コーエーテクモゲームスは、12月5日にPS4/PS3/PC用シミュレーションゲーム「信長の野望・創造 with パワーアップキット」の完成発表会を開催した。今回は、その模様をお届けする。
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昨年、シリーズ30周年を記念する作品として発売された歴史シミュレーションゲームの「信長の野望・創造」。それに新たな要素を盛り込み大幅な進化を遂げたのが、12月11日に発売される「信長の野望・創造 with パワーアップキット」だ。
発売に先駆けて開催されたこの日の完成発表会では、ゲーム内容の紹介やトークセッションなどが行われた。まずはじめに、「信長の野望」シリーズのゼネラル・プロデューサーであるシブサワ・コウこと代表取締役社長・襟川陽一氏が登壇した。
シブサワ・コウ氏によると、今回のパワーアップキットは史上最大・最強で完成とのこと。その力の入れどころのひとつとして、「信長の野望」シリーズのパワーアップキットとしては初めてオープニングの映像をリニューアルしている。これは30周年記念ということで、最大・最強パワーアップという気骨のあらわれとして作ったそうだ。
リアリティ、ダイナミック、ドラマティックのいずれも大幅に強化!
続いてプロデューサーの小笠原賢一氏が登壇。本作の紹介が行われた。昨年12月に発売された「信長の野望・創造」。リアリティ、ダイナミック、ドラマティックといった3つのキーワードで作られた作品だったが、日本とアジアの全てのプラットフォームを合計して約30万本ものセールスを記録することができたという。今回発売されるパワーアップキットは、多くのユーザーからの意見を含めて自分たちができることをすべて詰め込んで完成させたそうだ。
先ほども触れたように、「信長の野望・創造」は3つのキーワードで作られている。今回のパワーアップキットでは、それをさらに強化した内容となっている。
まず最も重視されたのが“リアリティ”だ。本作は、ゲームシステムの進化の方向性として戦国クライマックスとなる“関ヶ原の合戦”の一大決戦感や興奮を、プレイヤー自らが体験してもらおうと考え作られたという。それを実現させるために、プレイヤー自らが全国の大名の盟主となり、自分の手で一大決戦を作ることができる「連合」というコマンドが新たに導入されている。
領土が広くなっていったときに、配下に任せることができる「配下軍団制」も導入されている。この連合と配下軍団制により、“多面作戦”の面白さが広がっているのだ。また、前作には無かった朝廷への工作や密談などの調略要素も追加。内政面でも、各城下町に資源が設定されており、それを利用した新たな施設や城郭設備も拡張できるようになっている。
“ダイナミック”として、最大の特徴にあげられるのが「会戦」のシステムが刷新されているところだ。本作では、部隊の方向の概念が取り入れられており、戦場を自由に行き来することができるようになった。戦術面でも地形の高低差のほか、城の近くで会戦が行われている場合は城の施設も戦闘に大きな影響を及ぼすようになる。
また、広範囲の部隊同士が一気に雌雄を決する「大会戦」システムも新たに導入されている。これにより、いわゆる関ヶ原の合戦的な戦いが再現できるようになっているのだ。
“ドラマティック”の新要素としては、「信長誕生」や「関ヶ原の戦い」などパワーアップキットの定番である4つのシナリオが追加されている。これにともない、武将の数も大幅に増え500人超えが追加されている。総数としては、シリーズ最大の1800人以上の武将が登場するそうだ。合わせて「戦国伝」も多数追加。さらにこれもパワーアップキットとしては初めての試みとして、徳川や毛利など4つの大名家に専用のBGMが追加されている。
よりリアルな戦闘が楽しめるようになった会戦
続けてディレクターの小山宏行氏が登壇。本作の特徴のひとつである“ダイナミック”について、実機を使用しての説明が行われた。
このデモでは、新シナリオの「関ヶ原の戦い」を利用して行われた。会戦直後は、敵のおおよその位置が赤いコマで表されている。時間の進行とともに敵の位置も変化するため、それを予測しながら少しずつ部隊を前に出していくのがセオリーとなる。
部隊を選択すると、移動先が選択できるようになる。このときに表示される矢印が移動ルートを表している。また、部隊を選択したときにアーチが表示される。これがその部隊の攻撃射程を表している。部隊を移動させるときは、射程距離に敵が入るようにすることで、攻撃をすることができるのだ。
画面上部エフェクトが表示されている部分では、その部隊が戦法を発動していることを表している。本作では戦法の効果を一新、その種類も増えている。ちなみに「関ヶ原の戦い」のようなイベント対戦では、状況が不利なときなど戦いの最中にイベントが発生することがある。
「関ヶ原の戦い」は、東軍サイドからの戦いだけではなく、西軍サイドで戦うこともできる。史実では小早川秀秋が裏切ったが、果たしてそれがどうなるか……こちらは東軍でプレイするよりも歯ごたえがあるそうなので、ぜひともチャレンジしてみて欲しい。
意外なこだわりも!? シブサワ・コウ氏と開発陣によるトークセッション
ここでふたたびシブサワ・コウ氏、小笠原プロデューサー、小山ディレクターが登壇。いずれも戦国風のいでたちで登場した。このトークセッションでは、「信長の野望」シリーズや「信長の野望・創造 with パワーアップキット」が現在の形になるまでの裏話などがテーマ別に語られた。
――本当は「創造2」というタイトルだった?
