スタッフの手作り感あふれる温かいイベント―PS3「パペッティア」制作スタジオ潜入ツアーの模様をお届け

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ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジアは本日8月10日、東京・PS3用ソフト「パペッティア」の制作スタジオ潜入ツアーを開催した。

本イベントは、プレコミュにて参加者の事前募集が行われ、その当選者のみが参加できるというクローズドなもの。当日は本作の開発陣自らが制作過程の様子を披露したり、イベント限定バージョンでゲームの試遊が行えたりと、2時間ほどのイベントながら参加者が楽しめる内容が盛りだくさんとなっていた。

イベントは午前と午後の2部構成で行われたのだが、ここでは午後の模様をレポートしていく。

会場内には台本を始め、スタッフ手作りによるアイテムも多数展示されていた。

イベントの始めには、同社社屋内にある制作ルームに訪れ、「キャラクターアニメーションの作り方」「スクリプトツールによるゲームデザインの裏側」「イメージボードから実際のゲーム画面ができるまで」「ライティングによる舞台演出表現」という4つのテーマに沿って制作陣から話を聞くことができた。

各テーマの担当スタッフはそれぞれ趣向を凝らし、モーションの繋がりについて説明するため主人公・クウタロウのさまざまな動きを見せたり、製品版ではできないツールやコマンドを使った場面を披露してくれた。

詳しい技術的な説明ではないが、この効果はどのような手法となっているのかの解説があった。
写真右は、GOBOと呼ばれる照明の演出方法に関することを実演している様子。

デバッグ用の機能のひとつであるカメラの移動によってステージをさまざまな角度から眺めたり、ライティング(ライトの有無)によって見え方がどれだけ変わるのか比較したり、エリアとイベント発生の関連付けが表示されている画面を映したりと、普段は目にすることがないゲーム制作現場の様子に、参加者は一様に楽しそうにしていた。

中でも、リハーサル版に収録されていたところと同じ場面を使ったときの解説では、実際にプレイした箇所の裏側が見られたこともあってか、特に反応が大きかった印象がある。

制作ルームには冊子になる前の説明書をはじめ、さまざまな資料なども置かれていた。

制作現場のツアーが終わると、雰囲気がしっかりと作られた試遊スペースでゲームプレイが行われた。参加者ひとりひとりにスタッフが付いていたのだが、その中には、この後のトークショーにも登場する本作のクリエイティブ・ディレクターである、ギャビン・ムーア氏の姿も見受けられた。

試遊スペースの入口からこの雰囲気。 アテンドをするギャビン氏(左)

また、今回の試遊にはイベント限定バーションのものが用いられているのだが、イベント応募時に登録したユーザー名前を、藤原啓治さんがボイスを担当するナレーターが読み上げてくれるというサプライズが仕込まれていた。試遊環境はヘッドホンで音声は周囲に流れていなかったのだが、ちょうど藤原さんが名前を読んでくれたからか、プレイを始めた人から「すご~い!」という歓声が上がっていた。

試遊スペースにも主人公のクウタロウやタイガー将軍などが置かれていた。

イベントの最後には、ギャビン・ムーア氏を始め、本作のリードゲームデザイナーの佐藤一信氏、シナリオライターの岩片烈氏、PR担当の北尾泰大氏の4人によって、「パペッティア」制作にまつわるトークセッションが行われた。トークの途中には、サプライズゲストとして藤原啓治さんも参加し、賑やかに進行していった。

(写真左から)北尾泰大氏、佐藤一信氏、ギャビン・ムーア氏、岩片烈氏。

トークセッション

――「パペッティア」の開発経緯について。

ギャビン氏:もともと私はPS2でバイオレンスなゲームを作っていて、その後も日本では「パペッティア」のチームと一緒に「SIREN」シリーズを作っていました。「SIREN」もリアルなホラーでバイオレンスな要素もあるのですが、私はもうバイオレンスなものはいいかなと(笑)。息子と一緒にゲームをやりたかったので、リビングで一緒に遊べるもの、親子だけでなく友達や恋人とも遊べるものを作ろうと思いました。

