2014年1月23日~1月27日まで台湾・台北市「台北世貿中心」にて開催される「台北国際ゲームショウ 2014」。1月25日にSCETブースで実施された「龍が如く 維新!」ステージをレポート。
台湾最大規模の「台北国際ゲームショウ」は、今年は会場を超高層ビル「台北101」の隣に位置する「台北世貿中心(台北世界貿易センター)」に戻しての開催となる。本記事では1月25日に実施されたSony Computer Entertainment Taiwan(SCET)ブース「龍が如く 維新!」ステージの模様をお伝え。
「龍が如く 維新!」ステージ
セガより、2014年2月22日発売予定のPS4/PS3「龍が如く 維新!」。本作は「龍が如く 見参!」に続く、日本の歴史を題材にしたスピンオフ作品となり、坂本龍馬を通して幕末の舞台が描かれる。
ステージを待ちわびていた来場者の中には、日本語で「龍が如く最高!」と書いたパネルを持って応援する熱狂的なファンも。とにかく男性ファンが多く、熱気がものすごかった。
新選組の衣装をまとったコンパニオンたちと登場した、本作の開発を手がける「龍が如くスタジオ」総合監督「名越稔洋」氏は、2回目の台湾訪問となり、今回のような豪華なステージは初めてと喜んでいた。
本作は、幕末の時代を舞台とした「龍が如く」スピンオフ作品となり、主人公の桐生扮する坂本龍馬が「もし新選組に入ったら?」といったストーリーで、本作の新選組は「龍が如く」シリーズの東城会を彷彿とさせるような集団として描かれている。また、過去の「龍が如く」シリーズに登場するキャラクターも数多く歴史上の人物として出演しているのも魅力の一つだ。
ゲーム内では「一刀」「短銃」「格闘」「乱舞」の4つのバトルスタイルを切り替えて戦うことができ、アクションファンも納得できる内容が盛り込まれている。また、2014年2月配信予定のPS Vita専用アプリ「龍が如く 維新! 無料アプリ for PlayStation Vita」では、「バトルダンジョン」や「アナザーライフ」をはじめ、シリーズお馴染みの「賭場ミニゲーム」も楽しめる。
さらに予約特典としてシリーズのBGMを収録した「龍が如くシリーズ ベストサウンドトラック」に決定しており、本作の楽曲のほか声優陣の歌うオリジナル楽曲も収録しているのでぜひ本作と一緒に楽しんでもらいたいと名越氏が話した。また中文版のマニュアルの他に、限定予約特典としてシナリオブックも付属する。
続いて、PS4版を使用しての実機プレイが、「龍が如くスタジオ」の佐藤大輔氏による操作で披露。生活感や空気感などが緻密に描かれた街中の様子や、行き交う町人や因縁をつけてくる武士たちなどが滑らかに動いているのが確認できた。
ここでは4つのスタイルを切り替えて戦うバトルシステムを紹介。「一刀の型」は4つのバトルスタイルの中で最も攻撃力が強く、防御も可能。「短銃の型」は遠距離攻撃が得意だが、一発の威力はそんなに高くない。「乱舞の型」は刀と銃を組み合わせて戦うことができ、スピード重視型で防御ができないので、敵と間合いが重要。「格闘の型」はシリーズおなじみのケンカスタイルを踏襲した素手のスタイル。掴んでからの大技に会場も大盛り上がり!