小笠原氏:「信長の野望・創造」をたくさんの方に楽しんでいただいて、その分たくさんご意見、ご要望を頂戴しました。やりたいことを形にしていったら、ものすごいボリュームになって、もうパワーアップキットの範疇じゃないよね? ということで、「創造2」という形で発売はどうでしょうとゼネラル・プロデューサーに相談しにいったという感じですね。
シブサワ氏:たしかに今までのパワーアップキットとは、レベルが違う一大パワーアップなので、小笠原プロデューサーのいっている意味も理解しましたし、なんとかして表したいなとは思ってました。ただ、過去30年間ずっとパワーアップキットということで親しまれているので、保守派と革新派との戦いみたいなところがプロジェクトチームの中にあって、まぁこれは保守派の勝利ということで変えないことにしました。ただ、小笠原プロデューサーの気持ちを表すために史上最大最強のパワーアップという言葉を使わせていただいております。
――オープニングムービーの刷新はシブサワ・コウ氏の発案だった?
シブサワ氏:ええ、そうですね。30周年ですから、ふさわしい、新しい試みを取り入れたいということで。オープニングをリニューアルするということだけではなくて、それ以外もパワーアップしておりますので、ぜひともお楽しみいただきたいなと思います。
――ゼネラル・プロデューサーの大きく広げたものを作っていく、小山ディレクターのご苦労も半端なかったのではないですか?
小山氏:今までもパワーアップは作ってきたので、だいたいこれぐらいかなと想像はできたんですけど、今回はちょっとその比ではなかったので(笑)。プロジェクトチーム一同、なんとかこれをという気持ちで頑張りましたね。
――FacebookなどSNSを通じたユーザーとの交流について
小笠原氏:元々、昨年の5月に前作の制作を発表したときに、私がどういう考え方でゲームを作るのかというのもユーザーさんがわからない状態だったので。どういう意図を持って、こういうゲームデザインにしているんだというのを込みで説明するのは、メディアにもスペースの都合がありますので。それだったら、SNSを使って自分の言葉で伝えていきたいなと思って続けてきました。
――ユーザーからのコメントはご覧になりました?
シブサワ氏:ええ、本当に嬉しいです。「信長の野望」が好きで、たくさんのご要望を期待感を込めて送ってくださって。代々「信長の野望」はお客様の意見を聞きながら、現場のチームの新しい工夫や提案取り込んで、出すアイデアもゲームの中につぎ込んでいったんですけどね。お客様とプロジェクトチームの共作みたいな側面もありますから。
――マニアックな改善について
小笠原氏:そこかよ! といった感じなんですけど、各種ご意見を頂いて私が武田を好きということもご認識いただいている中で、「武田好きなのに、なんで諏訪湖が無いんだ」というひと言がグサッと刺さりまして。武田に関することの挑発に弱いので、じゃ作ろうと(笑)。
シブサワ氏:とにかく史上最大最強のパワーアップですから、武将の数も最大最強でやろうとして500人追加しました。武将の総数としては1800人と、これは今までのパワーアップキット過去最大数です。プロジェクトチームのメンバーは、本当に大変だったんじゃないかなと(笑)。
――顔にこだわったそうですが、今回姫武将がかなり多く出てきますが
シブサワ氏:妥協を許さずで、姫武将、パワーアップしました。実際のゲームの中で確認をしてください。ぐぐっときますから。
小笠原氏:メディア用にこういう武将が追加されますよと出したんですけど、ゼネラル・プロデューサーから個性化が足りないということで……1回世間に出ちゃってる画像でも手直しが入っています。
――アップデートやダウンロードコンテンツについて
小笠原氏:今回のパワーアップキットでもアップデートを考えています。まずは、新しくなったゲームシステムを遊んでもらって、新しくなったらなったでもっとこうしたほうがいいといった意見が出てきますので、そちらをしっかりと消化してリリースしていきたいなと思います。
――3月30日の信長の野望の日の予定は?
小笠原氏:毎年発売するしないにかかわらず、信長の野望の日は関連するコンテンツの各プロデューサーに声をかけて、アップデートやダウンロードコンテンツをしたいと思っております。
――これからの「信長の野望」は?
シブサワ氏:30周年記念タイトルの「信長の野望・創造」が、これからの30周年のスタートのタイトルと考えています。もちろん、次回作も視野に入れていますし、また40周年をめでたく迎えることができて、ゲームファンの方々を無料でご招待するコンサートもやりたいです。ぜひ、今後の「信長の野望」もご期待いただきたいと思います。
――ありがとうございます。
コラボレーション展開も決定!
今作では様々なコラボレーション展開も予定されている。ひとつ目は、講談社のコミック「センゴク」とのコラボだ。宮下英樹氏が描くゴンベや羽柴秀吉などの武将の顔グラフィックが使用できるようになる。
こちらのダウンロードコンテンツの配信日は、12月22日発売の「ヤングマガジン」で発表される予定だ。
同じくコミックの「ドリフターズ」とのコラボレーションも決定。こちらは、平野耕太氏が描く島津豊久や織田信長の顔グラフィックが使用できるようになる。こちらの詳細は続報を待とう。
また、「采配のゆくえ」との社内コラボレーションも決定。石田三成や徳川家康といった顔グラフィックが使えるようになる。
12月9日20時より、発売直前スペシャル生放送と題してニコニコ生放送が放送される。こちらには、小笠原プロデューサーと小山ディレクターが出演。トレジャーボックスの開封式や実機を使用した実況も行われる予定だ。続報については、公式サイトやSNSなどで発表されるとのこと。