佐藤氏:スタート地点はその通りで、でも発想だけではゲームにならないので、大人しか分からないシナリオだったり、一人でもしっかり遊べるアクションゲームとして作り上げていきました。

北尾氏:一見、可愛らしい子供向けのゲームに見えるかもしれませんが、登場人物たちが喋っているセリフなど、大人だからこそくすっと笑ってしまうものがたくさんあります。結構セリフ回しとか遊んでいますよね。

岩片氏:最初は真面目に作るんですよ。「こういった設定はどうだろうか?」と真面目に書いていくんですが、「なんか普通ですよね」って言われ、やけくそになって書いていくと「面白いね!」って。誰かが止めてくれるだろうと思っていて、ナレーションも「どうせゲームに夢中で聞かないなら好き勝手やればいいかな」という感じで書いたら、誰も止めなくて(笑)。

――ピカリナはなぜ関西弁なのか。

ギャビン氏:これは私のせいですね(笑)。英語版はイギリス英語なんですが、日本語はどうする?となったとき、関西弁にしようと思ったんです。大阪人の水谷さん(プロデューサーの水谷崇氏)に中途半端になりそうだからダメって止められたんですけど、私が「やろう!」と言って進めました(笑)。

――クウタロウの名前の由来。

ギャビン氏:これも私のせいです。息子がクラウドなので、似ている名前にしたかったんです(笑)。

佐藤氏:ここまでの息子押しってあんまりないですよ(笑)。

ギャビン氏:クウタロウは漢字で書くと空太郎、スカイボーイだからカッコいいと思ったんです。ヨーロッパとアメリカでの名前はどうしようかと考えたとき、案が出なくてそのままクウタロウになったんですけど、マーケティングの人に本当に大丈夫か確認したら「大丈夫。ハサミを使っているからカットと似せたんでしょ?」と言われて、「…はい、そう考えました」と。

佐藤氏:完全に後付ですね(笑)。

一同:(笑)

――なぜハサミを使うことになったのか。

ギャビン氏:主人公は武器を持っていてほしいけど、でも剣だとほかのゲームでもよく見ます。そこで、ハサミは剣や包丁と違っていろんな形に切れるし、自分のリズムで切れるので面白いなと思ったんです。

佐藤氏:それを踏まえ、ゲーム内でもハサミで何かを切っている間は飛び続けられるよう、ハサミのイメージから想起しやすいアクションにしました。通常、ゲームのアクションを作るときに音は後回しになりますが、ハサミの“ちょきちょき感”が大事だったので、このアクションは音も込みで最初からチューンナップしていきました。

――ナレーションの声を藤原さんにお願いしたきっかけ。

サプライズゲストで登場した藤原啓治さん(写真中央)

佐藤氏:まず、このゲームはすごく吹き替えが多いんです。最初に日本語で仮の音声を作り、それを基にギャビンがロンドンに行って英語版の収録をしてくるんです。その声を担当したのがクラシックな感じで落ち着いた声の方だったので、日本は誰にしようかと考えました。たくさんの方の音声を聞かせてもらっていたんですが、どうもしっくりこないなと思っていたところ、藤原さんの声を聞いた瞬間に惚れましたね。

藤原さん:原音を聞かせていただいたんですが、重厚な感じで、年齢も上だったので大丈夫かなと思ったんですよ。

佐藤氏:なので日本に関しては、もうキャラクターを変えました。藤原さんの声を聞いて感じた僕の印象は、すごく品があって。

藤原さん:ええ。

佐藤氏:色気があって。

藤原さん:うん!

