceやWindows 8デバイスを販売する専門のスタッフを用意して臨む体勢が整えられている。

また、政府の新IT戦略が目指す「世界最高水準のIT利活用社会の実現」を支援するため、インフラ整備や医療・社会福祉サービス、教育など10の分野において国と連携していくという。医療分野ではKinectを活用した手術向けソリューション「Opect(オペクト)」が知られるが、ほかにも行政分野では「ガバメント2.0」として、千葉市と実証実験などが行われている。

記者会見の最後にはQ&Aセッションの時間が設けられており、昨年度におけるXboxビジネスの実績や、今年度の方針についての質問が上がった。それに対して樋口氏は、Windowsを含めたコンシューマビジネスの中で、「Xboxをエンターテイメントマシンとして展開していく過渡期にあると思っている」と述べた。そのキーとなるのが6月のE3 2013で発表された「Xbox One」であり、日本でのビジョンが固まり次第発表していくとのこと。

樋口氏の言葉を継いで、インタラクティブ・エンターテイメント・ビジネスゼネラルマネージャーの泉水敬氏からもコメントがあった。泉水氏は、昨年度の実績について「パートナー様から数多くのゲームタイトルを提供してもらい、ユーザーの皆さんに満足いただけたのでは」と考えているようで、Xbox LIVEのユーザーも非常にアクティブだと話す。今年度の動きについては「新しい世代の展開に向けて準備を進めており、その内容については別途機会を設けたい」というにとどめた。

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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