エレクトロニック・アーツが2013年10月31日に発売を予定している(PS4版は2014年2月22日、Xbox One版は未定)「バトルフィールド4」について、開発を担当するダニエル・マトロス氏へのインタビューを実施する機会を得たので、その模様をお伝えしよう。
「バトルフィールド4」は、プレイヤーの行動に合わせて戦場の景観、環境がリアルタイムに変化する「Levolution」システムや、よりリアルなグラフィックやサウンドを実現した次世代ゲームエンジン「Frostbite 3」など、随所にシリーズとしての新境地が垣間見える意欲作だ。
また、本作はPS4やXbox Oneでも発売予定ということで、国内外を問わず、多くのファンから高い注目を集めている。
東京ゲームショウ2013の期間中、本作の開発を進めるDICEのダニエル・マトロス氏にインタビューを行うことができたので、その内容をお伝えしよう。今回は主に対戦モードを担当している同氏から、マップに散りばめられたギミックや、日本でのβテストなど、ファンが気にしているであろう話を聞くことができた。
――本日はよろしくお願いします。まず、本作でユーザーに注目してほしい箇所はどこですか?
マトロス氏:たくさんありすぎて1つに絞るのは難しいけど…長年思い描いてきた「Levolution」システムをついに実現できたことは、私たちとしても大きなことだと思っています。
「Levolution」とは、マップ上のビルなどのオブジェクトが破壊され、リアルタイムで戦況が変化していくシステムです。例えばビルが崩れるとリスポーンポイント(マルチプレイで倒された際、再スタートするポイント)新たに増えたり、場所が変わったりといった影響があります。
また、天気が常に変化していくこともこのシステムの大きな特徴で、特に海の上では、雨が降ると波が大きくなり、ボートを操作しにくくなります。
――なぜ今回、「Levolution」を搭載しようと考えたのでしょうか?
マトロス氏:以前のシリーズですと、砂漠で戦車が戦っているとき、砂の山を迂回しながら戦っていたんです。私たちはこのような、自然物が戦況に影響を及ぼす場面からヒントを得て、「Levolution」を考えつきました。
大きく荒れる波は一見障害として立ちはだかりますが、状況によっては相手の視界を遮る壁にもなります。これのおかげで、戦略の幅はさらに広がっていますよ。
――「Levolution」は、建物の中でも影響を与えることはあるのですか?
マトロス氏:もちろん。例えば空港にある身体検査装置を無理に通ろうとすると、当然ベルが鳴り、自分の居場所が気づかれてしまいます。それ以外にも、戦闘の過程で電気がショートしてしまい、暗視スコープを使わざるを得ない状況になることもあります。ひとつひとつは小さな影響ですが、それらが重なり合うことで戦況が刻々と変わっていくのです。
――E3 2013のデモプレイでは、巨大なビルが崩れ落ちるシーンがあり、とても印象的でした。あれも「Levolution」のひとつなのでしょうか。
マトロス氏:巨大ビルの崩壊は「Levolution」でももっとも大きな仕掛けのひとつです。ビルが崩れれば地形が変わるだけでなく、ホコリが舞い、周囲を見渡すことが困難になります。
このシステムで重要なのは、すべてプレイヤーさん自身が発動させる仕掛けである点で、ビルを崩したくなければ、崩さない戦法もしっかり用意されています。
――大掛かりなギミックは他にも用意されているのですか?
マトロス氏:どのマップにもイベントは隠されていて、ひとつ例を挙げると、ダムがあるマップでは壁を壊すことでフィールドに水が溢れ、陸上戦から水上戦へ急展開します。そうすると、戦車を使い有利に進めていたチームが、一転して窮地に追い込まれたりと、戦況を逆転させることも可能です。
――ちなみに、発売の時点でマルチプレイ用のマップやゲームモードは何種類用意されているのでしょうか?
マトロス氏:マップは10種類で、ゲームモードは7種類用意してあります。そのうちのひとつは「テストレンジ」というモードになっており、さまざまな武器や乗り物を試すことができる、初心者向けのモードになっています。
――マルチプレイに不慣れな人もフォローしていると。
マトロス氏:そうですね。これはユーザーさんからの要望が多かったモードでしたし、膨大な数の武器や乗り物が出てくる「バトルフィールド4」では必要だろうと考え、導入しました。
初心者ですと、そもそもどの武器から始めればいいのか分からない、という方もいるかと思います。そんな方でも、「テストレンジ」をプレイすればある程度は馴染めるのではないでしょうか。
――今回は現行ハードの他に、PS4やXbox Oneでも発売を予定していますね。次世代ハードならではの特徴はありますか?
マトロス氏:グラフィックやサウンドがよりレベルアップしています。また、PS4だとコントローラーを傾けると視点が動いたり、PS Vitaにストリーミングで画像を送り込んだりといった機能があります。
Xbox Oneですと、やはりKinectを使った音声コマンドなどは導入したいですね。それ以外にもスマートフォンやタブレットを利用した「Xbox SmartGlass」で、レーダーを介して戦況を把握できる「Commander」を見られたら面白いかと考えています。
ですが、これらの機能は一歩間違えるとただのおもちゃにしかならず、システムが分かりにくくなる可能性があります。そのため、これらの機能をどの場面で、どのように使うかは慎重に考えているところです。それにすべてを詰め込んでいたら、肝心のゲームバランスが崩れる危険もありますからね。
――PS4にはPS Vitaを使ったリモートプレイ機能もありますが、こちらの調整は進んでいるのでしょうか?
マトロス氏:特にマルチプレイでは他のプレイヤーさんと同時に遊ぶので、リモートプレイの方だけ挙動が遅くなるといったことはないように調整しています。
PS Vitaを活かすためには、まずは操作性を考えなければいけません。ボタン数の違いをどのように解消していくかは、もっとも重要なポイントですね。加えて、リモートプレイの際はユーザーインターフェイス、つまり残弾数などの表示をどうするかも大切で、PS Vitaの画面でも分かりやすいデザインになるよう心がけています。
――海外では10月4日からマルチプレイのβテストが始まりますが、日本国内でβテストを行う予定はありますか?
マトロス氏:まだ具体的な日時は言えませんが、行う予定です。海外と大きなズレはなく、10月上旬には…と考えています。
――最後に、現在世界各国で大作FPSが開発されていますが、「バトルフィールド」シリーズならではの独自性はどこにあると考えていますか?
マトロス氏:世界観、マップ、戦術の幅、「Levolution」による環境の変化、これらすべてに言えることは「規模の大きさ」がテーマになっていることです。規模が大きいからこそのプレイスタイルは確実にありますし、それは「バトルフィールド」らしさだと思います。
もちろん今回から加わったダイナミックな破壊性も、今後のシリーズでは大切な要素になるはずです。
――ありがとうございました。