また、本作で新たに導入された「バトルダンジョン」のプレイも披露。坂本龍馬が新選組の三番隊を任され、新選組隊士とともダンジョンを攻略していく新感覚のモード。史実で登場する隊士たちはさまざまな能力を持った「カード」として部隊に組み込み、ダンジョン内の次々と登場する敵を撃破していく。内部では街中では入手困難なレアアイテムや武器などの素材を入手することができる。
新モード「アナザーライフ」では、坂本龍馬が田舎に購入した別宅で生活することができ、猫や犬を飼ったり、畑で作物を育てることもできる。さらに家の中には女中がおり、手に入れた農作物で料理を作ることもできる。貯めたポイントを素材と交換することも可能。
上記の新モードはPS Vita専用アプリ「龍が如く 維新! 無料アプリ for PlayStation Vita」でも高クオリティーで楽しむことができ、その実機プレイも紹介された。一部タッチ操作に対応している機能もあるようだ。
ステージの最後には、名越氏とのサイン会が実施され、たくさんのファンが列を作り、交流を楽しんでいた。並んでいた台湾のファンに中には今まで発売されたすべてのシリーズもパッケージやポスターなどを持参する熱狂的なファンも訪れ、終始盛り上がっていた印象を受けた。カメラを向けると喜んでポーズを取ってくれるのも嬉しかった。
ステージ終了後の台湾メディア向けインタビュー
――PS4とPS3版を同時に発売する理由を教えて下さい。
名越氏:PS4はまもなく発売される新ハードですし、PS3は現行でもたくさんの人が所有しているので、どちらのユーザーにも応えることができると思い、発売します。2つのハードについての大きな違いは、パフォーマンス、解像度も違い、エフェクトも綺麗で、バトルシーンではかなり滑らかに動き、迫力も違うと思います。が、決してPS3が劣ると認識しているのではなく、前作以上の作品を作れるように、開発する際にもその点には気を使いました。
――過去作のセーブデータ所有でもらえる報酬などはありますか
佐藤氏:PS3版では過去シリーズのセーブデータがあると何らかの報酬がもらえます。PS4は新発売のハードなので対応はしていません。
――PS Vitaの無料アプリをiOSやAndroidなどスマートフォン対応にすることは考えていますか?
名越氏:現時点ではありません。
――中文版のシナリオ解説ブックが予約特典で配布されますが、なぜゲームそのものをローカライズをしないのでしょうか?
名越氏:中文版エリアに向けてのローカライズをすることについては、つい最近まで「するか、しないかの狭間」と認識していたので、本作では実現できませんでした。今後は積極的に考えていきたいです。
――本作は史実に登場したエピソードなども盛り込まれているのでしょうか?
名越氏:「龍が如く 見参!」にもあったように、歴史上残っている史実をきちんと踏襲しながら、その間に起きるイベントなどはフィクションとして盛り込んでいます。そこが本作の魅力の一つでもありますね。
――本作をPS Vitaに移植することはありますか?
名越氏:将来的には本編を遊べるタイトルをPS Vitaへの移植することはありません。これからもハイパフォーマンスで遊べる「龍が如く」を出していきたいと考えておりますが、本編の中の遊びを膨らますことは大事に思っています。
――PS4版の開発で一番難しかったことは
佐藤氏:やはりPS4ならではの特性・機能を生かした要素を入れなければならないことが、特に苦労しました。
名越氏:(ハードが)ハイパフォーマンスになれば当然表現力も上がりますし、手を入れれば入れるほどグラフィックは向上していきますが、メーカーとして限られた時間とお金もあるので、開発チームの力が上がるたびにプロデューサーとしてのジレンマを感じるときもあります。台湾でたくさん購入してくれると嬉しいですね!
――PS4のローンチタイトルとして、純粋な日本らしい作品を提供しようと考えましたか?
名越氏:「龍が如く5 夢、叶えし者」の次のタイトルとしてやるべき仕事として開発されたのが本作なんですが、たまたまPS4というハードのローンチに間に合った、PS4の発売日が2月でなくても本作は作ったと思います。
――本作には今までのシリーズのキャラクターが登場しますが、配役について苦労した点を教えて下さい。
名越氏:どのキャラクターを誰にするかは、キャラクターの持つイメージとサプライズも考えながら、登場したときに驚きとともに喜んでもらえるようにバランスを考えて配役を決めました。
――Vitaの無料アプリについてVita tvには対応していますか?
名越氏:はい、しています。
――名越さんにとっての「龍が如く」シリーズとは?
名越氏:「龍が如く」は、日本の中でも珍しいジャンルとして生まれた作品です。「こういうものでないと売れない」というゲーム業界にある傾向が強くなってきた時に、「このようなジャンルも売れるんだ!」と認識させたプロジェクトでもあります。自分はそれ以前にもゲームを手がけていたんですが、ひとつの賭けとしてプロジェクトを立ち上げ、それが成功したことも含めて、情熱を持ってゲームを作る気持ちがあれば、マーケットも作れるという確信が生まれた、とても思い出深いタイトルだと言えます。
――ありがとうございました。