カプコンが11月27日に発売したPS3/Xbox 360向けソフト「バイオハザード HDリマスター」(PS4/Xbox One/PC版は2015初頭発売予定)。本稿では1996年に発売されたオリジナル版、そして2002年に発売された「biohazard」(GC版、以降リメイク版と記載)との違いを中心に紹介しよう。
本作は、ラクーンシティ郊外で多発する猟奇殺人事件の調査に出動した特殊部隊「S.T.A.R.S.」ブラヴォーチームからの消息が途絶えてしまい、アルファチームが捜索に赴いたところからはじまる。静まり返る森のなかで異形の犬の群れに襲われたアルファチームの面々は、命からがら逃げ延びることに成功。だが、逃げた先はゾンビが巣食う不気味な洋館だった……。そこから脱出するためにさまざまな謎を解き明かしていくことになる。
以上が本作のストーリーとなっている。1996年にオリジナル版が発売されてから、18年間の歳月を経て本作が発売されることになった。さまざまな「バイオハザード」シリーズが発売されているなかで、サバイバルホラーの原点といわれるオリジナル版と本作との違いを筆者の私感も含めてお届けする。
18年の歳月を経ても変わらない恐怖
まずは本作を知らない人のために、ゲームの内容を紹介しておこう。本作は特殊部隊「S.T.A.R.S.」アルファチームに所属するクリス・レッドフィールドとジル・バレンタインのどちらかを選択して探索することになる。どちらを選択するかによって、イベントで登場するキャラクターや入手できる武器などに違いはあるが最も異なる点はアイテムの所持数だろう。
クリスが6個なのに対してジルは8個のアイテムを持つことが可能だ。大きな違いではないように思えるが、本作ではその状況に応じてアイテムを取捨選択するのが基本なので、クリスのほうがどちらかといえば難易度が高い。ただ、クリスのほうが体力が多いため、敵からダメージを受けても倒れづらいというメリットがある。
約10年ぶりぐらいにプレイする筆者は生存率の高いクリスを使ってプレイ。上記でも述べた通りクリスはアイテム所持数が少ないので、使わないアイテムを極力取らないようにした。回復アイテムはその場に落ちているものを使うため、非常に危険だがクリスの体力の高さを活かして攻撃を受けてもギリギリまで耐えて進んでみた。
実際プレイして感じたのは昔と変わらないリソースコントロールの難しさ、楽しさだ。本作では、アイテム所持数が決まっており、闇雲にアイテムを取ればいいというわけではない。セーブのときにしか使用しないインクリボンなど普段使わないアイテムを持ち歩いてアイテム欄を圧迫して、本当に欲しいものが入手できない状態になってしまうということがある。アイテムが保管できるアイテムボックスに入れればいいのだろうが、そこまでの経路を覚えることになるので戻るのにも一苦労だ。
ジルなら多くのアイテムを持てるのでクリス程は気にする必要はないが、クリスはハンドガン1丁、ナイフ、銃弾、回復アイテムなど普段必ず持っていくアイテムで仕掛けなどを解くためのアイテムやカギなどが2つしか持てなくなってしまうのだ。落ちているアイテムを基本的に拾いたくなる筆者はオリジナル版をプレイしたときに謎を解いたけどアイテムが持てないからアイテムボックスに預けにいくという行為を何回も繰り返したのを覚えている……。
また。HDリマスター化されたことで洋館の雰囲気が変わった印象を受けた。リメイク版と同様にロウソクやライトなどを光源にしているのは変わらないのだろうが、床や壁に当たる光の反射がリアルさを増しているのだ。原作やリメイク版では洋館の光は明るい印象を受けたのだが、光の表現の仕方が変わったことで薄暗く不気味な雰囲気を出している。
「バイオハザード」お馴染みの固定視点ならではの恐怖も健在。プレイしたことがある人ならわかるだろうが、本作では曲がり角などでカメラ視点を移動して道の先を見るということができない。そこになにがあるのかは視点が変わったときにしかわからず、気がつけば目の前にゾンビがいたということがある。さらにHDリマスター化され、ゾンビなどの敵がリアルになったことで、突発的な恐怖がさらに増しているようだ。
ラジコン操作で恐怖は倍増?
本作では原作の上方向キーを入力して前進する所謂ラジコン操作と方向キーの入力した方向に進むアレンジ操作の2種類が選択できる。ラジコン操作で敵から逃げるときに、とっさの操作では思い通りに動かせないことあり、もどかしさも感じたが、アレンジ操作はその場からすぐに離れることができて敵から逃げやすい。リアルタイムで切り替えることができるので、アレンジ操作である程度操作になれておき、ラジコン操作に切り替えてみると原作の操作のもどかしさ、そしてもどかしさも気恐怖演出に一役買っている事がよくわかるだろう。
リメイク版に登場したクリーチャーも登場!
リメイク版に登場したリサ・トレヴァーとクリムゾン・ヘッドも本作では登場する。リサ・トレヴァーは攻撃力が強く、死なないという厄介な敵となっており、攻撃をして一時的に動きを止めることはできるが、弾薬の消費量が多くなってしまうので逃げたほうがいい。リサがなぜクリーチャーになってしまったのかは洋館の隠されたファイルを見つけることで明かされていく。彼女は壮絶な過去を持っている敵なのでぜひファイルを探してみて欲しい。
クリムゾン・ヘッドは瀕死のソンビが変異体となった姿だ。通常のゾンビと違う点は走ってプレイヤーを追いかけて来ることだろう。クリムゾン・ヘッドにならないようにするにはゾンビのときに頭部を破壊するか、ゾンビの死体を焼くしかない。頭部破壊は運の要素も強いため、基本的には焼却することになる。焼却方法は各所に配置されているポリタンクから灯油を持ってきてライターを使って焼却するか、グレネードランチャーの火炎弾を使う方法以外にない。
「全部のゾンビを焼けばいいのでは?」と思うだろうがポリタンクから持ってこれる灯油には限りがあるため、全部のゾンビを焼くことはできないので、よく通る道のゾンビに使うようにするのがオススメだ。筆者はクリスでのプレイということもあり、アイテムボックスが置いてある部屋によく行くので、隣接している通路のゾンビに使い安全を確保していた。
懐かしいけど新しいバイオハザード
以上が「バイオハザード HDリマスター」をプレイしたみた感触になる。本作には、日本語音声が新たに収録されており、クリスのボイスは「バイオハザード6」でも担当していた東地宏樹さん、ジルのボイスは「バイオハザードリベレーションズ」でも担当していた湯屋敦子さんとなっている。そのほかにも有名な声優陣が出演しているので、英語音声でしか「バイオハザード」をプレイしたことがない人は日本語音声にしてみると感情移入がしやすくなり、さらなる恐怖体験ができるだろう。
本作に登場する仕掛けやストーリーの話は避けるが、昔プレイしたことがある人ならどこか懐かしさを覚えながらも、HDリマスター化された本作の世界を見ると新鮮な気持ちを味わえるはずだ。また、新規ではじめるプレイヤーにはサバイバルホラーの原点である本作をぜひプレイしてもらい、本物の恐怖を味わってもらいたい。