佐藤氏:なのにすごく軽薄みたいな。

藤原さん:あらら。

一同:(笑)

藤原さん:僕はよくインチキ臭いと言われるので、それがお芝居にも出たんだと思います(笑)。今回のナレーターは斜に構えていたり、ちょっとシニカルなことを言ったり、切り替えが面白くて演じていても楽しかったですね。収録は何回かに分けたんですが、最初の頃と印象が違ってきたりもして。

佐藤氏:僕らも藤原さんの影響を受けて、「この声だからこういう風にしよう」と、途中で変えたりしました。

藤原さん:言い方が古めかしかったり、テンポ感を要求されたりと、ふり幅みたいなところが難しかったですけど、その分、自分が試されているような感じがあって、芝居心をくすぐられましたね。

――完全に和風だったコンセプトムービーと現在の世界観の違いについて。

ギャビン氏:それは私のせいです。

一同:大体ギャビンだ(笑)。

ギャビン氏:私は日本文化がすごく好きなので、最初に作ったコンセプトPVは私のアイディアで、全部和風になっています。でもそれをアメリカとヨーロッパで見せたら「ダメ、これは売れない。キレイでもアメリカ人は絶対買わない」と言われ、どうするか悩んだんです。

佐藤氏:もともと日本がテーマというのはあったんですが、演劇なのでそこにこだわる必要はないかなと。もっといろんな要素を入れた方が楽しいよねと、振り切ってミックスした感じです。

ギャビン氏:でも和風ステージはまだアメリカとヨーロッパでは知らないはずです。

一同:(笑)

――開発での苦労点(音声収録)

佐藤氏:レコーディングは大変でした。ギャビンがロンドンで音声収録をするときに「日本語の仮音声に合わせて録ってきてね」と伝えたんですけど、実際にはその通りのものが録れなかったので、藤原さんにアドリブを入れてもらって時間を合わせたり、逆に巻いて喋ってもらったり。

ギャビン氏:いや~、収録の時役者さんをコントロールできなかったんです。

佐藤氏:向こうはそういう文化なんですよね。こういう風にセリフを言ってくださいと伝えると、「何秒で」ではなく、その方の演技でやるんですよ。

藤原さん:そうか、文化が違うんだ。僕らは早すぎたりゆっくり過ぎると思っても、できないと謝る文化なので(笑)。

佐藤氏:でもピッタリ合わせてくれたじゃないですか。

藤原さん:それは「さすがだな~」って褒められたい一心で頑張ったんですよ。

一同:(笑)

ギャビン氏:日本でアニメやゲームを作ると、音声より先に内容を作ります。その後に素晴らしい役者の人が演じるので、後から音声を入れることができます。でも海外は逆で、最初に収録して作るんです。

佐藤氏:僕は頭抱えましたよ。藤原さんを待たせてる、しかも10秒足りない…。ヤバイ、岩片さん、10秒足りません!と言ったり。

岩片氏:なんで俺は収録現場でシナリオ書いてるんだろうって思いましたね(笑)。

――開発での苦労点(ギャビン氏の思わぬ苦労)

ギャビン氏:私が苦労したのは、偉い人にゲームの説明をするとき。「パペッティア」は変なゲームで、魔法の劇場が舞台で、攻撃を受けると主人公の頭が取れてゴロゴロする。でも3秒ルールがあるから食べ物と一緒でその間に拾えば大丈夫。魔法のハサミがあって、それで色んなものをちょきちょき切っていく、みたいな内容なので。

佐藤氏:今聞いても意味が分からない(笑)。

ギャビン氏:みんなポカーンってするので、ゲームのことを伝えるのは大変でしたよ(笑)。

イベントは終始和やかな雰囲気で進み、最後にはプレゼント抽選会や記念撮影が行われた。
賞品はスタッフの手作りによる一品もののグッズや、海外で作られたイラスト集など。
イラスト集は佐藤氏が欲しくてももらえないというぐらいのレアものだという。

※画面は開発中のものです。

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